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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第九章 偽オトシゴ 編
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いつかの騎士とぐにぃ

魔法で生成された明かりが周囲を照らしている。

村があった空間をぽつぽつと照らす明かり、幾人かが交代で番を行っていた。

ぐにぃからの離脱をした俺は逃した夕食のせいで腹が何度も鳴る、馬車から降りて何か食べ物が無いかと訊ねてみよう。地面を踏む音に反応した体格の良い男が二人、こちらを注視していたけど俺の姿を見ると深く腰を折って頭を下げる。


「オトシゴ様、この度は本当に申し訳ありませんでした」

「偽物だと疑いもせず、もう少しで後戻りの出来ない人生を歩むところでした」

「そんな仰々しくしなくていいから頭上げなよ・・・」

「ですがっ!」

「あのさ?そもそもオトシゴってだけで何でそこまで出来るんだ?」

「はぁ・・・」


おかしい事でも口走ったか?オトシゴったって大したことなんてしてないし、そもそも連日ぐにぃ出来たら幸せだなぁとかで頭いっぱいなのに。

二人が頭を下げている様子を見た他の男達もわなわな集まってきて、このまま掘られるんじゃないかって考えてるなんて言えない。しかも、集まった先から頭下げ始める始末、俺に頭下げられても困るだけで新手のいじめか何かとすら疑ってしまうレベル。


「頭上げて欲しいんだけど」

「・・・・」

「お願いしますから頭を上げて下さい」


言っても上げないから俺も真似して頭を下げたところで、オトシゴ様が頭なんて下げないで下さい!と来たもんだ。互いに一歩も引かない状況で俺は地面に座って、お前らも座れと地面を叩いて見せたら正座される。腫れ物に触るかのような扱いは正直なところ嫌いだから普通にして欲しいって頼むも「そんな恐れ多い」全員でハモりやがるのだ。


「あのさ?俺とは初めて会う訳じゃん?それにこの辺りにだって初めて来たんだからさオトシゴとか関係無く行こう」

「なんとそのような慈悲深い御言葉を・・・」

「オトシゴ様ぁああああ~」


なぜ涙を流して拳を握り締めやがりますかね?俺は今から殴られるのでしょうかね?いっその寝たままの方が良かったのかね?そんな思いがこみ上げる中で俺の腹は一段と音を放った。


「あぁ!夕食時にはおられませんでしたよね!」

「夜食でも作りますから少々お待ち下さい!!」

「悪い、助かるよ」


「あのオトシゴ様、一ついいですか・・・そのっ・・」

「ん?気にしないで言いたい事は言ってくれよ」

「ここにいるヤツらは全員が騙されてこの様なんです」

「済んだことなんだから気にしないでいいってば」

「いえ、それでは罪は消えません!」

「オトシゴ様から許されても俺達は・・」


「どうしたいんだ?」

「オトシゴ様!俺もコイツも元々は傭兵をしてたんですっ!」

「でも、傭兵は雇われてなければ何も出来ません」

「それで?俺にどうして欲しいのさ?」

「オトシゴ様!金なんていりませんからどうか!俺達を連れて行ってはくれませんか!」

「えっ・・・それはちょっと無理かなぁ」


その場にいた全員が地面に両手を着いてうな垂れる、そんな光景を見せられた俺はどんな反応をしたらいいんだよ。まるで俺が全て余す所無く悪いみたいじゃないか、おい・・後ろのおっさん涙拭けよ・・・。


「あのさ?さっきも言ったけどオトシゴなんて呼ばれても何の権力も無いし、普通に死ぬからな?人と変わらない訳」

「そのような事を仰られてはいけません!!」

「ひっ・・」


「あのっね・・そのっ、そもそもなんでそこまで謙れるんだ?龍殿やらに奉られるヤツらならいざ知らずだぞ?」

「誰もがオルゾン=ボレンツ様の話を聞いて育つんです、英雄になったあの方の話は皆好きなんですよ」

「オルゾン=ボレンツ様が流れ落ちて、そして国が出来るまでの話は良く父に聞かされましたから」

「でも俺はオルゾン=ボレンツでも無いし、英雄でもないし、オトシゴって言っても割と適当に生きてるんだけど・・・」


要するに俺を一人の俺として見てなくて、オトシゴってラベルだけを鵜呑みにしているんだろう。それが悪いから止めろなんて言わない、俺の前のオトシゴの偉大さをフィルターに掛けて見られてるんだから。比べられるような感じがして少し気が滅入るけど、この世界にとってオトシゴってのはそれ程の事なんだと改めて理解させられる。


「オトシゴ、オトシゴって言われてもな。ほんと笑ってしまうぐらい情けないって思う事だってあるんだよ」

「少しでも役に立たせて下さい!」「俺も!」

「自分もだ!」「お願いします!」


どうぞどうぞ!なんて流れには絶対にならないし、させないからな!

