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【アニメ化決定】ロメリア戦記~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~  作者: 有山リョウ
第二章 メビュウム内海編~港を造って交易をおこなうことにした~

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第二十二話 メルカ島⑤

ロメリア戦記のアニメ化が決まりました!

ロメリア戦記がアニメになります。続報は判明次第、ご報告させていただきます。

こうしてアニメになるのも、応援してくれているファンの皆様のおかげです。

これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします。


いつも感想やブックマーク、評価や誤字脱字の指摘などありがとうございます。

小学館ガガガブックス様よりロメリア戦記が発売中です。

BLADEコミックス様より、上戸先生の手によるコミカライズ版ロメリア戦記も発売中です。

マグコミ様で連載中ですよ。



「この屋敷の中庭に、島の男衆を集めましょう。女衆は別に集めて話をしてみてはどうです?」

 二手に分かれるモーリス船長の提案に、私は首肯する。これがいい結果になるか分からないが、まずはやってみて感触を掴むしかない。


「よし、それならレベッカ」

 モーリス船長は、部屋に残っていたレベッカさんに声をかける。

「お前は女衆に声をかけて集めてくれ。場所はそうだな……港の広場にある酒場がいいだろう」

 レベッカさんはモーリス船長の指示に対し、三白眼を微動だにさせず頷く。


「そうだ、ロメ隊長。島民に対する演説ですが、俺にさせてもらえませんか?」

 アルが前に出て名乗りを上げる。その顔は自信ありげな笑みを湛えていた。


「演説、出来るのですか?」

「ええ、任せてください。一つぶち上げてやりますよ!」

 アルはぐっと拳を固めてみせる。


「ならロメリア様。女性陣の対応は僕に任せてもらえませんか? アルよりも多くの賛同を得てみせますよ」

 レイが一歩前に踏み出す。

 アルがレイを睨み、レイも見返す。互いの視線がぶつかり合い火花を散らす。


「ほぉ、煽ってくるじゃないか」

「ほら、僕のほうが人に好かれやすいし」

「おもしれぇ、どっちが多くの人を集められるか、勝負といこうじゃねぇか」

「望むところ! ロメリア様やっていいですか?」

 アルとレイが二人して私を見る。私はため息で答えた。


「……まぁいいでしょうやってみなさい」

 勝手に盛り上がる二人に対して、私は許可を出した。

 今回は様子見だ。競わせるのもいいかもしれない。私は後方から、島民の反応を見ておこう。


「では二手に分かれましょうか」

 私はそれぞれに人を割り振った。ラディック邸で男性陣の勧誘をするのが、私、アル、ポーラさん、ジニの四人。レイと共に女性陣の勧誘をボレル、ガット、そしてゼゼに任せる。


「よし、行こう!」

 レイが意気揚々と、食堂から出ていこうとする。その背をボレルとガットが追い、レベッカさんが続く。そして最後にゼゼが足取り重くついて行く。 


 私は出発する彼らの背中を、視線で追いかけた。

 どうにも気になった。レイが上手く女性を勧誘出来るかどうかも気になるが、それ以上に気掛かりなのが、ゼゼの態度だった。


 メルカ島に来てからというもの、ゼゼの様子がおかしかった。

 ゼゼはいつも底抜けに明るく、人の気持ちを和らげる天性の素質があった。だが島に到着してからというもの、太陽が陰ったように暗くなっている。


「ジニ。ゼゼの様子がおかしい気がするのですが、何か分かりますか?」

 私は残っているジニに尋ねた。彼はゼゼと同郷で仲がいい。なにか知っているかもしれない。

「ロメリア様も気付きましたか」

 ジニはため息を吐いた。彼もゼゼの変化に気付いている。


「多分ですけど、島で見た子供ですよ」

 ジニに言われ、私は港で見た子供達を思い出した。まだ五歳ぐらいだろうか、歳の割に手足が細く痩せていたのが印象的だった。島の経済状態が悪く、食料が不足しているのだろう。


「ゼゼは怪我をしていたり、痩せている子供を見ると駄目なんですよ」

 ジニは俯き苦しげに顔を顰めた。


「ロメリア様だから言いますけど、ゼゼの父親はいい人間ではありませんでした。母親が病死してからはジニをよく殴り、食事も碌に与えませんでした。ゼゼには妹がいたんですが、幼い頃に死んでしまって……。痩せた子供を見ると、妹のことを思い出すんでしょう」

 ジニが教えてくれたゼゼの過去は、驚きのものだった。普段明るいゼゼが、過酷ともいえる子供時代を過ごしていたとは想像もしなかった。


「まぁ昔の話ですから、大丈夫だとは思うんですが……」

 ジニが呟きと共に目を伏せる。ジニの言うように、時間がゼゼの心を癒したと思いたい。しかし心の傷は治ったと思っても、小さなきっかけで簡単に開く。全てはゼゼ次第だった。


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