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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第十章 妖精の国 編
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一悶着

俺は寝起きの良いほうでは無い。

出来れば目が覚めてもまどろみを堪能していたいし、出来ればそのまま二度寝するのが好き。そんな俺が今日はパッと目が覚めて、まどろむ感覚も無いままに覚醒して天井を見上げる。明かりがゆっくり差し込んできているのが分かってまだ早朝だと告げていた。


出雲と八雲は寝相が良い、雲母は俺の胸の上で寝ていたハズなのに何故か冷えピタのような状態でお凸の上で寝ている。何をどうしたらこうなるのか分からないが一番近い位置の雲母の腹を指でぐにぐに押して楽しんだ。体が小さい彼女達をレミナにするようにぐにぐにしたら大変なことになるって俺なりの配慮に感謝してもらいたい。


「んにゃ~んひゃあぁあ」


うん、良い反応だ!次!八雲君!

八雲のほっぺをツンツンした後、同じ様にお腹をぐにぐにして遊ぶ。


「にゃひ~あ~ぃ~」


よろしい!次!出雲君!

出雲は俺の腕にぴったり張り付いた状態のせいでお腹をぐにぐに出来ない。じゃあどうしようかと目を動かして見極めれば服が捲りあがって太もも様が見えている。俺は太ももをツンツンしてからつぅ~と何度も撫で続けて遊んだ。


「んっあっ……やぁ~」


どんだけ艶かしい声を出してんだよ……たださらさらで気持が良いのでしばらくそのまま遊んでいた。別にそんな声を聞きたいわけじゃない、ただただ気持良いからそうしていただけだ。ピクっと動いて俺の手は動きを止めるも少ししたらまた触って遊んだ。これじゃあ痴漢だ。おじさん悪くない!開き直り触っていたら出雲は起きたらしく手を逃れて這い上がって来るので狸寝入り。


「父様? まだ寝てますか?」


無視、寝たふりを貫き通す。ここで起きれば怪しまれるからな! 出雲がそのまま俺の体を這っている感覚で位置を確かめながら寝る、視覚は無くとも分かるのは有り難い。俺のほっぺをツンツンした後、彼女は可愛らしいちゅーをくれたので目をカッ!と勢い良く開いて起床。


「ひゃあ!」

「ん? 出雲か?」

「父様! おはよう御座います!」

「誰かにちゅーされたような気がした」

「父様の勘違いだと思います!」


そう言うことにしておこう、出雲を掴んで胸の上に乗せてやれば目が合った。

顔色を赤く染めていて可愛い子だな~なんて感想を持ってほっぺを指でスリスリしてやる。


「ん~父様ぁ~こしょばいですぅ~」


蕩けきったその表情は昨日生まれたばかりの妖精の表情じゃない、完全に女の顔になってます! これはいかん! そう思い体をがばっと起こした。

勢い余って雲母が飛んでいったけど見間違いだ! 大丈夫。


「んぎゃ!」

「父様……雲母が飛んで」

「ごめん、出雲は雲母見てやってくれ」

「はい!」

「じゃあ後は八雲だな」


肩にぶら下がっている八雲を掴んで見るも全然起きない。妖精が涎垂らした顔なんて見るとは思ってなかった。軽く揺さぶればすぅ~と目が開いて視線が合う。目を擦りながらじょじょに覚醒した彼女に涎を指摘してやる。


「はっ! 父様見ないで!」

「まぁ気にするなよ」

「や~ぁ駄目ぇ!」


妖精と呼んでいても女の子、自分の見た目には気を使っているようで俺は安心だよ。レミナだったら拭けと無言の圧力をかけて来るし、放置すれば俺の服でゴシゴシしやがるからな。出雲が八雲を連れて戻ると八雲は頭を抑えて呻っていた。すまんと一言かければ笑顔で俺の肩に止まる。


「グラディーの所行こうか!」

「「「はい!」」」


廊下を歩く道すがら、三人は争いを始めていた。どうやら自分達の位置を決めているらしい。出雲は左肩が良いらしいけど八雲も雲母も左肩がいいらしい。理由は龍の手と目に近いからと言い切られて、争いは激化の一途を辿る。最終的に俺がじゃんけんのルールを説明して終止符が打たれ位置取りが決まったようだ。


