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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第九章 偽オトシゴ 編
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世界は子供に優しく時に厳しい

拉致されて連れて行かれた先で出会った天使ことルーシャ達を助ける為に、僕は現在色々とお話を聞いております。小さな村を形成していて、そこは野党達が仕切っているらしく男が多いそうだ。ルーシャはここに捕まり既に一週間以上経っているようで、他の子供達も前後二日程度のズレこそあれど同じらしい。


同じ様な檻が三つ並んでおり、俺が捕らえられている檻は子供専用とのこと。

彼女が子供だらけの檻に入れられているのは、子供の相手をさせられていると考えれば納得出来る。俺が入れられた檻の横二つ、そこには大人の女性や少女が多く皆顔には疲労が見え隠れしている。子供にはいえない様な事をされているようで、体中に痣があったり包帯を巻かれたりと散々な状態。


「ねぇねぇ、ルーシャさん!」

「どうしたのシンラ君?」

「ルーシャさんはなんでヴォルマから来たの?凄い遠いんだよね?」

「シンラ君には難しいかもしれないけどね?ヴォルマにはオトシゴ様って呼ばれいる方がいるの」


なんでここで俺の存在が浮上するのか、俺絡みの何かがあるのか?この土地に来るのはこれが初めてだし。誰かから恨みでも買ったか?三国間でしか行き来してないからそれは無いと思うんだけど。チラッと横を見れば幼女達が話しに食いついていた。


「おねぇーちゃんオトシゴって何?」

「簡単に言えば龍に選ばれた凄い人かな?」

「すごいんだね!」「すごい!」「龍みたい!」「オトシゴ見て見たい!!」

等など各々感想を述べているけどね?最後の幼女、君の願いは既に叶っていたりするんだよ?とは言えない。


「一度だけ町で遠目に見た事だけはあるんだけど」

「かっこよかった?」「かっこいいだろうね!」「おうじさま?」

「そうだね~何というか優しそうな人だったかな?偉い御方なのに威張って無くてね。命も助けて貰ったの」


やめて恥ずかしいからもうやめて、本人がいる前で本人の話しないで。恥ずかしいからもう勘弁して下さいませんか!俺がモジモジしていることに気がついた彼女は勘違いをしてくれる。その勘違いで俺は何かを失うのだ。


「シンラ君、端っこでするといいよ」

「え・・」

「こっちだよ!」


やめて・・勘弁して!女子だけの空間でおしょんなんて出来る訳が無い、こんな所でしたら俺は目覚めてしまうかもしれんだろ!恥ずかしがらなくても大丈夫なんて優しい言葉を掛けないで!違うの!尿意なんて一切無いんだから!あぁ。

何か大切なモノが一つ大きな音を発てて砕けきったような気分、大事な何かを取り戻せる日は来るんだろうか・・・。


「それでルーシャさんがここにいるのとオトシゴ様と関係あるの?」

「途中だったね、オトシゴ様を騙る悪者がこの辺りにいるって聞かされてね?」

「それで探しにきたの?」

「うん・・でも捕まっちゃったんだ・・」

「何でオトシゴ様がここにいるって知ってるの?」

「一月ぐらい前に龍殿から聞かされてね?本当はルナリア様・・王様が指揮を取ったり侍女の方達が・・うーん難しいね~。偉い人達は皆凄く忙しくてそれで龍導院から私ともう一人が選ばれてこの土地へ来たんだよ」


ルナまでこの情報が上がってないって訳は無いだろう、あえて俺には伏せていたのか?確かにこの三ヶ月程は皆がそれぞれ忙しくて大変そうだったけど、だからって俺に言わないってなんでだ?俺に変な心配事をさせたくなかったのか、あるいはニーナ辺りがそうしたのか?でもこれを聞いたら無関係とは言えないだろう。俺を騙る偽オトシゴって野朗のご尊顔を拝まないと先になんて進めやしない。


「もう一人はどうしたの?」

「彼女は向こうの檻に入れられてるんだ・・何度か牢から連れて行かれてるのを見たんだけどね・・・」

「そっか・・」


俺のせいで誰かが巻き込まれて泣きを見るなんてのは到底許容出来るハズなんて無い。俺のせいじゃないって周りは言うだろうけど、俺を騙る輩がいる以上は俺にだって関わりがあるんだ。さて、どう動くかだな。ちゃちゃっと牢を破って捕らえに行くか、それとももう少し様子を見るか?


