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revol†  作者: HP3
1章 Red Cross Hearts
25/37

第24話 初クエストと宿探し

 クエストボードはランク分けされていた。ロトカは一番左のFランクのクエストが貼られている箇所の前に移動した。


 「なになに…『キリの薬草10本採取』

【報酬金】:1本につき100イル〜(薬草の状態による)。

【期限】:無期限

【注意事項と申し送り】

・1日最大30本まで採取可

・西の森林の浅い所に生えている場合が多いです

・ゴブリンを初め、モンスターも出現する場所なので、注意されたし。

・この依頼を受ける場合はこのクエストを持って行かず、受付に直接伝えてください。

【依頼主:ブルーゲイザーの依頼文】

 この依頼は恒常クエストです。採取された薬草は薬師ギルドに販売され、ポーションの材料になる事が多いそうです。」


 たった一つの紙切れにかなりの情報が記載されていて読むのが少し大変だった。


 採取依頼は他にはカノコ草やニラキノコの採取などがあった。用途も依頼主も様々で薬師ギルドからだったり、街の料理屋からだったりだ。


 「『西の森林のノール5体の討伐』

【報酬金】:2000イル

【期限】: 9/16 (闇)

【達成部位】:右耳

【注意事項と申し送り】

・西の森林の浅い所から中央部にかけて生息している事が多い

・棍棒を用いた物理攻撃を多用

・ゴブリンを初め、他のモンスターも出現する場所なので、注意されたし。

・火の取り扱いに注意

・山火事を起こした場合、法律によって罰せられる事があります

【依頼主:西の森林近くの服屋ビーンズのおじさん】

 最近森からノールが出てきて危ないったらありゃしねえ。頑張れば倒せるだろうが、腕は商売道具だから万が一があっちゃいけない。取り敢えず5体程倒してきてくれ」


 他にはゴブリン、ラプト討伐依頼、薬草の採取依頼、街の雑用依頼などがあった。初心者のランクだけあって,討伐依頼は他のランクと比べると少ない。


 「まあ適当に受けるとしますか」


 ロトカはノールの討伐依頼を持って、クエスト受注ようの受付に向かった。


 受付嬢はさっきの人と違い、メガネをかけた知的な女性だった。


 「西の大森林はどこにあるかご存知ですか?」


 「いえ、さっぱり」


 「ではこの地図をご覧下さい。現在位置がこの赤丸でですね…」


 大体5キロか。行くのは良いが、素材もとなると面倒だ。


 「素材とかはどうやって運べば?」


 「各ギルドの解体屋が大森林付近に軒を連ねておりますから、素材はそこで解体することができます。ご自分で剥ぎ取られた素材の買取はギルドでも解体屋でも行えます。また、解体屋では初心者の方向けに荷台を貸し出しております。他の冒険者の方達は個人的、もしくはパーティごとに荷台を持ってらっしゃいますね。後はマジックバッグという容量を魔法で大きくした魔法具を使うベテラン冒険者の方もいたりします」


 受付嬢は続ける。


 「素材はご自分で剥ぎ取って頂くか、死体ごと森付近の解体屋まで運び込んで解体してもらうかの2つあります。後者の場合いくらか手数料が引かれます」


 「なるほど。わざわざ5キロも物を運んでくる必要がないのは助かりますね」


 ロトカの体力的には全く問題ないのだが、面倒かどうかは別の話だ。


 「ええ。このリニア支部の依頼の半分くらいは大森林に関した物ですから、その付近に解体屋があった方が便利で良いですよね。でもクエストの場所によっては解体屋やギルドからも遠くて、運んでこなきゃならないこともありますから注意なさってください。さて、他に何かありますか?」


 「あと、クエストは重複して受注できますか?」


 「はい可能です。Fランクの方は5つまで受注できますよ」


 ロトカは掲示板の所まで戻り、採取クエスト1つと討伐クエスト1つを持っていった。


 「持ってきて頂いたクエストは無期限か2週間以上ありますし、クエスト内容を考えても十分可能だと思います。ではこれで受注しますね」


 受付嬢は期日とクエスト内容を簡単にまとめた小さな羊皮紙をくれた。


 「注意事項にも有りますが、西の大森林の浅層での火気や火魔法の使用は厳禁ですので注意なさってください」


 「浅層?」


 「ああ、すいません。説明するのを失念してました。大森林は大きく浅層、中層、深層の3つの区画に分けて呼ばれてます。まあダンジョンと同じ呼び方ですが、森が地下に伸びてる訳ではありません。それで火気厳禁についてですが、それは浅層だけです。中層と深層では木自体が火耐性が付いてますから火事が起こる心配はほぼ無いので。浅層の植物などは耐性がないので気をつける必要があるのです」


