短編大喜利「サーカスの公演中に一言も喋らないピエロが喋った言葉とは?」
僕の小さい時は簡単に言うと飽きっぽいどこにでもいる子だった。
◯ンパンマン、◯関車トーマス、戦隊ヒーローに仮面ライダ◯と少年が好きになる物をとりあえず好きになり、通り過ぎた。
そんな普通の僕はある日、サーカスに出会った。
とは言っても、家族でサーカスを観に行っただけなのだがそこで僕はこう思った
「サーカスに入って空中ブランコをしたい」
高校2年生の時、進路相談で母親と先生の前で小学生の時と同じ思いをぶちまけた。
「サーカスに入って空中ブランコをしたい」
2人ともピンとはいきていなかったが、高校卒業した後に日本で有名なサーカスの見習いになれたのはラッキーだった。
サーカスには入ったものの、いきなり空中ブランコをできるほど甘くはない。
入ってまずしたことは、先輩の手伝い、チケットのもぎり、テントの設営の補助、道具の整備、猛獣たちへの餌やり・・・等々
簡単に言えば、雑用だ。
それが終わり、やっと練習ができるのが夜22時だが、サーカスの練習が楽しくてジャグリングやバク転、ナイフ投げや玉乗り何でも挑戦した。何でもそれなりに出来た。
あくまで、、、それなりだ。
だからなのか、僕の初舞台はピエロだった。
ただ、ピエロだったとは言ったがピエロも当たり前だがものすごく難しい、失敗して笑いが起こったりもするがあくまで狙った失敗がだ。
ずっと失敗ばかりしていたら冷めてしまう、なので色々な能力がそれなりにいる。
ともあれ、緊張の初舞台、
恥ずかしかったが両親を呼んだ。
母親は「緊張して失敗しなさんなよ!母さんが恥かくわ」
と言ったがあいにく失敗はする。ピエロだからだ。やはりあまりピンときてはないらしい
迎えた当日、新米ピエロなので先輩ピエロのセギノールさんと同じステージに立った。
まず、見せ場はセギノールさん(本名:仲井まさお)が15m先からリンゴを1個ずつ僕(ピエロ名:ボラギノール)に投げていき、リンゴ10個ジャグリングをすると言うもので、10個完成した後にそのリンゴをセギノールさんが1個2個食べてバランスを崩して僕が転ぶというものだ。
会場は笑いに包まれた。
学生時代に描いたサーカスの初舞台とは違ったかもしれないが嬉しかった。
ただ、笑ってくれた会場の中で1人だけ、泣きながら僕のピエロとしての失敗を本気で恥ずかしそうに見てる女性がいた、母だ。
その姿を見て、急に自分まで恥ずかしくなりつい言ってしまった・・・
「違うんだ、母さん」
喋ってしまった・・・・・
ピエロなのに喋ってしまった・・・
その刹那、
その滑稽さとあまり見たことない急に普通に話した道化に対して笑いが起こった。
笑いが起こり、さらに母は顔を赤くして俯いたが、逆にその笑い声が認められてピエロとしてのステージの日々が始まった。
「母さん、ありがとう」
後日息子として喋った。
すると、やっと母は笑ってくれた・・・
大喜利答え 「違うんだ、母さん」