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【アニメ化決定】ロメリア戦記~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~  作者: 有山リョウ
第三章 ロベルク地方編~軍事同盟を作って、魔王軍の討伐に乗り出した~

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第七十六話 責任の所在



 ミアさんの部屋を出て扉を閉めると、私は目の前にいるクインズ先生を見た。私の顔からはすでに笑顔が消えており、クインズ先生の顔も引き締まっている。

 クインズ先生がミレトの街から来たのは他でもない。ミカラ領のいや、ロベルク地方の今後を話し合うために来たのだ。


 戦火に見舞われたミカラ領は、今絶望と苦しみに喘いでいる。

 女主人であったカーラさんと、実質的に領地を切り盛りしていたカルスの両名が亡くなり、さらに領地を守る兵士も、ロベルク同盟軍と共に壊滅している。

 幸いにも多くの村人達は生き延びたが、ロベルク同盟軍には多くの男達、つまり働き手が参加しており、ミカラ領をはじめ、ロベルク地方は多くの労働力を失っている。

 これは城館が焼失し、村を魔王軍に略奪された以上に問題だった。正直、ミカラ領の今後は絶望的だ。独力では立ち行かないだろう。


「先生、やはり投資は厳しいですか?」

 私はクインズ先生に尋ねた。

 現在私が立ち上げた同盟では、ロベルク地方の領地に資金を投資し、経済の活性化と産業の育成を促している。

 この一環として、私はミカラ領に資金を与え、救済しようと考えたのだ。しかし経済と数字に強いクインズ先生の顔は険しい。


「はい……現状のミカラ領に投資は難しいでしょう。どれほど資金を投入しても、採算が取れません」

 クインズ先生は首を横に振り、私は唸った。

 我がグラハム伯爵家は、王国でも有数の大貴族だ。ミカラ領を救うぐらいの資金はある。

 私としては、ソネアさんを助けてあげたかった。クインズ先生もその気持ちは同じだ。しかし経済にこの手の私情は禁物だ。

 経済では何よりも利益が優先される。利益の出ないところに、資金を投入してはいけない。


 もちろん、今回だけは例外とすることも出来る。

 だが一度例外を許せば、次に同じような問題がやってきた時、あの時は例外を許したのに、なぜ今回はダメなのかという迷いが生じる。

 そしてその迷いは、永遠に付きまとうこととなる。安易に選ぶことは出来ない。


「ロメリア」

 名前を呼ばれ振り向くと、そこにはヴェッリ先生とハーディーがいた。

 ヴェッリ先生は珍しく髭を剃り、生成りのシャツに金糸の刺繍が施された深緑のジャケットを着込んでいる。こうして着飾ると実に男振りが上がり、まるで貴族の貴公子のようだ。

