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何なのかわからない。アーカイブ  作者: 中松弘子
シーズン参
31/52

第二十八話 犬



「今までありがとう。お疲れ様……」


 部屋には、5人の人々が、ベッドを囲み立っている。


 5人のうち、ベッド左側にいる白衣の男が、静かに部屋から立ち去っていく。ベッドの右側にいるスーツ姿の男が、ベッドに横たわった老人の頭を撫でる。


「親父、お疲れ様。ゆっくり休んでくれ」


 すると、部屋の中に、茶色いゴールデンレトリーバーが入ってくる。


「わんわんだぁ!」


 スーツ姿の男の左隣にいる小さな少女が、部屋に入ってきたゴールデンレトリーバーの頭を撫でる。犬はその場にじっとし、ハァハァと呼吸をしている。


「すみません」


 部屋の中に、青いエプロンをした施設の職員が入ってくる。犬の首についている首輪を掴み、部屋から出そうとする。


 すんなり、犬は部屋を出ていく。スーツ姿の男はちらっとゴールデンレトリーバーを見ると、ベッドに横たわっている老人に目を戻す。


 そのまま、粛々と、お別れの会は終わりを告げる。


「それにしても、あの犬不思議よね」


 別の部屋にいる2人の女性職員は話をしている。


「確か、前も亡くなった部屋の利用者のところにいたのよね」


「あの犬って、施設長の飼い犬なんですか?」


「そうよ」


 空になった部屋の掃除をしながら、2人は話をしている。


「ほら、おいで」


 その部屋の中に、ゴールデンレトリーバーが入ってくる。それに気づいた職員の1人が声をかけ、近づいてきた犬の頭をよしよしと撫でる。


「よーしよしよし」


「もしかすると、この犬、亡くなる人がわかるのかもね」


「そうなんですかね」


 犬の頭を撫でながら、1人の職員はもう1人の職員に相槌を打つ。


 夜、施設のある部屋では、別の老人の男が眠っていた。


「ん……何だ?」


 物音に気付き、老人は目を開ける。見ると、部屋に、犬が入ってくる。


「お……犬か……」


 老人の男は、部屋に入ってきた犬を見つめる。


 犬は、ベッドに近寄ってくる。


「おーよしよし……」


 犬の頭を、老人は撫でる。すると、犬は、じっと、老人を見つめる。


 じっと、老人を見つめる。


 じっと、老人を……


 ヒロ&アキト’s解説 


 ヒロ「あああああああああ!」


 ヒロ「……はぁはぁはぁはぁ、危ねぇ…… はぁはぁはぁはぁ」


 ヒロ「何とか、走り出したからいいものの、あれは、何だよ!」


 ヒロ「気持ち悪い目がたくさんある泥みてぇなバケモンだったぞ!」


 ヒロ「ん? 今度は何だ」


 「ワン!」


 ヒロ「なんだよ犬かよ。おーよしよしよしよし」


 「ガブッ」


 ヒロ「痛てぇ!」

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