「僕達はずっとここにいるの?」

「ちがうよシンラ君!あのね~お昼になると出れるんだよ?」

「何かするの?」

「あのね!外出て村の掃除とかご飯とか作るんだよ!」

「へぇ~」

「シンラ君は来たばかりだから無理しないでね?」

「ありがとうルーシャさん!」


情報収集してから動くか、どっちにしても人の手は借りれないんだ。

敵を全部叩いてもその後が大変そうだし、頭だけ潰したら瓦解するかもしれん。

これで偽オトシゴ様がイケメンだった日にゃ俺は怒り狂うかもな・・。

ただの魔法相手なら相手にはならんだろう、数が増えてもそれは同じなんだけど実戦で試してみたい事があるからやってみたい。


それからしばらく経ってから、俺を捕まえたヤツらに連れられて村の中まで進んだのだ。小さくてちゃっちい村かと思っていたけど、木で作られた柵に囲まれじっくり腰を下ろして生活しているようだ。男が多いが幾人かの女の姿も確認出来る、俺は皆とは離されて村の女達に連れて行かれた。


「こんな可愛い子を捕まえてくるとはね・・・」

「あんた女の子にはそんなこと一度も言わなかったじゃん」

「男の子は別なの!それに可愛いからいいの!」

「確かに可愛らしいね」

「オトシゴ様に頼んでこの子だけでもここにおいて置けないかな?」

「頼んでみたら?オトシゴ様優しいし」


どうやら早々に会えるらしいが・・・ダメ押ししとくか。

「おねしゃん・・・ぼくころされちゃうの・・うぇっ」

「だっ大丈夫!ほらおいで~」

「ずるい~」

「後で変わるわよ!」


「おねしゃんたち悪い人なの・・・」

「そうだよねぇ~行き成りだもんね」

「私達はオトシゴ様の命令に従ってるんだけなんだけどね」

「人を売ってるって事実は変わらないんだけど、オトシゴ様が世界の為って言うんだからね!」

「こわいよ・・・」

「大丈夫、ほらぎゅーしてあげる!」

「あっ!変わりなさいよ!」


堪りません、本当に良きぐにぃにめぐり合える奇跡に感謝致します。

ぐにぃを堪能している間に彼女らは移動していたらしい、ぐにぃから解放されたら目の前に眼帯を付けて龍の手を付けた男がいた。どうやら俺らしい・・・・。衝撃、いや傍から見たら俺はこんな風に見えるのかもしれないと思って幾許かの羞恥心を覚えた。


「どうした?その子供は?」

「今日連れてこられた選ばれし子の一人なんですが・・・」

「男じゃないか」

「オトシゴ様、どうかこの子は・・」

「全部言わなくても分かるよ、俺はオトシゴだからね?その子をここで育てたいのだろう?」

「はっ・・はい!!」

「その子をこちらへ」


俺は抱っこされて偽オトシゴの前に出される。

腕を見たらなんだか悲しい気持ちでいっぱいになって溢れそうだよ。

どうみても獣の皮を加工して作ったような手に、ノリでつけた様な眼帯なんだぜ?もう少し俺に寄せろよ!しかも・・・イケメン・・・ふざけ倒せよ。


「ふむふむ、なるほどね~この子は聡い子だ。この眼帯は・・」

「いやぁああツノツノいやぁああああ!!!」

「大丈夫よ~よしよし」

「ツノツノにやられた訳か・・・ふむふむ」

「オトシゴ様!どうかお願いします!!」

「まぁいいだろう、でも仕事はちゃんとさせないといけないよ?」

「はい!感謝します!!」


あのイケメンの顔面だけはへしゃげさせてやるぜ・・・。

何より俺が許せないのは椅子の横に四人も美しい美女達を侍らせている事だよ!

なんだそれ!羨ましいんだよ!!偽物のお前がそんなの出来るなら俺にも出来ていいだろ!!なんだこの格差!顔か!もういい!俺だってぐにぃするもんね!


