第十話 振り向いたらダメ
「そこを通ると、突然、白い霧に包まれるんだって」
放課後の校庭。夕陽に照らされ、異常に濃いオレンジ色になった校庭の中で、十数人の小学生たちが、輪になって、サッカーボールを囲んで立っている。
「それで、その白い霧が現れたら、絶対に何があっても振り向いちゃいけないんだって」
「なんで?」
「わかんない」
十数人の輪の中、話をしている、真ん中のボールの真正面に立った少年が、首を横に振って対面にいる少年に答えている。対面の少年は、ため息をつく。
「なんだよ。わかんねぇのかよ」
そのまま、少年たちは、輪を散り散りに離れていく。真正面に立った少年は、皆に叫ぶ。
「だから気をつけろよー」
少年たちは、そのまま、散り散りに家に帰っていく。話をしていた少年の対面に立っていた少年も、家路へと帰っていく。
「……馬鹿馬鹿しい。何が白い霧だよ。そんなのあるわけないじゃん」
独り言を呟き、笑顔になる。その噂があるという場所は、ちょうどその、少年の帰り道の途中にある。
「ははは……馬鹿じゃねぇの」
歩きながら、笑顔で独り言を呟き続ける。内心、怖くなってきている。周りには、自分以外、誰もいない。
「そんな……白い霧なんて……」
辺りは急に、暗くなってくる。
「え……?」
白い霧が、あたりに立ち込める。
「いや、嘘だろ……」
次の日、学校に少年が登校すると、話をしていた少年のクラスに、真っ先に向かっていた。
「おい、昨日出たぞ!」
「え?」
登校してきた少年は、教室に入る。すぐに、話をしていた少年の机の前に走ってくる。少年は、話をしていた少年の机の上に、両手を勢いよく置く。
「白い霧だよ! それで俺、お前に言われた通り、振り向かずに歩いたんだ。そしたら、目の前に同じぐらいの背格好した男の子が歩いてて、そしたらその子が、俺のほうへ振り向いたんだ」
「うん……」
「それで俺、その子の顔見たんだけど、その子、俺にそっくりだったんだ。マジで。そしたら、その子、目の前で消えちゃったんだよ!」
「へぇ……」
話をしていた少年は、適当に相槌を打っている。すかさず、少年は怒る。
「は? お前何興味ない振りしてんだよ! お前が話してくれたんだろ!」
「え?」
話をしていた少年は少年に尋ね返す。
「いや昨日、俺や他の子に話してくれたじゃん。白い霧が立ち込めてきて振り向いたら何か起こるって……」
「ごめん、マジで知らない。てか、お前誰?」
少年は、唖然とした。
ヒロ&アキト´s解説
ヒロ「これ、前歩いてた自分が振り向いてるよね」
アキト「そうだな……それのせいでこいつは飛ばされちまったんだな」




