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第19話 スカイ・セイスVSオーク

リーダーになったからには存在感を出したいです。

 俺達はジェネラルオークを倒す準備が整ったので、洞窟の最深部へと向かった。

 先程偵察した時に確認したが、洞窟の奥は高さ30メートル、縦横50メートルの広々とした空間になっている。


 オークはまだ俺達に気付いていない。


 俺は後ろにいる皆に頷くと遠距離攻撃ができるメンバーは一斉に攻撃を仕掛ける。


炎の矢魔法(ファイヤーアロー)

聖十字架魔法(ホーリークロス)

雷光矢魔法(ライトニングアロー)

「アローレイン」


 俺の10数本の炎の矢が、アイリちゃんの十字架の光が、エリカの20本くらいの雷の矢が、そしてノエルンの無数の矢がオークに降り注ぐ。


「グォォォッ!」


 オーク達は奇襲の攻撃だったこともあり、こちらの攻撃をまともに食らって洞窟内に悲痛の叫び声がこだまする。

 今の攻撃でオークが3体HPが0になり消滅する。そして大部分のオークは軽症ながらもダメージを負っていた。


「よし! このまま一気に畳み掛けるぞ!」


 俺達は再度遠距離攻撃を仕掛けようとするが、ボスであるジェネラルオークが仲間を殺られたことで激怒したのかこちらに突進してきた。


 速い!


 身長が3メートルほどあるため一歩一歩の歩幅が大きく、こちらに来るスピードが半端ない。

 このままだと2撃目を放つ前に接近されるかもしれない。

 しかもオークのHPのゲージは4個だが、ジェネラルオークのHPのゲージは10個ある。防御力もオークより高いと思われるから、相当ダメージを与えないと倒せそうにない。


 ジェネラルオークは俺達の方に接近し、右手に持った槍で俺の体を目掛けて突き刺してくる。


 ガッ!


 だが俺の前にリョウが割って入り、大楯でジェネラルオークの槍を受け止める。


「3分な! 3分だけこいつを引き受けるからオークは任せたぞ!」

「ああ! 頼んだぞリョウ!」


 そしてリョウは1人洞窟の端へと走っていくとジェネラルオークも続いててリョウの後を付いていく。


「えっ? 何でジェネラルオークは変態男の方に行くの?」


 初めの第一印象が良くなかったのか、リョウはエリカに変態男と呼ばれていた。


「リョウは人を怒らせる天才だから⋯⋯というのは冗談でスキルで敵を引き付けているんだよ」


 スキル挑発⋯⋯敵を自分に引き付けることができる。ただし他の者が挑発を受けた敵を攻撃するとその効力は切れる。


 リョウがいるといないではパーティーの生存率が段違いだ。敵を引き付けてくれるということもあるが⋯⋯いや今はそんなことを考えるよりオークを倒していかなければ。


 そして後衛組の2回目の攻撃が放たれる。


炎の矢魔法(ファイヤーアロー)

聖十字架魔法(ホーリークロス)

雷光矢魔法(ライトニングアロー)

「アローレイン」


 先程と同じ3匹のオークを始末したが、距離を詰められてしまったため、俺は魔法ではなく剣を抜き迎撃に備える。


「ここからはオークを倒すことより生き残ることを優先してくれ」

「「「はい」」」


 初めの魔法で3匹、そして今3匹倒して残りのオークは()()()()


 オークが俺達の遠距離攻撃に気を取られている間に、サラが既に5匹のオークを始末していた。


 サラも頼りになるなあ。あれだけ速く動けると体が追いつかない気がするけどサラは的確にオークの急所を突いて倒している。


 あれ? そう考えると元いたパーティーであまり役に立ってないのって俺だけ?

 まずい。仮にもリーダーとしてそんな情けない姿をアイリちゃん達に見せる訳にはいかない。


 オークの群れがこちらに向かってくる。


「3人は群の後方を攻撃してくれ! 前方の敵は俺がやる。イグニッション!」


 俺は身体強化魔法を使って力やスピードをアップさせる。


「ソニックスラッシュ」


 まずはスキルで風の刃を撃ち出し、一番前にいるオークを斬り刻んだ。

 この時3人の魔法と矢が発動し、オークの群れの陣形かき乱すと同時に2匹のオークを始末する。


 俺は仲間が倒されたことで浮き足だった隙を見逃さない。オークの群れの前方に飛び込みスキルを発動する。


(はやて)斬り」


 一呼吸の間に3連撃を放ち、2匹のオークHPを0にした。


 後4匹だ!


