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何なのかわからない。アーカイブ  作者: 中松弘子
シーズン弐
26/52

第二十三話 後ろにいるのは



 ある出版会社では、深夜だというのに、一台のFAXの前で、二人の男が、何かを待ち望んでいるかのように立っていた。


 一人は、この出版会社の編集長で、もう一人は、新人の、編集員だ。


 新人の編集員は、左隣にいる編集長の男に喋りかける。


「それにしてもこれ、どうするんですか?」


 新人の編集員が言うこれとは、毎日同じ時間帯に送られてくる、一枚の、FAXのことだった。


 毎日決まって深夜の0時頃、この出版会社のFAXに、一枚の、何かしらの物語が書かれたFAXが送られてくる。


 それは、ある時期から届くようになっており、それから毎晩、同じ時刻に、出版会社に届くようになっていた。


 その出版社では、ネット小説家が行方不明になったり、それを追っていたテレビ局の男と、担当編集員が行方不明になったりと、いろいろな問題が起こっていた。そして、その数日後、突然どこからか、FAXが送られてくるようになってしまっていた。


「とりあえず、全部このまま、ネットにあげとけ。こんなわけわからんもん、本にしても、誰も読まんだろう」


 編集長の男は、新人の編集員に冷たく言い放つ。FAXに書かれている文章は、わけのわからない、物語のデキとしても相当ダメな、論外なものだった。ただ、なんとなく、気味の悪いことだけが伝わり、新人の編集員が、不定期に、ネットにあげることになっていた。新人の編集員は、編集長に尋ねる。


「これ、いったい何なんですかね? 物語だったり、暗号みたいなやつだったり」


「多分愉快犯かなんかなんだろう。気にせず、全部ネットにあげとけ」


「そうですか……」


 新人編集員は俯く。すると、目の前のFAXが動き出す。


「おっ、今日も来ましたね」


 そこには、「ある出版社では……」と書かれていた。


「お、何々? ある出版社では……」


 新人の編集員が、FAXを読んでいく。


「何だ。何が書かれてあるんだ」


 編集長が、新人の編集員に尋ねる。編集員の顔が何故か、青ざめている。


「……」


 編集長は、新人の編集員の両手に握られているFAXを見る。すると、見る見るうちに顔が青ざめ、新人の編集員に、小さな声で尋ねだす。


「これ、本当か?」


「はい……」


 恐る恐る、ゆっくりと後ろを向く。


「ああああああ!」


 そこに、巨大な、あなたの顔があった。


 ヒロ&アキト´s解説 


 ヒロ「このあなたの顔って誰?」


 アキト「今この小説を読んでいるお前だよ」

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