第1話 最近の違和感
最近俺の身体がおかしい。ところ構わず発情してしまうのだ。俺はどちらかというと性欲は薄い方だと思っていたが違うのかもしれない。
それとも彼女いない歴=年齢なことに俺の体が危機感を覚えてるのかもしれない。
それに最近疲れが溜まってきてる気がする。最近は早く寝てるんだけどな。
いつからこうなったっけ?確か催眠アプリが流行りだした時だったかな?
☆☆☆
アラームの音をを止めて俺は目覚める。
いい朝だ。目覚めも良いし。それにしても俺の息子は元気な状態だ。生理現象だし、朝発情するのはいいがこの後の生活に支障をきたすのは辞めてくれ。
それにしてもなんか身体が疲れてるような。目覚めも良いしキリッと起きれてるんだけど、疲れが取れてないみたいだ。
1階に降りると俺の妹である日高 鈴音が朝食を食べてた。
妹と言っても俺こと日高 雅人と鈴音は実際に血は繋がっていない。
鈴音は俺が5歳のころに親の再婚でやってきた一個下の少女だった。
鈴音の祖父は外国人の血をひいてるとかで、鈴音は初めて会った時から、綺麗な銀の髪と透き通るような碧眼を持っていた。クォーターって言うんだっけ?
今では学校では知らない人はいないほどの美少女になってしまった。
そんな鈴音と俺はちっさい頃から仲が良かった。ただ鈴音が中学生になったあたりからだんだんと反抗的になってきた。俺が高校2年生になった今でもそれは続いてる。まぁ反抗的とは言ってもプリン分けてくれるしそこまで大きなものじゃないけどな。
「鈴音、おはよう」
「おにぃ!……ちゃんおはよう。朝からそんな寝癖立ててたら遅刻するよ。恥ずかしいのは私なんだからね」
「すぐ直すから大丈夫だよ。それより今おにぃって言った?」
「言ってない!私もう行くから!」
昔はおにぃおにぃっていっつも俺に懐いてたのに。可愛い妹はどこに行ったのか。まぁ今も可愛いんだけどね。
それよりまただ。俺の息子がズボンの下から主張してくる。今まで鈴音を性的な目で見たことなんて1度も…少ししかなかったのに、今では毎日鈴音を見るだけで反応してしまう。
こんなのが鈴音にバレたらいよいよ軽蔑されてしまう。絶対バレないようにしないと。
☆☆☆
「おはよう朱里。今日は、っていうか最近一緒に登校できる日は毎日早いよな?」
「おはよう雅人。最近は寝るのが早くなったからかな?」
「仕事が忙しくて疲れてるんじゃ。大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ。心配してくれてありがとうね!それに原因は心当たりがあるし」
「俺に手伝えることがあったら何時でも言ってくれ。幼馴染として力になるからな」
俺がここで待ち合わせしてたのは、俺の幼馴染である陽凪川 朱里。彼女は今では亡くなってしまった俺のお母さんと、朱里のお母さんがとても仲が良く、その子供である俺たちは0歳からの付き合いである。
俺たちは高校に入っても別に仲が悪くなることは無く今でも普通に遊んだりする。
だがそんな朱里だが、高校に入ってからモデル事務所にスカウトされたらしく、2年たった今では朱里の綺麗な茶色の髪と美貌が合わさって大人気になってしまった。
そのせいで朝一緒に登校してる時は周りの視線が痛い。
今も俺達の周りでは女子は羨望、男子は憎しみの籠った目で俺達を見てくる。
まぁ2年もこうだったから流石に慣れたけどな。
「それでね、モデルの知り合いの雪斗君がイケメンで、それに凄く優しかったんだよ」
「そうなのか。やっぱイケメンは性格もいいのかな?」
朱里の話はモデルのことが多い。ただ俺以外の男、それもイケメンの話を朱里の口から聞くとちょっと複雑な気持ちになる。
別に朱里のことは好きじゃないと思うけど、こうなんと言うか、幼馴染が付き合うとかってなったらなんか複雑な気持ちになるってことだろう。
「えっと、それでね」
「なぁ朱里」
「ん?どうかしたの?」
「いや、なんか最近距離が近くなったかなって思って」
「え!?そ、そんなことないんじゃな、ないかな?」
「そうか?」
いや明らかに近いと思うぞ。前は人1人分位の間隔はあったと思うけど、今じゃほとんど肩が触れ合ってる。
