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第十八話


 今回のマクスウェル大公国の建国パーティーには同盟国のお偉方を招待している。

 今回招待したのは、マーダー王国からは国王である叔父上と四大貴族の当主達を招待し、中央大陸の東端にある四つの小国からも護衛を引き連れて国王達が来てくれている。

 オズワルド帝国からはユウマと宰相のロックド·フランと護衛としてグラム殿が来ている。シュライバン共和国からはクレイ氏が奥さんと子供と一緒に来てくれている。

 ヤマト国からはヤマト国王とヤマト国王の妻である王妃とその護衛が。

 しかし、謎なのが招待状を送っていないブランタニア国の国王陛下とその護衛が来てること。

 招待状を送っていないからと言って国王を追い返すわけにも行かず中に入れている。

 招待客が揃った所で挨拶をする。


「本日は、マクスウェル大公国の建国パーティーにお越し頂き感謝します。マーダー国王から大公の爵位をもらい建国したフューリ·マクスウェルです」

 今までの私を知る皆が私の姿に驚いている。今まではお嬢様言葉にスカートを着て、プラチナブランドの髪を長く伸ばしていた。

 皆美しいと称えていたプラチナブロンドの長髪がショートカットになり、男装していればそりゃあ、驚くだろう。

 一国の長になったからには格好位好き勝手させてもらう。


「建国したてで、更にこんなに小さな国のパーティーに来てくれた同盟国の皆さんに礼を申します。祝いの場ですが、我が国の重鎮を紹介させていただく。まずは右将軍――リヒャルト·マスケイン。左将軍アルベル·ビーツ。宰相リッサ·メルス。魔導師団団長ルート·マイル。魔導師団副団長サーシャ·バルスト。軍師にマルコ·タインとイリス·ファーベット。

 皆我が国自慢の臣下達です。顔を覚えてやってください。長くなりましたが、我がマクスウェル大公国と同盟国の絆が永遠になる事を願って乾杯!!」


「「「乾杯!!」」」


 挨拶を終え、主賓である私は主賓席に座る。すると早速呼んでいない筈の同盟国ではないブランタニア国国王トール三世が私の元にやって来た。


「単刀直入に言おう。リヒャルト·マスケインを我が臣下にしたい。リヒャルトはすでに西の英雄として名を馳せている。更に今は決闘に勝利し、剣聖の称号を得ている。いくらでも出そう。いくら払えばいい?」

 そう、リヒャルトは先日父親と決闘し、勝利して剣聖になっている。

 しかし、呼ばれてもいないパーティーに勝手に上がり込み、大切な臣下を物扱い。


「ブランタニア国王、呼ばれてもいないパーティーに来て我が臣下を物扱いにするのは失礼ではないか?」


「一国の主になって対等になったつもりか? 所詮小さな国の属国の主でしかないお主は黙って言うことを聞いておけばいいのだ!!」


 その瞬間私は殺気を放つ。


「我が国だけじゃなく、親国であるマーダー王国をも卑下するかブランタニア国王!」


 トール三世は顔が青白くなり、体が震えている。

 そこにリヒャルトが入り込む。


「ブランタニア国王陛下、臣下になる話は何度も断った筈。それに今の姫に対する暴言は看過出来ません」


 そういうとリヒャルトもトール三世に殺気を飛ばす。

 トール三世は唇を紫色に染め、ガタガタ震えている。

 そこにヤマト国王という助け船がやってくる。


「ブランタニア国王、ケンカを売っちゃいけない人間にケンカを吹っ掛けたな。マクスウェル大公は貴殿が欲しがっているリヒャルトよりも強いぞ。その気になれば貴殿の国を三日で滅ぼせる程に」

