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【アニメ化決定】ロメリア戦記~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~  作者: 有山リョウ
第六章 ディナビア半島編~停戦して交渉して解放した~

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第七十話 ジュネル攻略戦➆

いつも感想やブックマーク、評価や誤字脱字の指摘などありがとうございます。

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 アルビオンは二千体の女子供の魔族を前に、槍斧を突き付けた。

 後ろには四百人の兵士が槍を構え、穂先を揃える。


『お前たちの覚悟は受け取った。戦うと言うなら殺す! だが逃げる者は追わん! 戦いたい者は残り、逃げたい者は逃げよ! 今から十数える。数え終わった時、残っている者は殺す! ひと〜つ!』


 アルビオンは高らかに時を数えた。『二つ』と数えた時、魔族達は目を見合わせ、『三つ』を数えた時、一体の魔族が後ろに下がる。そして『四つ』を数えた時、後ろに下がった魔族が振り返って走りだした。


 魔族達の間に動揺が走る。だが誰も逃げる魔族を止めない。むしろ続くべきかどうか迷いをみせる。

 アルビオンが『五つ』を数えた時、逃げ出した魔族が集団から抜け出す。そして元来た道を辿り、白鳥宮へと続く角を曲がろうとする。その時だった。


 逃げようとした先から一本の矢が飛来し、逃げる魔族の胸を貫く。魔族は悲鳴をあげた。そこにさらに数本の矢が飛んできて、逃げた魔族の腹や足、頭に命中した。

 矢を受けた魔族はそのまま倒れ、動かなくなった。傷口からは血がこぼれ出し、石畳に広がっていく。


 魔族達が息を呑む中、矢が放たれた道の角から行進の足音が聞こえてくる。

 整った足音と共に、道の角からは鎧を着込んだ魔族の兵士が姿を現す。盾と槍を持つ二十体の兵士が横一列に並び、盾の壁を構築する。そしてその後ろに、弓を持つ兵士が二十体並ぶ。


 弓を持つ魔王軍は矢を番えて引き絞る。しかしその鏃が狙うのは、アルビオン達ではなくその前にいる女子供の魔族だった。

 なぜ味方である魔族の兵士から、矢を向けられるのかと魔族達は戸惑いの目を向ける。すると角から、さらに一体の兵士が姿を現した。


 赤い全身鎧を着込み、手には指揮棒を持つ魔族だった。魔王軍は兵士に黒い鎧を支給している。しかし武功高き者には、赤い鎧を身につけることを許していた。そして魔王軍は、強い者が上の立場につく習慣がある。つまり赤鎧は精鋭であり、指揮官の証でもあるのだ。

 現れた赤鎧の指揮官は、兜の下にある細い目で女子供の魔族を睨んだ。


『逃げるな! 戦え! これはズオルム総督の命である! 逃げるものは反逆者として討つ!』

 赤鎧の魔族はエノルク語で怒鳴る。すると前列で盾と槍を構える兵士が武具を突き出し、後列にいる弓兵が矢を引き絞って弦を鳴らす。


『そんな! 何故私達に武器を向けるの! 私達の味方じゃないの!』

『黙れ! 逆らう者は殺す! 戦え! 戦わぬ者は反逆者だ!』

 女魔族が叫ぶと、赤鎧の指揮官が指揮棒を殴りつけるように振るう。


 二千体の魔族の女子供達は息を呑み、もはや声もない。

 味方に弓を向ける魔王軍を見て、アルビオンも眉間に皺を走らせる。


 督戦隊。魔王軍は非戦闘員を戦わせるため、逃げる者を殺す特別部隊を用意していたのだ。しかしアルビオンも数字を数えるのを、やめるわけにはいかなかった。


 アルビオンが『六つ』と叫ぶ。督戦隊を注視していた魔族の住人達が、アルビオンに視線を戻す。


 魔族の住人達の視線は前と後ろを彷徨う。

 前にはアルビオンを先頭に四百人の兵士達。後ろには四十体の魔王軍。

 前に進めば皆殺しにされ、後ろに逃げれば今度は同胞に討たれる。

 時は無常に過ぎていき『七つ』『八つ』『九つ』と数えられていく。


 逃げるに逃げられない魔族の住人達は、この場に残るしかない。

 アルビオンは目を細め、奥歯を噛み締めた。最後の数字を言って仕舞えば、もう戦うしかない。魔族の住民達も逃げたいだろうが、後ろを塞がれている。そして同胞に殺されるよりはと、視線を前にいるアルビオン達に向けた。

 アルビオンは覚悟を決め、『十』と数えた。直後、鮮血と悲鳴が舞った。


今回はちょっと短めでゴメン

キリが良かった

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[一言] 特戦隊まで……
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