一瞬、言いそうになったけどぎりぎりで飲み込んだぜ。


「俺には目的があるんだよ、今もその度の最中なんだ」

「お聞かせ下さい!!」

「あのさ、妖精の国って知ってるか?俺はそこに行きたいんだよ」


目的を話した結果、お釣りが返って来た。お釣りどころかただで商品を手に入れたような感じ。手前の一人と奥の一人が国の出身らしく、何やら二人で話し合いをして俺の前で膝を着いた。


「国へ行く事は難しいですけど、オトシゴ様ならば別です!」

「普通に行かれても迷い、そして国へ入る事は一生無理です」

「え・・・まじか・・」

「自分達にどうか道中の案内をさせて貰えませんでしょうか?」

「今ここで話すには人が多く話せぬ事もありまして・・・」

「うーん・・分かった!明日は港へ行ってからギルドを抑えるけど、その後にもう一度話しを聞かせてくれないか?」

「「勿論です!」」


寄り道をして良かった。遠回りが意外と近道なんてこと聞くけどまさにその通りになってしまった。港からまた振り出しになるけど、一人旅より誰か話せる相手が居るのは良いことだしゆっくり行きますかね?

良いタイミングで腹が鳴ってくれたお陰で俺はようやく飯にありつける。

幾人かの男を残して、後は警備に戻って行った。もしゃもしゃ食べている間にさっきまで一番後ろに居た男が俺に頭を下げるのだ、またか・・。


「オトシゴ様、お食事の最中に申し訳ないのですが宜しいでしょうか?」

「ん?旅に関しては国絡みだから難しいよ?」

「いえ!自分も傭兵ですがそのっ・・どうかあなたに仕えさせて貰えないでしょうか!」

「あの・・だからさ・・」

「旅の同行が無理ならそれでも構いません!」

「・・・・」

「現在ギルドで燦の位にいます!騎士にもなれなかった自分ですがどうか!」

「騎士になりたいの?」

「オトシゴ様の騎士にどうか!」

「俺って基本はヴォルマの人間だから、騎士云々なんて考えたことないし」

「ではヴォルマで兵として雇ってはくれませんか!?」

「ヴォルマにも兵はいるけど殆どが魔法を使う兵士だよ?魔法はどうなの?」

「それは・・・」

「よし!俺と少しやろう!」


驚いた顔の兵士を他所に立ち上がり構えると、流石は燦の位ってだけはあって直ぐに構えた。騎士なら武器も使えと剣を抜かせるも、俺が素手なのが気になっている様子。馬鹿にする訳では無いけど、抜かせてみろって吹っかければ案の定だ。


「行きます!!」

「おうよ」


結果。魔法こそ苦手ではあるけど使えない程では無く、剣の腕は目に見張るものがあって、レーゼンまでとは言えないけれど強いって確信は持てた。


「オトシゴ様はやはり御強いですね・・・一撃も届きませんでした」

「でも強いって個人的には思ったよ」

「では!」

「でもヴォルマは難しいと思うんだよ」

「そっ・・・ですか・・申し訳有りません・・」

「話を終わらすなって」

「・・・・」

「今のノヴィスなら人材募集中だからノヴィスに行くといいよ」

「ですけれど・・自分は・・」

「今の所はヴォルマとジョコラにノヴィスで同盟を組んでるし、一番人手がいるのがノヴィスなんだよ」

「どういう形であれオトシゴ様に仕えることが出来るという訳ですか・・」

「そう言うことだな!」

「でも行き成り行っても大丈夫なんでしょうか・・その紹介状のようなものを頂けると・・」

「そんな権力無いからなぁ・・・あっ!!」


俺は思いついた事をごにょごにょ耳打ちしてやった。

「ほっ本当にそれで大丈夫なんですよね・・」

「大丈夫だ!絶対にいける!」

「なんだかよく分かりませんけど・・有難う御座います!」

「俺の名前はランザヴェール=シンだ」

「自分はソルダリア=オルクスですっ!」


握手をしようとしたところ、どうか龍の手にと頼まれて握手を交わした。

茶色いボサッとした髪に何故か三つ編みを垂らした、身長180に届きそうなイケメンことオルクス君。今が夜で良かったな!!!この野朗!!周りが明るかったら蹴ってたかもしれんぞ!こんちくしょうめっ!!

