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何なのかわからない。アーカイブ  作者: 中松弘子
シーズン弐
21/52

第十八話 ある旅館で起こった出来事



 私は、観光地巡りが趣味で、よく、各地にある観光地を巡っていました。


 そんな時に出会った、ある旅館のことについて今日はお話したいと思います。


 そこは、だいぶ山奥にある小さな旅館で、木造建ての、いかにも古めかしい見た目をした旅館でした。


 後でネットで調べたところ、どの旅行サイトにも、その旅館は載ってなかったと思います。


 そんな、小さな旅館なんですが、観光地にめちゃくちゃ近くて、それに、辺りに木々が生い茂って、めちゃくちゃいい感じに趣があるんです。


 こう厳かというか、大自然に囲まれているというか、そういう感じに凄い場所でした。


 それで、その旅館には、80代くらいの、これまた小さなおばあさんがいて、その方が、一人で旅館を経営しているんです。


 もちろん、小さな旅館ですので、部屋の数も少なく、私が泊まった部屋を含め、合計4部屋ぐらい、その旅館にはあったと思います。


 私は、その旅館に、直に泊まりに行ったのですが、中は俺一人しか宿泊客はいませんでした。


 まぁ、小さくて古い旅館ですし、どこの旅行サイトにも載っていないので、そんなもんだと思います。


 そんな、小さな旅館なんですが、私が、おばあさんから部屋の鍵を貰う時、おばあさんに、こう言われたんです。


「夜十一時以降、ちゃんと寝るようにしてくださいね」


 はじめ、何を言っているのかよくわかっていませんでした。まぁ気にせず、その部屋に私は向かいました。


 その部屋は、4畳半くらいの畳敷きの部屋で、奥に押入れがあり、その中に、寝具一式が入っていました。


 テレビや、小さな冷蔵庫みたいなものはなく、ただ、畳だけの部屋だったので、一瞬驚いたんですが、私の目的は観光地を巡ることなので、別に気になりませんでした。


 そうして、私はその部屋に宿泊し、三日間旅行を楽しみました。


 一日目は、近くの観光地を巡り、グルメを楽しみ、自然にも癒されて、ぐっすり眠りました。


 二日目は同じように、近くの観光地を巡り、グルメを楽しみ、自然に癒され、旅館の小さな温泉にも浸かり癒されました。


 そして、三日目の朝。


 その日は、目を開けると、部屋の中に聞こえるほどザーッという大きな外の雨音が聞こえていました。


 私は、観光地を巡ることができず、ずっと部屋の中で過ごすことになってしまったんです。


 その日は一日中、部屋中をうろうろと歩き回り、布団の上に寝転んだり、ただ、時が過ぎるのを待ち続けました。


 まだ幸い、旅館の小さなおばあさんが、私の部屋に、朝食、昼食、夕食を運んできてくれるので、そんなに苦ではありませんでした。


 しかし、大変だったのはここからでした。


 夜になり、日中降っていた大雨が止んで、いよいよ、就寝時間になったんです。


 しかし、日中部屋の中で寝たり、じっとしていたりしていた自分は、眠気がなく、布団に潜りながら、ずっと、寝ようと目を閉じていました。すると、


 ズズ……ズズ……


 と頭の上から、音が聞こえてきたんです。


 私は、部屋の入口に自分の頭が来るよう布団を敷いていたので、それが部屋の入口の外側、つまり、私の部屋の前の廊下から聞こえている事に気付きました。


 すると、スーッと入口の障子扉が横にスライドし、足音とともにさっきの、ズズ……ズズ……という音が、私が潜っている布団の横を通り抜けていくんです。


 ズズ…ズズ……


「……」


 ズズ……ズズ……


「……」


 どうやら、部屋に入ってきた何者かは、私の布団の周りを左回りにぐるぐる回りながら、何やら、小さな声で呟いているんです。


 ズズ…ズズ……


「……」

 

 私は、布団に潜りながら黙って耳を澄ましていました。


 ズズ…ズズ……


「……」


 突然音が止み、声が、はっきりと聞こえてきます。


「……起きてますかぁ」


 それは、どこかで聞いたしゃがれ声でした。それがずっと、ぶつぶつと、布団の中にいる私に尋ねながら、左回りに布団の周りを回っているんです。


 私は怖いので、その声には答えず、ずっと、黙ったまま布団の中に潜り続けていました。すると、その音と声は布団の右下辺り、アナログ時計でいえば5時の方向で立ち止まりました。


 私は、しばらくじっと我慢していました。しかし、どうしても、どうなっているのか気になってしまったんです。こっそり、潜っている布団から頭を出して、その方向を見ました。


 そこに、あの、旅館を経営している小さなおばあさんが、後ろ向きに立っていました。右手に短い鎌を持ち、部屋の天井に吊るされた蛍光灯のオレンジ色の光の中、何やらぶつぶつ呟きながら、後ろ向きに立っていたんです。


 怖くなった私は、そのまま恐る恐る布団の中に頭を戻し、じっと、おばあさんが部屋を出ていくのを待ちました。


 しばらく待ち続けていると、だんだんと眠くなっていき、私は、布団の中で、いつの間にか眠ってしまいました。


 それから気が付くと、いつの間にか朝になっていました。私は、その旅館を出ていきます。


 出ていく時、昨日の夜のことをおばあさんに尋ねようと思いましたが、何かされるかもしれないと思い、黙って、その旅館を出ました。


 未だに、あの夜起こったことは何だったのか、謎です。


 ヒロ&アキト´s解説


 ヒロ「すごく不気味。なんかよくわからないもやもやした話」


 アキト「実際にあったのか?」

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