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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第九章 偽オトシゴ 編
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再会・・・

踊り子四人にパスされながら過ごした時間はいい思い出で、もう一度あの時間に戻りたくて仕方ない。港に着けば町は少しずつ目を覚まして、活気に溢れ出す頃合。馬車が数台にそれなりの人数がいきなり港に入って来たものだから人目を引く。

トルトにルーシャとオルクス君に筋肉達の数名が俺の後ろに着いてギルドの中へとズカズカ突入。

俺に地図をくれたヤツが裏で糸を引いていた黒幕、躊躇無くアイアンクロー、もといドラゴンクローというべきか?偽オトシゴ同様に五指を顔に突き立てれば血がたらりと流れ出す。


「ギルドの人間に対してこんな横暴をして許されるとでも思っているのか!」

「あの村は昨日のうちに全部ぶっ壊したぞ?」

「何を訳の分からん事を言ってるんだ!!」


埒が明かない雰囲気を見た筋肉一号が、偽オトシゴの首根っこを掴んで見せると明らかな同様を見せた。冷静を装っているけどさ?誰がどう見ても挙動がおかしい。そりゃ顔面に五箇所も指が喰い込んでいるのだから仕方ないかもしれんけど。一号が俺の横に偽オトシゴを吊るし上げ、凄んだ顔で睨めば簡単にゲロった。


「間違いない・・・」

「ほら?もう全部バレてるからあきらメロン」

「何がだ!こんなヤツは知らない!」

「きさまっ・・」


仲間割れ、信頼関係なんて初めから無い馬鹿共の共食いに自滅。あれやこれや聞いてないことをベラベラ暴露大会で、中を調べていたトルト達が帳簿を手に出てきて終幕となった。馬鹿真面目に自分の行いを隠すこともなく堂々と帳簿に記録している辺り、ギルドの人間だからバレることなんて無いと慢心していたんだろう。偽オトシゴ達の売買こそ未然に防げたが、こいつはいくつかルートを持っていたようで既に何人もの人が犠牲になっていた。


こうなってはどうしようも無いと思うが、やはり慢心馬鹿は偉かった。どこの誰に何人売ったかを普通に書いてあるのだ、偽名かもしれんがこれは重要な手がかりに成り得る証拠。船を乗り継いでノヴィス方面とジョコラ方面へと送り出していることから、この辺りで人を攫ってしまえば足が付き難いと考えらしい。トルト達に任せてルナからリエラとクレフィアにでも伝えて貰えば、全員とは行かないかもしれないけど助けれる可能性もある。五指を顔から外してやれば慢心馬鹿は腰の短剣を抜いて俺を刺し貫こうとしやがってくれたので、短剣を握る手ごと握り潰して差し上げて一件落着。


「あとは船だな!」

「オトシゴ様、流石にこれだけの人を船に乗せるとなると・・・そのっ・・」

「金無いよな~」

「自分はある程度は持ってますので払えます!」

「払うことが出来ない人が多すぎですね・・正直、こちらも余り手持ちがありません」

「とりあえず港に行ってみよう」


集団で移動し船を探すもやっぱり断られてしまった。オルクス君が怒りながら俺がオトシゴ様だと説こうとしたところでそれを止めた。


「何故ですか!オトシゴ様が困っているのに!」

「あのな~彼らだって自分の生活があるんだからさ、あんまり無茶を言うのもどうかと思うぞ?」

「ですけど・・・」


どうしたものかと思案している内に、一隻の船が入港して降りてきた人と目が合った。どうやら俺に運が傾いているようでここで逃す程、俺も落ちぶれてはいないんだ!やってやるぜ!


「あらん?坊やじゃないの!!久しぶりね!」


その人物を見たオルクス君はまるで怪物を見るような表情、トルトもルーシャも呼吸をすることを忘れている始末。後ろの筋肉達も大して見た目が変わらない相手がオネェのせいか硬直して目だけが俺を見ている。仕方ない。


「やだ~どんだけ~久しぶりなんだけど~」

「あん!この前の船って時化のせいで遅れたみたいねぇ!」

「そうよ!そのせいでお金沢山とられちゃったのよん!!ぷんよ!」

「ごめんなさいねぇ?この航路は荒れる時は凄く荒れちゃうのよ!」

「いいのよん!お姉さんのせいじゃないものっ!気にしてないわよん!」


あら?どうしたの?どうしたの?が続いて十連鎖。

オネェが集まり俺と談笑を始めてあれやこれやとニコニコ話していた間、後ろのヤツらは全て動きを止めていたのだ。これで俺の何かが右肩下がりにでもなろうものなら俺は恨むぜ、こうでもしなきゃどうにもならんのだ!身を切っていることに気がついて欲しい!オネェ達もこちらの物々しさに気がついてくれたようで、一から全て話してみれば流石だね!


