表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

第4話 有栖川 芹菜の場合


私、有栖川 芹菜は昔から選ばれた存在だと思ってる。産まれた時から可愛く、それは成長するにつれてどんどん増していった。

人々を魅了する顔、身体、声、全てが私に与えられていた。

外見だけでなく、コミュ力、演技力、頭の良さ、身体能力、全てにおいて秀でている私は、最早神に愛されていると思う。


だから私にとって周りの普通の人間はただのモブにしか見えなかった。




☆☆☆




私が初めて芸能界に足を踏み入れたのは4歳の時、子供ながら、優れた演技を見せ、そこに加え人から好かれる私を、テレビ側は放っておかなかった。


顔も収入も普通の両親は調子に乗って、私に沢山の仕事をさせた。未だに私が両親のどこを遺伝しているのかが分からない。不審に思った父親がDNA鑑定を受けたことがあったが、私はしっかりあの両親の子供だった。



小学校でも私は人気者だった。その時は出演したドラマが社会現象となって、みんなが私に近寄ってくる。


小学4年生の時、仕事が面倒で嫌になってしばらく芸能活動を辞めたことがある。少し辞めるって言っただけなのに両親からは猛反対されたけど、私が二度と仕事しないよって言ったらすぐに黙った。

両親の貯金の大半は私の仕事で稼いだお金が多い。自分たちが遊ぶお金と、2年生の妹に使うお金の為にも、私に辞められるのは困るのだろう。


私の妹は、私に似てすごく可愛いくて優しい妹だけど、身体が病弱なのであまり学校に行けてない。そんな妹を両親は溺愛している。私も大好きだけど。

きっと両親には子供が可愛くなってしまう遺伝子があるのだろう。でも妹以外に私が稼いだお金を使われるととてもイラつく。子供に稼がせたお金て遊んで恥ずかしくないのだろうか。

私には仕事を早くしろと言うくせに、自分たちは最近仕事をだらけている。母親は仕事を辞めまでした。




☆☆☆




中学1年生の三学期、私は仕事を再開した。理由は私に群がってくるモブ達が気持ち悪かったから。私とお近づきになりたい男子に、私に近づいて自分のカーストを上げたい女子はとても醜かった。あと両親が本気でうるさかったから。


でも前までしてた仕事を続けるのもあまり面白くないので私はアイドルを始めることにした。

アイドルにした理由は、簡単に売れない事と、可愛い衣装に興味があったから。事務所はそこら辺の小さい事務所にした。


私のユニットは3人グループで、新しく結成されたグループ。私以外の2人も、とっても可愛い子と美人な子なので仲良く出来そう。私の方が可愛いけどね。


新しいグループの名前はスターフューチャー。スターフューチャーのセンターはもちろん私。まぁ1番可愛くて、1番綺麗に踊れて、カラオケでは、ほとんど100点の1番歌が上手い私がセンターじゃなかったらおかしいけど。


スターフューチャーの衣装はいくつかあってどれも違う可愛さがある。こんな衣装があるなら、例え人気があまりでなくたって頑張っていける。それにとても仲良くなった同じグループの2人の為にも、私はスターフューチャーのリナとして、何年も頑張って人気グループになっていきたいと思った。



そんな思いと裏腹にスターフューチャーが人気になるまでに半年もかからなかった。元々私の知名度が少しあったのもあり、1年もしたら国民的なアイドルの地位まで簡単に登れてしまった。私が作った曲も海外でも大人気になるほどの人気も出た。出てしまった。




結局私にかかれば出来ない事なんてない。中学3年生になる頃には、私の内心はとても傲慢になってしまうほど、私の価値観はそう作られてしまってた。


私にかかればできないことなんてない。落とせない男なんて居ない。私を越えられる女子もいない。私以上の才能も、私から全国模試1位を取れる天才も、私より運動が得意な人もいない。こんな世の中で傲慢にならない方が無理。




そして私は高校生になった。選んだ高校は単純に家から1番近かった常磐高校にした。




高校生になって一番最初に思ったのは、またかって事だった。入試で1番成績の良かった私は入学式の挨拶を務めた。その時にモブから集まる視線。きっと高校でも何も変わらないと私は思っていた。




