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囁き声と怪しげな影

マリアンベールの地下、いつもの場所にライとフィアの姿があった。

ライは床に腰を下ろし、自分の右手に視線を落としていた。

ライの右手からは蒼い光が出たり引っ込んだりを繰り返している。

そんなライを見守るようにフィアもその横に腰を下ろしライの事を見ていた。


昨日依頼を終え宿に帰ってから感覚を忘れぬよう、今のように始源を制御出来るよう特訓をしていた。

フィアのアドバイスで少量を捻出すれば大幅な体力の消耗も抑えられると言われ今は少し出してはそれを引っ込めるというような事を繰り返していた。

最初は本当に捻り出せているのか怪しいくらいの量でしかなかったが、昨日の夜から現在に至るまでの間に目に見える程度なら殆ど体力を消費せずに捻出できるようになっていた。

このまま続ければそう遠くないうちに魔法も扱えるようになるとフィアに言われたライは増々始源の制御に力を入れていた。


そんな時だ、ライの耳に誰かの足音が耳に入る。


「ライさーん!フィアちゃーん!」


ライが右手から視線を外し顔をあげると、こちらに向かって駆け寄ってくるアルミリアの姿が見えた。

何か良い事でもあったのか、ニコニコとした笑みを浮かべながらライとフィアの前までやってくる。


「やぁミリア、何か良い事でもあったの?」

「あ、分かりますか?」

「それだけ嬉しそうな顔をしてれば誰だって分かるよ」


何かを言いたくてしょうがないといった様子のアルミリアにライが尋ねる。


「それで何があったの?」

「実はですね、私魔法を教えて貰ったんです!」

「魔法を?」

「はい!昨日ライさんが特訓の成果を見せたじゃないですか。私も特訓の成果を見せたいなぁと思いまして、先生に魔法を教えてくださいって頼んでみたんです」

「特訓の成果…かな?。あまり関係なかった気もするけど」

「うっ…」


ライのその言葉に横に居たフィアがばつの悪そうな顔をする。


「説明下手で悪かったね…私にはあれくらいしか思いつかなかったんだよ…」

「あ、いや関係ないって言っても別にフィアの特訓が駄目だっとかじゃないから!。あれもあれで相当鍛えられたっていうか、なんというかその…うん!とにかくとっても役に立ったし、それにほら今なら力を使ってフィアの魔力を防ぐっていう特訓の目的も果たせるしむしろこれからだって!」

「魔力を防ぐっていうのはあくまで結果の話で大事なのはその過程、ライが力を扱う感覚を覚えるのが一番の目的なんだよ…」

「うっ…」


ライが精一杯のフォローをするも、フィアは以前拗ねたままだ。

これ以上は何を言っても無駄になるだろうと悟ったライは話題を切り替えるべくアルミリアに話を振る。


「そういえばミリアが教えて貰った魔法って一体何?」

「風属性魔法のウィスパーボイスです!」


ウィスパーボイスは離れた者に術者の声を届ける魔法だ。

この声は対象者のみが聞く事ができ、それ以外の者には決して聞こえない。

声の届かぬ距離に居る仲間への伝達手段として、または密かに言葉を伝えるための手段として用いられる事が多い。


「便利な魔法を教えて貰ったね。でも何でいきなりウィスパーボイスを?もっと初心者向きの風属性魔法も沢山あるのに」

「あーそれがですね。流石に攻撃魔法を教える事は出来ない、それに覚えた所で使い道もない物を教えても無駄になるだけだろうって言われまして…それで攻撃魔法ではなく、無駄になりそうにない物をってなった時にウィスパーボイスが一番教えやすかったみたいで…」