「あらん!ならこの船に乗りなさいよ!」

「でもっ!お金が足りないの!」

「いいわよ!坊やのお友達なんでしょう?」

「聞くも涙、語るも涙!泣かせるじゃないのよ~」

「お姉さん達どんだけ~どんだけ~どんだけ優しいの~どんだけ~」

「荷物下ろしたら十分に乗れるから気にしないで!」

「そうそう!今回はここから荷物載せないから気にしないでいいのよ!」

「ありがとう!その美しき御心に感謝するわよ!どんだけ~」

「「「「どんだけ~」」」」


てな訳で一銭も金を支払うことなく船での移動を可能にしてみせたのだ。俺も途中から楽しくなってノリノリだったことは絶対に悟られてはいけない、変態だなんて流布されでもしたら俺のぐにぃ王国が瓦解してしまう。それだけは何があっても阻止せねばならんのだ・・・。


船の再出港は翌日の朝らしく、いかに屈強なオネェさん達でもこの航路では体力を消耗するらしい。船賃が浮いた分、飯は食えるのだから一日遅れても文句が出るなんてことな無い。オネェさん達に酒といくらかの食べ物を差し入れすれば笑顔で感謝された。感謝するのはこっちだから気にしないでくれ、と頭を下げれば「色男ねん」と褒められて少しだけ下腹部に装備されている袋がきゅんとしたのは言うまでもない。


「オトシゴ様・・その・・」

「何?」

「いえっ!」

「ルーシャ!オトシゴ様の趣味を否定したらダメよ・・」

「おい・・・」

「シン殿・・その自分は女性が好きですからそのっ!」

「オルクス君、あのね・・・」


俺はそんなんじゃ無いって言ってるのに信じて貰えない勘弁して欲しい。身を切った結果がこの様なんてあんまりだ。そんな悲しみを察してくれた踊り子四号こと、トリクが頭を撫でてくれて俺の心はなんとか保たれた。


「オトシゴ様、頑張ったトリクみてた」

「俺さ・・こんなに頑張ったのに皆あんなこと言うんだ・・」

「オトシゴ様が乳好き知ってる。だから大丈夫」

「うん・・でもねあの人達が虐めるんだよぉ~」

「お前達おかしい!オトシゴ様、頑張った!お金払わなくてよくなったの、オトシゴ様のお陰!」

「ぐすん・・・ぐすん・・・」


謝罪に告ぐ謝罪を受けて俺はなんとか、変なカラーリングのラベルを貼られることを回避したのだ。どうやら踊り子達もこの流れに乗じて移動するようで、話してみればヴォルマに行って見たくなったようで先にノヴィスを薦めておいた。


あの国は活気はあれど、それでも下手したら空元気にすら見えてしまう。でも踊り子が行ってくれれば何か良い化学反応が起こりそうだと期待している。

俺はこのまま明日まで待つ気は微塵も無いから、昨日の筋肉二人と話をする為に別れを告げた。


「オトシゴ様、何から何まで助けて頂きまして有難う御座います」

「本当になんとお礼を言えばいいか・・本当ならあそこ死んでいました」

「もういいから!そんなに頭を下げられても困るんだって!」

(おもにぐにぃがチラチラ見えてぐにぐにしてるんだから!)


「ですがっ・・」

「それでもっ」

「大丈夫だから、俺は俺の為にしただけって思ってくれ」

(良きぐにぃに沢山出会えた喜びが溢れそうなんて言えないだから!)


「俺のそのうちヴォルマに戻るからそん時はまた宜しくってことでな?」

「「はい」」

「シン殿!戻られる際は自分にも声を掛けてください!」

「お前誰・・・」

「そんな!さっきのアレはそのっ・・」

「嘘だって、どんだけ掛かる分からんから何時頃かはいえないけど行くよ」

「はいっ!」


良きぐにぃとの別れは辛く後ろ髪引かれるどころか、後ろから引き千切って地面に叩きつけられて踏まれたい思いを振りきり男達と合流した。

同じ二人でも天地以上の差があるんだ。

あるべきところにあるべきぐにぃは無く、その代わりにギッチギチの筋肉が隆々とこちらを見ている。

一人旅だったらあんまりぐにぃを考えずにいれるのに!人と接しているとどうにも頭から離れないのは呪いだろうか?それともそんな星の元に生まれたからなのか。そんなことを一人で考えている俺に、二人は改めて言葉をくれる。


