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森のなかまたち

作者: 岡村

ちびっ子にも楽しんでもらえる

森の動物たちのお話です。


為になるお話も詰め込みました。


いつ絵本化のお話が来ても

心の準備は出来ています。


「そんなやつはころしてしまえ!



大きな声で叫ぶのは森に住むオオカミたち



「だめよ!

あのヒトはとてもやさしいヒトなの!


それに答えるのは小さな妖精たち



「しずまれ!



視線を一斉に集めたのは年老いたマレーバク

彼こそがこの森の長でした



「数日前からこの森に

すみついた あのにんげんのことであろう。



顔を見合わせるオオカミと妖精

何事かと通りかかったハダカデバネズミも

恐る恐る顔をのぞかせます



「あいつはキケンだ!

なにせタンクトップの上からでも

ハッキリと乳首がたっているんだからな!


「乳首がたっているからなんだっていうの!?

あのヒトは画家だといっていたわ!

きっとこの森で絵がかきたいだけなのよ!



互いの意見は熱を増すばかり

飽きてきたハダカデバネズミは

特に意味もなく土を掘りはじめました


彼らの歯が下唇よりも前に出ているのは

土を掘った時、口の中に

土が入らないようにする為なんですね


「長のいけんはどうなんだ!



前足をドンッとふみ鳴らし

オオカミは長に意見を求めました



「ふむ…

妖精たちよ。

おぬしらのいうこともわかる。

かれは乳首がたっているだけで、

それをのぞけば

ただのおにぎりがすきなおじさんじゃ。


だがな、

なにかおこってからではおそいのじゃ。

わしはこの森を、

この森にくらすものを

まもるギムがある。


どうかわかってくれ。



長の沈痛な面持ちに

妖精たちも俯いて黙り込んでしまいました


長の長話にウトウトしてしまった

ハダカデバネズミは

眠っている子ネズミ達に覆いかぶさるように

眠ってしまいました

体毛が無く、体温を調節する機能のない彼らは

自ら布団となり、子ネズミたちを温めるのです



「わたしの事でずいぶんご迷惑を

お掛けしたようですね。



一人の人間がふらりと現れました

真っ白なタンクトップに

大きなリュックサック

半ズボン姿のその男性は確かに

タンクトップを貫かんばかりに乳首が立っていた



「あなた方の迷惑も考えずに滞在して

申し訳ありません。

この森があまりにも神秘的で

美しかったのでつい長居をしてしまいました。



年の頃は30歳前後と言ったところでしょうか?

ちなみに森の長、マレーバクの寿命が

およそ30年

そして意外にもハダカデバネズミの寿命も

およそ30年

なんと普通のネズミの10倍近くも長生きするんですね



「そういってくれるのはうれしいけどよ。

やっぱりみんな不安なんだよ!

こんなに乳首もたってるし…



みんなの視線は

一斉に彼の上半身に向けられました

視線に気付いた彼は少し猫背になりました



「確かにわたし自身も恐ろしい。

今は乳首が立っている事を恥ずかしいと

思っているが、

もしも見られたいと思い始めたなら?


…きっとわたしはタンクトップを

もうワンサイズ小さくする事でしょう。


そうなってしまえば、

誰もわたしを止める事は出来ない…。



沈黙がその場を包みました。



「ニップレスを貼ったらええんちゃう?



ニップレスと見紛うほど

ベージュのボディを惜しみなく曝け出した

ハダカデバネズミの一言に

一同はハッとしました


彼らは

いつまでもこの森で幸せに暮らしました

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