第十九話
嵐や地震などは突然やってくる。
私は今目の前にいる少年を見ながらそう思った。
天剣ソラ·アデュミエールが今目の前にいる。
「僕はソラ·アデュミエールと申します。早速だけど、僕と勝負して勝ったらこの国僕にくれないかなぁ」
「その申し出を断るとどうなります?」
「今からここで暴れるかも知れないなぁ」
軽々しく言っているが、断ると本当にここで暴れる可能性が高い。
それならば、外で暴れてもらった方がマシだ。
「わかりました。場所を移して戦いましょう。ただし我が右腕と左腕が相手をします。それでいいですね?」
「うん、僕を楽しませてくれるのなら誰でも構わないよ」
「リヒャルト、アルベル頼むわよ」
「「御意!」」
場所を被害がでない荒れ地に移動すると、早くも剣戟音がなる。
こちらはリヒャルトとアルベルの二人なのにソラ·アデュミエールは拮抗していた。
「うわぁ、強いね! そりゃあ聖騎士団団長でもかなわない訳だ。でも僕はそうはいかないよ」
そう言うと、無数の魔法が無詠唱で放たれる。
一つ一つが属性が異なっている。
「まさかあなたも全属性の魔法を使えるのですか?」
「驚いた? 全属性使えるのは賢者と大公閣下だけじゃないんだよ?」
確かに驚いた。しかし、その程度の魔法はうちの将軍達には通用しない。
剣術の腕はリヒャルトが一番で、魔術と剣術を並行して巧みに戦えるのはアルベルが一番。
ソラ·アデュミエール、確かに魔力の多さは賢者なみで、剣術もリヒャルトに少し劣るだけでトップクラスの剣の腕前だ。
だがリヒャルトとアルベルが組めば、倒せない相手ではない。
現に徐々にリヒャルトとアルベルが圧し始めた。
だがソラ·アデュミエールは余裕の表情をしている。
「さすがは聖騎士団団長を撤退させただけある。ならば僕も本気を出すとしよう」
ソラ·アデュミエールが宙に手を伸ばす。すると空間から天の剣にふさわしき剣が現れた。
その瞬間冷や汗が止まらなくなった。正直天剣を舐めていた。
「リヒャルト、アルベル下がりなさい。私がやります!!」
「ほう、天剣の凄さがわかったと見える。……殺すには惜しいなぁ。まだ若いし、次会ったときに殺し合おうか」
そう言ってソラ·アデュミエールはテレポーテションの魔法で消えた。
正直オズワルド帝国のグラム将軍を少し強くした程度だと思っていた。
天剣を抜く前の彼がそのレベルだったのだから気付くべきだった。
リヒャルトとアルベルが近づいてくる。
「申し訳ありませんでした姫。天剣を抜いた彼に何も出来ませんでした」
「主よすまなかった。天剣があれほどとは」
「謝る必要はありません。彼には今回勝てませんでしたが、生きてます。ならば次には勝てる準備をすればいいのです」
そう次には勝つ準備をしなければならない。
その為にリヒャルト、アルベル、そして私専用のパワードスーツを作る事に決めた。
リヒャルトとアルベルにパワードスーツに必要な素材の調達を頼み、城内に新たに作った鍛治場にこもり、通常のパワードスーツと違い素材は最高級の物を使い各自の運動性能に合わせてパワードスーツの出力を調整していく。
今に見てろ、次に勝つのは私達だ!
◆◆◆
フィンデル教皇国教皇私室にて。
「で将来が楽しみだったから殺さなかったと?」
「ああ、あれはもっと強くなるよ」
「嬉しそうに言われても困るのはこっちよ! 世界統一しないと門は現れないというのに鍵の持ち主がこんなのじゃいつになっても私達の夢は実現しないわよ。まぁ、あんたが殺さなくても聖騎士団の補充は整ったし、まず落とすのはマーダー王国よ。あそこさえ消してしまえばあとは楽に侵略出来るわ」
ソラとスズカが今後について話しているときに兵士から緊急の報告がきた。
「マクスウェル大公国を盟主にした連合国が私達に対して宣戦布告ですってっ!?」
「あちゃー、先手を取られたね」
「誰のせいだと思ってんの? いいわ宣戦布告する手間が省けたってものよ。かかってきなさい連合軍ども!」
◆◆◆
フィンデル教皇国に宣戦布告が伝わる三日前、マクスウェル大公国には、同盟国の代表者が集まっていた。
「で、僕達を集めたのは何故だ?」
話を切り出したのはオズワルド帝国皇帝ユウマ·オズワルド。
「先日、突然マクスウェル大公国に天剣が現れました。結果は完敗でした」
「それでどうして余達わ集める事に繋がるんだ?」
「それは誓いうちにフィンデル教皇国がマーダー王国に対して宣戦布告する可能性が高いからです」
「それで自分らの国を守るために同盟軍にも戦争に参加しろた言うことか?」
ブランタニア国王トール三世が痛い所を責める。
「なぜマーダー王国を狙う可能性が高いか考えてみてください」
「同盟のまとめあげたマーダー王国とその属国のマクスウェル大公国さえ潰せば、あとは簡単に支配できるからだろう。つまり同盟の心臓とも言えるマーダー王国とマクスウェル大公国を我々は潰させてはならないということだ。その為に先にこちらが宣戦布告するという考えだねフューリ殿」
シュライバン共和国の大統領であるクレイ氏がこちらの意図を理解してくれている。
「はい、現在フィンデル教皇国は北大陸別の南西の守護を黒の聖騎士団に任せ、南東の守護を白の聖騎士団に任せています。南西の黒の聖騎士団の相手をブランタニア国とシュライバン共和国で共闘してもらい、南東の白の聖騎士団の相手をヤマト国にしてもらいます。アルナ国、カロマ国、サリモ国、タネン国には、後方からの物資支援、医療支援をお願いします」
中央大陸の四つの小国はあまり戦力にならないので後方支援に回ってもらう事にした。
「そしてマーダー王国、マクスウェル大公国、オズワルド帝国の三カ国は中央から攻め入ります」
この考えに反対の者はいますか?」
どこも反対意見を出さない。
「それではこのプランで宣戦布告といきましょう!」
◆◆◆
連合軍が宣戦布告している最中、リヒャルトとアルベルはフューリの命令に従い、魔の巣窟――南大陸に足を踏み入れていた。
南大陸は凶暴なモンスターが溢れており、危険な為、ギルドによってSランク以上の冒険者じゃないと入れない規定になっていた。
「アルベルさん、姫に頼まれた素材であと必要な物は何でしたっけ?」
「ベヒーモスの角はベヒーモスを倒したからもういらないし、ジャバウォックの爪と牙もジャバウォックを倒したからもういらない。あとは、金剛竜とナノフレームゴーレムを倒せばいい」
「また面倒臭いモンスターですね」
「主の御命令だ、リヒャルト」
「わかっていますよ、ちゃっちゃっと片付けちゃいましょう!」
リヒャルトとアルベルが戻って来た頃、国は戦争の準備でドタバタしていた。
「姫、ただいま戻りました」「主よ、素材集めは終了した」
「お帰りなさい、あなた達の素材集めのおかげで最高のパワードスーツができそうだよ」
「しかし、もう宣戦布告はしているんでしょう。パワードスーツを作っている暇あります?」
「心配ない、私達が乗る船の中に鍛治場を作ったから戦うギリギリまでパワードスーツ作りができる」
さぁ、逆襲の始まりだ!!
読んで頂きありがとうございました。