 もっとも、実際にヴェッリ先生は名門貴族であるニッコロ家の一員であり、立派な貴公子なので、これこそが本来の姿と言える。


 一方でその隣に立つハーディーの顔色は悪い。頰が痩せこけ、目の下には大きなクマが出来ていた。立派なヒゲも萎れた花のように元気がない。

 ハーディーの心中は察するにあまりある。

 彼はソネアさんと一時婚約関係にあったし、亡くなったカーラさんとも家族ぐるみの間柄だった。

 親しい人の死と不幸に、ハーディーは憔悴しきっている。


 しかもハーディーには、このあと辛い仕事が任されていた。

 二人はケネット男爵領のユルバ砦で指揮を執っていた。わざわざここに来たのはほかでもない、ロベルク同盟軍の敗北、その原因を調べる審問会を開くためだ。


 グラハム伯爵家としてもロベルク同盟軍の敗戦を重く受け止めており、状況の調査と、敗北の原因究明に乗り出している。

 ハーディーはお父様子飼いの騎士として、代理人に任命された。そして審問会では事件の状況を見分し、裁定を下す審問官の役割を任されている。

 ヴェッリ先生は中立な立場から話を聞き、調書をまとめる書記に立候補してくれた。

 二人が審問会を取り仕切ってくれれば、公正な裁定を下してくれることだろう。


 だが此度の敗戦はあまりにも被害が多すぎた。しかも敵である魔王軍を全く倒せておらず、言い訳が出来ない敗北だ。

 ロベルク同盟の貴族達は、この責任を問われることとなるだろう。もちろん最も重い罰が下されるのは、ロベルク同盟の盟主でもあったミカラ男爵家だ。


 おそらくミカラ男爵家は取り潰しとなるだろう。奇跡的に取り潰しが免れたとしても、大幅に領地を減らされることは間違いない。

 ただでさえ領地経営が立ち行かぬというのに、この上さらに土地を減らされては、取り潰しを逃れてもミカラ男爵家は名ばかりの貴族となってしまう。

 その処分を、ハーディーは母を亡くしたソネアさんに下さねばならないのだ。


 私はハーディーに何か声をかけようとしたが、言葉が見つからず、廊下を見た。

 この廊下の先には大きな会議室があり、そこでロベルク同盟の貴族達を集めて、審問会が行われることになっている。私は敗戦後に最初に現場に入った証人として、クインズ先生は私が不在の時の代理人として参加する予定だ。

 気の進まない仕事だが、だからこそ早めに終わらせたほうがいいかもしれない。


「話し合いの時間にはまだ早いですが、先に部屋に入っておきましょう」

 私の提案にヴェッリ先生が頷き、ハーディーとクインズ先生も続く。

 三人を連れて会議室に向かうと、会議室の扉からは大きな声が漏れ出てきていた。

 私は中で起きている事態に気付き、慌てて扉を開けた。

 扉を開けると会議室では、椅子に座るソネアさんの周囲を、四人の男性が取り囲み激しい叱責を浴びせていた。


「この度の一件! 全ての責任は兵を指揮したカルスにある!」

「多くの兵がむざむざと殺された! この責任をどうするつもりです!」

「殺された兵士の賠償金は、領地を売ってでも払ってもらいますぞ!」

「それだけでは足りませぬ! 我が領地では働き手が足りず、今年の収穫は大きく落ち込む。その補填もしていただかなければ!」

 四人の男達は、ロベルク同盟に参加していた貴族達だった。

 貴族の叱責を浴び、ソネアさんは顔を伏せながらも気丈に耐えていた。

 その姿を見てハーディーが額に血管を浮き上がらせたが、激昂する寸前で私が手で制する。


「何をしているのです!」

 私はハーディーに代わって声を荒げた。

 お父様の代理であり、裁定を下すハーディーがソネアさんをかばうのは外聞的に良くなかった。何より女性一人に男四人が取り囲み叱責する光景に、私自身、堪えきれぬ怒りが湧いた。

 刃のように鋭い私の声に、ソネアさんを責めていた四人の領主達がこちらを見て視線を彷徨わせる。


 本来では全員が揃ったうえで話し合い、公正に証言を聞き、敗北の原因と責任を追及するはずであった。

 しかし彼らは先に集まり話し合いを、いやソネアさんを弾劾する裁判を開始していた。


 おそらく審問会の前にソネアさんを糾弾し、全ての責任を押し付けるつもりなのだろう。

 私が領主達をにらみつけると、ハーディーが前に出た。私は不安を覚えたが、ハーディーは冷静さを取り戻していた。


「審問会の時間はまだ先のはずです。勝手に始められては困ります」

 ハーディーは落ち着いた声で、四人の領主に注意する。

「いえ、違うのです、ロメリア様。私達はただ内輪の話し合いをしていただけです」

「そうです、ロベルク同盟の話し合いをしていたまでのこと」

「審問会には関係のない話ですよ。もちろんロメリア様にも関係のない話です」

「まったくその通り。ハーディー、ロベルク同盟に参加していないドストラ家も関係ない。口を挟まないでもらおう」

 ロベルク同盟の貴族達は、次々に詭弁を弄する。


「すみませんが、口には気を付けていただきたい」

 着飾ったヴェッリ先生が前に出た。

「私はニッコロ家のヴェッリです。審問会では書記を務めさせてもらいます。そしてここにおられるハーディー様は、このたびの審問会の審問官に任命されました。審問会の間はグラハム伯爵様の代理でもありますので、敬意をもって接していただきます」