  西の大森林は以上に広大であり、複数の国に跨っている。河川が通り、地が隆起した所があり、地理に富んでいる森である。正式名称は西の大森林ではないが、慣習でリニア領からはそう呼ばれていた。

 植生はそこまで特殊ではないが、この大森林でのみ生える植物も実はあったりする。モンスターも多く生息しており、奥地になる程基本的に強くなる。中腹ともなると1日では帰って来れない。即ちこの森で日帰りできないレベルのクエストとなると立派な中級冒険者を名乗れる。


 ところで森と名が付いているが、鬱蒼と植物が生い茂っているわけではない。多くのモンスターや動物、冒険者などが行き来をしていて木々の間隔は空いており、身動きできないと言うことはあまり無い。


 そんな森の手前にロトカは着いた。


 「さて、クエストとやらを遂行しますかね」


 ロトカはここまで徒歩で来たが、馬や馬車に乗る者の方が多数派だった。森林近くはちょっとした繁華街になっていた。きっとそこに馬を預かってくれる施設もあるのだろう。


 ロトカが受けたのはキリの薬草の採取とノール、ラプトの討伐だった。ノールは狐を後ろ足立にさせて可愛さの代わりに凶悪さを植え付けられた様な1メートル程の小型モンスターであった。ラプトは尻尾があり、二足歩行、前足が退化して短くなった鳥と爬虫類を掛け合わせたような見た目の肉食のモンスターだった。


 クエストの依頼主の店周辺の森に現れるから討伐してくれ、との事だったので、店を探し出し、近くの入り口から森に入った。


 ファーレンと過ごした島で入っていた森よりも木々が細く真っ直ぐ育っていた。雑草も余りなく、歩きやすかった。


 この森にはかなりの冒険者がいるはずだ。入ったばかりのかなり浅い所では他の冒険者は繁華街の人間も見られたが、奥に進むにつれて見渡す限り余り人がいなくなった。


 まず初めに見かけたモンスターはスライムだった。ふよふよしていて見方によっては可愛らしいと捉える事も出来る。ただかなりの悪食で物理攻撃が効きにくく、消化液を吐き出してくるので冒険者には嫌われている。

 ロトカはあまり気にせずに対象の獲物を無闇に探した。


 探せど探せど特徴に合致するモンスターがいなかった。無駄なモンスターと戦う気分ではなかったし、大抵は金棒を振り回して木の一本でもへし折ってやればビビって逃げていった。


 3時間くらい探し回ってようやくラプトの特徴に合致するモンスターに遭遇した。頭から尻尾の先まで約1.5メートルで高さはロトカの腰くらいまである。


 どうやらウサギを5体で追いかけていたらしい。依頼は3体だったが売れば幾らかにはなるだろう。

 ロトカはその間に飛び入った。


 「お前がラプトで良いんですよね?ったくよってたかってウサギを追いかけるなんて情けない」


 ラプトは狩りを邪魔されて苛立ち、低い威嚇の声を発する。威嚇するときに首を伸ばすのが特徴だ。


 ちょうど真ん中の一匹が飛びかかってきた。ラプトの口内にはちっさな犬歯の様な歯が2列になって上下に生えていた。

 ロトカは攻撃せずに、それを受け入れた。


 仲間のラプトが獲物に噛みついたので、残りの4体も後に続けとばかりに脚や腿に噛みついた。

 そこまでは良かったのだが、首を振っても肉が千切れない。


 「よいしょっ!」


 ロトカは脚に噛みついた2体を別の脚で踏み抜いて頭蓋を割った。

 腕に噛みついた2体は振り回し、脳震盪を起こしているところを金棒で胴体に強烈な一撃を叩き込んだ。最後に残ったラプトは逃げ出そうとした所を背中から同様に金棒で一撃を浴びせられて絶命した。