「なるほど…それでもやっぱり難しいでしょ」

「そうですね、初めての魔法というのもあったので最初は全然出来なかったんですけど一度コツを掴んだら何とか形だけは出来るようになったんです」

「形だけはという事はもうウィスパーボイスを使えるようになったの?」


驚いた様子でライが尋ねる。

アルミリアの話からすると魔法を教えて貰ったのは昨日別れてからの事だ。

そんな短期間の間に魔法を一つ、それも初めてで難易度も高い魔法だというのだから驚かずにはいられないだろう。


「はい!まだまだ拙いが形にはなったと先生からお言葉をいただきました」

「凄いな…今ここで出来る?」

「勿論!お二人に見て貰うために魔法を覚えたと言っても過言ではありませんからね!」

「そこまで言うのか…まぁ何にせよ俺達のためにって言うなら是非見せて貰いたいね。ね、フィア?」

「え?あぁ…うん、そうだね」


唐突に話題を振られたフィアが条件反射で答える。

答えてしまった以上不貞腐れてもいられないのでフィアもアルミリアの方に視線を向ける。


「それじゃあやるのでそこで見ててください!」


そう言ってアルミリアが二人から離れるように駆け出す。

十メートルも離れた所でアルミリアが声を張り上げる。


「今からやるので声が聞こえたら手を挙げてくださーい!」

「分かったー!」


ライがそう返事をするとアルミリアはその場で両手を祈るように握り合わせ魔力を練り始めた。

アルミリアが魔力を練り出して少しした頃、ライが違和感に気が付く。


「ん、音が?」


ライの右耳から一切の音が聞こえなくなる。

チラリと視界を右にずらすと右端に何やら半透明で見辛いが半球状の何かが耳を覆っていた。


「これがウィスパーボイスの受信側か…」


そう呟きながらライはアルミリアの方に視線を向ける。

遠目で分かり辛かったがアルミリアの口元に目を凝らしてみるとライの右耳にある半球状の何かがアルミリアの口元を覆っていた。


「それであっちが送信側か。初めて見たけどこういう感じなのか…」


半透明で見辛くはあるが、意識して見れば視認出来る事から秘密話をするにしても誰かに注目を浴びている状態では使いづらいだろう。

そんな事をライが考えていると、アルミリアが口を大きく開いて何かを叫んでいる様子が見えた。

しかしライの右耳には何も聞こえてこなかった。

フィアも同じなのかライの方を見て顔を横に振る。


「聞こえないよー!」


ライがアルミリアに向けてそう言うとアルミリアが少し近づいて来る。

そして先程のように何か叫んでいる様子だったが相変わらずライ達の耳には届かない。


「これ、本当に形になったってだけでまだ距離とか離れると殆ど聞こえないんじゃ…」

「かもね…まだ聞こえないよー!」


フィアの言葉にライが同意しつつまだ聞こえない事をアルミリアに伝える。






そんなやり取りを何度繰り返しただろうか。

ついにライの耳にアルミリアの声が届いた。


『ライさん、聞こえますかー?』

「あぁ…うん、何とか…」


何処か疲れたような様子でライが答える。

ライのその言葉にアルミリアが安堵のため息を吐く。


『あぁ良かったー。せっかく二人に見せようと思ったのに失敗したかと思いましたよ』

「そうだね、成功して良かったね…でもさこれ――」


ライはそう言いながら首を捻り右に顔をむける。


「この距離なら魔法使う意味無くない?」


ライのすぐ横にアルミリアの姿があり、鼻と鼻がくっ付く程の至近距離にアルミリアの顔があった。

アルミリアが何やらライの言葉に反論をしているようだが、ライの耳には何も聞こえてこない。


「何も聞こえないよ。これ顔の位置がずれただけ聞こえなくなるのか…」


ライがそう呟くとアルミリアがムッとしたような表情を浮かべてライの頭部を両手で掴み、強引に正面を向かせ再び耳元で口を開く。


『「魔法が使えたっていうのが重要なんです!それに私はついさっき覚えてきたばかりなんですから仕方ないじゃないですか!」』


ライの耳についた半球体とアルミリアの口元にある半球体が潰れる程の至近距離でアルミリアが叫ぶ。


「分かった!分かったから!もう魔法関係無しに聞こえてるからそんな至近距離で叫ばないで!」

「なるほど、送信側の半球体が空気の振動を遮断して回りに声を聞こえないようにしつつ、受信側が魔力の波長を受け取りそれを空気の振動に変換して対象に声を届けているのね…」

「ちょっと!フィアも素知らぬ顔で魔法の解析なんてしてないで助けてよ!」

『ライさん!まだお話は終わってないですよ!』

「ごめんって!お願いだからウィスパーボイス使って叫ばないで!鼓膜が破れる!」


結局アルミリアの怒りが収まったのは数分経過した後であった。





「あぁー…頭がキンキンする…」

「もう、ライさんが悪いですよ。あんな意地悪な事言うからです」

「本当にごめんって、意地悪のつもりは無かったんだよ。ただ素直な感想が漏れてしまったというか…」

『何か言いました?』

「いえ何でもないです」


ウィスパーボイスを使ったアルミリアの脅しにライが即座に返答する。

ちなみに先程までのやり取りの間でアルミリアはウィスパーボイスのコツを掴んだのか、隣に座る程度の距離なら声を届けられるようになっていた。


(習得が早いというか、始源の事を抜きにすればきっと魔法を扱うセンス自体はあったんだろうな…)