「今はダメよ?」

「怖かっただけだよね?」

「ふぇ~」


俺は見逃したりはしなかった、偽オトシゴが羨ましそうな目で俺を見ていた事をな。どうだ?くやしいか?俺は小さくなってぐにぃ出来るけどお前には出来んだろが!ばーか!見せ付けるように顔を埋めてお楽しみの時間を満足するまで過ごしてやったぜ。


その時間もあっと言う間だったけど、俺は檻の中へ戻らなくてもいいらしいことを喜んだのだ。どうやらこの二人と寝食を共にするらしい、出来るだけ早く檻から皆を出してやらんとな。ヴォルマから来た内のルーシャと後もう一人を確認せんとな。


出来た人間、あるいは全うな人間ならこんな事するハズも無く出来るハズも無い。俺が男に仕事だと連れられて行ったのは魔法で地面を抉って作られた地下牢。その掃除をしろってのが俺に宛がわれた仕事らしい。こんなガキにやらせるような仕事かと、どんだけ歪んでるんだって思ったけどそれも有り難い。


地下には牢が四つ、それほど広くはなくて汚れているようにも見えなかった。

場所なだけに地下牢にいる間は監視の目が無く、牢に入れられているのは一人だけ。故にやりやすく動きやすい。


木に磔られた女性を見るまでは俺も楽観的だったけど、すぐ怒りがこみ上げた。

服は破かれ、女性としての尊厳こそ守られているようだがその体は痣だらけ。

何度も執拗以上に殴られたようだ、彼女がヴォルマから来たもう一人だろうか?


「だいじょうぶ?」

「あっうっ・・・ひっ・・いやぁあああいや!!!」

「怖くないよ?」

「っ・・子供が・・なんでぇ」

「おねしゃん、ルーシャさんとヴォルマから来たの?」

「ルーシャは無事なの?!」

「ルーシャさんは大丈夫だよ」


安堵の表情を浮かべるが痛々しい、自分の置かれた状況よりも仲間を心配するその心に俺は感服した。もう少しだけ情報を集めてから動こうと思っていたけど、まぁ無理だよね?こんなの見せられたらぷんよ!ぷん!


「ヴォルマから偽物のオトシゴ捕まえに来たの?」

「ルーシャから聞いたのね・・私と彼女の二人で情報収集に来たのにこの様」

「大丈夫?」

「痛いけど平気、それよりオトシゴ様を騙るあいつらを許せない・・」

「でもオトシゴ様なんて会ったことあるの?」

「龍殿に呼ばれた時にすれ違ったことあるんだよ?その時にね格好いいなって思ったんだ」

「格好良いの?」

「格好いいよ!ヴォルマが竜に襲われた時に私もルーシャも本当は死んでたの」

「え?」

「小さい翼竜の群れに兵士が食い殺されて、もうダメだって思った時にオトシゴ様に助けられたんだ」


そんな事あっただろうか?記憶を照合して見るも翼竜を焼いて落とした記憶しか出てこない。あの場に彼女達はいたんだろう救助班としていてもおかしくない状況だったし。


「でももうダメね・・・ここで殺されるんだと思うの・・・」

「諦めちゃダメだよ!」

「そうね・・でも幾ら祈っても誰も助けに来てはくれないのが現実なんだよ」

「本当に?」

「何度も祈ったんだ・・殴られたりしてる間にずっと・・でもねダメだった」

「おねぇしゃんはどうなりたいの?」

「私はもういい・・でもルーシャも他の子も皆助かって欲しいね」

「それがおねしゃんの願い?」

「そうだね・・・でももう無理だよ」

「なら僕が助けて上げるね?そろそろ切れそうなんだ!」

「え・・・」


素っ頓狂な顔を見るのは楽しいけどさ、こんな痛ましい女性の前で楽しむ程に俺は変態じゃねーんだ。イケメンごと全部潰してやんよ・・へんし~~~ん!!!光りに包まれ女性は顔を背けたのだった。子供が目の前で急成長したら誰だってびっくりするようで、それは自分の置かれた状況がどれだけ辛くても変わらないらしい。腰に巻いたドラシャールに龍力を流して鎌の姿へ再展開、刃先で縄を切ってやると彼女は倒れこむように俺へ崩れ落ちた。


「大丈夫か?」

「だっだっだいじょぶでっつ!」

「あぁいいから、これ着てな」

「だっだめですっ!おっオトシゴ様のお召し物を私如きがっ!!」

「いいから!そんな格好でいられる方が困るからな」

「へっ!!」


自分の置かれた状況を思い出したようで、ぐにぃを隠すように俺のローブでバサッと隠してしまう。嗚呼勿体無い・・・美しいぐにぃにも痣があったのが可哀想だけど、俺は今のこの瞬間だけでいいからローブになりたいと切に願った。

本話もお読みいただきまして有難う御座います、ブックマークにも感謝です。

明日も更新しますので次話も宜しくお願い致します!

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