表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【アニメ化決定】ロメリア戦記~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~  作者: 有山リョウ
第二章 メビュウム内海編~港を造って交易をおこなうことにした~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/465

第四十九話 ロメリアの翼達

ロメリア戦記のアニメ化が決まりました!

ロメリア戦記がアニメになります。続報は判明次第、ご報告させていただきます。

こうしてアニメになるのも、応援してくれているファンの皆様のおかげです。

これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします。


いつも感想やブックマーク、評価や誤字脱字の指摘などありがとうございます。

小学館ガガガブックス様よりロメリア戦記が発売中です。

BLADEコミックス様より、上戸先生の手によるコミカライズ版ロメリア戦記も発売中です。

マグコミ様で連載中ですよ。



「アル? レイ? あいつらか⁉︎」

 ボレルが驚嘆の声をあげる。だが間違いなく、凧の背に乗っているのはアルとレイだ。二人は凧にしがみつき、私の名を叫んでいた。


「おいおい、信じられねぇ」

「本当かよ」

 モーリス船長とメアリーさんも目を丸くしている。おそらくレイが風魔法を使って凧を操っているのだろう。しかし人が空を飛ぶなど。信じられなかった。


 気がつけば左弦に位置する炎獅子号からも、攻撃の手が止んでいた。ボーンとその船員達も、凧に乗るアルとレイを呆れて見上げている。


「まさかこんな方法で助けに来るなんて」

 私も信じられなかった。

 アルとレイが指示を無視し、私の救出に動くかもしれないと思っていた。だが二人には船を操る術がない。どうしようもないと考えていたのだが、まさか空を飛んで助けに来るとは思わなかった。


 私には幸運を呼び込む『恩寵』という力を天から与えられている。その奇跡の力が作用し、二人の飛行を助けたのかもしれない。だがたとえそうでも、空を飛ぼうと考え、実行したのは彼らの決断と意志だ。


「ロメ隊長!」

「今すぐ助けに行きます!」

 アルとレイ、凧にしがみつく二人と目が合う。その瞬間、私の中で勝利の確信が湧き上がった。


「アル! レイ!」

 私は二人を見ながら、左弦に陣取る炎獅子号を右手で大きく指差した。

 名を呼び手で示しただけだが、二人にはそれだけで十分だった。レイの体が緑色に発光し、風魔法を使用する。すると巨大な凧が向きを変え、炎獅子号に向けて急降下した。


 勢いよく降下した凧は炎獅子号の帆柱に激突しそうになる。だがぶつかる直前、アルとレイは凧を蹴って空中に飛び出る。二人が目指す先は炎獅子号の帆だ。

 アルが空中で腰の剣を抜き、帆に突き刺す。レイはアルの背にしがみついた。


 刃を突き立てられた帆は、勢いよく斜めに切り裂かれる。

 巨大な布を切り裂いて落下速度を相殺したアルとレイは、転がるように甲板に着地した。二人は起き上がると同時に、剣を構えて戦闘態勢に入る。

 対する炎獅子号の船員達は、突如乱入してきたアルとレイに驚きつつも取り囲む。


「カイル! ボレル! ガット!」

 私はここが勝機だと、カイル達に指示を出した。三人は心得たと銀翼号の甲板を走り、船縁を蹴って炎獅子号に飛び移る。炎獅子号の船員達は、アルとレイに気をとられていた。カイル達はその隙をつき、瞬く間に三人の船員を倒す。


「親父! 今だ!」

「分かってる! 取り舵! いっぱぁぁぁぁい!」

 勝機と見ていたのは、私だけではなかった。メアリーさんが叫ぶと、モーリス船長が勢いよく操舵輪を回す。銀翼号が左へと進路を変え、左弦に陣取っていた炎獅子号に船体が激突する。


 船と船がぶつかり合い、大きな衝撃が私達を襲う。私は倒れそうになったが、なんとか耐える。体勢を立て直して顔を上げると、船と船の間は私でも飛び移れるほどに接近していた。


「今だ! 乗り込め!」

 メアリーさんが拾った剣を片手に、自身も炎獅子号に乗り込む。怠け者号の船員達も武器を拾いメアリーさんの後に続く。銀翼号の子供達は敵船に乗り込みはしないものの、矢を放ち援護する。


 私は戦場となった炎獅子号の甲板を見回した。

 数の上ではまだ敵のほうが多い。しかし勢いはこちらにある。特に船の中央で暴れ回るアルとレイが、次々に炎獅子号の船員を倒している。そこにカイルとボレルにガット、怠け者号の船員が加わり勢いを増している。


 勝機は完全にこちらに傾いた。『恩寵』の効果を考えれば、勝利は確実と言っていい。ならばあと必要なものは一つだけ。


「カイル! ボレル! ガット! 手紙を! ハメイル王国の手紙を確保してください!」

 私は炎獅子号の船尾を指差した。船尾にある船長室には、ハメイル王国からもたらされた手紙があるはずだった。

 私の声にカイル達がそれぞれ頷き、炎獅子号の内部に入っていく。


「行かせるな! そいつらを止めろ!」

 剣を右手に持つボーンが、降り注ぐ矢を切り払いながらカイル達を止めろと命じる。しかしボーンをはじめ、劣勢となっている炎獅子号の船員達にそんな余裕はない。


「くそ……」

 額に汗を流すボーンが周囲を見回す。挽回は不可能と悟ったボーンは私を睨んだ。

「お前さえ殺せば! あとはどうとでもなる!」

 ボーンは左手に大きな炎の球を生み出すと、私に向けて投げつけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