第二十三話 後ろにいるのは
ある出版会社では、深夜だというのに、一台のFAXの前で、二人の男が、何かを待ち望んでいるかのように立っていた。
一人は、この出版会社の編集長で、もう一人は、新人の、編集員だ。
新人の編集員は、左隣にいる編集長の男に喋りかける。
「それにしてもこれ、どうするんですか?」
新人の編集員が言うこれとは、毎日同じ時間帯に送られてくる、一枚の、FAXのことだった。
毎日決まって深夜の0時頃、この出版会社のFAXに、一枚の、何かしらの物語が書かれたFAXが送られてくる。
それは、ある時期から届くようになっており、それから毎晩、同じ時刻に、出版会社に届くようになっていた。
その出版社では、ネット小説家が行方不明になったり、それを追っていたテレビ局の男と、担当編集員が行方不明になったりと、いろいろな問題が起こっていた。そして、その数日後、突然どこからか、FAXが送られてくるようになってしまっていた。
「とりあえず、全部このまま、ネットにあげとけ。こんなわけわからんもん、本にしても、誰も読まんだろう」
編集長の男は、新人の編集員に冷たく言い放つ。FAXに書かれている文章は、わけのわからない、物語のデキとしても相当ダメな、論外なものだった。ただ、なんとなく、気味の悪いことだけが伝わり、新人の編集員が、不定期に、ネットにあげることになっていた。新人の編集員は、編集長に尋ねる。
「これ、いったい何なんですかね? 物語だったり、暗号みたいなやつだったり」
「多分愉快犯かなんかなんだろう。気にせず、全部ネットにあげとけ」
「そうですか……」
新人編集員は俯く。すると、目の前のFAXが動き出す。
「おっ、今日も来ましたね」
そこには、「ある出版社では……」と書かれていた。
「お、何々? ある出版社では……」
新人の編集員が、FAXを読んでいく。
「何だ。何が書かれてあるんだ」
編集長が、新人の編集員に尋ねる。編集員の顔が何故か、青ざめている。
「……」
編集長は、新人の編集員の両手に握られているFAXを見る。すると、見る見るうちに顔が青ざめ、新人の編集員に、小さな声で尋ねだす。
「これ、本当か?」
「はい……」
恐る恐る、ゆっくりと後ろを向く。
「ああああああ!」
そこに、巨大な、あなたの顔があった。
ヒロ&アキト´s解説
ヒロ「このあなたの顔って誰?」
アキト「今この小説を読んでいるお前だよ」




