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【アニメ化決定】ロメリア戦記~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~  作者: 有山リョウ
第二章 メビュウム内海編~港を造って交易をおこなうことにした~

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第十七話 火を吹く獣②

ロメリア戦記のアニメ化が決まりました!

ロメリア戦記がアニメになります。続報は判明次第、ご報告させていただきます。

こうしてアニメになるのも、応援してくれているファンの皆様のおかげです。

これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします。


いつも感想やブックマーク、評価や誤字脱字の指摘などありがとうございます。

小学館ガガガブックス様よりロメリア戦記が発売中です。

BLADEコミックス様より、上戸先生の手によるコミカライズ版ロメリア戦記も発売中です。

マグコミ様で連載中ですよ。



 怠け者号と炎獅子号。二隻の船が対峙し

「よぉ、ボーンじゃねぇか! 久しぶりだな。調子はどうだ!」

 口火を切ったのはモーリス船長だった。底抜けに明るい声を出す。対するボーンも右手の指に葉巻を挟んで笑顔を見せた。


「どこも景気が悪くて、商売あがったりさ」

 モーリスとボーン。二人の船長は気の合う仲間のように笑い合う。しかし二人の姿勢に油断はない。もし相手が攻撃してくれば、すぐに対応出来るように身をたわめている。互いに内心を隠した腹芸は得意のようだ。


「何言ってやがるボーン。船がどっしりと重そうじゃねぇか。腹ん中にぎっしりと金銀財宝を詰め込んでいるんじゃねぇのか? 手広くやっているって聞いているぜ」

 モーリス船長が笑う。しかし炎獅子号の船はそれほど重そうには見えない。ヴァール諸島が行っている縄張りを越えての海賊行為を、言外に非難しているのだ。


「そっちこそ、とんでもないお宝を載せているじゃねぇか」

「お宝?」

「ああ、美女ってお宝を載せている」

 ボーンの視線がモーリス船長から私に移される。


「美しい女性は、どんな宝にも勝る。俺にも紹介してくれよ」

 ボーンに尋ねられ、モーリス船長は問うように私を見た。私は頷く。


「分かった。紹介してやろう。こちらはライオネル王国、グラハム伯爵家のご令嬢。ロメリア様だ」

 私は前に立つアルとレイに退くように視線で命じた。人の上に立つ以上、たとえ危険であっても前に出ねばならない時がある。今がその時だ。

 アルとレイは仕方なく道を開ける。私は一歩進み、ボーンに向けて会釈する。


「初めまして、ロメリアと申します」

「ヴァール諸島のボーンと申します。いやはやお美しい。むさ苦しいモーリスの船にはもったいない。どうです、私の船に乗り換えては? ご招待しますよ?」

 ボーンは気障な手振りを見せて、自分の船へと誘おうとする。


「……ぬけぬけと」

 私の側で呟いたのはレイだった。顔には怒りを湛え、右手は剣の柄へと向かっている。

「むさ苦しいは余計だ! ボーン!」

 モーリス船長が怒声をあげるも、顔は笑っている演技を続ける。私はボーンに向けて口を開いた。


「ボーンさん。ありがたいお話ですが、メルカ島に行く予定がありますので、お誘いをお受けするわけにはいきません。現在ライオネル王国では港を建設しております。完成の際には、ご招待差し上げます。ぜひ皆様と一緒に遊びに来てください」

 私もモーリス船長と同じく笑顔の演技を見せる。


「ほぉ、ライオネル王国が港を開くという話は聞いていましたが、本当でしたか」

「はい。このメビュウム内海に船を出させてもらおうかと」

「仲間が増えるとは嬉しい限りだ。ようこそ、メビュウム内海へ。歓迎しますよ」

 ボーンは役者のような仕草でお辞儀をする。


「では、今日はそろそろお暇させてもらいましょう。モーリス。足を止めさせて悪かったな」

「おう、またな」

 ボーンがモーリス船長に向けて軽く手を振る。モーリス船長も手を振り返す。甲板にいた互いの船員が動き、帆を張り船がゆっくりと動き始める。

 進み出した船の上で、ボーンが声を上げる。


「ロメリア様。またお会いしましょう! 良い旅を!」

 ボーンに対し、私は手を小さく振り返した。

 互いの船が遠く離れ、炎獅子号が小さくなっていく。もう大丈夫だと、アル達が息を吐いた。


「やれやれ、何しに来たんでしょうね。アイツ」

「品定めでしょう。海洋進出した私達が気になるのです」

 私の説明に、アルはなるほどと呟く。


「しかしモーリス船長はなかなかのやり手ですね。気の良いおっさんだと思っていましたが、度胸もある」

 アルが船員に指示を出すモーリス船長を見る。


 確かにモーリス船長の立ち回りは老練だった。弱気に出すぎて侮られることもなければ、強気に出て反感を買うこともなかった。

 事が起きれば一戦交える度胸を持ちながらも、争いを避けようと努めていた。


「ええ、噂どおりの人物ですね」

 私が呟くと、アルとレイは噂とは何のことだと顔を見合わせる。私は二人の疑問には答えず、去っていく炎獅子号を見つめた。

 ボーンがやって来たのは、明らかに私達を値踏みするためだろう。遠からず彼らは何かを仕掛けてくる。ならば、何か手を考えておかねばならなかった。


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