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何なのかわからない。アーカイブ  作者: 中松弘子
シーズン参
30/52

第二十七話 音



「マジで聞こえんのか?」


「マジだって。この時間になると聞こえてくんだよ」


「へぇー……」


 オンボロ木造アパートの一室で、二人の男が、体育座りをして談笑している。二人は何故か、土壁の前で横並びになって、壁の前で何かを待っている。


「でも、わくわくするな。こんな感じ久しぶりだわ」


 二人のうち、左側で体育座りをしている男が、目を輝かせて右側の男に喋りかける。


「お前も物好きだよなぁ。こんなしょうもないことを確認しに来るなんて」


「そりゃあそうだろ。だって、こんなこと滅多にないだろ」


 左側の男は、体育座りを崩し胡坐をかく。


「もうそろそろだな」


「いや、聞こえるかどうかわかんねぇぞ」


 その時だった。右側の男が、左側の男に顔を向けると、部屋の土壁から物音が、聞こえ始めた。


 ドンッ! ガンッ!


 それは、何かが壁にぶつかる音だった。それと同時に、か細い音が聞こえてくる。


「ん……あ……」


「きたあああああああ」


「おいバカ聞こえるって!」


 テンションが一気に上がった左側の男を、右側の男は静止する。物音はだんだん、激しくなってくる。


 ドンッ! ガンッ! ドンッ!


「ん……あ……んん……」


「やってるよ! なぁ、ガチでやってるよ!」


 左側の男は、テンションが上がりすぎて鼻息が荒くなっている。右側の男の両肩を掴んで、前後に揺らす。右側の男は、手をはねのける。


「だからうるせぇって!」


 瞬間、壁から聞こえていた物音が急に聞こえなくなる。突然、どこかのドアが開く音が聞こえる。


「やべ……バレちまっただろ!」


「へ?」


 左側の男は、口をあんぐりと開けている。右側の男は、そのまま踵を返し、部屋の玄関まで走っていく。ドアの覗き穴から、外の廊下を覗く。


 外の廊下には、誰もいない。


「……いないみたいだ」


「よかったぁ……」


 左側の男に状況を伝え、左側の男は安堵のため息をつく。右側の男は一応確認するため、そのままドアを開ける。


 ガチャッ


 開けたドアから顔を出した瞬間、右側の男の視界左側に黒い、何かが見える。


「え……?」


 思わず、右側の男はそれに目を向ける。縦長の黒い泥のような塊に、人間の目がたくさん、ついている。


「あ……ん……あ……」


 瞬間、たくさんの目玉が右側の男に集中する。男は瞬時に後ろに振り向き、左側の男を見つめる。


「あああああああ!」


 左側の男は、白目をむき、上をむいて口を開けている。


「逃げ……」


 瞬間、上を向いて胡坐をかいていた左側の男が消え、右側の男は唖然とし、そのまま佇む。


 背後に、黒い塊が迫っていた。


 ヒロ&アキト’s解説


 ヒロ「なんだよあれ!」


 ヒロ「あの女、マスク外したら口が血だらけだったぞ」


 ヒロ「それにあれ、頭の取れた人形じゃねぇじゃん!」


 ヒロ「それにしても走りすぎた……しんどい。ん……?」


 「あ……ん……ああ……」


 ヒロ「あああああああああ!」 

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