 ヴェッリ先生は、まず立場の違いを明確にした。


 ハーディーのドストラ男爵家は、ロベルク地方でも新興の家だ。そもそも年齢が若く、ロベルク地方の貴族達の間では下に見られている。

 だがお父様の代理となった今はハーディーへの無礼は、お父様に対する無礼と言うことになる。

 身分を振りかざす行為だが、高圧的に出る貴族に対しては有効な一手だ。

 さすがはヴェッリ先生と拍手を送りたい気分だ。


「なっ、ハーディーが審問官だと!」

「聞いていないぞ、そんなこと!」

「不公平ではないか!」

「それに貴方はロメリア様の軍師であろう。人選に偏りがある。こんな審問会はあり得ぬ」

 四人の貴族達が、口々に不平を漏らす。


 確かに、ソネアさんとは一時婚約関係にあったハーディーが審問官に選ばれ、ソネアさんと親しい私の軍師であるヴェッリ先生が書記と言うのは不公平な人事だろう。

 しかしヴェッリ先生はどこ吹く風と言った様子だ。


「何が不公平なのです? あなたたちが言われるとおり、今回の一件はロベルク同盟と魔王軍との問題のはずです。ドストラ男爵家とは何も関係がありません。もちろんロメリア様とも何も関係がなく、私が書記をしても不都合はないはずです」

 ヴェッリ先生は、先ほど言われた言葉の上げ足をとって反論する。


「少しお待ちいただきたい」

 会議室に声が響く、視線を向けると離れたところ置かれた椅子に、金の刺繍が施された司祭服を着た男性が座っていた。ギルマン司祭だ。

 王都にある救世教会の大聖堂から派遣された彼は、私のことを嫌っていた。

 本来、救世教会はこの審問会には関係ないが、ギルマン司祭はロベルク同盟の後ろ盾となり、後押しした経緯がある。


 それにギルマン司祭は王都から地方に遊びに来たわけではない。ロベルク地方で信者を増やし、貴族達と懇意になり自分を支持してくれる地盤を作りに来たのだ。ここでロベルク同盟の領主達を失えば、手ぶらで王都に戻ることとなる。

 そうなれば教会内部での出世競争からは外されてしまう。ギルマン司祭は、この審問会を黙って見過ごすわけにはいかないのだ。


「グラハム伯爵様が代理として認められたのですから、ハーディー様はいいでしょう。しかしロメリア様と関係の深い、貴方が書記と言うのは問題なのではありませんか?」

「何故でしょう?」

 ギルマン司祭の言葉に、ヴェッリ先生は余裕然とした態度で受け止めた。

「こう言っては何ですが、此度の敗戦。その原因はロメリア様にある。ならばその軍師である貴方が書記と言うのは問題では?」

 ギルマン司祭の言葉にヴェッリ先生は笑った。


「何をおっしゃるかと思えば、なぜロメリア様がロベルク同盟軍の敗因になるのです? 戦闘行動があった当時、ロメリア様ははるか遠い地におられたのですよ?」

 ヴェッリ先生が無関係を主張する。

「確かにロメリア様は別の場所におられました。しかし配下である兵士がここにおりました。彼らは捕らえられた無許可の癒し手、女修道士の逃走を幇助するために、城館に潜入したのです。ロベルク同盟軍は彼らの妨害に遭い足並みが乱れ、そのために敗北したのです」

