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第17話 新規メンバーの実力

新しい仲間が入ると心沸き立ちます。

 俺達はオーク討伐の依頼を受けアストルムの街を東に向かい街道に沿って歩く。


「そういえばノエルンはオークに襲われてトウヤに助けてもらったのよね?」

「そ、そうだけど⋯⋯」


 ノエルンはお漏らししたことが頭を過ったのか声がどもっている。


「今までこの辺りにオークなんかいなかったからその洞窟にいる奴らが襲って来たのかも」

「そうだね」


 サラの質問がお漏らしのことじゃなくてノエルンが安堵している様子が手に取るようにわかる。


「アイリさんってもしかしたら私と同じ年ですか?」

「私は今16歳です」

「やっばり同じね⋯⋯仲良くしましょう」

「はい」


 そしてエリカとアイリちゃんは何やら楽しそうに会話を始める。


「何かいいな⋯⋯こういうの」

「だな」


 俺はリョウの言葉に素直に同意する。


 美少女達が語らう姿を間近で見る。これこそ至福の時というやつだろう。

 今までは俺とリョウとサラの3人だったからどうしてもこう色気づいた感じではなかった。

 サラも黙っていれば可愛いが中身がな⋯⋯。

 それが今はこんなに華やいだパーティーになっている。


「それで本当に何回リセラマしてこんな美少女達を集めたんだ?」

「初回だ!」


 俺はドヤ顔で返事をする。


「マジか! それで実際はどうやって知り合った?」

「アイリちゃんは俺の親戚でエリカはサラの紹介、ノエルンはお前がデートで狩りに来なかった日にオークにおそわれてた所を助けて知り合った」

「それって半分俺のおかげじゃね?」


 確かに美少女のパンツ丸見えお漏らしを見る機会なんて一生に一度あるかないかだ。だがそれがリョウのおかげというのはちょっと違うな。


「しっ! どうやら話しはここまでのようだ」


 リョウが突然俺達に対して静かにするよう注意を促して来たので木の陰に隠れる。そして前方に視線を向けると数匹の魔物がいることがわかった。


「あれは⋯⋯オーク2匹とゴブリン5匹だね」


 ノエルンが確信持った言葉で魔物の数と種類を言い当てる。


「よく魔物の判別ができるな。少なくともここから200~300メートル近く離れているだろ?」

「私、眼だけは自信があるんだよね」


 それは頼もしい。ノエルンはパーティーメンバーに1人は欲しい存在だな。敵の位置が早くわかれば奇襲をかけることかけられる時もすぐに対処することができる。


 オークは強敵だがまあこのメンツなら余裕だろう。そしてゴブリンは人型の魔物の中では最弱の部類に入るが、負けると男は殺され、女は繁殖のため巣に連れて行かれてしまうので油断は禁物だ。


 だが⋯⋯。


「よし! あの魔物はアイリちゃん、ノエルン、エリカで倒してみようか」

「「「えぇぇっ!」」」


 3人が驚きの声を上げる。今の声で魔物に気づかれてないよな?


 良かった⋯⋯魔物は先ほどと変わらず辺りをウロウロと徘徊している。


「そんなに驚くことかな?」

「驚くよ! 私はオークのせいでおしっ⋯⋯ううん何でもない」


 ノエルンは危うく漏らしたことを皆の前で暴露するところだった。


「私も不安です。先輩達がいらっしゃるならまだしも⋯⋯」


 エリカが少し俯き弱気な表情を見せる。


「ステータスだけじゃなく3人がどれくらい戦えるか知っておきたい」


 能力がいくら高くても実戦で戦えないやつもいるしな。


「甘いことを言うな。分断されて3人だけで戦わなくちゃならない時もあるかもしれないから、つねに最悪の事態を想定することも大切だぞ」

「わ、わかりました」


 エリカは俺の言ったことに不安を覚えながらも了承する。


「お兄さん⋯⋯私なんかがオークと戦うことができるでしょうか。ノエルさんとエリカさんの足を引っ張ってしまいそうで⋯⋯」


 アイリちゃんは実戦経験が少ないのか、それとも2人との連携が不安なのか自信がなさそうだ。


「大丈夫⋯⋯ピンチの時は俺が必ず助けるから。アイリちゃんは自分の持てる力を発揮してがんばって」

「本当ですか? お兄さんがいてくれるなら安心です」


 アイリちゃんは心配事がなくなったのかニコッと笑顔を見せてくれた。


「ちょっと先輩! 私に言ってることとアイリさんに言ってることが全然違うんですけど」

「そうか?」

「そうですよ! 私には甘いことを言うなって言っておきながらアイリさんにはピンチの時は俺が助けるからって何ですか? 差別ですか?」

「差別じゃない区別だ」


 だってアイリちゃんのことは母さんに頼まれているし、何より護って上げたいオーラが出てるんだよぉ。


「私にだって少しは優しくしてくれてもいいじゃないですか⋯⋯」


 エリカは小さい声で呟いたのかもしれないが、俺にはハッキリとその言葉が聞こえた。


 いつもツンツンしてるのに、そんな甘えたようなことを言われてしまうと可愛いじゃないか。


「エリカ」

「何ですか?」

「何かあったら必ず護るから⋯⋯だから全力でかんばってこい」

「は、はい! 任せて下さい!」


 エリカは意気込みながらロッドを片手にオーク達の方へと向かう。


「あれ? これって私だけ何も言われてない!」


 ノエルンが目を細めながらジト目で俺の方に視線を送ってくる。


 えっ? 何? リーダーって皆に声をかけなきゃいけないの?