☆☆☆




1年生の時のクラスは3組。教室に足を踏み入れた瞬間にみんなが私に集まってくる。

集まってきた人にざっと目を通すけど、どれもモブばかりだった。


でも私のクラスにはあの陽凪川 朱里がいた。私ほどじゃないけど整った顔。豊満な胸。そして最近は女優として人気を集めて、どのテレビでも引っ張りだこになってる。MeTUBEでよく配信をしたりしてるけど、よく人が集まってるみたいだし。まぁ私ほどじゃないけど。


でも彼女となら仲良く出来そう。今も私の顔や地位目当てで群がって来るモブと違って、仲良く男子と話してるみたいだし。




☆☆☆




新しいクラスでの委員会決めの時間になった。最初に決めるのはあまり人気のない学級委員。男女に別れて話し合っている。

モブ女子達はこういう時は人気があるからという理由で私に面倒な委員会を押し付けてくる。今回も学級委員にさせられてしまった。性格を良く見せている私は断りにくい。


男子の学級委員はあまりぱっとしない印象のモブ。名前は日高 雅人。モブの名前は覚えたくないけど、1度名前を聞いたら覚えてしまうのが私だ。それに隣の席だし。



「えーと、有栖川さんだよね?よろしく」


「日高君だよね?これから頑張ろうね」


「えー。女子の学級委員、リナちゃんなの?俺が行けばよかったー」


「雅人!今からでも変わってやろうか?」


「うるせぇ響鬼。俺達が司会になったんだからさっさと他の委員会決めるぞ」



どうやら男子はもうほぼ全員が仲良くなったみたい。女子はみんなどのグループになるか決めてるんだろうな。私には勝手にモブ共が群がるんだけどね。




私の高校生活は中学校とあまり変わらなかった。告白はあまりにも数が多すぎるから基本無視してるし、ある程度、出席に気が利くのがこの常磐高校のいい所なので、わたしは学校を休んでアイドル活動を頻繁にしてる。



そもそもこの私立学校に私は多めの寄付をしてるし、人気がありすぎて不祥事を起こせない学校は私にほとんど逆らえない。だから私は結構自由に過ごせてる。



ただ1つ面倒なのは学級委員の仕事。放課後に窓の戸締りや日誌を書いたり机の整理等をしなくちゃいけないので面倒。日高との話し合いで、交互にやる事になったし。



あ、そうだ!学級委員の仕事なんて全部彼に押し付けちゃお。そっちの方が彼も私のために動けるからうれしいと思うし。




私は基本男子を見下してる。ほとんどの男子が私に一目惚れするし、アイドル活動を知ってる男子はみんな私に惚れてる。まぁスマホを持ってて私を知らない人なんていないと思うけど。

それにそんなに惚れてない男子も、私が少し話して優しくするだけで惚れるし。


さすがに彼女や妻がいるのに、私と少し話するだけで惚れるのはやめて欲しい。結婚してるのに、私に求婚された時は流石に引いた。こんな生物、見下さない方がおかしい


そんな私の経験からすれば、男子の方から仕事を手伝ってくれるし、少し困った振りをすれば率先して手伝ってくれる。手伝ってとお願いすればイチコロだ。




教室にはいつも自分の机でゲームをして少し帰るのが遅い日高くんの姿。私が見るといつも遅くまで残ってる。



「日高君!そのさ、私仕事が忙しくてさ、良かったら学級委員の仕事変わってくれないかな?」


「俺が有栖川さんの仕事を?」


「うん。そのお願い?」



日高君はこちらの目を見て少し黙る。まぁ本当は仕事なんてないけど。仕事があったら午前中には帰ってた。そんな事を知らない日高くんは私のために、口を開いて私に了承の返事を…