そんな距離で歩いていたからか、朱里の指と俺の指が少し触れ合ってしまう。
それだけで俺の息子が凄い元気になってしまった。
おかしい!俺はこんな童貞みたいな反応しなかったはずだ。いや童貞なんだけど。
前は別に朱里と風呂にだって入ってたし、普通に手だって繋いでたぞ。それなのにこんなに息子が反応してしまうなんて。
ただ今のポジションからして周りからはバレないはず。いやバレないでくれ頼むマジで。
☆☆☆
教室に着いた俺は自分の席に座ってスマホをいじる。教室はまだあんまり人がいないしな。
朱里は別のクラスなので靴箱の前でさよならをしている。
「おー雅人。はよー」
「あれ?響鬼?お前なんで今日はこんなに早いんだよ」
彼は俺の小学校からの友達である滝川 響鬼だ。
「お前はいつも早いけどな。俺が今日早い理由知りたい?」
「んー、別にいいや」
「仕方ない、じゃあ教えてやるよ。実はなこのアプリについての研究が終わったんだ」
「話聞けよ。そのアプリって確か、ちょっと前に流行った催眠アプリとかいうやつだったよな。まだあったんだ」
「その通り。先着100名だったし今じゃ結構アンストされてほとんど存在してないけどな」
この催眠アプリは一時期男子の間で流行ったインチキアプリである。急にアプリのダウンロードサイトに現れたのと、先着100名という触れ込みから本物じゃね?とクラスで話題になった。
ただインチキアプリと言ったように全く効果はなかったけどな。
「お前は確か知り合いから譲ってもらったんだっけ?」
「ああ、譲渡はできるらしいからな。みんなほとんどアンストしててもう手に入らないかと思ってたけどあいつが持ってて助かったよ」
「で?解析してたって?普通に偽物だったんじゃ無かったのかよ」
「俺達の使い方が間違ってたかもしれなかっただろ?だからちょっとコードを調べてみたんだよ」
こいつのエロに対する熱意は少し尊敬する。それをもっと勉強に向けてくれたら、俺は響鬼自体を尊敬できるんだけどな。
「で、どうだった?」
「お前もなんだかんだ気になってんじゃん。まぁ特に何もなかったんだけどな」
「なんだよ」
「っていうかコードが滅茶苦茶でよくアプリ自体が起動してると思ったよ。
唯一読み取れたのは最初にスマホの情報とかカメラとかを起動させるコードだけだったな」
「え?それ大丈夫なのか?情報抜かれてるんじゃ」
「いやあのアプリからどこかに送信するコードはなかったから大丈夫。っていうかオフラインのアプリだったし」
じゃあ催眠アプリはただの偽物だっただけなのか。それを1晩かけて調べたかよ
「そんなことより、今日はリナちゃんが来るらしいぞ」
「自分の1晩の努力をそんなことって言ってて悲しくないのか?」
響鬼さっき言っていた人物とは、リナちゃんこと有栖川 芹菜。彼女は国民的アイドルであるスターフューチャーの不動のセンター。そのピンクの髪と圧倒的な可愛さから、ファンの人気をほとんど集めている。
今ではどこのテレビ番組でも引っ張りだこでテレビをつければ必ず見られるほど人気である。
その有栖川であるが、俺たちが通っているこの常磐高校に通っている。響鬼は同じ高校と知った時は発狂してたな。
そして有栖川はなんと俺の席の隣である。それも1年の時から。その縁もあり普通に友達だ。
まぁ中学の時に部活に打ち込みすぎた俺はテレビなどあまり見ておらず、最初は全く誰か分かっていなかったけど。
今では帰宅部だし普通にテレビも見るので流石に知っている。同じ高校ということもあって俺も応援してる。
「今日は1日いるのかな?頼むから午前で帰らないでくれ」
「仕事も忙しいしきついんじゃないか?」
「くっそ!せっかく同じクラスなのにまだ全然仲良くなれてないのに」
それはお前が有栖川が来た時にいつも逃げてるからだろ。まぁ去年同じクラスじゃなかったから喋りづらいのかも。
「っていうかお前はいいよな。1年の時から席も隣だし。席替えもないし。それにあの朱里様とも幼馴染だし!」
「席に関しては仕方ないだろ。まぁ朱里のことは俺も思うけど」
そんな話をしていたら扉が勢いよく開かれた。噂をすればなんとやらだ。
「みんなー。おっはよー」
「あ、リナちゃん!今日は学校これる日なんだね!」
「うん!久しぶりだね。それに今日は1日中入れるから」
