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国境を越えて

お待たせしました!五章の開始です。

九月中に更新すると言って本当にギリギリになってしまいました。

本当なら中旬くらいに再開する予定でしたが、息抜きでほぼ一章丸々書いたため再開が遅れてしまいました。

今回の章は比較的シリアスの少ないのんびりとした章になる予定です。(毎回予定外のシリアスが入るので確約は出来ませんが)



息抜きに書いていた小説『ステータスチートはロクでもない』は10月1日から8日にかけて毎日18時に何話かまとめて投稿されます。

良ければそちらの方もご覧ください。

こちらよりもコメディ強め、シリアスは薄め(当社比)になっております。

軍事国家ヴァーレンハイド、その隣国であり王都を有する王国キラヒリア。

巨大な平原を跨ぐ両者の国境付近、キラヒリア側の平原に二人の人間の姿があった。


一人はおよそ二十代の男、腰に直剣と短剣を携え、腰に巻かれたベルトには投擲用の短剣が何本も入られれていた。

もう一人は十代半ばの少女、緑を基調としたドレスに胸当て、籠手と脛当という必要最低限の防具を身に付けて居た。


「さっきからキョロキョロしてるけど、どうかした?」


周囲を見渡していた少女に冒険者の男、ライがそう声を掛ける。


「ここってもう別の国なんだよね?。国境を越えたのにまるで変化が無いから」


そう言って少女、フィアが首を傾げライに質問する。


「ねぇライ、人はどうやって国境を決めてるの?」

「え、国境の決め方?」


フィアの質問にライは考え込んでしまう。

ライはそこまで勉学に励んだことは無く、子供の頃に村の教会で他の子供達と一緒に勉強をした事はあったが、それも文字の読み書きや簡単な計算くらいだ。

国がどうやって国境を決めているかなんて知ろうとも思わなかったし、教えてくれる人も居なかった為ライはその質問に答える事が出来なかった。


「うーん…ごめん、俺には分からないや」


ここ最近、フィアは疑問に思った事は積極的にライに尋ねてくるようになった。

それはライにとっても好ましい変化ではあったが、そう毎回フィアが求める答えを返せる訳ではない。

そういう時はライは決まって申し訳なさそうに頭を掻きながらそう言うのだ。


「そっか、まぁ国の線引きなんて住んでる人からしたらそこまで気にする事でも無いのかな?」

「ここ数十年は目立った戦争も無いし、国境が変わるような事も無かったからね。誰も意識してないだけなんじゃないかな。戦争になれば違うのかも知れないけど」

「ライが知らないならそうなんだろうね」


そう言って納得した表情を見せるフィアにライが微妙な表情を浮かべながら言う。


「俺の事を信頼してくれるのは嬉しいけど、俺の知識って魔物に関する物や旅人や冒険者から聞いた旅の話から得た物ばかりで結構偏ってるからこれが普通とは思わないでよ?」

「でも常識的な事は知ってるでしょ?」

「まぁ…常識的な事ならね」


果たして冒険者として長年生きてきた自分が一般人の持つ常識と同じ常識を持っているのだろうかという不安を抱きながらも、フィアの言葉にライはそう返した。


「それよりライ、次の目的地についてなんだけど」

「エアストの事?」

「うん、どんな街なのかなって、わざわざそこに寄る為だけに国境を越えてきたんでしょ?」


そう、本来であればライは王国ではなく聖都を有する教国フェイリスを目指す予定だったのだがそれを急遽変更したのだ。


「フィアには前にも話したと思うけど今の所の旅の目的はフェイリスを経由して聖都、そして魔都を目指す事。数か月後に魔都で年に一度のお祭りが始まるからね。それに間に合うように予定を組んでたんだけど、思ってた以上に順調に進めてるから一度エアストに立ち寄るくらいの余裕はあるんだ」

「ふーん、それでわざわざ立ち寄る理由は?」

「一度はキラヒリアに入ってみたかったってのが一つ、最終目的地である魔都とは正反対だしそのままフェイリスを経由して魔都を目指したら次訪れるのは一体何時になるか分からなかったからね。もう一つはエアストという街で消耗品を可能な限り買い込む事」

「消耗品?」

「うん、実はエアストは【駆け出しの街】とも呼ばれる冒険者を育成する為に作られた街なんだ。冒険の基礎を学ぶには持ってこいだし、何より他の街と比べても冒険に役立つ品が安い。ヴァーレンハイドとフェイリスも街の振輿に協力してて国境付近に作られてるから立ち寄りやすいってのが立ち寄る一番の決めなんだけどね」

「安いねぇ…別に武闘大会の賞金があるんだからそんな節約なんてしなくても大丈夫じゃない?」

「節約するに越したことはないよ。それにエアストの次の目的地で結構散財する予定だし」


そう言ってライは何処か浮かない表情を浮かべる。

そんなライの様子にフィアが首を傾げていると、ライがふと前方を見て声を出す。


「そろそろ近づいて来たよ、あれがエアストの街だ」

「国境を越えた時点で薄っすら見えてたけど本当に国境の側なんだね」

「ヴァーレンハイドとフェイリスの人間も利用するからね。街を作る時に両国から近い場所に作ったんだ」

「三つの国がね、何だか面倒事の予感がするわ」

「考えすぎじゃない?確かに旅に出てから厄介事に巻き込まれる事が多くなった気がするけど、流石にそう続かないって」

「だと良いのだけど…」


そんな話をしながら二人はエアストの街へと向かうのだった。

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