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第21話 初クエストの後

敵を倒してアイテムドロップは良いですね。

 レベルが22から24になりました。


 さすがオーク10人より強いと言われたジェネラルオークなだけはある。まさかレベルが一気に2つも上がるとは思わなかった。


「えっ? こんなに?」

「どうしたんだエリカ」

「先輩⋯⋯私レベルが4つも上がってしまいました」


 エリカ達は元々レベルが高くなかったからな。たぶんアイリちゃんとノエルンも同じくらいレベルが上がっているだろう。


「それと⋯⋯」


 エリカはシステムをオープンにして皆が見れるようログを掲示する。


 疾風の弓を手に入れた。

 ジェネラルオークの毛皮を手に入れた。

 15金貨手に入れた。

 レベルが12から16になりました。


「金貨が15枚も⋯⋯どうすれば」


 1番ダメージを与えた者にドロップアイテムが手に入る。今回ジェネラルオークのHPを最も減らしたのはエリカだったみたいで、あまりの金貨の多さに困惑しているようだ。


「とりあえず金貨は山分けにして、素材はこのままエリカが持ってて。後弓はノエルンにどうかな?」

「そうですね。私が弓を持っていても何も出来ませんから」


 エリカはアイテムボックスから疾風の弓を取り出す。


「ノエルさんどうぞ」

「私がもらってもいいのかな」


 ノエルンはエリカから差し出された弓を受けとるか迷っている。


「良いんだよ。せっかくの武器を眠らせるのはもったいないだろ?」

「そう⋯⋯だね。今度は私がエリっちの武器を手に入れてみせるから」


 そう言ってノエルンは弓を受け取る。


 まあ同じパーティーだから使えるものは使って有効活用しないとね。

 これが臨時のパーティーだったりするとドロップ品で誰がもらうか揉めたり、下手をすると嘘をついて自分の物にしたりするらしい。

 だからノエルンが初めに言っていたように、パーティーは信用できる人と組まないと報酬で揉める。

 とは言っても俺はサラとリョウ以外と魔物討伐に行ったことがないからあくまで聞いた話だけど。


 そして俺達は今回得た報酬を確認する。


 疾風の弓

 ジェネラルオークの毛皮

 オークの槍5個

 オークの弓3本

 金貨15枚

 銀貨250枚


 さらに依頼達成したことで金貨3枚手に入る予定だ。

 それぞれに手渡す報酬については、街に戻って素材売ってから検討することにした。

 そしてレベルが俺とサラ、リョウは2つ上がり、アイリちゃん、エリカ、ノエルンは4つ上がった。


 俺達はアストルムの街に戻るため、洞窟の外へと歩き始める。

 すると最後尾にいた俺の所に、アイリちゃんとエリカがスピードを緩めて並んで歩いてきた。


「お兄さん⋯⋯今日はすみませんでした」

「私達が恐怖で動けなくなったなったばかりに⋯⋯ご迷惑おかけしました」


 2人はシュンとして表情が暗い。

 ジェネラルオークの追撃を受けたとき、足がすくんで動けなくなってしまったことか。


「ジェネラルオークは本来レベル30以上で戦う魔物だからしょうがないよ」

「でも⋯⋯」


 アイリちゃんは優しさからか、エリカはプライドの高さからか2人は俺の言葉に納得いってないようだ。


「俺も昔ゴブリンにビビって動けなくなったことがあってさ。その時の俺と比べたら2人は大したもんだよ。それに最後はジェネラルオークを倒したんだから」


 本当にそう思う。16歳の少女がジェネラルオークに立ち向かうだけでも勇気ある行動だ。


「お兄さんにもそのような時が⋯⋯」

「先輩はふてぶてしく見えますから信じられませんね」


 ふてぶてしく見えるって⋯⋯エリカは俺を何だと思っているんだ。


「本当だよ。ゴブリン相手に一歩も動けなかった。だから2人も気にするな。後謝られるよりありがとうって言ってくれた方が嬉しいな」


 謝るとどうしても気持ちが沈んでしまう。感謝の言葉を口にした方が人は前向きになれるというものだ。


「お兄さん⋯⋯助けて頂きありがとうございます」

「先輩⋯⋯助けてくれてありがとう」


 そしてそのお礼が美少女の笑顔だからこんなに嬉しいことはない。

 それとアイリちゃんもエリカも感謝の言葉を口にしたせいかさっきより表情が明るくなっていた。



「なあ⋯⋯今日は新人歓迎会とパーティーの初クエストお疲れ様ってことでこの後みんなで食べに行かね?」


 先頭を歩いていたリョウが、アストルムの街まで後数百メートルという所で俺達の方を振り向き、食事に行かないかと誘ってくる。


「俺はいいぞ」


 リョウにしては良い意見じゃないか。


「よし! じゃあ俺達先にリストランテに行って席を取ってくるわ。それでいいか?」


 確かにあの店は混んでいるから先に席取りをした方がいいかもしれない。


「私はいいわよ」

「私もこの間お兄さんとお店に行ってとても美味しかったからもう一度行ってみたいです」

「自分が働いている所に行くのは少し恥ずかしいですが、私も問題ないです」

「アストルムにもリストランテってあるんだ。私行ってみた~い」


 女性陣もリョウの意見に好意的で反対する者は誰もいない。