「絶対やだけど。なんで俺が面倒な事を」


「え?」



もしかして、このモブ野郎、好きな女子にはイタズラしたいタイプ?しょうがない。もっと可愛くお願いしよう。


私は彼の席に近づく。そして彼の手を私の両手で包み込む。そして男が好みそうな声と、上目遣いでもう一度お願いする。これを握手会でしたら絶対相手に惚れられる。



「お願いします。どうしても、ダメかな?」


「は?ダメに決まってんじゃん」


「え?」


「大体さ仕事多いから2人で分担してやってるわけでしょ?それを1人に押し付けるとか何考えてんの?」



彼は私を蔑んだ目で見てくる。生まれて初めて向けられる敵意に私は少し怯む。



「大体有栖川さんさ、仕事とか言う理由でよく学校いないよね。そんなに夜遅くまでアルバイトしてんの?そんな理由で休むなよ。ズル休みと変わんないし」


「え?そ、それはアイド」


「そもそも学校生活と両立出来ないならそんなアルバイト辞めたら?有栖川さんが休んだ日誰が学級委員の仕事してると思ってんの。分担の意味知ってる?


俺がこんな時間まで学校に残ってる理由は、有栖川さんがちゃんと仕事してるか確認してるからだよ。仕事してなかったら怒られるの俺なんだけど」


「そ、それは、ご、ごめんなさい」


「お金に困ってるならしょうがないし、俺も少しは力になりたい思うけど、有栖川さんそんな風じゃないよね?

とりあえず今日はちゃんと来てるんだから、ちゃんと仕事して帰ってね」


「はい…」



そう言って彼は荷物を持って教室を出て行った。

生まれて初めてされた説教に、私の中では怒りや、羞恥心、屈辱感など様々な感情が浮かんだ。


ていうか彼は私のことを知らないの?MeTUBEのチャンネル登録者は日本2位の2300万に大差をつけて、6200万人だし、ゲームをしてるならほとんどのゲームとコラボだってしてる。私はスマホ持ってら絶対1回は目に入るくらい有名なのに?


私をこんな気持ちにさせた日高 雅人。次話す時は絶対惚れさせてやる。




☆☆☆




でも彼と話すことは無かった。彼は隣の席だけど、私を見ると毎回嫌そうな顔をされる。私には皆の方から寄ってくるけど、私から人に寄って行ったことはほとんど無い。だからこういう時どうすればいいのか私には分からなかった。



そのまま彼と話したくても話せることなく、1ヶ月近く経っていた。


そして私はこの日の放課後、非常に焦ってた。


放課後にアイドルの仕事があるけど、学級委員の仕事のせいで絶対に遅れてしまう。日高君に言われて、できるだけ自分の仕事を放りださないようにスケジュールを調整してたのに。私一人ならいいけど、スターフューチャーのみんなには迷惑かけたくない。