 まあこんなもんですか。


 ロトカはギルドから借りた剥ぎ取り用の小型ナイフで爪を剥ぎ取った。爪はくるっと半円くらいに丸まっていた。


 何かに使えそうですが、証拠品として提出しなくてはいけませんからね。あと剥ぎ取りなんて分かりませんから取り敢えず本体を幾つか解体屋に持っていきますか。


 全部持っていくのは不可能だったので、2体だけ小脇に抱えて解体屋に持っていく事にした。

 空腹だったので、残りの3体は火にかけてぺろっと平らげてしまった。何だか鶏肉に似た味で悪くはなかった。

 食べる過程で皮とかは素人ながらも剥ぎ取ったのでついでに解体屋に持っていく事にした。


 ノールは帰る途中、血の匂いに誘われて3体出現した。木を荒削りした棍棒を振り回し、獲物を2体抱えたロトカに襲いかかったが、当然返り討ちに会い、絶命した。


 結局、証拠の右耳だけを剥ぎ取り、死体は一先ず置いておくことにした。


 繁華街にモンスターを荷台に置いて運んだりロトカの様に運ぶ物はある程度いるので不審者扱いされずに済む。ここで暮らしてる人は日常の風景の一部なので気にする事なく生活している。


 適当に捕まえた道ゆく人にブルーゲイザーの解体屋の場所を聞き出して向かった。

 着き次第、受付の青年にラプトを任せて森に残したノールを取りに戻った。

 ノールは3体倒したはずだったが、1体減っていた。


 「どっかのモンスターが咥えていったんですか。人の獲物を横取りするなんていい度胸ですね」


 とは言いつつ、内心こう言う時もあると思っていたので別に気にしてはいなかった。

 もう日が暮れ始めていたので、ノールを抱えて解体屋へ急いだ。


 「あ、戻ってきましたか!カードも見せてくれなかったからどうすれば良いのか分かりませんでしたよ」


 カードを見せて、解体屋に『解体してくれ』と伝え、ノールとラプトを2体づつ任せた。

 Fランク冒険者の解体手数料はすこし特殊で素材代の2割だった。本来はモンスターの大きさや解体難易度によって一律決まっているらしい。


 討伐確認は解体屋でも行ってくれるらしいので、ラプトの親指の爪5つとノールの右耳3つを提出した。そうすると討伐証明書に討伐した冒険者名、確認者名、討伐内容などを記載して発行してくれた。これをギルドに見せれば生産してくれるらしい。


 なお解体後の値段は手数料を引かれてラプト1体で1000イル、ノール1体で600イルだった。

 これでファーレンに貰ったお金を抜けば3200イルになった。

 明日、薬草採取と2体ノールを狩ってギルドに戻れば報酬の3500イルが貰えて、8700イル。


 「さてと。初仕事も終えた事ですし、夕食にしましょう。折角港街に来たので海鮮が良いです。マグロとかホタテなんかが食べたいですね」


 想像しただけでジュルりと唾液が出てくる。


 エヘヘ、と一人でニヤつくロトカを街ゆく人はヤバい奴がいるという目で見ていた。


 「そうと決まれば急いでリニアまで戻りましょう」


 ずどどどど…と砂煙を立ててリニアまで猛スピードで駆けて行った。



 『大衆料理屋ミンスト』


 店内は相当に広い。体感では50メートル四方くらいある様に感じる。中も木造で天井や側面に並べられた蝋燭が店内を柔らかく照らしていた。

 入り口手前の大部分は円卓をが数十個も設置されており、ほぼ満席だった。その間をウェイトレスとボーイが忙しなく料理を運んでいる。

 そしてその奥にカウンターが横一列にあり、いくつか席がまだ空いている。さらにその壁の向こうがコックの戦場であろう。


 「お客さん1名ですか?」


 「はい、そうですよ」


 「でしたらカウンターでもよろしいですか?」


 「ええ、大丈夫です。ああ、すいません。武器の持ち込みは可能で?」


 ロトカは金棒を少し持ち上げてボーイに尋ねた。


 「大丈夫ですよ。でも店内は使用禁止です。あと店内の椅子やテーブルを破損させてしまった場合は弁償となりますのでお気をつけください」


 客の装いを見る限り、圧倒的に冒険者が多かった。所々に吟遊詩人がおり、過去の大英雄の活躍を実しやかに話聞かせている。


 仕事終わりにパーティの仲間と円卓を囲んで、食事を頬張っている。明日のクエストに向けて英気を養っているのだろう。

 些細な理由で喧嘩をする者、それを囃し立てる者、賭け事をする者、別テーブルの女冒険者を口説こうとする者、カウンターで個人で静かに食事する者など他社多様にこの空間を共有していた。


