2、奴隷とオークション
少しずつキャラが固まってきた…気がします。
お披露目会とは、貴族の方々に向けた催しで、商会の中で綺麗な顔をしている子供達を集めて行う。
1人1人スタート金額が決まっており、高ければ高いほど、上質なモノが手に入る。
スタート金額からセリのように段々と値段が上がっていく、オークション形式の即売会。
「…ホント、モノみたいに扱われるだね。奴隷って……」
彼にそう説明を受け、思わず呟いてしまった。
「まぁ、仕方ないよね?そういう文化だからさ」
そういう文化…かぁ…
私は奴隷制度なんてない世界から来たからイマイチピンと来ない。
「でも、僕達はまだ扱いの良い方だよ?
労働奴隷とか愛玩奴隷とかだったら、死ななければ良いやってくらいの扱いだし、ご飯なんて1日1食出れば良い方なんじゃないかなぁ?」
労働…愛玩…
愛玩奴隷はやだなぁ…なんか精神的にきそう。
労働奴隷は元いた世界的にいけそうな気がする。
前は社畜だったからね。……肉体労働はやったことないけど……。労働奴隷は基本肉体労働か。やっぱ無理だな。
「そう考えると、僕達って何奴隷になるのかな?」
彼は少し考えてから、
「んー、考えたことなかったなぁ……。綺麗なモノ好きの人向け……観賞用奴隷?」
観賞用奴隷…
「なんか1番宜しくないように聞こえてくるね。それこそ観賞用なら、買われてから冷凍保存とか、ホルマリン漬けとかにされて飾られそう…」
こう…お人形とかミイラみたいな感じで…
「ふふっ 冷凍保存にホルマリン漬けとか…穏やかじゃないね…1番扱いの酷い奴隷になっちゃったよ。僕達…」
あ、想像したら気持ち悪くなってきた…
「…そういう扱いじゃない事を願う事にするよ…」
「ふふっそうだねぇ
労働や愛玩奴隷じゃ無いのは、自分の顔が良いのが理由なわけだから、見た目を良く産んでくれた両親に感謝かな?まぁ、感謝なんてしたく無いけど」
彼は実の両親に売られたらしい。
実の両親に売られるとか私だったらショックで立ち直れないだろうな…
ちなみに私は道端に倒れていた所を拾われて奴隷になったらしい。
なんてマヌケななり方だ。
あの神どんな所に私を落としたんだよ。
「両親に感謝…ねぇ…」
私はそう呟いた。この世界の両親知らないし、神にも感謝したく無いな。
ふってして私を殺したやつだからな。
「ふふふっ。キミの場合拾われて奴隷なわけだから、感謝も何も無いよね…ふふっ…ホント運無いよねぇ…ふふっ」
…笑いすぎじゃありません?
私もマヌケだと思ったから何も言えないけどさ
「そういえば拾われる前の記憶はないの?」
微妙な顔をして彼を見ていたら、笑うのを辞めてそう聞かれた。
「ここに拾われる前の記憶…ね」
まず、目が醒めたのがこの檻の中だからなぁ
その前の記憶だとあの神と2人の空間での記憶になるしな…
「無いね。
僕自身が、何処かのお坊ちゃんだったかもしれないし、平民だったかもしれない。身寄りのない子供だったかも知れないしね。その辺の事は今更考えても何も変わらないし」
どうせここで売られる身だ。
「うーん。無いのか…。
だから、考え方が少しドライ…なのかなぁ?
まぁ、その方が生きやすいのかも知れないね」
生きやすいね…
考え方は彼もドライなきがするけど。
そういえば、彼は何でそんなに色々と詳しいのだろうか。
彼だって両親に売られた只の子供のはずなのに。
彼のいう事を信じるなら…ではあるけど。
只の子供が、奴隷について詳しかったり、自分がこれから売られるっていうのにこんなに落ち着いていられるものだろうか?
「あのさ!」
そう発した言葉は周りの音にかき消された。
話している間にオークションが進み、私達の番が近づいて来たらしい。
「…そろそろ僕達の番みたいだね」
そう言って彼は立ち上がる。
「ちなみにだけど、僕達のスタート金額は10000だってさ。こんな大金あれば平民なら遊んで暮らせるぐらいだよ。こんなスタート金額、少し異例なんじゃ無いかな?しかも1度に2人」
平民が遊んで暮らせる金額。
異例なスタート金額。
…ホント何で彼はそんなに詳しいんだろう。
「ほら。行こう?僕達の明日からのご主人が待ってるよ。…お互い、良い所だといいね?」
振り返って手を差し出してきた彼の顔は光で見えなかったけど、きっとあの怖い笑顔なんだろうな…と思った。
「うん。そうだね…僕も願ってるよ」
彼の手を取り立ち上がる。
商品が並ぶ台に立った瞬間、光に照らされあたりがざわめく。
「さあ!!本日の目玉商品はこちら!!
金髪碧眼の目み麗しい少年と!見た目少女な水色の髪にこちらも碧眼の少年!!!
珍しい碧眼がなんと2人ぃ!さぁさぁ皆さまよぉーく見て、吟味して札をあげてください!!
両方スタート金額は10000!!まずは金髪碧眼の少年だぁ!」
そう司会?の人が叫ぶと、彼と繋いでいる手に力が入った。なので私も優しく握り返す。
それにしても、彼金髪碧眼とか完全に王子さまルックスじゃん。
暗くて色までは分からなかったな…
私も水色の髪に碧眼ってなんかすごいな…
そんな事を考えていたら、彼の買い手が決まったらしい。
主人公は喋る時は『僕』でそれ以外は『私』です。