第二十一話 ポルガト
夜も深い静かな時間、ある交番所に、二人の男性警察官が勤務をしている。
一人は、若い男性警察官で、交番所内の、入口のドア付近にボーッと突っ立って佇んでいる。一人は、初老の男性警察官で、交番所内入口左端にある灰色のデスクで、書類を書いている。
入口付近にいる若い男性警察官が、ドアのガラス窓を見つめながら、初老の男性警察官に尋ねる。
「今日、静かですね」
「そうだな……」
その交番所は、周りを田んぼに囲まれた、とても、静かな場所に設置されている。しかし、今日は夏だというのに、いつもの、虫の鳴き声やカエルの鳴き声が聞こえてこない。
「静かすぎますね……」
若い男性警察官が、ガラス越しの、外の闇を見つめる。
ダンッ!
何かが、交番所の入口のドアに体当たりしてくる。慌てて若い男性警察官は後ろに下がり、初老の男性警察官は顔を上げる。
「なんだ!?」
ドン、ドンドンドンッ!
それは、必死にドアを叩いている。見ると、茶色い肌をした丸坊主の外国人っぽい見た目をした男が、交番所のドアを叩きながら何か、叫んでいる。
「ウリワガ、シャボグ、ジータス!」
男は、何かを叫びながら、必死にドアを叩き続けている。
「開けろ!」
初老の男性警察官が後ろに下がった若い男性警察官に命令をすると、若い男性警察官は、交番所の入口のドアに近寄って、ドアを横にずらす。すると、男は駆け足で交番所の中に入り、若い男性警察官の両腕を掴む。
「ポルガト! ポルガト!」
外国人っぽい男は、若い男性警察官に必死に叫んでいる。若い男性警察官は、その様子に驚き、ただやられるままに呆然とする。外国人っぽい男は、明らかに、錯乱している。
「ワッツワロング」
その様子に、初老の男性警察官が、デスクから立ち上がって英語で話す。
「ウリワガ、デボニス!」
外国人っぽい男は、若い男性警察官の両腕を放し、わからない言葉で初老の男性警察官にまくしたてる。初老の男性警察官は、デスクから立ち上がる。
「だめだ、英語が話せないようだ……とりあえず、翻訳機使うか」
初老の男性警察官は、若い男性警察官にそう言うと、制服の右胸ポケットから、黒い小さな四角の物体を取り出す。外国人っぽい男に近寄り、その物体を、男に向ける。
「ウリワガが死んだ……」
瞬時に、黒い四角の小さい物体から、機械音声の声が聞こえる。初老の男性警察官は、黒い四角の物体に尋ねる。
「ウリワガって誰ですか?」
初老の男性警察官の言葉が、外国人っぽい男の国の言葉に翻訳される。黒い四角の物体から、外国人っぽい男に向かい、機械音声が発せられる。
「ウリワガ、デバー、ジャラス」
「デルラ、カラカ」
「友達です」
男が何語かで再び話をし、それを再び黒い四角の物体が翻訳する。初老の男性警察官と外国人っぽい男は交互に、会話をし始めた。
「いったい、何があったんですか? 詳しく教えてください」
「私は、ウリワガと宿泊しているホテルに帰るところでした。そしたら突然、地面が揺れだしたんです」
「地面が揺れだした?」
初老の男性警察官は怪しむ。今まで、地震みたいな揺れを感じたことはなかった。
「はい。地面が揺れだしました。そしたら、あいつが急に現れたんです」
「あいつ?」
「ポルガト!」
外国人っぽい男はそう叫ぶと、発狂しながらその場でぐるぐると回りだす。
「お願いします! お願いします! お願いします! お願いします!」
黒い四角の物体が、回りながら叫んでいる男の叫びに反応する。すると、交番所の地面が突然揺れはじめ、すぐに止まる。
「なんだ?」
警察官二人とも、交互に顔を見合わす。外国人っぽい男が突然叫ぶ。
「ああ、来る! 来る! ああ! ああ! ああ! あああ!」
一気にドンッと、物凄い縦揺れが三人を襲う。三人とも、空中に体が浮いて、三人の顔が、交番所のドアのガラスのほうに向けられる。
ドアのガラス越しに、巨大な、黄色い一つの目玉が見える。巨大な何本もの白い歯の上に、巨大な、一つの目玉が浮かんでいる。
「ハハハハハハハ!」
ヒロ&アキト´s解説
ヒロ「最後の笑い声は誰が笑ったんだろう」
アキト「多分、黄色い目玉と何本も並んだ白い歯の持ち主じゃないか? 地面が揺れていたことから、かなり大きなものだと推測されるが」
ヒロ「よくわかんないね」