 ヤマト国王がそういうと、トール三世は後退し、「しょ、少々酒に酔っていたみたいだ。失礼した」

 そういうとパーティー会場を後にする。


「ヤマト国王助かりました」


「なに気にするな。それにブランタニアの国王の気持ちもわかる。余も東大陸の英雄――剣鬼アルベル·ビーツを臣下に置きたいと思っておるしな」


「渡しませんよ」


「ああ、わかっているとも。フューリ殿とは仲良くしておきたいからな。だが小国なれど素晴らしい臣下を揃えたな」


「ええ、私にはもったいない程に優れた者達が集まってくれました」


 同盟国の招待客と話している臣下達を見て改めてそう思う。

 私の元にこれだけの才能の持ち主達が揃ったのだ。

 これで国をダメにしたならば百パーセント私が悪い。

 気を引き締めなければ。

 招待客の相手をしながら私はそんなことを考えていた。

 無事に建国祝いのパーティーも終わり、数日過ぎた頃、ブランタニア国王から先日の詫びの品物と同盟国になりたいという手紙が送られてきた。

 本当は同盟なんか組みたくないが、国の事を考えると同盟するの一択しかない。北のフィンデル教皇国という厄介な敵がいる以上、敵はできるだけ少なくしておきたい。

 同盟に同意する旨を綴った手紙をブランタニア国王へ送った。

 これでフィンデル教皇国以外の国が我が国と同盟関係となった。

 さぁ、どうでるフィンデル教皇国?



            ◆◆◆


 北大陸フィンデル教皇国玉座の間にて。

 

 教皇スズカ·フィンデルが玉座に座り、五人の聖騎士団長が玉座に向かって片膝をつき、頭を下げている。


「ねぇ、我が聖騎士団団長は一騎当千の者達を集めたつもりなんだけど……ナーバ·フレイア、サザンカ·フリーズ、ユピタス·グリー、フェイ·コウガ、ルシャール·パープル。あなた達な任せた国々の一つも落とせてないのはどういう事なのかしら?特に中央大陸には聖騎士団を三つも送らせたのにも関わらず、ルシャールは瀕死の状態だったし、どう説明してくれるのかしら?」


 あまりの殺気に五人とも頭を上げることが出来ない。

 そんな中玉座の右横に立つ黒髪の美女マーリンがフォローする。


「仕方がありません。何せ相手がオズワルド帝国の皇帝とスズカ猊下と同じ転生者でなおかつ、百八回転生してるらしいフューリ·マクスウェル大公と、その臣下達なのですから勝つのは中々難しいでしょう」


「はぁー、まあギフテッドであるルシャールが死にかけで戻って来たのですから確かに責められないかも知れません。後少し、私の再生魔法が遅れていたら死んでいましたよ、ルシャール」


「あ、ありがとうございます猊下」


 ルシャールはびくびくしながら礼を言う。


「しかし、厄介ですね。オズワルド皇帝と私と違って一回の転生ではなく、百八回も転生してるなんて。しかも続々と新兵器を作っている。白と黒の聖騎士団は国の防衛の為に持ち場から放せませんし」


 それに対し、玉座の左横に立っている聖騎士団総長であるルカ·ファブランが発言する。


「ならば私が今ここにいる五人の聖騎士団長を率いてマーダー王国並びにマクスウェル大公国も侵略してきますが」


「ダメよ、あなたは私の護衛でしょ?それにこの子達の聖騎士団は捕まっている者や殺された者もいるし、今は聖騎士団の人数を元に戻す必要があるわ。だから今この子達の聖騎士団は使えない」

 

 スズカが悩んでいると、スズカの前に突然人が現れた。


「なら僕がマクスウェル大公国に行こうか?」


 突然テレポーテーションで現れた者はこの国の最強大聖騎士の称号をもつ天剣ソラ·アデュミエール。


「あなたの事だからどうせ遊び半分でしょうけど今動かせるのはあなたしかいないし、敵の重要な何人かでも倒してくれる事を願っているわ。頼むわよ神の剣――天剣ソラ·アデュミエール」


「了解したよ、教皇猊下」


 そう言うと玉座の間からテレポーテションの魔法で消えるソラ·アデュミエール。


「今までは上手くいっていたかもしれないでしょうけど、天剣は一味違うわよ」

 

 スズカ·フィンデル教皇はそう呟き、玉座の間から去る。


読んで頂きありがとうございました。

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