他の男子や女子は部活か帰ってしまって、今は日高君しかいない。でも仕事を日高君にに任せるのも、今の私たちの関係なら無理だと思う。

それにアイドルの仕事も学級委員の仕事も、どっちの仕事をほったらかす事なんて出来ないし。


しょうがないけどアイドルの仕事先に遅れると電話を入れるしかない。皆に迷惑かけちゃうけど、無断で遅れたり、学級委員の仕事をせずにかえるよりはましだから。


私が電話をかけようとした時、日高君が席を立ってこっちに近づいてきた。



「はぁ。有栖川、仕事変わるよ」


「え?」


「今日はちゃんと仕事があって急いでるんだろ?別に俺だってちゃんと理由があるなら変わるから」



じゃあこの前のは嘘ってバレてたんだ。もしかしたら、最初から誠実な態度で接してたら、ここまで関係が拗れることは無かったのかも。



「ごめん。お願いしていいかな?今日の借りはちゃんと返すから」


「分かった。気をつけて行ってこいよ」





そして次の日の放課後。私は日高君に話しかけた。



「その、昨日はありがとね。おかげで仕事に間に合ったよ」


「良かった。これからも急いでるなら少しくらい変わってやるから」


「ありがとう。その今日の仕事は私がやるから」


「別に気にしなくていいぞ」


「ちゃんと借りは返さないとだめだし」


「あー、だったら今日と明日の仕事一緒にしてくれ。その方が早く終わるし、2回分お得だろ?」


「日高君がそれでいいなら分かった」



この時私は気づいてなかったけど、明日の仕事は私の担当だから、日高君は得なんかしてなかった。




☆☆☆




結局それからは2人で学級委員の仕事をするようになった。2人の方が早く終わるし、負担も少ないから。


2人で仕事をするようになって、私と日高君はとても仲良くなった。それに日高君は話してみるととても優しかった。

今日も2人で喋りながら日誌を書いてる。



「そのさ、有栖川ってもしかしてアイドルやってる?」


「え?今気づいたの!?」


「ちょっと前からもしかしてって思ってたんだけど」


「むしろよく今まで気づかなかったね?」


「実はさ、俺がスマホを持ち始めたのって中学からなんだけど、俺中学校の頃はさ、部活のバレーボールにすごく打ち込んでてさ、スマホとかrainしかしたこと無かったんだよね」



そいう理由で気づいてなかったんだ。でも普通は小さい時のテレビでも気づくけどね。あ、そうだ。



「日高君、rain交換しようよ」


「俺と?別にいいけど、あんま会話しないんじゃ?」


「いいじゃん。それに話題は私が出すからちゃんと返事してね」



そんな訳で日高君とrain交換をした。私のアカウントはプライベート用。このクラスだと数人の女子しか持ってないやつ。


日高君となら男子でも気兼ねなく会話出来ると思ったから、プライベート用でもいいかなって思っちゃった。



「あとさ、有栖川に1個謝りたくて」


「?なんのこと?」


「前にさ、仕事って理由で学校ズル休みしてるとか、辞めたらとか言っちゃってごめんね」


「あれは、知らなかったらそうなるし仕方ないよ」


「いやそれでも俺が悪かった。知らないのに口出ししたのは俺だし。

それに有栖川さんの動画見たんだけどさ、俺が思ってる以上に真剣で頑張ってると思ったからさ、軽く辞めろとか言うんじゃ無かった。ごめんね」



この時私は咄嗟に後ろを向いてしまった。彼に顔向け出来なかったから。


今までこんなこと言われたこと無かった。私の両親はもうお金と妹しか興味がなかった。男子は私の身体しか見てなかった。クラスの女子も私のカーストが目当ての人がほとんどだし、仲の良い女子も、私のアイドル活動なんて興味無かったみたい。

一緒に活動してるスターフューチャーの仲間は一緒に努力してるだけで、褒めあったりなんかしてなかった。


もちろん今まで凄いねとか、頑張ってとか言われたことはある。

でもここまで私の事を真剣に褒めてくれる人なんていなかったし、頑張っては応援であって褒めてくれてた訳じゃないから。

たった少しの言葉だったけど、私の胸は今まで感じた事のない、温かさを感じてた。



この日から私の彼の呼び方は、日高君から雅人に変わっていった。




☆☆☆




あれから私たちは2年生になった。2年生でも雅人と同じクラスになれた。2年生でも私たちは同じ学級委員だ。

今では私と雅人はとっても仲がいい。クラスでも1番。

異性の友達は初めてだし、仲良くしたいと思えるのは雅人だけ。


雅人はあれから私の応援をしてくれるようになった。それに、イベントがあったりした時に褒めてくれるのは雅人だけ。その時間は私の宝物になってた。



そんな雅人に私は隠してることがある。絶対にバレちゃいけない秘密。



あれは1年生の三学期のある放課後。私が職員室に用事があって少し学級委員委員の仕事遅れた時、急いで教室に戻ると机で寝ている雅人がいた。


私は隣である自分の席に座って可愛い雅人の寝顔を眺めてた。その時私の中に魔が差してしまった。私の視線は雅人の唇に向けられる。


私の心臓は今までにないくらい脈打っていた。今まで緊張なんてしたことが無かった私には、運動以外でこんなにもドキドキするのは初めての体験だった。

もちろんこの行為がいけないことだって分かってる。してしまったらそれはアイドルである自分とファンのみんなを、そしてスターフューチャーの仲間を裏切ることになる。それに雅人との友情をも裏切ってしまうかもしれない行為。


