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【アニメ化決定】ロメリア戦記~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~  作者: 有山リョウ
第五章 ガンガルガ要塞攻略編~連合軍と共に、難攻不落の要塞を攻略しに来た~
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第百九話 ガリオスの停戦

前回が短かったので今日も更新


いつも感想やブックマーク、評価や誤字脱字の指摘などありがとうございます。

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 ガリオスの口から意外な提案がなされた。

「ロメリア。魔王軍は停戦を申し込む。呑むか?」

「……本気ですか?」

 穴の底で見上げるガリオスに、私は問い返した。


 これまで人類と魔王軍が、停戦や休戦といった戦時条約を公式に結んだことはない。それが魔王軍の側から、しかもガリオスの口から出るとは思わなかった。


「本気だ、嘘は言わねぇ」

 堂々とガリオスは答える。敵ではあるが、ガリオスの言葉は信じられた。


 あらゆることを力で押し通せるガリオスは、嘘や偽りを言う必要がない。やるといったら必ずやる。それがガリオスだ。それにガリオスの目は、先程とは少し違っていた。ただ楽しいことだけを追い求める、純真な子供の目ではない。瞳の奥に、深い知性を感じさせた。


「ついに答えを見つけたのですね」

 私の言葉に、ガリオスは太い顎を引いた。


 ガリオスが求めていた答え。それは言葉にすれば簡単、しかし本人が見つけるしかないもの、理想と呼ばれるものだった。

 道を究めんとする者は、誰もが必ず失敗し、挫折を経験する。そして迷いながらも自分の理想を見つける。大きな理想や目標がなければ、困難を振り払い、前に進むことが出来ないからだ。だが竜の体に童の心を持つガリオスは、ひたむきに強さを追い求め、理想を持つことなく最強の頂にたどり着いてしまった。


「何故です。何故停戦を! 父上の力があれば……」

 ガリオスの停戦が受け入れられないのか、息子のイザークが口を挟んだ。

「ああ、俺は生き残れるだろう。だが他の奴はどうだろうな?」

 ガリオスの言葉にイザークは黙った。

 戦況はガリオスの言うように混迷を極めている。このまま戦えば強い者だけが生き残る乱戦となる。停戦は現実的な判断と言えた。


「だが言っておくがロメリアよ。譲歩してんのはこっちだぞ。あと少しすればヒルド砦から出てきた二万の兵士もやってくる。そうなればここも乱戦だ。お前はそこの青い奴と一緒に空を飛んで逃げられるだろう。だがそこの旗持ってる男前と、氷のねーちゃんの首はこっちが取る。困るのはそっちだろうな」

 ガリオスは的確にこちらの急所を突いてくる。


 ヒュース王子とグーデリア皇女を失えば、ヒューリオン王国とフルグスク帝国は、指揮を執る者がいなくなってしまう。両国は戦うことも撤退することも出来ず、全滅に近い形になるだろう。

 人類を代表する大国の軍勢が消滅すれば、後の世界がどうなるか予想も出来ない。


「停戦するのはいいとして、条件は?」

 私は肝腎の条件を尋ねた。停戦するにしても魔王軍に有利な形で結ぶわけにはいかない。

「とりあえず、丸一日の戦闘行動の停止。要求は捕虜の解放と十日分の食料。こっちから出すのは、ガンガルガ要塞とヒルド砦の明け渡しだ」

 ガリオスの提示した条件は、双方に利のあるものだった。

 魔王軍にとっては、もはやヒルド砦に立て籠もる理由はない。一方で連合軍も、ガンガルガ要塞を攻略した以上、無理に魔王軍と戦う必要はない。


「どうだ、呑むか?」

 ガリオスの提案を断る理由はなかった。そもそもガリオスが言い出さなければ、私は後退して魔王軍をローバーンへと逃すつもりだった。


「ヒュース様。これでよろしいですか?」

 私は巨大な国王旗を支える、ヒュース王子に尋ねた。

 ヒュース王子は、ヒューリオン王から次期国王の指名がなされている。連合軍の盟主として、停戦の判断を下す決定権があると考えていい。


「父上、これでいいな」

「好きにせよ」

 ヒュース王子が倒れ伏すヒューリオン王に同意を求め、ヒューリオン王もこれに頷く。

 私はガリオスを見て、合意したと頷く。


「よし、停戦だ! 双方それまで! 戦いを止めろ!」

 ガリオスの大音声が、戦場に響きわたる。

 人類と魔族、双方の歴史において『ガリオスの停戦』と語り継がれる停戦条約が結ばれ、ここにガンガルガ要塞をめぐる攻防戦が終結した。


これにてガンガルガ要塞攻略編完結

これで書籍掲載分が終わりました

来週からは新章が始まります。お楽しみに

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― 新着の感想 ―
燃えに萌えた!
[良い点] 肉体的に無茶苦茶強い人が、技術的にも強くなって、更に本とかで勉強して色々知って、更に理想や深く考えるようになるなんて… ガリオスこれ、まだまだ伸びまくりそうで怖いです。 こんなん世界はどう…
[良い点] すごい!燃えた!そして新章!
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