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【アニメ化決定】ロメリア戦記~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~  作者: 有山リョウ
第六章 ディナビア半島編~停戦して交渉して解放した~

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第四十六話 ジャムールの攻防④

いつも感想やブックマーク、評価や誤字脱字の指摘などありがとうございます。

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 雲一つない青い空に、ライオネル、ホヴォス、ジュネブルの三つの旗が立てられた。ディーナ山系から吹き降ろす風に、旗は大きく翻る。旗の間を太鼓と銅鑼の音が駆け抜ける。すると号令が掛けられ、ジュネブル王国の兵士達の行進の足音が連なる。

 兵士達が進む先は、ジュネブル王国の旧王都であるジャムールだった。対するジャムールでは竜の旗が掲げられ、南に面した城壁には弓を持つ魔王軍が整列していた。


 私は本陣が置かれた丘の上で、前進するジュネブル王国軍を見つめていた。側にはアルとレイ、そしてレイに首元を掴まれたクリ-トがいる。他にもジャネット女王に娘のジュジュ王女とゾレル枢機卿。そしてディモス将軍がいる。


 私は頃合いを見て手を掲げ、太鼓と銅鑼の音を止める。すると前進するジュネブル王国軍がゆっくりと停止した。

 ジャムールに迫ったジュネブル王国軍は、南の城壁を囲うような形で待機する。しかし矢が届く距離ではなく、城壁に陣取る魔王軍も動かない。


「本当によろしいですか?」

 私が視線を送るとジャネット女王が静かに頷く。私は小さく息を吐きアルとレイ、そしてレイに首根っこを掴まれているクリートを見た。


「ではアル、レイ。それにクリート。やってください」

 私が命じると、アルとレイが背筋を伸ばして敬礼する。だがその横でクリートが叫んだ。

「待て、どうして私がこんなことを、私は宮廷……」

「分かった分かった宮廷魔道士。ほら、いくぞ。早くしろ!」

「そうだ、人のできないことをする。これぞ宮廷魔道士の仕事だぞ」

 アルが急かすように手を叩き、レイが右手でクリートを掴んだまま引っ張る。クリートはもがくがレイの腕はびくともしない。


 レイはクリートを引っ張って歩く。レイが進む先には、翼竜が翼をたたみ地面に座っていた。

 翼竜の背には鞍、口には手綱が取り付けられている。手綱は翼竜の傍に立つ兵士がしっかりと握りしめていた。


 レイは兵士に歩み寄ると、左手で手綱を受け取る。そして右手一本で、クリートを翼竜の鞍の上に放り投げた。荷物のように投げられたクリートは、鞍で腹を打って悶える。一方レイはまるで重力から解き放たれたかのように跳躍し、翼竜の鞍に飛び乗る。


「離せ、止めろ!」

 鞍に跨ったレイの後ろではクリートが叫ぶが、レイは右手でクリートを掴みながら左手で手綱を操る。手綱の合図に翼竜が首と足を伸ばし、一鳴きしてから大きな翼を広げた。周囲にいた兵士たちは慌てて距離を取る。翼竜は数回ほど羽ばたいたのち、翼と足を畳んで体を沈ませる。


「よし、いくぞ」

 翼竜の準備が整ったのを見て、レイが声をかける。そして体から緑色の光が放たれた。すると周囲には俄に風が巻き起こり、草や土埃を巻き上げる。風が徐々に強まり最高潮に達した時、身をたわめた翼竜が真上へと跳び上がった。空へと飛び出した翼竜は、即座に翼を広げ風を受ける。薄い皮膜で出来た翼は風を受けて帆のように膨らみ、翼竜の巨体が大空に舞い上がった。


 空を飛ぶ翼竜の背で、レイがさらに魔法を使い気流を生み出す。風を受けて翼竜は大きな円を描きながら上昇していく。

 一方残されたアルはと言うと、周囲に誰もいない場所に移動していた。その右手には愛用の槍斧を担いでいる。


 アルは天高く舞い上がった翼竜を一度見上げると、槍斧の柄の中程を掴み横にして頭上に掲げた。すると空を飛ぶ翼竜が大きく宙返りをして反転、アルに目掛けて一気に急降下してくる。


 地面に激突すると思った瞬間、翼竜は身を翻して急上昇する。その鉤爪にはアルが掲げた槍斧が掴まれており、アルも一緒に空高く舞い上がっていく。

 私は飛んで行く三人を見送った。




皆さん、あけましておめでとうございます

今年もよろしくお願いします

今回はちょっと短いので、明日も更新します

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― 新着の感想 ―
(竜の)背に乗るか、鈎爪につかんでもらうか、 選ばせてあげよう。
[一言] あけましておめでとうございます クリート君がお年玉になるんですね
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