「出雲が左肩で八雲が右肩か」

「出雲の場所です!」

「八雲は右肩だけど父様のほっぺあるからいいです!」

「……」


「雲母さ~ん?」

「っく……」

「お~い雲母?」

「負けたのは雲母でしょ!」

「八雲も勝ったもん」

「う~~~!」

「ほれ! 雲母拗ねるな、ここに座れ!」


雲母を頭の上に乗せてやったら途端に機嫌が良くなった。場所が云々ってより俺に場所を選んで貰えたのが嬉しいらしい。それを見た二人は文句を垂れていたからローテーションを提案してその場を丸く収まった。女の子は色々と大変なようだ。


グラディの私室へ勝手に行っていいのだろうか?と思いながら衛兵の前まで行けば俺を虐め抜いた兵士だった。グラディーには普通に話してと言われてはいる、でも兵士の前ではちゃんと切り替えることを忘れない。


「女王様に会いたいんですけど」


横から声を掛ければ一瞬だけ衛兵の顔が歪むも俺を見た瞬間に顔が固まっていた。この国に住まう者なら六枚羽の妖精がどれだけ凄いか分かっているのだろう。それが両肩と頭に止まってるんだから固まるのも頷けるってもんだ。


「はっ! 女王様は私室にいらっしゃいますのでこのままお進み下さい!」

「どうぞ! お気をつけて!」


妖精って凄いんだ! まるでこの前とは打って変わった態度に若干引きながらも扉へ進む。出雲が耳元で呟いた一言に苦笑した。俺の話をある程度聞いた風な会話でかなり恐れているらしい。そりゃ初対面で後頭部殴られて、その後は拷問までしていたんだから仕方ないとは思うけど忠誠心がと考えればそれも許せる。扉を叩いて返事を聞けば扉の方から勝手にどうぞと開くのだ。


「おはようシン、それに三人も」

「あはよう」「「「おはようございます!」」」


三人が大声で言うから俺としては耳が痛いのだ。

グラディーの私室には彼女とゾルじーさんにゼス、それとリノリスが正座した状態だった。


「小僧! ゼスから話は聞いたぞ?」

「その子達はシンと共に行きたいそうね」

「でも俺としてはルセルに置いていきたいって考えてるんだよ」

「「「父様と一緒がいいです!」」」

「本当に好かれてますね」


「小僧の考えは分からんでも無いが、連れて行ってやってはどうだ?」

「俺の話を聞いてて何でそうなるんだよ」

「「「「父様ぁああ!」」」

「困ったわね、でもこの子から聞いたら三人に一瞬でやられたんでしょう?」

「どうやらシンの力のお陰で本来よりも強い子見たいなの」


ゼスが三人を見ながら続けるが俺はそこで遮った。

俺の力が流れている神樹から今後生まれる妖精もそうなるんじゃないか?

と不安に思ったからでそれを問うとゼスは大丈夫だと言ってくれた。

どうやらこの三人は本当に特殊で一番力を強く力を受けたからって理由だけでこうなったっと。あの時に一緒に生まれた妖精達は他の子よりも力も体も強い固体が多いけど、三人娘達と比べればそれも微々足るもので心配は無いと。


「それと、私からも。彼女達を連れて行って欲しいのです」

「だから……」

「六枚羽の妖精は稀少です。でもその子達は私よりももっと稀少なのですよ」

「それだからルセルに残ってゼスを手伝って欲しいんだよ。それに流れる城へ行く方法が分かればその時は連れて行くからさ」


ゼスの代わりにグラディーが俺の前に立ち、三人娘を撫でながら言うのだ。

でも~えへへへぐにぃが目の前でこんにちわと挨拶するもんだから俺の視線は釘付けさ!