アルミリアのその成長速度に驚きつつも冷静にそう分析する。


「これは俺も負けてられないかな…」

「はい?何か言いました?」

「ミリアは凄いなって言っただけだよ。フィア、ちょっと良い?」

「ん、何?」

「いつもの特訓やってくれないかな。そろそろ感覚も良い感じに掴めてきたしフィアの攻撃が防げるか試したいんだ」

「分かった」


フィアは頷くとライから距離を取る。


「それともう一つお願いがあるんだけど、顔以外も狙ってくれないかな」

「顔以外?」

「うん、ただ受け止めるだけじゃ意味がないからね。最終的には戦闘しながら力を制御しなきゃいけない訳だし実戦形式でやりたいんだ」

「なるほど…分かった。それじゃあ拘束は無しで――行くよ」


そう宣言すると同時にフィアの掌に魔力が集まり、魔力の塊がライに向かって飛んで来る。

自身に向かって飛来する魔力の塊に向かって右手を伸ばし意識を集中させる。

ライの右の掌から始源が溢れ出し魔力の塊と衝突する。


「グッ――!」


始原が魔力の塊を一時は受け止めるも、次の瞬間には右手が弾かれる。

一瞬右手が痺れるような痛みに襲われたが、それもすぐに消えて無くなる。


(完全に防ぐ事は出来なかったけど、確実に威力は殺せてた…)


もっと始源の密度を高めれば完全に防ぐ事は出来るだろうが、その場合は体力を激しく消耗するだろう。


(真正面からはまだ無理だ。それなら――)


再び自身に向かって飛来する魔力の塊に右手を伸ばす。

魔力の塊が再び始源と衝突した時、ライは始原ごと魔力の塊を握りしめながら右手を薙ぎ払い、魔力の軌道を逸らす。


(行ける!これなら何とか対処できる!)


初めてフィアの攻撃を対処出来た事に達成感と自身の成長を感じつつもフィアの次の攻撃に備え意識は逸らさない。


「ふーん…攻撃を受け止めるだけじゃなくてそう言う手も使ってくるんだ」

「実戦形式でって言ったでしょ、正直言って正面から受け止めるなんて今の俺じゃ無茶でもしない限りは無理だろうしね」

「そっか…じゃあ、こっちも実戦形式で行くよ?」


そう宣言すると同時にフィアの雰囲気が変わったのをライが感じ取る。

フィアの五指にそれぞれ小さな魔力の塊が出現し、ライ目がけて飛んでくる。

一つ一つの威力は小さく、今のライでも十分防げる程度の威力ではあったが数が多いため全てを防ぐ事は出来ず数発直撃を受けてしまう。


(ぐっ――右手だけじゃ足りない、左手も使わないと駄目だ!)


左右の手を使い、次の攻撃は全て防ぎきるもそれを見たフィアももう片方の手を使いどんどん手数を増やしていく。

ライも全てを防ぐ事は不可能だと判断し、避けられるなら避け、避けられない物だけを受け止めるという方法に切り替える。

互いに相手の動きを見て攻撃手段や対処法を変えていく内により実戦に近づいて行く。


「凄い…ライさんもフィアちゃんも…」


激しさを増す二人の攻防をアルミリアが唖然とした様子で見つめていた。


フィアの放つ魔力の塊もいつの間にか種類が増え、五指から放つ小さな物だけではなく、通常サイズの物や威力や速度を高めた物がライに襲い掛かる。

ライもそれに対応するように攻撃を避け、弾き、受け止める。

繰り返される攻防の中でライは始原の制御を着実に己の物にしていき、受け止めきれなかったはずの通常サイズの物まで防げるようになっていた。


(攻撃の種類は増えたけど手数はそれほど増えてない。きっとこれが今の限界)


単純に魔力を圧縮して使用しているため魔力が消耗されるという事は無いが、使用している間はその分使える魔力の量は減る。

周囲の魔力を利用している以上、一度に使える魔力の量には限りが存在する。

下手に威力の高い物を使っても手数は減り、手数だけ増やした所で始源で防がれてしまう。

恐らく現状のこれがフィアの精一杯の攻撃なのだろう。


(これなら何とか耐えきれ――)


ライがそう考えた瞬間、背後から魔力の塊がライの後頭部めがけて飛んでくる。

前方の攻撃に意識を集中していたライがその一撃を避けられるはずも無く直撃を受ける。


「がぁっ!?」


背後からの直撃を受け動きが止まったライに向かって大量の魔力の塊が降り注ぐ。

それらを躱す事も出来ずライは直撃を受けその場に崩れ落ちた。


「攻撃が正面からしか来ないとは限らないよ」


倒れ伏すライのすぐ傍に立ちながらフィアが言った。


「だってこれは実戦形式…なんでしょ?」


意趣返しのようにライの言った言葉を今度はフィアがライに向かって言う。


「あはは…やっぱフィアには敵わないや…」


一瞬でもフィアに勝てるだなんて思った自分が馬鹿だったと自分を見つめるフィアを見上げながらライはそんな事を考えるのだった。






あれから少しして三人は休憩も兼ねてフィアが創り出したブーカを食べていた。

勿論、アルミリアには買ってきた物であると嘘の説明をしている。


「お二人共凄かったです!フィアちゃんの攻撃も凄かったですけど、それを避けたり受け止めたりするライさんも!」

「最終的にはやられちゃったけどね」

「いえいえ!あれだけ出来れば十分凄いですよ!私なんてあんな速度で飛んで来られたら避ける事すら出来る気がしませんし」


(この子が初めてまともなフォローを入れてる…)