 しかし、当然ロトカはただ一人。入り口のボーイに言われた通りに奥のカウンター席に向かう。


 ロトカが歩けば周りは男女問わず一瞥する。金棒という変わった武器を所持している事と中世的な整った容姿をしているが故である。

 そんなロトカを見て動じない者もいれば、仲間と話をする者もいる。


 「おい、なんだあいつ。金棒なんて持って?武器としてどうなんだ?」


 「まあ、突起が付いてるから武器としては使えるだろう。珍しいには違いないがなあ。所で、あの雰囲気は猛者と見た。俺が若かったときにそっくりだからな」


 「お前男だろ」


 「いや、あいつ今日冒険者登録したばっかのやつだぜ。マリアちゃんが対応してたの見てたからな。絶対だ」


 「まじかよ。って事はFランクか?強よそうなのは側だけか?」


 「そんな事より、めちゃくちゃタイプなんだが。っくう〜、思いっきり踏まれて『ダメ人間ですね!』とか言われてぇ〜」


 「あんたには人の尊厳が無いの?」


 ロトカはそんな視線と会話を意にも介さず、悠然と歩を進め席に座った。

 するとウェイトレスがロトカに注文を取りに来た。


 「ご注文はお決まりでしょうか?」


 「そうですね….取り敢えずマグロとかホタテ、それと肉を使った料理を適当にどんどん持ってきてください」


 座席にあったメニューにはご丁寧に沢山料理名が書かれていたが、結局選ぶのが面倒だと感じたロトカは読むのを諦めた。


 「はーい。ありがとうございます!お客さん当店のご利用は初めてですか?」


 ロトカはそうだ、と伝える。


 「でしたら、唐揚げとかが人気です。大体私の拳大位の大きさで食べ声があって人気何ですよ!それからレム牛のステーキでしょうか…取り敢えず300gにしておきますから足りなければまたお願いします!マグロとホタテはそれぞれ刺身と火を軽く通した炙りなどをお持ちしますね!」


 中々勢いが強く、ロトカはウェイトレスのパワーに圧倒されていた。しかし、愛嬌があり、人気が高そうなウェイトレスであった。


 「それから現在ビールを値引き中ですが、料理と別に如何ですか?」


 「ビールですか…じゃあそれもお願いします」


 「それと…」


 結局ロトカは頼む予定のなかったカツオの叩きとイカ刺しまで注文してしまった。


 全く。勧めるのが上手いですね。逞しいものです。


 ロトカは不機嫌どころかウェイトレスの商売精神に感心した。それと少しの面白さも感じていた。


 10分もしたらロトカの元に続々と料理が運ばれてきた。そしてそれをロトカは口に頬張り、ビールで流し込んでいった。


 食事をしている最中にナンパをしてきた冒険者たちがいたが、全て軽々片付けて食事に勤しんだ。


 40分後には全ての料理を平らげてしまった。


 なお会計は8000イルとなり、今日の稼ぎがほぼ消し飛んでしまった。


 「はてさて、そろそろ腹ごしらえもしましたから寝ましょうかね」


 欠伸をしながらロトカは店を出た。

 しかし、どこで寝るかが決まってなかったことにようやく気がついた。


 幸いここは港町で栄えているし、宿屋は多くある。その中には安く泊まれる所もあるだろう。


 しかし、大部屋で雑魚寝は嫌ですね。変な連中もいるでしょうし。誰か止めてくれそうな人はいますかね…


 ロトカはふと周りを見渡して見知らぬ人でも止めてくれそうな、いわゆる押しに弱そうな都合が良い人物を探した。


 この際ガサツそうで汚くなければ誰でもいいです。いや、そもそも冒険者でこの街に家を持ってる人はほぼいないのでは?


 ロトカはそう考えて、はっと思いついた。受付嬢なら転勤も少ないだろうし、絶好の物件ではないか!


 ロトカはそう思いつき、ギルドの登録してくれた受付嬢の元に直行した。


 夜も更けてきてギルド内はかなり閑散としていた。

 しかし、昼間の受付嬢はまだ居るのが見えた。


 「受付嬢さん。今晩泊めてくれませんか?」


 「えっ!?き、今日ですか?」


 「1日で良いから!どうかお願いします!掃除洗濯炊事何でもしますから」


 ロトカは必死に拝み倒した。


 「え〜っと…まあ、いや。どうしよう…けど1日だけなら…」


 受付嬢は言い淀んだ。今日会ったばかりの人物に泊めてくれ、と言われればそれはそうだろう。


 「有難うございます。いやー、本当助かりました!ささ帰りましょう。早く帰って私を風呂に入れてください。ご飯を食べさせて、暖かいベッドで寝かせてください」


 「い、いやまだ良いとは…」


 受付嬢は断るつもりだったが、ロトカの喜び様をみて渋々受け入れたのだった。


 「分かりました!分かりましたよ…でも今晩だけですよ?本当は特定の冒険者に肩入れしすぎちゃうダメなんですから。それに風呂なんてありませんよ!シャワーだけです!それにちょっと待っててください。ちょうど仕事は終わったので着替えてきますから」