「ルセルも大きく変わる時が来たのかもしれません、シンがルセルに来てから物事が大きく流転しているのが理由なの」

「死に底無いのワシが助かり、事の露見、そして神樹の問題。それに神樹を育てた龍は小僧を待っていると言う事実」

「私以外にも六枚羽の子が生まれて嬉しい反面、何かが大きく動く。そんな予感がするのです」


「だから連れて行けには繋がらんだろう?」

「「「父様ぁああ!」」

「だから世界を見せてあげて欲しい、私にもこの人にもゼスにも出来ない事を」

「色々と見て聞いてそして感じて、いつかルセルに戻ってきて欲しいのです」


「小僧、この通りだ」

「何でグラじーさんが頭下げることがあんだよ」

「簡単だ! ワシの頭は昔から軽いんだよ。力入れんとすぐに落ちるんだ!」

「うまくねぇよ……」

「それにその子らはどうみても強い、それこそもう妖精とは呼べん程にな」

「出雲は妖精じゃないのですか?」「八雲も?」「雲母は?」


話しが折れ曲がるも最終的には集約されて、三人を連れて行けのコールに俺は根負けした。当然、三人娘は喜びはしゃぎ俺の頭部がグラグラで耳もグラグラしてきて……まぁね? おろろろろろろ吐いちゃった☆ しかもリノリスの真ん前でこれは流石にまずいだろう。また蹴られる。ヤツは今度こそ直接に俺のぽこにゃんを狙うぞ。


「貴様……死にたい本当に死にたいらしいな」

「「「父様!」」」

「今後はあんまり耳元で大声出さないで……それと頭の上は禁止な」

「力を見れば圧倒的だがその姿を見ると同じ者かと疑ってしまうな!」

「うるせぇ……もともと三半規管は強くねぇんだよ」


ゼスから水を貰い、グラディーが魔法できれいきれいしている間もリノリスは身動きしなかったのが恐ろしい。

「何度言ってもシンに対して失礼を働きました。故に判断を下しました」

「ん? お尻ぺんぺんをまた観察すればいいのか?」

「いいえ、リノリスは国外追放です」

「はぁああああ?」


「リノリス、これは決定ですから覆りませんよ?」

「はい……」

「いやいやいややり過ぎ! 何をとんちんかんな事いってんだよ」


「シンは優しいから許すと言うのでしょうけど、王族としての判断です」

「いやいやいや! 幾らなんでも可哀想だろ」

「王族としての心構えも無いまま生きれば、何時か綻びが生まれこの国を危機に晒す事でしょう」

「おい! ゾルじーさんも何か言えって!」

「う~だがな~」

「最高決定権を持つ私の命令ですから誰が何を叫ぼうと変わりません!」


ついに涙をぽろぽろ流したリノリスがいたたまれない。自分家から出て行け! なんて言われたのが俺なら一週間以内に死ねる自信がある。まぁそれもあの頃のが前提だけど。何をどう言っても決まったこと、だと跳ね除けられてその度に彼女はぼろぼろ泣くを繰り返すこと五度目の正直。俺は秘策を打ち出した。いやー良く回る頭で助かるぜ!


「追放は一時的なのか?」

「いいえ、今後ともです!」

「なら一つ俺からチャンスを上げても良いか?俺が被害者なんだから俺にも決める権利がある」

「……」

「女王で決定権があっても俺の了解無しで決めるのは納得出来ない!」

「だから私が女王なのです!」

「なら俺はオトシゴだ! ゾルじーさんを助けて、神樹の問題も解決したんだぞ! 他にこれが出来るのは誰だよ!」


今までオトシゴに帰属するような権利や主義主張なんてしたことがなかった。俺はそれが一番嫌いだからだ、そうやって立場を利用して偉そうにするのが嫌だったから。それをすれば楽に願いなんて叶うだろうし、幾らでも何でも出来ると思う。それはヴェルさんの顔に鼻糞付ける様なもんだ。聡く楽しくが俺のモットーなんだからそれだけはして来なかったけど今回だけ。一度きりだ。