フィアはそんな事を考えながら二人の会話に黙って耳を傾けていた。


「それにしてもミリアと出会ってもうどれくらい経ったっけ?」

「えーと、まだ半月も経ってないとは思いますけど」

「随分と経った気がしたけどまだそれくらいしか経ってないのか…。そう言えばあと一週間もすれば祭り本番だよね、ミリアの方は準備とか大丈夫なの?」

「私自身が準備する事なんて殆ど無いので、あるとすれば本番に出られるように体調管理と魔力の制御を完璧にするくらいですね」

「そっか…」


ライはそれだけ言うと物思うように天井を見上げる。


(祭りが終わればもうミリアともお別れか…)


元々ライ達はマリアンベールの魔窯祭りが目的でここに来ている。

祭りが終われば街を離れるし、次の目的ももう決まっていた。


(出会いがあれば別れもある。それは分かってた事だけど…)


ライは無邪気にブーカを頬張っているアルミリアに視線を向ける。


「ミリアは祭りが終わったらどうするの?」

「んくっ…祭りが終わったらですか?。別に普段の生活に戻るだけですね。先生が来なくなるだけでそれ以外は特に何も、また祭りが開催される事になれば今のように先生が来て魔力の制御を教わる…それだけです」

「屋敷から出たいとは思わないの?」

「出来るなら出たいですけど、こんな私でも自分が迂闊に街に出ればどうなるかくらい自覚はありますからね。まぁそもそも父がそれを許すはずも無いですし」

「あーいや、街に出るとかそういうのじゃなくて…」

「…?」


ライが言い淀みながらも、決心した様子で口を開く。


「旅をしたいと思わないかって事」

「旅…ですか?」


ライの言葉にアルミリアが考える素振りを見せる。


「確かにしてみたいとは思いますけど私には無理ですよ。魔物から身を守る術も無いですしそもそも私にはここでのお役目があります」

「…そっか、そうだよね。変な事聞いてごめん」


アルミリアの言う事は正しい。

迂闊に旅に出た所でアルミリアでは野党や魔物に襲われたら対処する事は出来ないだろうし、御子の存在はマリアンベールにとって重要な物だ。

御子に予備が存在する事を知っていれば話はまた変わってくるだろうが、ライもアルミリア自身でさえその事を知らない。

もし知っていたのならライはアルミリアの事を旅に誘っていただろう。


(駄目だな、旅に出てすぐこれなんて…こんな調子じゃ行く先々で出会う人を旅に誘う事になっちゃうな…)


自分の心の弱さを嘆きながらも、ライは気持ちを切り替えるように明るく振舞う。


「まぁ祭りの本番は頑張ってよ。応援してるからさ」

「はい!任せてください!魔窯の御子として精一杯頑張りますから!」


元気いっぱいに言うアルミリアの姿をライが微笑ましく思ったその時、突如ライの背筋に悪寒が走る。


「誰だ!!」


ライが剣を引き抜きながら勢いよく立ち上がり、通路の暗がりに向かって叫ぶ。

剣を構えたままライが通路に視線を送り続けるも何かが姿を現す様子はない。


「あのライさん?いきなりどうしたんですか?」

「いや…さっきあの通路の奥に誰かが」


そう言いながらもライは以前として通路を見ていたが何の変化もない。


「気のせいじゃないですか?こんな所に私達以外の人が居る訳は無いですし」

「気のせい…?」


アルミリアはそう言ったが、ライはまだ納得がいかないのかフィアに話しかける。


「フィアは何か気付かなかった?」

「ん?」


ライの言葉にフィアがライが見ている通路に視線を向ける。

じっと通路の暗がりを見ていたフィアだったがふいに興味を無くたかのように目を閉じた。


「ライの気のせいじゃない?。私は何も感じなかったよ」

「…そっか、フィアがそう言うならそうなのかな?」

「そうですよ。それよりもせっかくのブーカが冷めちゃいますよ…って、ライさんブーカ落としてるじゃないですか!」

「しょうがないな…はい私の半分あげる」

「あはは…ありがとう」


そうして三人は何事も無かったかのように再び談笑しながら食事を再開する。

しかし、ライが先ほど剣を向けた通路の暗がりにそんな三人の様子を盗み見る怪しげな影があった。


「ついに…見つけた」


黒い瘴気のような物を全身に纏った男が歪な笑みを浮かべそう呟いた。



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