「じゃあ行ってくるぜ」


 俺はリョウに背中を押されて女性陣より一足速くリストランテへと向かうのであった。



 女性陣side


 サラ達は走っていくトウヤとリョウを見送りながら、自分達もリストランテへと足を向ける。


「みんなスカイ・セイスの初クエストどうだった? これから上手くやって行けそう?」


 サラはエリカ達に向かって問いかける。


「もちろんですよ! サラ先輩がいるだけで、例え他に変態男がいてもそれは最高のパーティーになるんです!」


 エリカが感激した様子でサラの質問に答えた。


「私もエリカとパーティーが組めて嬉しいわ」

「サ、サラ先輩⋯⋯」


 サラの言葉にエリカは天国に昇りそうなほど至福の表情を浮かべている。


「皆さん良い人ですし⋯⋯私もサラお姉さん達のパーティーに入れて嬉しいです」

「私もよアイリちゃん」

「ただ⋯⋯」


 アイリの表情が突然暗くなる。


「今日はお兄さんに迷惑をかけてしまい⋯⋯」


 トウヤに励まされたとはいえ、アイリの中には足がすくんで動けなかったことがまだ頭に残っていた。


「私もサラお姉さんやノエルお姉さんみたいにいざというときに動けるようにならないと⋯⋯」

「私は⋯⋯ほら。一応魔物討伐の経験が豊富だから」


 サラはリョウやトウヤと日頃から魔物と戦っているため、よほどの状況ではない限り、取り乱すことはない。


「私は⋯⋯サラっちみたいに経験はないけど。今日死ぬかもって思った時、妹と弟の顔が思い浮かんでね。そうしたら自然と足が動いたよ」

「そうね。劣勢の時大事な人を思い浮かべるのはいいかもしれないわ。アイリちゃんは⋯⋯例えば好きな人とかいないのか?」


 サラがニヤニヤした顔でアイリに近づいてくる。


「わ、私は! その⋯⋯」


 嘘をつけないアイリの反応で3人は、好きな人がいると確信した。


「アイリちゃんの好きな人はどんな人かな? まさか身近にいたりして」


 サラの的を得た言葉に、アイリの心臓はドキンと大きく高鳴る。


「え、えっと⋯⋯そ、そういえばお兄さんも昔ゴブリンで足がすくんでしまったと言ってました! それは本当ですか⁉️」


 アイリは3人から好きな人の追求を逃れるため、逆にサラに質問することにした。


「ひょっとしてあいつから聞いたの?」

「はい」

「今日私とアイリさんが恐怖で足がすくんで動けなかったことを謝罪したら、自分も昔ゴブリン相手に1歩も動くことが出来なかったと」


 2人の話しを聞いて、先程までお茶らけていたサラの表情が真面目なものへと変わる。


「確かにあいつはゴブリン相手に1歩も動くことが出来なかったわ」

「本当だったんですね。もしかしたら私達を励ますための作り話かと思ってました。先輩は少しふてぶてしい所がありますから少し意外です」


 ふてぶてしいか⋯⋯確かにエリカの言うとおりだ。けどそれ以上にトウヤには良いところがあることをサラは知っている。


「でもそれってお兄さんが何歳くらいの時ですか?」


 アイリちゃんから鋭い質問が飛んできた。別にトウヤに口止めされてるわけじゃないし言ってもいいかな。

 それに⋯⋯()()()()()()()あいつの株を上げといてやるか。


「5歳の時」

「「「5歳⁉️」」」


 3人は思っていたより年齢が低すぎて、サラの言葉に驚愕する。


「確かにトウヤ先輩は昔と言っていましたけど⋯⋯」

「魔物に襲われて動けないのは仕方ないですね」


 エリカとアイリの言うとおり、5歳児なら魔物に襲われて動けないのは普通のことだが⋯⋯。


「ううん⋯⋯トウヤは動けなかったわけじゃないの。動かなかったのよ」

「サラ先輩それってどういう⋯⋯」


 サラの言葉にエリカは意味がわからず聞き返す。


「⋯⋯後ろに私がいたから」

「サラ先輩が⁉️」

「本当はゴブリンに襲われたのは私で、トウヤは私を護るために飛び出してくれたの。私が動けないのを見て、トウヤも動かなかった。幸い大人がすぐに来て大事に至らなかったけど傍目から見たら確かにトウヤは動けなかった⋯⋯という風に捉えられるかもね」


 エリカとアイリは、私達の時とは全然状況が違うじゃないという考えが頭を過ったが、それ以上に5歳児のトウヤが身を呈してサラを護ったことに尊敬の念を覚えた。


「お兄さんはやっぱり昔からお兄さんですね」

「ふ、ふん。まあサラ先輩を護ってくれたことに対して少しは褒めて上げてもいいかもしれませんね」

「トウヤっちはすごいね」


 ふふ⋯⋯私に感謝しなさいよ。これであいつも彼女ができるかな? トウヤに彼女か⋯⋯。


 サラはこの時トウヤが他の女の子に認められて嬉しくもあったが、なぜか憂いの表情浮かべていた。


「さあ、今日は新メンバーの歓迎会だからいっぱい食べましょ」


 しかしそのことを忘れるかのようにサラは大きな声を上げ、女性陣を連れてリストランテに向かうのであった。

ここまで読んで頂きありがとうございます。もし少しでも面白い、続きを読んでも良いと思って頂けましたらブックマークや評価をもらえると更新の励みになります。

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