 俺はサラに視線を向けると顎でやれとジェスチャーをされた。


 さっきから平静を装っているけど励ますのもけっこう恥ずかしいんだぞ。


「ノエルン」

「なになに?」


 ノエルンの目はいかにも何か私にも言ってくれるんでしょと期待に満ちた眼差しだった。


「この前と同じ様に何かあったら俺が助ける。安心して魔物と戦ってくれ」

「ありがと⋯⋯私がんばるね」


 こうして3人は戦闘の打ち合わせをして、隠れながらオーク達の元へと向かって行った。


 パーティーメンバーが上手く戦えるよう声かけをしなきゃいけないなんて⋯⋯リーダーも大変なんだな。


 俺は少しだけリーダーを引き受けたことを後悔した。



 アイリちゃん達3人は木や草に隠れながら、オーク達へと少しずつ近づいていく。

 3人とも中、遠距離攻撃がメインなので、接近戦では戦わないはず。


「もう一気に近づいていて倒しちゃえば良いのに」


 サラが無茶な作戦を提案してくる。


「それよりいざというときは2人とも頼むぞ」

「任せなさい。私のスピードであっという間に敵を倒して見せるわ」


 サラの移動速度は驚異的なスピードなので頼りになる。


「美少女のピンチを助ける⋯⋯萌える展開だな」


 リョウのもえるがどんな意味か気になるが、護ることに関してはリョウほど頼りになる奴はいない。


 そしてアイリちゃん達はいつの間にかオーク達まで後100メートル程の所に迫っていた。

 オーク2匹はオノを、ゴブリン5匹は剣と背中に弓を背負っている。


 まず攻撃を仕掛けたのはノエルンだった。


「ストレートアロー!」


 ノエルンは弓を構えスキルを言葉にして矢を放つと一直線にオーク達の所へと向かう。


 この距離で当てられるのか⁉️


 矢は見事に一匹のオークの左肩へと突き刺さる。


「グォォォッ!」


 オークはノエルンの攻撃を受け、辺りに響き渡るような叫び声を上げる。

 矢を受けたオークは致命傷にはならなかったが、腕から血が流れ、左腕を再起不能にしたようだ。


「やるじゃない。この距離を当てられるなんて相当腕がいいわよ」


 サラのいうとおり、伊達にDEXが高いわけじゃないな。


 オーク達は攻撃を受けたことによってノエルン達の位置を把握し、全力で駆けてくる。


「ストレートアロー!」


 ノエルンは再度矢を放つと無傷のオークの腹部へと命中させるが、オーク達は矢の攻撃に怯むことなく一直線に突っ込んでくる。

 そして追加でノエルンが矢を放っていることに気づき、オーク達は木を遮蔽物にしながらこちらへと向かっていた。


 まずいなこれは。接近されたら3人は不利だ。

 これはアイリちゃん達の近くに行って、いつでもオークを倒せる位置に移動した方がいいかもしれない。


 俺は3人がいる所へ向かおうと行動を起こした時、オークは手に持っているオノをぶん投げてきた。


 まずい! アイリちゃんとノエルンは大丈夫かもしれないが防御力が紙装甲のエリカは一発食らったら死ぬ可能性がある。


 俺はオノを斬り落とそうと剣を抜きエリカの所へ向かう⋯⋯が後ろから肩を掴まれ動きを止められた。


「大丈夫よ⋯⋯ほら見てみなさい」


 どうやら俺の肩を掴んだのはサラだったようだ。

 俺はサラの言うとおり動きを止め3人の方に視線を送るとアイリちゃんの魔法が発動していた。


光弾魔法(シャイニングブリット)


 アイリちゃんが手に持っているワンドから無数の光の弾が発射され、飛んできたオノに直撃する。

 するとエリカに向かっていたオノは大きく右側に反れ地面に突き刺さる。


「なるほど⋯⋯オノのコースを変えるために威力は弱いけど手数が多い魔法を放ったのか」


 アイリちゃんも中々やるなあ。


「これでとどめよ!」


 そして最後にエリカが追い討ちをかけるため、ロッドから魔法が発動される。


炎鳥魔法(フレイムバード)


 エリカの言葉通り、炎の鳥がオークに向かって一直線に進んでいく。

 2体のオークはノエルンの攻撃を受けていたためか、動きが鈍くなりエリカの魔法をまともに食らう。


「「グギャァァッ!」」


 オーク達は燃え盛る炎の中苦痛の叫び声を上げ、そして消えていく。


「やったぁ!」


 エリカが珍しくはしゃいだ様子でオークを倒したことを喜ぶ。

 そしてそれはアイリちゃんとノエルンも同じだった⋯⋯だがその一瞬3人に隙が生じる。


「まだだ!」


 3人の様子を見て、俺は思わず声を上げる。

 しかし時は既に遅く残ったゴブリンが弓を構え、3人に向かって矢を放つ。


「きゃっ!」

「いたっ!」

「くっ!」


 エリカの火の魔法で煙が巻き起こり、しかもオークを倒したことで油断していた3人はゴブリンの矢をかわすことができずダメージを負う。


「あれ? いつもよりHPが減ってないです」

「私も」

「どういうことですか?」


 3人は自分の身体に起きた現象を不思議に思い、戸惑っている。


「とりあえず今は敵を倒すんだ!」


 俺の声に3人はハッとなり、ゴブリンに攻撃する。


「ダブルショット」

光弾魔法(シャイニングブリット)

炎鳥魔法(フレイムバード)


 ゴブリンはノエルンが放った連射の矢で二匹、アイリちゃんの光の弾で一匹、エリカの炎の鳥が二匹倒してこの戦いは3人の勝利となった。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

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