第二十八話 犬
「今までありがとう。お疲れ様……」
部屋には、5人の人々が、ベッドを囲み立っている。
5人のうち、ベッド左側にいる白衣の男が、静かに部屋から立ち去っていく。ベッドの右側にいるスーツ姿の男が、ベッドに横たわった老人の頭を撫でる。
「親父、お疲れ様。ゆっくり休んでくれ」
すると、部屋の中に、茶色いゴールデンレトリーバーが入ってくる。
「わんわんだぁ!」
スーツ姿の男の左隣にいる小さな少女が、部屋に入ってきたゴールデンレトリーバーの頭を撫でる。犬はその場にじっとし、ハァハァと呼吸をしている。
「すみません」
部屋の中に、青いエプロンをした施設の職員が入ってくる。犬の首についている首輪を掴み、部屋から出そうとする。
すんなり、犬は部屋を出ていく。スーツ姿の男はちらっとゴールデンレトリーバーを見ると、ベッドに横たわっている老人に目を戻す。
そのまま、粛々と、お別れの会は終わりを告げる。
「それにしても、あの犬不思議よね」
別の部屋にいる2人の女性職員は話をしている。
「確か、前も亡くなった部屋の利用者のところにいたのよね」
「あの犬って、施設長の飼い犬なんですか?」
「そうよ」
空になった部屋の掃除をしながら、2人は話をしている。
「ほら、おいで」
その部屋の中に、ゴールデンレトリーバーが入ってくる。それに気づいた職員の1人が声をかけ、近づいてきた犬の頭をよしよしと撫でる。
「よーしよしよし」
「もしかすると、この犬、亡くなる人がわかるのかもね」
「そうなんですかね」
犬の頭を撫でながら、1人の職員はもう1人の職員に相槌を打つ。
夜、施設のある部屋では、別の老人の男が眠っていた。
「ん……何だ?」
物音に気付き、老人は目を開ける。見ると、部屋に、犬が入ってくる。
「お……犬か……」
老人の男は、部屋に入ってきた犬を見つめる。
犬は、ベッドに近寄ってくる。
「おーよしよし……」
犬の頭を、老人は撫でる。すると、犬は、じっと、老人を見つめる。
じっと、老人を見つめる。
じっと、老人を……
ヒロ&アキト’s解説
ヒロ「あああああああああ!」
ヒロ「……はぁはぁはぁはぁ、危ねぇ…… はぁはぁはぁはぁ」
ヒロ「何とか、走り出したからいいものの、あれは、何だよ!」
ヒロ「気持ち悪い目がたくさんある泥みてぇなバケモンだったぞ!」
ヒロ「ん? 今度は何だ」
「ワン!」
ヒロ「なんだよ犬かよ。おーよしよしよしよし」
「ガブッ」
ヒロ「痛てぇ!」