俺が国を治めることなんざ無いけど、未来の騎士が生まれた瞬間だった。

ラガノに毎日しごかれて強くなれなんて偉そうに思うのだった。


腹も満たされて程よい眠気が両手を叩いてカモンして来たから、挨拶だけして馬車へと戻るんだ。ふひひ!小さくなって朝までぐにぐにぐにぃ~だぜ!!!

いやー楽しみだわ!!!


らんらんらんしながら馬車の前で小さくなった時に事件は起こった。

大きい状態で満たされた俺が小さくなれば何が起こるのかは自明の理、キャパシティオーバーするに決まっている。入らない所に無理矢理摘めたらどうなるか?答えは簡単、出るところから出る。それすなわち・・・・。


「おろろろろろろっろおおおぇヴぇえええ~」

食べた分吐いちゃった♪当たり前だよね~俺って本当に馬鹿だにゃ~ミャハッ!誰も聞いてなかったからセーフですわよ!そう思いながら水で口を濯ぎ馬車へ乗り込んだ。いいもんぐにぃに癒されるんだもん!ぷん!ルーシャがすーすー寝息を発てているから、そっと潜り込もうとしたのが悪かった。


「何者ですっ!!」

「あげはっつ!」

「女性が寝ているところを襲うなんて卑劣極まりない!覚悟!」

「たしゅっけ・・・」

「へっ・・・」


壁を貫くように伸びた彼女の腕は、鳩尾を抉りこむ様に食い込んでいたのさ。

小さい明かりがふわっと浮かんだ所でルーシャと目が合ったんだけど、完全に固まってたね。


「がふっ・・・」

「あっあのっあのっあ・・・」

「たしゅけて・・・げはっ」

「もっ申し訳有りません!!オトシゴ様とは気がつかず!!」

「いいから・・・その手・・・どけて・・・」


完全に油断してた俺は膝を着いて倒れこんだのだった。こんなことした報いだな・・・ぐにぃ神様、どうかお許し下さい。だが倒れる俺をぐにぃ神は見放さなかった。やはり俺はぐにぃに愛されているんだと悟った。


「はうっ~」

「大丈夫ですかっ!」

「おねしゃんのパンチすごいね・・・」

「すみませんでした、賊かと思ってしまったので」

「ぼくが悪いから気にしないで・・」


倒れこんだ先はルーシャにぐにぃでしたのよ、ぐにぃ渓谷の間に俺の顔は収まりふにふにぐにぐにしている間に体が横になった。ルーシャは俺を抱いたまま横になり抱き枕の如くぎゅーしてくれたのだった・・・これは多分、謝罪のぐにぃのだろう。たわわに実ったぐにぃを頬に感じながら俺は眠りに落ちて行った。


翌朝は体に振動を感じて目が覚める。馬車が動いていると理解して眠気眼をごしごしごしれば、ルーシャではない女性に抱っこされていたのだ。


「オトシゴ様、おきた?」

「ん~?」

「よく寝てた、眠いなら寝てたらいい」

「だれぇ~」


顔を上げれば、偽オトシゴのぽこにゃんを踏みつけていた踊り子のぐにぃの中。馬車の中には踊り子が乗り込んでいて皆で俺を観察してたらしい。

寝ぼけたまま、寝ぼけたまま、もう一度言うが寝ぼけたままに俺は踊り子のぐにぃを頭でぐにぐにしてたのさ。ぐにぐに。


「んっそれダメ」

「おねしゃん寒い~」

「こうしてたら大丈夫」

「あったかいね」

「そうか、なら良かった」

「おねしゃんは良い匂いするね」

「くんくんしたらいけない」


「ちょっと!トリク?オトシゴ様が起きたんだから変わってよ!」

「ダメ・・・まだ起きてない、サルタの番まだ」

「トリク~じゃあこっちに!」

「リナレちゃんダメ」

「じゃあこっちね~」

「レフティス最後」


「まだトリクの順番」

「あったかいね」

「ぎゅーする」

「ん~」

「あったかい?」

「うん」


踊り子四人に次々とパスされてはぐにぃするなんて夢の時間を過ごせました。

ぐにぃ神よ、俺はあなた様に感謝致します。このようなぐにぃとの出会いに巡り会えたのはあなた様のお陰です。

本話もお読みくださり有難う御座います。

ブックマークにも感謝です。


九章は次話で終わります。

次話は明日更新しますので宜しくお願い致します。

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