「やったー。いっぱいお喋りしようね!」
「そうだね!みんなも今日はいっぱい話そうね!」
彼女の元ではクラスのほとんどの女子が集まり大きな円を作っている。それに嫌がること無く話すのが有栖川のコミュ力を表している。
あと5分で朝礼ということで彼女達は話を切り上げ自分たちの席に戻って行った。
彼女も窓際の1番後である俺の隣の席に座って、俺に挨拶をしてきた。
「おはよー雅人」
「おはよう。久しぶりだな有栖川」
「うん。久しぶり!元気にしてた?」
「ああ。お前も仕事のし過ぎで疲れてないか?」
「あはは。少しね。でも大丈夫。私にはとっておきの癒しがあるから」
「へー。多忙な有栖川でも癒せる事か。ちょっと興味あるな」
「残念ながら雅人には教えられません」
「なんだよそれー。俺たち友達だろ?」
「友達でもダメなものはダメです。教えてあげたいけど、ちょっと雅人には無理なの」
そういう言われ方をすると余計に気になるな。
俺と有栖川は割と仲の良い友達である。最初の方はあまり仲良くなかったんだが、いつからか結構仲良くなっていた。連絡先だって交換してるし、頻繁に連絡をとっている。
まぁ今日のことは知らなかったけど。
それにしても響鬼は前を向いてこちらに耳を傾けている。ピクピク動いてるから分かりやすい。お前が話せないのはそういうとこだぞ。
「まぁそういうのがあるなら良かった。あんまり無理すんなよ」
「心配してくれるの?優しいじゃん」
「昔はアレだったけど。今はちゃんと応援してるしな」
「嬉しいな。真正面からそう言われるとちょっと照れるな」
「言われ慣れてるだろうに」
「友達から言われるのは別だよ。特に君には」
有栖川が照れるのでこっちもちょっと照れてしまう。
「あ、そうだ」
「どうした」
「大したことじゃないんだけどさ、私の右手をちょっと見てほしいの」
「??別にいいけど」
有栖川はこっちに右手の手のひら開いた状態で見せてくる。そのまま親指を閉じて、次に中指を閉じる。そしてそのまま薬指を…
「おーい。大丈夫?もう先生来るよ?」
「は!あれ?俺今何してた?」
「別に、ぼーっとしてたかな?」
「なんかちょっと記憶飛んでる。つかれてるのかな?」
「私を心配しといて自分が疲れてたらダメじゃん」
彼女がそう言ったタイミングで先生がやってきたので前を向く。
やっぱり疲れとれてないのかなー?
☆☆☆
昼休みになった。
午前中は特に何も無く、休み時間には響鬼や有栖川と話をしたりしてただけ。
「雅人、学食行こうぜ」
「悪い。今日は用事があって」
「そうなのか?じゃあ別のやつ誘ってくる」
用事があるので誘いはことわっておく。用事が…用事?用事って何だっけ?
俺に用事なんてあったっけ?それも貴重な昼休みなんかに。まぁとりあえず資料室に向かわなきゃな。考えるのはその後でもいいわけだし。
☆☆☆
あれ?俺今まで何してたんだっけ?
「急にぼーっとして、どうかしたの?」
目の前には作り物と思うくらい整った可愛さの有栖川。あれ?なんで俺の前に?それにここは屋上前の階段?5階には資料室とか教材室しかなくて普段は来ないはず?
「大丈夫?さっきまでは普通に私と昼ご飯を食べてたのに」
「あ、ああ。大丈夫だよ。何の話してたっけ?」
「大丈夫じゃないじゃん。私の次のイベントの話だよ」
そうだった。さっきまで俺と有栖川は一緒に昼飯を食べてたんだった。やっぱ疲れが取れてなかったんだろうな。今日はゲームも短めにして早く眠ろう。
「次は大きなイベントだからちゃんと応援してね」
「俺は実際に行って直接応援できる訳じゃないけど、友達としていつも応援してるからな」
「ありがとう!雅人のそういうとこ大好きだよ!」
ここが人通りの少ないところで良かった。今の台詞を他の人に聞かれたら壮大に勘違いされるに決まってる。それに照れた俺の表情とか見られたくないしな。
「もうすぐ昼休みも終わるし行こっか」
「うん。早く戻らないと勘違いされちゃうしね」
「もしそうなったら本当にやばいからな」
昼休みもゆっくり過ごせたことだしさっさと帰っとくか。もちろん別々で。
あれ?そういえば俺昼飯に何食べたんだっけ?
長くなりすぎたんで5話くらいの連載にします