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殿下は堅物

 

「殿下、今日はどの様なご用件で?」

「君の記憶力には呆れるね。今は婚約者と過ごすお茶の時間だ」

「……そうでした。申し訳ありません何分忙しくて」

「そんなのは言い訳だ、時間は作るものだ。それが出来ないのは君の計画性がないからだろ?」


 殿下は私のスケジュールをご存知なのかしら?


 聖女として働くミーシャに休む時間なんかない。その為、この殿下とのお茶も無理に作っているのだ。

 しかも殿下の仕事はまだまだ始まったばかり、そんなに書類はないので溜める事がない限りは午前中で終わる。毎日分刻みに動いているミーシャとは天と地の差がある。


 それを知らない殿下はミーシャが毎日忙しなく動いているのを見ていない……いや、見る事が出来ない程ミーシャがひとつの所に留まる事かないのだ。


 しかし、婚約者としてお茶の時間を過ごそうとするのは殿下の良い点と言えるだろう。


 メイドがお茶を出し後ろに下がる。


「さて、最近はどうだ?」

「そうですね、最近は少し遠い地域の方の奉仕活動に行っております」

「ふむ」

「そこで怪我を治した幼い女の子から、お礼にお花を頂きました」

「そうか、私は……」


 報告会みたいなお茶会が終わり、すぐ様ミーシャは神殿に行き祈りを捧げる。この時間が一番心が安らぐ。



「今日もこの国を見守って頂きありがとうございます」

『ミーシャは本当に熱心だね』

『それがミーシャの良いところでしょ!』

『……腹減った』


 ふわふわと私の周りを飛ぶ精霊達にくすっと笑いながらお菓子をあげる。精霊達はご飯を食べなくても生きていけるけど、美味しい物は好きなので定期的にあげているのだ。


『そうだ、ミーシャ! 私たちこの後、精霊界に行ってくるね』

「精霊界?」

『うん、精霊王のシャルディア様から呼ばれたんだよ』

「シャルディア様!?」

『シャルディア様を知らねーのか?』

「そんな訳ないでしょ!!」


 シャルディア様っていったら初代聖女の精霊とされている精霊王じゃない!


「な、なんでシャルディア様の所に?」

『僕たちは聖女がどんな事をしているのかを報告するのもお仕事なんだよ』

『そうそう! 他にも聖女に対して人間がどんな風に接しているのかも知らせているの!』

『何代か前には聖女の力を私利私欲の為に使い、冷遇していた事もあったからな』

「そう……なんだ」


 確かに聖女の中には酷い扱いを受けた人もいて、その時は精霊達が怒り国に大災害が起こったと記されていた。それ以来、聖女への対応が見直される事になったそうだ。


「そうだよね。私ももしかしたらそうなっていたかも知れないものね」

『大丈夫、ミーシャは僕たちが護るよ』

『うん! だってあたし達ミーシャの事か大好きだから!』

『くれるお菓子も美味いしな』

「ちょっと! チョコはお菓子だけ!?」





 ※





 この日、ミーシャは陛下に呼ばれていた。


「忙しいのに呼び出してすまないな」

「いえ、陛下からの命とあればいつでも参上致します」

「ミーシャ嬢の報告は受けておる。この国の為に良くやってくれている様だな」

「勿体ないお言葉です」

「今日は話があってな、そなたももう15になり成人となるであろう? 今度の夜会ではそなたも成人者として参加し、その際に聖女の力を皆に見せてはくれないだろうか」

「畏まりました」

「エスコートはヘンリーに任せておる」


 まぁ、仮にも婚約者ですしね。


「よろしく頼む」


 謁見が終わり、廊下を歩きながら考える。


(今日は少し時間がある為中庭にでも行こうかしら。ドレスの事も考えたいし……)


 この国の貴族の成人は王宮で祝いの夜会を催される。成人する令嬢は、白のドレスと決まっていて普通は婚約者が贈ってくれるのだが白のドレスだけは違う。一生に一度しかないその日だけは主役となる為自由に決める事が出来る。


(あんまり派手だったり露出が多いと殿下は煩いしな)


 ヘンリー殿下は周りからの目をかなり気にする為、私が少しでも露出しているとすぐ指摘してくる。


(この前なんてちょっと肩が出ているドレスを着ていただけで言ってきたし。どんだけ堅物なのよ)


 でも特別な日ぐらい好きにしたい。……うん。気にしないで着たいものを着よう! 正直、殿下の反応はどうでもいいのよ! 令嬢の楽しみを潰すのは殿下であっても許されない! とミーシャは心の中で決め、どんなドレスにするか考えたのだった。







殿下がどんどん嫌な奴になってきてしまってどうしようって焦ります。

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