1、目が覚めたら柵の中
短めです。
サクッと読めるように書きたい…
「何がクソ女って言っちゃダメだぞ☆だ!!って…」
次に目覚めたのは、薄暗い部屋の格子の中。
「あれ?なんで柵の中?」
そして、備え付けのひび割れた鏡に映る自分の姿。
「あれ?女じゃね?男じゃなくない?」
そこには肩につくくらいの髪の長さをした美少女が写っていた。
「……お兄さん、五月蝿いよ」
「お兄さん?」
「はぁ……お兄さんはちゃんと男だよ?そこ……触ればわかるんじゃない?」
そこ……とはきっと股間の事である。
暗がりで相手の姿は見えないけど、とても落ち着いた声がした。
「……ゔぇっ」
そこを触ると今までになかった感触があった。
びっくりして、思わず宜しくない声が出る。
「ふふっ
お兄さん、見た目と中身、違いすぎない?」
ペタペタと足音が近づいてくる。
「お兄さん。面白い人だね?」
笑いながらそう言った彼はとても整った顔をしていた。
「…………」
思わず目を見開いて彼を見つめてしまった。
「あれ?黙っちゃった。 ……どうかした?大丈夫?
……僕の顔、なんか付いてる?
一応、この商会の目玉商品だから、その辺は気おつけられてると思うんだけど……」
……ん?今、気になる単語が…………。
「ちょっといいかな?
商会って何?目玉商品って?」
商会に目玉商品って、アレみたいじゃないか………。
「ん?あれ、覚えてない?僕達、奴隷だよ。お綺麗なモノを愛する方々向けのね」
……奴隷……
お綺麗なモノを愛する方々向けの……奴隷。
あの女、なんて所に送ってくれたんだよ。
ランダムって言ってたからあれか?私の運がわるいってか?
「ど…れい…ね」
「そ、奴隷。で、明日がお披露目会と称したオークションの開催日。明日、何処かのお貴族さんに売られるの。僕達」
彼はニコニコ笑っていた。
「いい所に買い取って貰えるといいんだけどねぇ」
そう言った彼の目は笑っていなかった。
「そう……だね……」
それしか言えなかった。
彼の顔がすごく怖かったから。
口は笑ってて、目が笑ってないのってお綺麗な人がやるとすんごく怖い。
「さ、明日に備えてもう寝ようか。
おにーさん?」
笑いながらそう言ってくる。
「ねぇ、そのお兄さんってやめてくれない?」
お兄さんなんて見た目じゃないから。
「んー…じゃぁ、お嬢さん?」
「それもいや」
即答したらクスクス笑われた。
「じゃあお姉さん」
「僕は女じゃありません」
「えー…じゃぁ……」
結局、キミって呼ぶ事でおさまった。
翌日、目を覚ましたら、私達はお披露目会と称したオークションにかけられる。
彼等は奴隷になった時に名前を捨てるので、今は名前がない状態です。
だから相手の呼び方に困る…