第二十七話 音
「マジで聞こえんのか?」
「マジだって。この時間になると聞こえてくんだよ」
「へぇー……」
オンボロ木造アパートの一室で、二人の男が、体育座りをして談笑している。二人は何故か、土壁の前で横並びになって、壁の前で何かを待っている。
「でも、わくわくするな。こんな感じ久しぶりだわ」
二人のうち、左側で体育座りをしている男が、目を輝かせて右側の男に喋りかける。
「お前も物好きだよなぁ。こんなしょうもないことを確認しに来るなんて」
「そりゃあそうだろ。だって、こんなこと滅多にないだろ」
左側の男は、体育座りを崩し胡坐をかく。
「もうそろそろだな」
「いや、聞こえるかどうかわかんねぇぞ」
その時だった。右側の男が、左側の男に顔を向けると、部屋の土壁から物音が、聞こえ始めた。
ドンッ! ガンッ!
それは、何かが壁にぶつかる音だった。それと同時に、か細い音が聞こえてくる。
「ん……あ……」
「きたあああああああ」
「おいバカ聞こえるって!」
テンションが一気に上がった左側の男を、右側の男は静止する。物音はだんだん、激しくなってくる。
ドンッ! ガンッ! ドンッ!
「ん……あ……んん……」
「やってるよ! なぁ、ガチでやってるよ!」
左側の男は、テンションが上がりすぎて鼻息が荒くなっている。右側の男の両肩を掴んで、前後に揺らす。右側の男は、手をはねのける。
「だからうるせぇって!」
瞬間、壁から聞こえていた物音が急に聞こえなくなる。突然、どこかのドアが開く音が聞こえる。
「やべ……バレちまっただろ!」
「へ?」
左側の男は、口をあんぐりと開けている。右側の男は、そのまま踵を返し、部屋の玄関まで走っていく。ドアの覗き穴から、外の廊下を覗く。
外の廊下には、誰もいない。
「……いないみたいだ」
「よかったぁ……」
左側の男に状況を伝え、左側の男は安堵のため息をつく。右側の男は一応確認するため、そのままドアを開ける。
ガチャッ
開けたドアから顔を出した瞬間、右側の男の視界左側に黒い、何かが見える。
「え……?」
思わず、右側の男はそれに目を向ける。縦長の黒い泥のような塊に、人間の目がたくさん、ついている。
「あ……ん……あ……」
瞬間、たくさんの目玉が右側の男に集中する。男は瞬時に後ろに振り向き、左側の男を見つめる。
「あああああああ!」
左側の男は、白目をむき、上をむいて口を開けている。
「逃げ……」
瞬間、上を向いて胡坐をかいていた左側の男が消え、右側の男は唖然とし、そのまま佇む。
背後に、黒い塊が迫っていた。
ヒロ&アキト’s解説
ヒロ「なんだよあれ!」
ヒロ「あの女、マスク外したら口が血だらけだったぞ」
ヒロ「それにあれ、頭の取れた人形じゃねぇじゃん!」
ヒロ「それにしても走りすぎた……しんどい。ん……?」
「あ……ん……ああ……」
ヒロ「あああああああああ!」