「黒き龍の御胸より流れ落ちたタツノオトシゴだ! 幾ら女王であろうと失礼極まりない行為だな!」

「小僧お前……」

「いいか! この国の妖精を救えたのは俺の力のお陰だ! ならば対価を要求させて貰おうか? 途方も無い対価をなっ!」

「聞きましょう、オトシゴ様」


「現在、ヴォルマ、ジョコラ、ノヴィスは同盟関係にある!」

「小僧! まさかお前!」

「黙れ! やすやすと口を聞くな! 我はオトシゴぞ?」

「うっ……」


恐らく俺の龍力が漏れ出していたんだろう。ゼスの顔が蕩けているのがその証拠、今にも飛んできそうなのを我慢してるのが丸分かり。


「同盟関係にはあるが現在のノヴィスは復興の最中だ。そして三国間で国を運営する為の養成所を俺の計画で進めた。騎士、王族、それに連なる全てを学べる場だ。そこへリノリスを入れる。だがあの場には権力や立場は無い。王族としてでは無く入って学んで貰う! その結果を見てから決めろ! いいな? これが俺からの対価だ!」


一息に話した俺を黙って見た全員は言葉を紡げずに幾許の時間が過ぎた。そしてグラディーは女王として口を開いて俺を見る。


「決めたとして、オトシゴ様に何の益があると? それで嫁にでも迎えてこの国を三国で奪いでも?」

「はっ! そんな下らんことなんざするかよ。それもともルセルが手を出すか?それこそ俺は敵に回ってルセルを滅ぼすぞ?」


リノリスは自分を責めていただろう、自分のせいで下手したら戦争。国家間の問題にまでなってきた話しにとうとう口を出す。


「母上様! 私にもう一度だけ! オトシゴ様の提案を受けさせて下さい!」

「グラディーよ? 良いだろう? ワシからも頼む」

「グラディー?」

「良いでしょう、ただし何人か共に付けます」

「ですが母上様それは!」

「あなたを監視する為の者ですよ? 何を甘えた考えをしているのですか?」


そしてリノリスは俺に頭を下げてノヴィス行きの為の用意をすると言い残してこの場を去った。一応、俺から内容をまとめた手紙を渡しておこう。

クレフィアなら理解してくれる事だろう。


「オトシゴ様よすまなかった」

「あぁあああーむりーー俺にこんな役回りさせんなよ~疲れた!」

「はぁ~もう我慢が! シンキラキラで///」


「嫌な役回りだよ。我はオトシゴぞ! なんだよそれ! 意味分からんわ!」

「あなたは初めから……」

「どれだけ不出来でもどれだけ駄目でも子を嫌う親なんていねぇだろ」

「……」


「でもグラディーは女王だ言った事を覆すのは難しいだろ? ならあぁするのがいいと思ったんだよ」

「小僧、すまんなまたしても助かったぞ」

「いいよ。ただもうあんな威を撒き散らすようなのは勘弁してほしい」


俺の心を見たグラディーは涙を流した。俺が泣かしたみたいじゃないか。

「シン、あなたの御心に感謝します。あなたが一番したくはない事をさせてしまって御免なさい」

「もう済んだことなんだしいいじゃん!」


一件落着を感じる前にゼスが俺に引っ付いてとろとろに蕩けていた。

「はぁはぁ、美しくてこれは……」

「ゼスさ~ん? 皆みてるんだけど?」

「どうでもいいです! 今はこれです!」


腕にゼスを絡めたまま、出発までにやるべき事を全てこなして準備を終えた。

その最中にリノリスが俺を訪ねて来たので手紙を手渡してやると号泣していた。色々大変だけど頑張れと励ませばキリッと表情を変えて、その目には確固たる意思が見て取れたので多分大丈夫だろう。三人の妖精を携えて目指す方向を見据えて歩き出す。どんな出会いがあるか楽しみして一度だけルセルを振り返れば筋肉が二人とゾルじーさんが頭を下げていた。

本話もお読みいただきまして有難う御座います。

ブックマークにも感謝致します。


前話であと二話と書きましたが・・・あれは嘘です。

次話から新章に入ります。話数を数え間違えただけです。すみません。

次話以降も宜しくお願い致します。

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