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【アニメ化決定】ロメリア戦記~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~  作者: 有山リョウ
第六章 ディナビア半島編~停戦して交渉して解放した~
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第二十八話 イザークの苦悩④

いつも感想やブックマーク、評価や誤字脱字の指摘などありがとうございます。

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マグコミ様で連載中ですよ。




 ライオネル王国の陣地を見学したイザーク達は、ロメリア達と共に寝泊まりする天幕へと向かった。

 用意された天幕が見えてくると、可愛らしい鳴き声が聞こえてきた。目を向けると、柵の向こうには分厚い鱗を持つ竜がいた。竜はイザークを見て嬉しそうに瘤の付いた尻尾を振っている。

 イザークの親友とも言える、装甲竜のルドだ。


 ルドはイザークに会えて嬉しいらしく、柵を乗り越えそうになっていた。装甲竜の巨体と重量の前では、木の柵など簡単に破壊される。柵を壊させる訳にはいかないので、イザークは慌ててルドに歩み寄り宥めた。

 鼻先を撫でてやるとルドは嬉しそうに喉を鳴らし、瘤のついた尻尾をブンブンと振るう。


「こちらもよく懐いておりますね」

「ええ、甘えん坊で困りますよ」

 もっと撫でてくれと頭を擦り付けるルドを見て、ロメリアが頬を緩ませる。


「この子はいくつぐらいなのですか?」

「もう十歳になります。いい年齢なのですけれどね、子供っぽさが抜けなくて」

「子供の頃から育てられたので?」

「私が五つの誕生日に、父上から卵をいただいて育てました」

 甘えるルドにイザークは手を焼きながらも、笑ってロメリアに答えた。


「イザーク様、そろそろ中に入りましょう」

 ギャミに促され、イザークはロメリアに頭を下げる。


「ロメリア様、今日はありがとうございました」

「いえ、こちらも有意義な時間でした。またお話をお聞かせ願いますか?」

「もちろんです」

 ギャミが頷くと、ロメリアは会釈した。


 これで会談は終了となり、ロメリアは護衛のレイヴァンと共に去っていく。

 帰っていくロメリアの背中を見て、イザークは問題なく終わったと、内心胸を撫で下ろす。すると不意に視線を感じ、イザークは首を返した。


 傍ではギャミがイザークに視線を投げかけており、そばに控えるアザレアは目を伏せていた。

 ギャミは一瞬だけ渋面を作りイザークを睨んだが、何も言わず踵を返し天幕の中に入っていく。その後をアザレアが静かに追いかけていった。


 両者の非難めいた視線と態度に、イザークは何か失敗したかと今日のやりとりを思い返した。だが思い当たることは何もなかった。

 首を傾げるイザークが天幕に戻ろうとした時、天幕の入り口に歩哨として立たせたサーゴがいないことに気づいた。


 どこに行ったのかと周囲を見回す。すると入り口から離れた天幕の影から、なにやら話し声が聞こえた。覗いてみると大きな樽を挟んでサーゴがユカリと話し込んでいた。

 ユカリを前に、サーゴは緊張しぎこちない笑みを浮かべている。一方でユカリもまんざらでもないらしく、時折サーゴに視線を向けていた。


「何をしている、サーゴ」

「あっ、違うんだイザーク。ユカリさんにお手伝いを頼まれて」

「すみません。私が樽をこちらに運んでくださいと、サーゴさんに頼んでしまって」

 問いただすイザークにサーゴが慌てて否定し、ユカリも目の前の樽を見る。


「いえ、それならかまいませんが」

 ユカリを叱るわけにもいかず、イザークは仕方がないと頷く。


「で、では、私はこれで」

 ユカリは恥ずかしそうに視線を彷徨わせると、そそくさと立ち去ろうとする。だがその前に一度振り返り、サーゴに向かって微笑みを返す。

 笑顔を向けられたサーゴは、小さく手を振り返した。イザークは惚気た態度を見せるサーゴにため息をついた。


「別に話すなとは言わんが、しっかりしてくれよ」

「分かっているさ。少し話をしただけだ」

 サーゴがむくれて言い返し、歩哨の仕事に戻った。


今回もちょっと短めでゴメン

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― 新着の感想 ―
[良い点] イザーク君が15歳 ギャミの部下で、ガリオスの子は素直 ガリオスが子供にプレゼントをする 翼竜以外の竜も懐く 自分が得られた情報はこのくらいです。 [気になる点] イザーク君の素直さが失…
[一言] 竜の育て方のヒントを教えた形になるから?
[一言] 卵を産んで10年、というのが軍事情報なのかなぁという気はする。
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