でもそう思えば思うほど、私の胸の高まりは収まることなく加速していく。裏切ってしまうと思えば思うほど、私はもう止まれなかった。




そして私は彼の唇を奪った。



その瞬間、彼の口から自分の口へと流れてくる気持ちよさ。そして今まで体験したことないくらいの全身を走る痺れのような甘い快楽に、私は腰を抜かしてしまった。


しばらく放心してしまう。最初のはキスによる気持ちよさ。そして後半の快楽、それはアイドルとして失格である、全てを裏切ったことによる背徳感からだった。



「あれ?俺寝てた?有栖川なんで床に座ってんの?」


「え?」



私が立てないで放心してる間に、雅人が起きちゃった。でも反応を見るにバレてないみたい。



「ううん。なんでもない」


「そう?じゃあさっさと仕事終わらせて早く帰るか」



やっぱり気づいてないみたい。あの事は絶対にバレないように秘密にしなきゃ。それに次はバレるかもしれない。今後はこういう事しないようにしなきゃ。




もちろん1回で終われる訳もなく、私は彼が偶に寝てるのを見つけると、我慢が出来なかった。連続でしてバレかけた事もあったけど、何とかはぐらかせてる。

今にして思えば、あの行為はオナニーを知らなかった私なりの自慰行為の代わりだったんだと思う。3大欲求には逆らえないのだ。



そんな日々が続いたある日、私はあるアプリを手に入れた。




☆☆☆




今日の昼休みは、同じクラスの男子に屋上に呼ばれている。要件は相手の態度から察するに多分告白。

普段私はできるだけこういうのは行かないようにしてる。ラブレターや他クラスの告白に全部応じたら、私の時間なんてあっという間に無くなっちゃうから。

でも今回は同じクラスだったし、直接言われたから行くことにした。あんまり断ると女子に面倒くさい態度を取られてしまうし。

モブのくせに私の貴重な時間を取らないで欲しい。


私が屋上への扉を開けると、私を呼び出した花輪君が待っていた。



「ありがとう。ちゃんと来てくれて」


「呼ばれちゃたしね。それで何の用かな?」



花輪 帝徳。顔はモブにしては整ってる。男性アイドルとしてデビューすればそれなりの人気はでるかも。今は確かテニス部の部長で県準優勝の実力だっけ?

それだけの実績で私に告白なんて考えないで欲しい。クラスの女子には人気があるみたいだけど、私に告白なんて、何回転生しても無駄なのに。それに告白2回目だし。



「リナちゃん。やっぱり俺、君のことが諦められなくてさ。もう一度チャンスをくれないか。今度のテニスの大会で優勝して俺が全国に行ったら、俺と付き合って欲しい」


「ごめんなさい。前もいったけど、私はアイドルだから、皆を裏切る真似なんか出来ないの」


「アイドルだから無理ってことだよね?じゃあ俺のためにアイドル卒業しない?卒業してたら皆も文句は言わないよ」



この猿は何を寝惚けた事を言ってるのかな?なんでこんな奴のために、私がアイドルを辞めやなきゃいけないの?頭おかしいのかな?



「ごめんね。私まだアイドルは続けたいから」


「そっか。わかったよ。今回は諦めるよ。

チッ!しょうがない」



今回だけじゃなく次回もその次も諦めて欲しい。それか次は雅人になって出直して欲しい。


てか今舌打ちされた?小さくて聞こえにくかったけど。勝手に告白しといてキレるとかどんな性格してるの?