 ギルマン司祭はもっともらしい言い訳を述べた。


 だがこのもっともらしいというのは曲者だ。否定する材料がない場合、もっともらしい話が、真実となってしまう場合がある。

 それに動かせない事実として、カイル達はミカラ領で戦い、現在も怪我人としてこの館で療養中だ。彼らがいた事は覆せない。


「いいえ、そのようなことはありません」

 会議室に凛とした声が響く。声を上げたのは、髪を結いあげ服装にも隙のないクインズ先生だった。

「確かにカシュー守備隊の兵士が、ミカラ領で戦闘行動を行ったことは事実です。しかし彼らは決して城館への潜入や捕らえられた女性修道士の逃亡の幇助、ましてやロベルク同盟に対する妨害工作などしておりません」

「では何のために、少数でミカラ領にいたというのです?」

 きっぱりと言い切るクインズ先生に、ギルマン司祭が鋭く問う。


「彼らはカシュー守備隊の偵察兵で、発見した魔王軍を追跡していました。そしてミカラ領が襲撃されるのを見て、防衛に参加したのです」

「たった五人で、ですか?」

「彼らは勇敢なのです。無辜の民が殺されるのを、黙って見ていることが出来なかったのでしょう」

 クインズ先生は、ギルマン司祭のもっともらしい話に対して、もっともらしい話で返す。


「では捕らえられた女修道士は、どうやって逃げ延びたというのです? 戦闘行動があった当時、女修道士は地下牢に捕らえられていたはずです。何者かが助け出さなければ、外に出ることは出来ません」

「その何者かについてですが、おそらく亡くなられたカルス様でしょう」

 ギルマン司祭が矛盾を突くと、クインズ先生は即座にカルスの名前を出した。


「城館に逃げ延びた村人が、カルス様が女性の修道士を抱えている姿を目撃しています。一方で、カシュー守備隊の五人が、その女性修道士と一緒に行動しているところは目撃されておりません」

 クインズ先生は村人の証言を引き合いに出す。


 そういえば確かそんな報告があったと思う。しかし事件の調書は大量にあったため忘れていた。だがクインズ先生は短時間で細かい報告まで丹念に読み、記憶していた。さすがはクインズ先生だ、本当に頼りになる。


「では、女修道士を助けに来たのではないと?」

「もちろんです。実際にその女性修道士は、現在もこの館で幽閉しており、一歩も外に出しておりません。もし逃がすつもりなら、すでに逃がしております。これだけでも、ロメリア様が逃亡幇助をしていない証明になるはずです」

 クインズ先生はさらに反論する。

 実際にはミアさんの怪我が大きく、動かすことが出来なかっただけなのだが、クインズ先生は、私達の都合すら武器とした。


「では、女修道士を裁判にかけてもよいと?」

「もちろんでございます。罪があれば裁かれるのは当然の事。協力こそすれ、妨害などいたしません。どうぞ裁判を御開きになってください」

 裁判を開くとするギルマン司祭に対して、クインズ先生はミアさんを守らず、むしろ差し出した。

 だがこの言葉に目を細めたのは、ほかでもないギルマン司祭だった。


 ギルマン司祭がミアさんを捕まえたのは、私への嫌がらせだ。

 妨害のために裁判を開くとしていたが、今やギルマン司祭に裁判は起こせなかった。

 何故なら教会が裁判を起こすには、大金が必要となるからだ。


 裁判を起こすには、最低でも三人の聖職者が必要となり、この地に呼び寄せなければいけない。

 しかしそこはごうつくばりの巣窟ともいえる救世教会である。こんな何もない田舎にタダで来てくれるもの好きはいない。彼らを呼ぼうとすれば大金がいる。

 ギルマン司祭は当初、その資金をロベルク同盟に用意させるつもりだった。しかし今やロベルク同盟は大敗し、崩壊の危機に瀕している。

 ギルマン司祭は裁判を開くことが出来ず、ただの脅し文句にしかならないのだ。

 歯噛みするギルマン司祭には打つ手がない。それを見てクインズ先生はさらなる切り札を出した。


「それと事件の調書を見ていて、気になるところを見つけました。それはミカラ家の城館が襲撃され、村人が裏門から逃げて橋を渡っている時のことです」

 クインズ先生は、一つの事件を持ち出した。

「村人が橋を渡って逃げている最中に、何者かが村人の避難誘導にあたっていたカシュー守備隊の兵士を襲い、爆裂魔石を奪って橋を破壊したというのです。橋にはまだたくさんの村人が残っていたというのに」

