第十一話 お化けが出る家
うちの家は、お化けがよく出る。
この前も、うちの母親が、死んだばあちゃんが廊下に立っていたと言っていた。
そのばあちゃんというのは、変わったばあちゃんで、よく、未来のことを言い当てていた。
俺が進路に迷っていた時も、
「トモヒロ、お前は○○大学に行きなさい」
「なんで?」
「なんでも! あそこは凄くいい大学だから」
その当時の俺は、そんな名門の大学に行けるほどの、学力はなかった。でも、実際にテストを受けてみると、あっさり受かり、その大学に行けるようになった。
そんなことがたびたびあった。次の総理大臣は誰々とか、何年の何月何日に家族で旅行に行くことになるとか、ほんと、些細なことをよく当てていた。
たぶん、神通力か何かあるんだと思う。だから、お化けになっても、この家に出てるんだろう。だってこの前も、俺の部屋に突然現れて、俺の机の上をじっと見ていた。
きっと、そうに違いない。
「トモヒロ、ちょっと来て」
母親の声が聞こえ、俺は、二階の自分の部屋から、一階にある居間に降りていく。居間で母親が、何故か、おめかしして黒い服を着てテレビを見ている。
「何だよ母ちゃん!」
「えっ!」
母親は、物凄く驚いている。
「お化け!」
「はっ?」
俺は、後ろを振り向く。すると、ばあちゃんが、笑顔で立っている。
「ばあちゃん、また化けて出てきたの?」
にっこり笑うばあちゃんは、俺をすり抜け、テレビをまじまじと見つめている。そして、すぐに消える。
相変わらず、テレビでは、お昼のワイドショーが流れている。内容は、現政権の批判。
「ばあちゃん、未だにワイドショーが好きなんだな……」
そんなことを言いながら、俺もテレビを見ている。すると、
「あんた、ここで何やってるの」
いつ着替えたのか、紺の服に水色のジーンズの、黄色いエプロンを着た母親が、赤いお盆を抱えて立っている。
「母ちゃん、いつ着替えたの?」
「はぁ?」
母親は、唖然としている。
「何寝ぼけたこと言ってんのよ。私はいつも、この格好でしょうが」
「そう言えばそうだな……と言うことは、さっきのは母ちゃんのお化けってことか! 通りで黒一色でおめかししてぼーっとテレビを見てたわけだ」
「誰がお化けよ!」
母親は、物凄い剣幕で俺に怒る。俺は、怒られるのが嫌なので、そそくさとその場から退散する。
まったく、お化けのやつには困ったもんだ。
ヒロ&アキト´s解説
ヒロ「これゾッとするよね」
アキト「幽霊の正体は、実際こういうことなのかもしれないな」
ヒロ「でも、おばあちゃんもすごいよね。それを理解して順応してて」
アキト「まぁな。ある程度年取るとどんなことが起こっても対応できるようになるんだろな」
ヒロ「すげぇ」