「最後にさ、これ見てくれない?」


「なにこれ?」


「あれ?この前された時は効いたのに」


「効いた?効いたって何のこと」


「うるせぇ。こうなったらやってやる。

リナちゃん知ってる?この学校の屋上ってさいくつかあるけど、この場所は殆ど人が来ないんだよね」



知ってるも何も、そういう風にしてるのは私の指示だし。1人になりたい時に便利なんだよね。



「急に怒鳴ってどうしたの?それに、それがどうかしたの?」


「分からない?今から俺が何をしても誰にも分からないんだよ?叫んだって無駄だから」



そう言って少しずつ距離を詰めてくる。告白断られたからって襲ってくるとか有り得ない。



「リナちゃんが悪いんだよ?この俺の告白を2回も断るとかさ」


「だからって襲うんですか」


「ずっと前から狙ってたんだよね。恨むならその顔とおっきな胸を持った自分を恨めよ。それとも両親かな?」



こいつ、モブのくせに私を襲おうとするとか、自分の犯した罪が分かってないみたい。

私は殆ど距離が無くなって、今にも押し倒して来そうなこいつの股間を蹴りあげる。そしてそのまま背負い投げをして、地面に叩きつける。



「うがぁ。ゲホッゲホッ」


「帝徳君。私に勝てると思ったの?私生まれた時から身体能力が高いし、アイドルやってるから普段から動いてるんだよ。そこら辺の女子と一緒にしないでね」


「クソが!」


「それよりさ、さっきは何しようとしてたの?」


「別に何も」



私は帝徳の顔と足を踏みつける。



「イギィ!何すんだよ」


「お前はこれより酷いことしようとしてたよね?喋らないならもっと強くするよ」


「分かったから。最近流行ってた催眠アプリってやつを使おうとしてただけだ」


「催眠アプリ?そんなの本物だと思ってるの?」


「前やった時は使えたんだよ。自分で体験したから分かる。あれは本当にかかってた」


「ふーん。それで私に何させようとしてたの?」


「そんなの決まってんだろ?まずはリナちゃんを俺がぶち犯す。女は飽きたら捨てるけど、正直その身体と顔は一生飽きそうにないしな。

一通りヤッたら俺の仲間に共有してやってもいいな。リナちゃんのファンの目の前で犯すのもいいかも。それにリナちゃんの痴態を動画に撮って世間にばら撒くのも唆るかも。それに」


「もう分かったからその汚い口を閉じて」



雅人意外の男子ってみんなこんなこと考えるの?気持ち悪い。



「催眠で人を操って、人の嫌な事をするとか恥ずかしくないの?人として失格だね」


「誰だってこのアプリを持ったらそうなる。それよりこのアプリを譲るからさ、今回の事は誰にも言わないでくれよ」



こいつが言うには、どうやらこのアプリの数には限りがあるからもう手に入らないらしい。正直こいつの言ってる事は怪しいけど、正直に使おうとしたってことは、本当に催眠にかかった可能性もある。

雅人に1回使って遊んでみたいから貰っちゃおっかな?



「分かった。今回の事はだれにも言わない(・・・・)


「本当か?約束は守る。このアプリは譲るよ」



こうして私は催眠アプリを手に入れた。

花輪 帝徳はどうなったかって?なんか女子を脅してる動画が出回って、花輪の信頼も地位もどん底に落ちたらしい。そこから何故かあいつの今までの悪行も出てきて退学になったらしい。




☆☆☆




私はあの日の翌々日、雅人を殆ど人が来ない5階の資料室に呼び出した。

今から雅人に催眠をかけてみる。別に催眠をかけるためにわざわざ来てもらった訳じゃない。資料室に用事があるのは本当だし。

そんな事を考えてたら雅人がきたみたい。



「5階って本当に人がいないよな?センセイもあんまり行くなって注意してくるし。それで資料室に用って、なんか頼まれたの?」


「うん。明日の授業で使うから、明日までに資料室からこれを持ってきてって」


「これは随分な量の本だな。俺が多く運ぶから有栖川はこんくらいは頼むぞ」


「あ、その前にこれみてくれる?」


「ん?なんだこr」


「んん?本当に効いた?」



どうやら催眠アプリは本物みたい。雅人が微動だにしなくなった。でも催眠アプリを使ってどうしよう。


そうだ!催眠アプリを使って後押ししてもらおう。私と雅人は好き合ってるし、関係をもっと深めるためにも、催眠アプリには頑張ってもらおっかな?


雅人はこの前の休日に私とお出かけデートをしてくれたし、デートをするんだから私が好きな事は間違いないはず。

あとは注意書きに気をつけて催眠アプリを使っていって、雅人との仲を深めよう!