 クインズ先生の言葉に、集まったロベルク同盟の領主達が顔色を変えた。


 私もその話はメリル達から聞いていた。そのせいで橋に乗っていた多くの人が死傷し、また残された人々が逃げ場を失い魔族の攻撃に晒されたと。

 そしてメリル達を襲い、爆裂魔石を奪った犯人は、目の前にいる領主達だった。


「ハーディー様。これは大変非道なことではありませんか?」

 クインズ先生は、ハーディーに向き直り尋ねた。

「確かに、それが事実だとするなら、相応の処分を下すべきでしょうね」

 ハーディーは控えめに同意した。


「お待ちください、確かに非道ではありますが、敵が迫っていたのであれば、それ以上被害を出さぬためにも、仕方のない犠牲があったのでは?」

 ロベルク同盟の領主の一人で、長い髭を持つ男性が声を上げた。

 確かに、戦争は非情である。多くの犠牲を避けるために、少数を見殺しにする判断を下さなければいけない時もある。それは事実だ。


「女の私には戦争はわかりません。確かにおっしゃられる通り、戦争では避けられぬ犠牲というのもあるのでしょう」

 クインズ先生は領主の言葉を肯定しつつも、首は横に振って続きを話した。

「しかし、これは避けることの出来た犠牲です。調書では魔王軍は橋に近づいておりません。橋を爆破した者は、恐怖に駆られた臆病者です。なんと情けない男でしょう。皆さんそう思いませんか?」

 クインズ先生は橋を爆破する必要がなかったことに加え、領主達を臆病者と公然となじった。


「……それで、その犯人は誰かわかっているのですか?」

 先ほど発言した、長い髭の男性がクインズ先生に尋ねる。

「いいえ、まだ判明しておりません。何せ現場は混乱しており、確たる証言はまだ取れていないようです」

 クインズ先生は笑顔で嘘をいった。

 すでにロベルク同盟の領主達が橋を爆破したことは、メリル達の証言や村人の調書で分かっている。

 しかしクインズ先生は切り札を見せはしたが使いはせず、相手が反撃してきたときにもう一度使用するつもりだ。


「カシュー守備隊としては、この問題を重く受け止めております。特に爆裂魔石を投げて橋を爆破した者は、厳罰に処していただきたい」

 クインズ先生が、ハーディーに訴える。

 その訴えを聞き、ロベルク同盟の領主達の視線が、長い髭の男性に向けられた。どうやら彼が爆裂魔石を投げたらしい。

 領主達の視線に気付き、長い髭の男性が怒りのこもった目で見返す。


 ロベルク同盟の領主達の視線のやりとりを見て、私はクインズ先生の手管に感心した。

 橋の爆破に関しては、私としては領主達四人全員が同罪だと思う。だがあえて一人の罪を重くすることで、領主達の間で責任をなすりつけあう不和の種としたのだ。


 ロベルク同盟の領主達は、旗色が悪くなればミカラ男爵家に全ての責任をなすりつけようとしており、その結束は濡れた紙のように脆い。

 こうなれば少しでも助かろうと、互いに足を引っ張り合い、進んで失策を犯してくれるだろう。


 ロベルク同盟の領主達をやり込めたことで、私は溜飲が下がったが、これを見ても表情を変化させない人が一人だけいた。

 領主達の叱責にも耐えていた、ソネアさんだ。

 彼女は青白い顔のまま、まっすぐ前を見ていた。しかしその視線の先には何もなく、何も映していなかった。


今回はちょっと長め


いつも感想やブックマーク、評価や誤字脱字の指摘などありがとうございます。

十一月十八日にロメリア戦記の二巻が小学館ガガガブックス様より発売します。

よろしくお願いします。

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[一言] ソネアさん何も悪くないのにほんと可哀想
[一言] ソネアさん…
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