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何なのかわからない。アーカイブ  作者: 中松弘子
シーズン弐
14/52

第十四話 カラス



 最近、私の自宅の前の道で毎日、カラスの死体が転がっている。


 私の自宅というのは、築五十年の二階建て木造アパートで、その二階にある自宅の玄関のドアを開けると、毎日、アパートの前の舗装された道路の上に、仰向けに、カラスの死体が転がっている。


 しかも、そのカラスの死体は、知らない間に毎日どこかに消え、そのまま、次の日になったらまた、カラスの死体が転がっている。


 一回気になって、仕事が休日の日に、自分で、調べてみたことがあったのだが、朝の五時頃、カラスが、カーカーと鳴きながら一羽だけ、アパートに向かって飛んできて、そのまま、アパートの前にある道路の上に落下した。


 それからしばらくの間見ていたのだが、カラスの死体が無くなるのは、よく、わからなかった。

 

 多分、途中眠っていたりもしていたので、その間に、猫か何かに運ばれて行ってしまったのかもしれない。


 そんな感じで、しばらく経ったある日、私の部屋の隣に、最近引っ越してきた五十過ぎの眼鏡をかけたおばさんが、私に引っ越しそばを届けながら、こんな話をしてくれた。


「ここは昔、神社か何かだったみたい。それの影響で、何か変なことが起こったりするのよ」


 だいぶ前から住んでいた私は、最近引っ越してきたおばさんからその話を聞いて、心底驚く。


「何で知ってるんですか?」


「ここのアパートの大家さんに引っ越した時言われたのよ」


 私は、ここに引っ越してきた時そんなこと、一言も言われていない。


「そうなんですか。それは知らなかったなぁ……」


 笑顔で愛想よくその場を済ませ、私は、玄関のドアを閉める。何かちょっと、腹が立ってくる。私は、今度大家を見かけた時、その話を大家にしてやろうと思った。


「ああ、その話ね。そうそう、ここは昔、神社があったんだけど、違う場所に移転したんだよね」


 大家はあっけらかんとして私の質問に答えている。私は、朝のゴミ出しの時に出会った大家に尋ねる。


「だから、変なことが起こるんですか?」


「変なこと? なんか起こったの?」


 私は大家に、カラスが毎朝、アパートの前の道路で死んでいることを説明する。


「ああ、そうね。そういやそんなの、見たことがあるよ」


 大家は、バーコードになった頭髪をなでながら、私に何回も笑顔で頷く。私は、その適当な態度に腹が煮えくり返る。もし、このアパートの住人達に何か変なことが起こったらどうするつもりなんだ。


 私は腹が立ったので、この事を、SNSに投稿しようと思う。今までのいきさつを全て文章にまとめ、何分割かにしてSNSに投稿しようとする。


 しかし、何故か、投稿ができない。何度もチャレンジしてみるのだが、投稿できない。それどころか、私のアカウントは、よくわからない理由で、削除されてしまう。


 私はとうとう嫌になってしまって、それに馬鹿らしくもなってしまって、そのまま、そのことを放置することにする。


 そして、それからしばらく経ったまたある日、私の部屋のチャイムが鳴り、玄関のドアを開けると、警察の制服に身を包んだ二人組が、ドアの前に、立っていた。


 それは、朝の出来事で、今から仕事に出勤しようと思っていた私は、ワイシャツ姿で出てしまっていた。


「○○さんですね。私たち、こういう者です」


 二人組の制服警官たちは、私に、警察手帳を見せてくる。


「何ですか?」


 警察手帳を見せられ、何も悪いことをしていないのに、少し緊張しながら、受け答えしてしまう。二人組の制服警官は尋ねる。


「いや、あのですね。ここら辺で、変なことが起こっていませんでしたか?」


「え……? 変なこと……」

 

 私は、困惑する。その時私は、カラスのことなどすっかり忘れていた。


「そうですか……それじゃあ、何もなかったんですね」


 制服警官の二人は、そのまま、私の玄関先から離れて、隣の眼鏡のおばさんのところに向かう。


 私は、玄関のドアを閉め、さっさと部屋のリビング、座椅子の上のスーツに手を伸ばす。すると、


 バンッ! バンバンッ!

 

 という大きな音が聞こえ、ドサッとものすごい音がどこかから聞こえてきた。


 私は驚いてしまい、スーツを着るのも忘れ、その場で困惑する。そしてそのまま、玄関を出ていく。


 隣の眼鏡のおばさんの部屋から、足早にさっきの二人組の制服警官が出てくる。


 その、制服警官たちは、私が開けた玄関のドアを避けてサッと走っていき、階段を降りて、アパート前のパトカーに乗って出ていく。


 私は、唖然としながら、隣の部屋のドアを見つめる。


 その部屋のドアが少しだけ開き、ドアの隙間から、何かがこちらを覗き込んでくる。


 真っ赤な、あの眼鏡のおばさんが、顔を横向きに、こちらを、見つめている。


 ヒロ&アキト´s解説


 アキト「これは禁足地だな」


 ヒロ「禁足地?」


 アキト「人間が立ち入ってはいけない場所だ。神社やお墓などの神聖な場所に、それを取り壊して建物を建てるとよくないことが起こるっていう話があるんだ」


 ヒロ「ただ、警察官の二人組は一体何なんだろうね」


 アキト「ひょっとすると、人為的なもんも関係してるのかもな」

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