「じゃあ雅人いつも通り、私の事が(・・・・)大好きな(・・・・)雅人になって(・・・・・・)。そしたら雅人は、今すぐにでも私と恋人のような事をしたくてたまらなくなります。私もしたいから我慢しなくていいから」


「ん、あれ?有栖川?」



雅人の目に生気が戻る。雅人は私の目をみつめるとそのまま私に口付けをしてきた。



「んぐっ。ちゅぱ。まさとぉ♡」


初めて雅人の方から求められたキスに、脳が蕩けそうになる。体から幸せが溢れてくる。

キスはどんどん激しくなっていって、今度は雅人に舌をいれられる。それに私も応えるように舌を絡める。


しばらく互いの口を貪りあってたら、雅人が私の制服の中に手を入れてくる。



「ま、まさとぉ?」



雅人の手は私の胸に辿り着くと、優しく私の胸を揉み出す。

その瞬間私の体に電気のように走る気持ちよさ。これはあの時、初めてキスして背徳感を得た時と似てる。



「ねぇ、もしかして有栖川…芹菜ってこういうことしたことない?」


「えへへ。名前呼んでくれた。自分でこういうことするのはちょっと怖くてした事ないな」



初めて名前で呼んでくれて嬉しくなる。私のことを芹菜って呼ぶのは、雅人だけかな?


雅人の左手は胸を揉むのを辞めて何かを探り出す。右手は私の下腹部に伸びていく。

左手が私の突起を見つけると、一気に其れをいじり出す。右手は私の下の突起をいじめる。



「な、なにこれぇ。な、なんか来ちゃう。だ、だめぇーー」



初めての感覚に私は数秒ほど気を失ってしまった。雅人は床に倒れそうになった私を支えて、私の下の制服を脱がしだす。


私が気付いた時にはもう私の恥ずかしいところはさらけだされてた。



「芹菜。もう我慢できない。いいよね?」


「う、うん。雅人だったらいいよ?」



そして私は学校の資料室で、赤い花を散らした。




☆☆☆




あれから私は学校に来る日の度に雅人と交わった。昼休みは資料室で。放課後は学校のあらゆる所で。


それにいくつか分かったことがある。

1つは催眠について。私は催眠してない時にも記憶を思い出せなくなるという催眠にはかかってることに気づいた。だから私は少し暗示をかけてみることにした。

雅人に特定のハンドサインをすると、資料室に行って私とセックスしたくなるように。結果は大成功で催眠をかけてなくても、雅人は資料室に来た。改めて催眠で記憶を消す必要はあるけど。

これが有ればいつ催眠アプリが消えても大丈になった。


そして誰もいなくなった2つ目。それは私のこと。

どうやら私は背徳感を感じることが大好きらしい。背徳感を感じれば感じるほど、セックスのときでは感じれない気持ちよさを得られる。それをセックス中に感じれば、気持ちよさは数倍にもなる。

だから今日も



「あっ、あっ、気持ちいぃ」


「芹菜は本当にこういうのが好きだな」


「そ、そうだよ。こんなの体験したら、あん、もう戻れないよぉ」



今私は教室の机でしてる。それもクラスメイトの机で。



「さっきも言ったけど、雛ちゃんは実は雅人の事大好きなんだよ?そんな人の机でする気持ちはどう?」


「さいっこう!」



私はよく女子から相談を受けてる。雛ちゃんは大人しくて、結構顔もかわいい。クラスの隠れた美少女みたいな?

でも実は雅人のことが大好きみたい。よくストーカー紛いの事をしてしまうって悩んでるみたい。意外と雅人はクラスの女子にモテてるみたい。


そしてそんな友達を裏切りながら、その友達の机でするセックスは本当に気持ちいい。ファンだけでなくスターフューチャーの仲間も、友達も裏切って得られる背徳感は、私にとてつもない気持ちよさをくれる。



「でも、雅人だけは裏切らないから。これからもずっと一緒だよ?結婚だってするんだから」


「うっ。そんなこと言われたらもう我慢できない」


「いいよ。中に全部出して?」



こうして私と雅人の愛はどんどん深まっていく。アイドルなんか辞めて、ずっと雅人のお嫁さんになる事を夢見て、私は今日も教室の友達の机の上で果てた。


有栖川こんな性格になった7.8割は親が原因だと思います

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