大斧を持った男はキソロ、大槍をもった男がニゴスと自己紹介してくれた。彼らは傭兵をしていたけど元々は猟師らしく妖精の国で生まれ育ったらしい。

なんでも国へ入るには森の特定のルートを通らない限り至ることが出来ずに迷うらしい。

なんでも森で揃うから必要無い物を一々国に入れる必要が無いとのこと、そんな国に部外者の人間が近づいても良いのかと問えば答えは。


「外からもちゃんと入れます」

「何も国に篭っている訳では無くて、数を絞ってるだけなんです」


どういう訳が聞いてみたら、国には誰でも入れるけど招かれぬ客は入れないってことなんだそうだ。国に住んでいる者の知り合いで無いと入国は出来ないってことらしい、まるで一見さんお断り的な雰囲気。排他的な国ではないものの積極的っていう訳でもないようで、ある意味で文化をしっかり守っているのだろう。


「オトシゴ様、一つ約束して貰いたい事があります」

「仮に国へ赴くルートが理解出来ても他言は無用です」

「分かった、約束する」

「後、道中色々あると思いますけど心穏やかに」

「ゆとりを心に持っていて下さい」

「ん~?よく分からんけど分かった」


この港からは馬車で一日、森を三日の道程のようで必要な物を買い揃えたら直ぐ出発。今まで荷台にしか乗ったことが無いと言ったら、荷馬車の乗り方を教えてくれるようで初めて御者台に座ることになる。荷台に比べて視界は広く高いけど、圧倒的にケツが痛い。が、ここで俺は閃いてしまった。何故今までこれをしてこなかったのか後悔したさ。


ケツにぐにぃを展開するのさ、これで何時でもケツでぐにぃを感じる事が出来るし痛みともさようならさ!もうなんて形容したらいいか分からない、俺は馬車を操作しているハズなのに常にぐにぃがケツにまとわり着いているんだ。

揺れるたびにぐにぐにするケツに喜びを感じていた、それを勘違いしたキソロは「そんなに楽しいですか?」なんて聞いてくる。かなりの笑顔だったんだろうな、一応は楽しいと感想を漏らしておいたけどクールだ。感情を殺しきれ。


どのくらいそうしていたか分からないけど、途中で飯を食べてからは俺が荷台で二人が御者台に座り出発となった。せめて一人ぐらい荷台に来てくれたら話でも出来るのに、これだと暇過ぎて寝てしまいそうだ。見える風景は荷台の後ろからだけでどんどん流れて行く、それに連れて俺はどんどん眠たくなって睡魔に負けた。でも二人いるから俺が寝たところで問題は無いはずなんだ、だから大丈夫だって自分勝手に決め込んで寝てやりました。


次に目が覚めた時のは既に辺りは暗くなりつつあって、それでも以前変わらずに馬車は進んでいた。数回の上り下りを経て、馬車は少し広い空間で止まった。どうやら今日はここで野宿らしい。


「ごめん・・・寝てた・・・」

「構いませんよ、自分達は慣れてますから」

「それにオトシゴ様に御者を預けて寝るなんて出来ませんよ」

「いや!交代は大切!明日は俺がやるよっ!!」


気合だけは十分だけど腹は鳴るもんで俺が作った飯を披露するのだ。口に合うだろうか?まずいんだよ!糞野朗とか言われないかドキドキだったけど反応は上々。


「オトシゴ様!こんなに美味い食べ物なんて初めてですよ!」

「何時もはあり合わせだけで済ませるんですけど、これは美味いです!」

「たんとお食べ~」


あり合せで作った鍋料理がこんなに受けるとか・・・鍋料理って言ってもほんとに色々突っ込んだだけだし。鍋だって大きいの無いから小さいのを三つでミニ鍋だったけど、喜んで貰えて何よりだ。今晩は俺も番に加わると言うも断られる、なら光りが真上に来るまでならいいだろうと提案しなんかとか了承して貰ったのだった。明日からは森の中だってさ。虫とか無理だからかなり億劫になるけど、ぶーたれたって虫が絶滅する訳では無いんだから我慢だな・・・。

本話もお読みいただきまして有難う御座います。

ブックマークにも感謝です。


本話で九章は終わります。

次話より十章に入りますので宜しくお願い致します!

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