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【アニメ化決定】ロメリア戦記~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~  作者: 有山リョウ
第七章 ラナル平原編~ガリオスの脅威~ 

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第四話 抜け駆け②

ロメリア戦記のアニメ化が決まりました!

ロメリア戦記がアニメになります。続報は判明次第、ご報告させていただきます。

こうしてアニメになるのも、応援してくれているファンの皆様のおかげです。

これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします。


いつも感想やブックマーク、評価や誤字脱字の指摘などありがとうございます。

小学館ガガガブックス様よりロメリア戦記が発売中です。

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マグコミ様で連載中ですよ。



 よし! 通った!

 戦列に無理やり馬を押し込めながら、ゼータは槍を振り回した。騎兵突撃は最初の一撃が何より肝心だった。敵の戦列を崩せなければ、突撃が失敗するからだ。


 ゼータが崩した一点がほころびとなり、そこに後続の隼騎士団が続々と突撃する。仲間に後押しされながら、ゼータはさらに前に進む。槍を振り回し、魔王軍の陣形を切り裂いていく。

 魔王軍の本陣からは、一定の拍子で銅鑼が鳴らされる。おそらく突撃してきた隼騎士団を、殲滅せよという指示だろう。だが命令どおりにはいかず、隼騎士団の進軍は止まらない。


「はっ! 魔王軍も意外に大したことはないな! ベトレー! ついてきているか!」

「はっ、はい! ゼータ様!」

 返り血を浴びながらゼータは槍を振るう。後ろからは必死なベトレーの声が返ってくる。


 ゼータはちらと後ろを確認した。隼騎士団は全員が、魔王軍と交戦状態に入っていた。そのさらに背後では連合軍が前進し、ラナル平原の小川を越えようとしている。


 前進の速度は、ハメイル王国よりライオネル王国のほうが早い。これはゼータには意外だった。ライオネル王国の指揮官といえば、聖女ロメリアである。ライオネル王国では救国の聖女とも呼ばれ、ガンガルガ要塞の攻略にも、大きな手柄を立てたと聞く。しかしゼータはこの話を信じてはいなかった。女に用兵が出来るものかと思っていたからだ。だが実際にはライオネル王国のほうが兵士の動きがよい。指揮官の判断が早いためだ。


 噂は本当なのだなと、ゼータは認識を改めた。しかしすぐにそのことを忘れた。今集中すべきは、目の前の敵だからだ。


「ベトレー、遅れるなよ!」

 ゼータは腹から声を出すと、槍を振り回して魔王軍をかき分けるように進んだ。ゼータを前に、魔王軍は阻むどころか左右へと避けていく。敵が弱いと見たゼータはさらに進撃するが、槍に手ごたえは少ない。魔王軍が左右に逃げてしまうからだ。


「どうした! 魔王軍! 我が隼騎士団の前に恐れをなしたか!」

 ゼータは槍を掲げ威勢よく叫んだ。だがその背後から、水を差す声が入る。


「ゼータ様、進みすぎております! 後方と連携が取れておりません!」

 ベトレーの声にゼータは首を返す。戦場を見回せば、後方のハメイル王国軍とライオネル王国軍はようやく魔王軍と交戦を開始したところだった。一方ゼータ率いる隼騎士団は、魔王軍の奥深くに入り込んでしまっている。隼騎士団の進軍速度があまりにも速すぎたためだ。


 ゼータはすぐに、まずい状況であることに気づいた。

 騎兵を槍とするならば、歩兵は盾だ。騎兵が敵を切り裂いたところに歩兵が前進し、歩兵が敵を足止めしたところを騎兵が撃つ。騎兵は歩兵と連動してこそ最大の効果を発揮するのだ。


 歩兵の到着を待つか?

 ゼータは進軍速度を緩めるべきか迷った。しかし騎兵の強みは、なんといってもその突進力にある。速度を緩めれば勢いを失う。何より……。


 ゼータは前へと首を戻した。視線の先には魔族がひしめき、その奥には黒い竜の旗が翻っている。あの旗がある場所こそ魔王軍の本陣だ。後方には森が広がっているため逃げ場はない。本陣を攻撃すれば、この戦争は勝ったも同然だ。魔王軍は散り散りとなり逃げるしかなくなる。


「いや、前進するぞ! 魔王軍の本陣を討つ!」

 ゼータは進軍を決断した。


 敵の本陣は目の前。何よりこれが成功すれば中央突破となる。敵陣の中央突破は、騎兵ならば誰もが憧れる夢だ。並居る敵を蹴散らしたなど、末代までの語り草となるだろう。


 勝利の栄光は目の前にあると、ゼータは馬を駆った。

 ゼータの馬が魔王軍の本陣に迫ったとき、本陣の後方に広がる森から二つの咆哮が鳴り響いた。声に馬が驚き馬脚が乱れる。ゼータが馬をなだめながら目を向けると、森から二頭の巨大な竜が現れた。


 人間を掴めそうなほど巨大な腕を持つ怪腕竜(ディノ)に加え、背中に剣の如き突起の列を持つ剣竜(ステゴ)だった。怪腕竜の背には双剣を持つ魔族が跨り、剣竜の背には双頭の槍を持つ魔族が騎乗している。さらにその背後からは、全身鎧に身を固めた重装歩兵が続く。


 竜の登場にゼータは息を呑む。魔王軍が大型竜を使役することは聞いていたが、実際に目にするのは初めてだった。しかし怯みかけた気力は、竜の背に乗る魔族を見て持ち直した。


「怪腕竜に剣竜! ならばあの背にいるのはガリオスの三男と五男、ガオンとガストンか!」

 ゼータは竜に跨る魔族を睨みつけた。


 ガリオスの息子達が竜に乗ることはすでに知れ渡っている。特に三男のガオンは、ゼータにとって因縁のある相手といえた。なぜならばガンガルガ要塞攻略戦のおり、父であるゼブル将軍はガオン率いる部隊によって倒されたと聞く。ガオンは父の仇も同然といえた。


「あれぞ父の仇! 隼騎士団よ! 我に続け! 竜を殺して名をあげよ!」

 ゼータは槍を掲げ兵士達を鼓舞する。


「ベトレー、お前は剣竜の相手をせよ! 俺が怪腕竜を討つ!」

 ゼータは命じると、手綱を操り怪腕竜に向かって突撃した。


 向かいくるゼータに対し、怪腕竜に跨る魔族も双剣を構える。

 ゼータが渾身の力を込めて槍を繰り出すと、魔族は双剣を交差させて槍を受ける。


 槍と双剣の間で火花が飛び散る。ゼータは槍を押し込もうとするも、双剣を構える魔族の腕は太い。声と共に双剣が振るわれ、槍が弾かれる。さらに怪腕竜が巨大な右手を振るう。

 怪腕竜の大きな腕には、剣のように長い爪がついている。あの爪に一薙ぎされれば、馬の首すら容易く両断されるだろう。

 ゼータは槍を振るい、左から迫る巨大な手を弾いて竜の爪から逃れる。


「ほぉ、やるな」

 怪腕竜に跨る魔族が声を漏らす。その言葉は人間が使う言語であった。


来週中に外伝集で更新していたメビュウム内海編をこちらに移植します

いろいろご迷惑をおかけするかもしれませんが、ご了承ください

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― 新着の感想 ―
存外に出来る。しかし……ゼータ殿は良くても、他はどうか……
天啓「そうよ、貴方が魔王軍を滅ぼすの、頑張って(ニヤニヤ)」
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