 そう言って受付嬢は奥に引っ込んでいった。


 「そういえば名前をまだ聞いてませんでした。ま、後で聞けば良いですね」


 受付嬢は10分くらいで私服に着替えて戻ってきた。


 「受付嬢さん、名前を聞いてなかったですね」


 「そうですね。私はマリアと言います。よろしくお願いしますね」


 マリアは3階建の建物の前で止まった。


 「ここで?」


 「そうです。ギルドの女子寮なんですよ。といっても他のギルドの職員さんも使ってますね」


 マリアの部屋は2階の角部屋、201号室だった。

 鍵がまとめられたホルダーから慣れた様子で部屋の鍵を引っ張り出してドアを開けた。


 「中々綺麗ですね。白と青で統一されてて」


 「ふふ。そうでしょう?白と青の組み合わせって最強だと思いませんか?さあ、どうぞ上がってください。あ!そこは靴を脱いでくれますか?実家の習慣でして」


 「いやー。色々ご馳走になりました!何だか分からない肉のステーキが特に美味しかったです」


 「それは良かったです。ロトカさんは大食漢…じゃないですね、ともかくよく食べますね。作った甲斐がありましたよ」


 「育ち盛りですからね」


 「レイグミシア出身ですか?それはまた随分と遠くですね?一体馬車で行ったら何ヶ月かかることやら。行くだけで大冒険ですね。私だったら死んでしまいますよ」


 「ま、まあ、紆余曲折あってですね」


 「冒険者の方を詮索するのは配慮がないですね。すいません」


 「私も今日この街に来たばかりなので、色々教えて欲しいんですよ。田舎出身という事もあって色々疎くて」


 「そうですね。良いですよ。私に答えられる事で有ればなんでも聞いてください」



 「そうですね。まずお金何ですが、銅貨、銀貨、金貨の3種類位ですか?」


 「そ、そこからですか?….そうですねえ。まあ基本はそんな感じです。でももうちょっと種類があって、それぞれに小と大もあってですね…」


 マリアの話を要約するとこうだ。

・金の単位は”イル”

・価値は小さい順に『小銅貨、銅貨、大銅貨、小銀貨、銀貨、大銀貨、小金貨、金貨、大金貨』

・それぞれ1イル、100イル、1000イル、1万イル、5万イル、10万イル、100万イル、1000万イル、1億イル

・大銅貨1枚、1000イルで大人がお腹いっぱいになる位の1食が食べられるくらい。

・この町の宿代は1000イル〜10万イルくらいまでマチマチ

・一般的な大人の月給は15万イルくらい。


 「私は金貨と大金貨は見た事ないですけどね。商人の方達とか大金持ちの人くらいしか扱いませんよ」


 「Fランクの冒険者の方だと週5日くらい働いて月15万イルくらいが平均ですかね。勿論クエストの報酬金だけでなくてモンスターの素材の代金も含めてです」


 「Fランクでですか?冒険者は結構儲かるんですね」


 「いえ!ロトカさん、冒険者は特殊な職業ですからこれでも儲かるとは言えません。高価な武具代も必要です。ポーションなどの回復薬代も安いとは言えないですし。あと冒険者はずっと死ぬまで活動できる保証はないですから。大怪我をしてしまったり、体力的な衰えで引退したりしてしまう事も少なくないです…なので額面は多い代わりに出費も多いのが冒険者という職業です」


 「でもランクが上がれば報酬金も多くなります。そうなっていくと収入に対する出費の割合が小さくなっていきますから。大体Cランク以上になると余裕が出てくるらしいですよ?あくまで一般論ですが」


 「ロトカさんは何故冒険者を?」


 「戦闘能力に関しては自信があったので、冒険者になってみようと思ったんですよ。あとは知り合いの薦めですね」


 「うち、ブルーゲイザーのリニア支部にもスター冒険者の方達がいます。みんなAランクですから凄いですよ。こう何というかオーラが迸ってますよ」


 ロトカとマリアはそれからもしばらく話をした。街の様子、美味しいレストランやデザート屋、有名な武具屋など。会話は続いたがどちらとも無く眠気さから言葉数が少なくなり、マリアが先に寝てしまった。


 さて、冒険者として登録もできたしクエストの流れも把握できました。とっととランクを上げて金を手中に収めねば。うへへ。


 相変わらず金の事について考えると口元が緩むロトカだった。


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