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この世界を読むことにおいて説明すべき点

 まずはこの世界の事を語るとしようか。

 最初の変化はなんてことの無い、日本発祥のサブカルチャーからだ。

 二次元画面の携帯端末の時代は終わり、高画質3D、SNSオンラインゲーム、そして体感型コンシューマー・アーケードゲームへと広がった、と言えばその次は想像できるはずだ。


 そう。

 『|仮想現実大規模多人数オンライン《VRMMO》』の時代が到来した。


 ゲーマーだけでなく、様々な人間が待ちわびた仮想現実の世界。その時はまだわたしは存在していなかったのだが、それが現実となる事が発表された直後の人々の熱狂ぶりは凄まじかったと聞いた。

 ……ひと昔前に流行したVRMMOを題材にした小説や漫画のような事故起きないか? と懸念の声が囁かれていたそうだが、それはクリアできたらしい。


 ともかく、発表からしばらく、ゲーム業界のあらゆる大手がこぞってVRMMOの製品化に乗り出し、そして完成し、多くの人間がゲームの世界へ飛び込んだ。

 ああ、先に言っておくがあなた達が想像したようなログアウト不可のデスゲームという事態はこの時は起こらなかった。

 ……問題は誰も予想しなかった事だ。



 ある時あるゲームでとあるプレイヤーがゲームのヒロインを連れ帰ったのだ。


 ……何を言っているのかわからないだろうが、わたしの話を聞いてほしい。


 ここで開発されたVRMMOは、一種のノンレム睡眠。つまり夢を見ているわけではない。

 VRMMOの前段階として、機械の出す脳波で特定の夢を見させる、というものがあった。それ自体は完成し、今も一部で使われている。

 しかしそれは、一人用のゲームでしか使われていない。何故なら人それぞれで見る夢に差異が生じてしまい、多人数オンラインゲームには不向きだったのだ。サルと聞いて、日本人ならニホンザルを想像し、アメリカ人辺りはチンパンジーなどを想像するようなものだ。


 対して、VRMMOで使われた手法はこうだ。

 キャラメイクで作ったアバターに人工知能を搭載させ、完全なプレイヤーの分身を作る。

 プレイヤー本体はゲームを起動してノンレム状態で眠る。これがログイン状態だ。

 プレイヤーの脳は完全に寝ているため、アバターは操作できないんじゃないか? ここでアバターに人工知能を載せた意味が出てくる。

 アバターはプレイヤーの分身であるため、趣味趣向はプレイヤーと全く変わらない。であれば、アバターはプレイヤーの考える行動をし、ゲームを進めていく。

 そしてアバターがその日行った情報を寝ているプレイヤーにインストール、脳に書き写すのだ。それで目が覚めたらゲームをプレイしたと実感できる。これがログアウト。


 察しは着いただろうか?

 そう。

 とあるプレイヤーはこう考えた。

 生きている人間にゲームのキャラクターの情報を書き込んだらどうなるか、と。


 開発者も予期していなかった事は成功してしまい、そのプレイヤーはヒロインを連れて何処かへ消えてしまった。

 一番困ったのはヒロインに体を持って行かれたプレイヤーだろう。ログアウト出来ず、永遠にゲームに留まったまま。彼女だけデスゲームに陥ってしまったのだから。

 最悪な事に、それは瞬く間に広まってしまい、身勝手なプレイヤーがゲームのキャラを現実に連れてくるという訳の分からない社会問題を起こした。


 この世界の背景はわかったと思う。

 では現在に視点を移そう。

 人類は二つに分かれた。

 キャラクターと、人間。

 ゲームをした者と、していない者。

 現実を謳歌する者と、仮想現実に取り残され『デスゲームを強要されている者』。

 さっきデスゲームは起こらないと言ったではないか、だと?

 善良なヒロインばかりではない、と言っておこうか。


 こんなとんでも設定な小説だが、読んでみたいなら『次の話』へ移ってほしい。気に入らないならブラウザを閉じることをお勧めしよう。

 そう、これはゲームに浸食された世界の物語だよ。



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