表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【アニメ化決定】ロメリア戦記~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~  作者: 有山リョウ
第五章 ガンガルガ要塞攻略編~連合軍と共に、難攻不落の要塞を攻略しに来た~
279/462

第十六話 ガンガルガ要塞攻略作戦開始

いつも感想やブックマーク、評価や誤字脱字の指摘などありがとうございます。

小学館ガガガブックス様よりロメリア戦記のⅠ~Ⅲ巻が発売中です。

BLADEコミックス様より、上戸亮先生の手によるコミックスが発売中です。

漫画アプリ、マンガドア様で、無料で読むことが出来るのでお勧めですよ



 天幕の外で並んで立つ双子に私は声を掛けた。

「グラン、ラグン。準備の方は?」

「完全に完了しています」

 私が問うとグランが報告する。見ると確かに、陣地には兵士達が整列していた。


「といっても、やることはあまりありませんが」

 グランの隣にいるラグンが、短く付け加える。

 確かに、今日の作戦ではグランとラグンにしてもらうことはあまりない。ただし、各国代表に対する見栄もあるため、兵士達には完全装備で、陣地に待機するように命じておいた。


 私はグランとラグンを連れて円形丘陵を登り、前線で指揮を執るための本陣に移動する。

 丘の上に築かれた本陣では、オットーにベンとブライ、ゼゼとジニ、ボレルとガット、そして土木作業の現場責任者であるガンゼ親方、魔法兵隊長のクリートが立っていた。

 陣地警備を頼んだグレンとハンス、諜報を任せているカイル以外は揃っている。


「ガンゼ親方、準備は?」

「爆裂魔石の準備は完了した。作業員も全員退避させてある」

 私の問いに、ガンゼ親方が力強く頷く。

「ゼゼ、ジニ、ボレル、ガット。連合軍各国の動きはどうですか?」

 私はロメ隊の四人に尋ねた。


「はい、ロメリア様! 先程馬を走らせて、戦場を確認してきました!」

「戦場に連合軍の姿はありません。完全に無人です」

 ゼゼが元気よく報告し、落ち着いたジニが顎を引く。

「各国の将軍はそれぞれの陣地で、ことの成り行きを見守っているようです」

「ただし、王子や王女達はハメイル王国の陣地に集まっているようです」

 ボレルが各国の将軍達の動向を伝え、ガットが王族の居場所を報告する。

 各国の王子や王女達が、なぜハメイル王国の陣地に集まっているのは謎だが、特に影響はないと判断して私は頷いた。


「ベン、ブライ。魔王軍の動きは?」

「ロメリア様。魔王軍に目立った動きはありません」

「ただ、表門に僅かに動きがあり、連弩と投石器が準備されているようです」

 私の問いに、ベンとブライが細かく報告する。

 二人の報告に私は満足した。


 魔王軍の動きはこちらの予想通りだ。やはり彼らは優秀な軍人揃いだ。私達の作戦を予想し、最も効果的な手段を取ってくる。問題は私の作戦が、彼らの予想を上回っているかどうかだ。

 私はガンガルガ要塞を臨み、そして円形丘陵に築かれた各国の本陣を見る。

 丘陵の上には五つの本陣が築かれ、連合各国の代表が私を見ている。いや、私が失敗するところを見ようとしている。


「では、皆さん。早速……」

「もうおやめください、ロメリア様!」

 私が作戦開始の号令を告げようとすると、制止の声がかかった。私は声がした方向に顔を向けると、赤い服を着た秘書官のシュピリが立っていた。

 我が秘書官はなかなかにひどい格好だった。髪は乱れ、昨夜はよく休めなかったのか目の下には大きなクマがあった。


「もう大丈夫ですか? シュピリさん。今日は一日、休んでいて構いませんよ」

 私は昨日倒れたシュピリを労る。

「休んでなどいられません。もうおやめください。攻撃は失敗します。各国に詫びてライオネル王国に帰りましょう。信頼は失うかもしれませんが、兵士が死ぬよりはマシです」

 シュピリの言葉に、私は感心した。

 兵士をどれだけ殺しても構わないから、手柄を上げろと言いそうな彼女だが、無駄な攻撃で人命を損なうべきではないと考えたのだ。


「そういうわけにはいきません。このために準備したのです。やめるわけにはいきません」

 私は首を横に振り決意を伝える。シュピリはもう何を言っても無駄なのだとうなだれた。

 私はガンガルガ要塞に目を向け、一度大きく息を吸い、そして吐く。

 事前の調査や準備に抜かりはない。成功する確率は高いはずだ。しかし結局のところやってみるまで結果は分からない。ならば信じて進むだけだ。

 私は獅子と鈴蘭の旗の下で剣を抜き、天を突くように掲げた。


「作戦開始!」

 号令と共に剣を振り下ろすと、爆発音が戦場に響き渡った。


今日は短いですがキリがいいので。

明日も更新します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ロメ様の活躍が楽しみー どんな作戦か早く読みたい。 ロメ隊の色んな人物に焦点があたるのが楽しみ。 20人もいて、どんな個性があるのか 今回アルとレイがいない分、他の隊員が知れる機会になると思…
[一言]  もうそろそろ答え合わせの時間だろうから、どんなものか楽しみです。まあ、地形が窪地で、近くに川がある。ここまでが最初に説明された部分。トンネルを掘り、更に掘った土で川幅が狭くなっていて、発破…
[一言] シュピリさんはここまで行くといっそあっぱれ ロメ様陣営で唯一成功信じてないから心労がきつそうだけど
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