 残りのオークは前に出た俺をターゲットにしたようで、一斉に襲いかかってくる。


 4匹を1度に相手をするのはさすがにきついぞ。


光弾魔法(シャイニングブリット)


 しかしオークが俺の所に来ることはなかった。

 アイリちゃんが手に持っているワンドから無数の光の弾が発射され、オークを牽制してくれている。


「今だ! (はやて)斬り」


 俺は高速の剣で3匹のオークを斬り刻む。そして残りの1匹がオノを上段から振り下ろして来たが、俺の頭に当たる前にノエルンの矢がオークのこめかみに突き刺さっていた。



 辺りを見渡すとリョウが変わらずジェネラルオークを引き付けてくれており、俺達の方に来なかったオーク6匹はサラが始末していた。


 後はジェネラルオークのみ。


 リョウの方に視線を向けるとひぃっ! 死ぬ! と言いつつジェネラルオークの攻撃をかわしたり、大楯で防いでダメージを食らわないようにしている。


 もし俺が1人でジェネラルオークの相手をしたら30秒も持たないだろう。調子に乗るから言いたくないが、改めてリョウは本当にすごい奴だとわかった。


「このまま私が倒しちゃおうかしら」


 サラが作戦を無視して1人ジェネラルオークへと向かう。


「無茶だ! やめろサラ!」


 サラのスピードならジェネラルオークの攻撃をかわすことができると思うが、もし万が一攻撃を食らってしまったら一撃で死ぬかもしれない。


「1回だけ⋯⋯ちょっとレイピアの先っちょでつくだけだから」


 サラはわざとなのかエロい感じで攻撃許可を求めてくる。


 ああもう⋯⋯サラは戦闘でたまにこっちの言うことを聞かないから困る。それにもし今ダメだと言ってもやめる気などサラサラないだろう。サラだけに。


「1回だけだぞ!」


 それなら気持ち良く送り出してやった方がサラのモチベーションも高まるだろう。


「ありがとう! 愛してるわトウヤ」

「嘘つけ!」


 俺はサラの戯れ言を軽く流す。


「行くわよ!」


 サラのスピードがさらに1段階上がり、ジェネラルオークの前で大きくジャンプする。


「食らいなさい! ペネトレイト!」


 サラのレイピアが輝きを放ち、一点集中でジェネラルオークの胸を突き刺すとHPが減っていく。


 だが減ったのは半ゲージほどでジェネラルオークのHPはまだ9.5ゲージほど残っていた。


「今日の所はこれくらいにしてあげるわ」

「やっぱりダメじゃないか!」


 サラは負け惜しみを言うがジェネラルオークは目の前にいる獲物を逃がしてくれない。


 まずい! サラは今ジェネラルオークの胸を攻撃したため宙に浮いているため体勢が悪い。このままだと槍で串刺しにされてしまう。


 残念ながら俺の予想どおり、ジェネラルオークは右手に持っている槍を宙に浮いているサラを目掛けて突き刺してきた。


 殺られる!


 しかし宙に浮いていたサラはリョウに体当たりされ、ジェネラルオークから距離を取ることができた。

 そしてリョウは大楯でジェネラルオークの攻撃を受け止めようとしたが、足場がないため後方に10メートルほど吹き飛ばされる。


 リョウは大丈夫か⁉️


 だが俺の心配は杞憂に終わり、リョウは直ぐ様立ち上がる。


「ありがとうリョウ」

「サラ惚れ直したか?」

「それはないから安心して」

「ひでえよ。トウヤには愛してるって言ってたのに」


 どうやら軽口を叩いているみたいだから2人とも大丈夫のようだ。


「サラ! 後は俺の指示に従ってもらうぞ」

「わかってるわよ」


 わかってないから言っている。


 俺達は初めに決めた作戦通りジェネラルオークに背を向ける。

 そしてこの場から逃げ出した。

ここまで読んで頂きありがとうございます。もし少しでも面白い、続きを読んでも良いと思って頂けましたらブックマークや評価をもらえると更新の励みになります。

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