sideノヴィス
ヴォルマに戻ってきてから二月と少しの時間が経った。
この期間の間に俺はヴォルマ、ジョコラ、ノヴィスの三国間を行ったり来たり色々と大変だった。二週間後には無人島群の工事が着工されて、完成すればヴォルマとジョコラ間の貿易の形態が一新されるだろう。毎朝、ボコボコにされる日課ともおさらばになるけど・・・その前に一矢報いたい。
本日俺は、ノヴィスに来ている!理由は簡単、やる事が無いからだ!
だったらいいんだが、以前に言った開校に伴う生徒の選定の為に呼ばれたのだった。初年度と言うことで三国の合わせて十五人だけ。
もう少し多くても良いんじゃないかとの声もあったのだが、初めての試みだから少数にしようの意見が多数で決定。各国から五人ずつ選ばれ内訳はこうだ。
ヴォルマ シルキー三人 エルフ二人
ジョコラ エルフ四人 シルキー一人
ノヴィス 人間四人 エルフ一人 の計十五人
ヴォルマとジョコラは全員が女性、ノヴィスは人間の男三人と女一人にエルフの女一人。女性の割合が多く俺も混ざりたい気持ちが溢れ出そうで男が羨ましい。
ハーレムやないか・・・くそっ!!俺が子供の時に学校があればモテモテになれたんじゃないのか!!異性交遊禁止の校則でも作ってやるか!!
学校もまだ施工中だけど授業は出来るし、寮に関しては既に完成済みで本日は入学式。授業自体は二週間後からで準備は着々と進み、時を待つだけ。
一年目は広く学び、二年目でコースを選択する形にするかどうかでまだ議論中だ。十五人全員が一列に並び、各国の偉い人達も出席していて凄く重い空気に包まれている。国の代表が有り難い言葉を述べている中、俺は寝落ちしかけている訳でどうにもこの空気には抗えない。
「んっ・・がっ・・」
「んにゃむ・・・」
「ぐーすかぴー」
俺の左右にレミナとエルジュが座っていて三人仲良く寝落ち。
クレフィアが最後に言葉を述べて壇上から降りる中、名前を呼ばれたような気がしたけど気がしただけ。もう少しでぐにぃ天国が扉を開きそうだ・・・。
あぁ・・・凄く重たいこの扉。
「ン・・!」
「シン様!」
「寝てるね・・・」
「起きるの・・」
「開けゴマ!!」
ハッと目を開いたその先には皆の視線が俺に集まっていて、軽く思考した結果の果てに寝た。頭を叩かれて目を見開くとルナと目が合った・・恐ろしい目でこちらを見ている。
「ルナ、今日も綺麗だね」
「ありがとう、じゃなくて起きなさい!」
強制的に壇上に立たされて、何か話せの無茶振りを頂き、再び視線が集まる。
「えーそのー大変だと思うけど頑張ってね」
「・・・・・」
静まる会場、響くレミナとエルジュの寝息、天を眺める俺。
「では解散!!」
「じゃないわよ!!」
「え・・・」
「もう少しまともに言葉を送りなさいな!」
「えー?こんな所でベラベラ話したって仕方ないだろ?そう言うのはさー勉強が始まってから自分で感じるものさ!」
「形式は必要なのよ!」
「俺なんかが話しするよりさ?ラガノとか~ティガト辺りが話す方が重みがあって良いと思います!」
「あっしは・・不慣れなんで下ろさせて貰いやす」
「はい!じゃあラガノ君!」
「何故自分が・・・」
俺からの無茶振りだがラガノは断れないのだ!あはははは!俺に切られては困るカード、しかもジョーカーを持っているからな!さぁ、ラガノ!俺以上に恥をかくと良い!そして俺の汚点は上書きされて帳消しさ!!?
壇上に上がったラガノの話はとても有りがたく、感心できる内容で俺の惨めさが際立っただけとなってしまった。
各々解散する中で生徒達は先生となる人達と会話をして弾んでいる様子。
俺はもう恥の上塗りはしたくないからそそくさと逃げさせてもらとしよう。
「あっ!シン君!」
「はへ?」
「忘れてる訳じゃないよね・・・」
「ラヴァさん何してるの?」
ターニャの部下のラヴァが近づいて来て、ヴォルマ組に取り囲まれてしまった。
どうやらターニャの推薦で彼女も候補に挙げられ入学することになったらしい。
ちなみに制服も存在している!男は学ランベースで色は白に紺のラインで装飾されたモノ、女子はセーラー服なのだ!
俺が提案した時は却下されたけど、じゃあ何で騎士や兵士は同じ格好をしているんだ!と熱弁した結果通ったのだ。服のデザインを簡単に書いたら職人達に結構うけた実績を買われ、水着と体操服もデザインしてやったが却下された。
女性の肌が露出し過ぎだとお叱りを受けたのだよ、普通なのにどこが悪いんだ。数着貰ったはいいが使い道は今の所無いのが残念。
「へぇ~頑張ってね?」
「うん!わたし凄く頑張って偉くなるよ!」
「あのっ・・・」
「あ~シン君がオトシゴ様だよ?」
「「「え!!」」」
ラヴァは城の魔術師、残りは町から選出されたエルフ二人とシルキー二人。
オトシゴの単語が聞こえたらしく生徒全員に囲まれていた。
おいお前ジャンプしてみろとか言われそうで怖い。
でもモテ期が来ているのかもしれない!全員から自己紹介されたけど野朗には興味ねぇんだ!女子のデータ余す所無く、ぐにぃバンクへ登録しておいたぜ!
「主様!眠い」
「飼い主様行くのですよ?」
この時、俺は見逃さなかった野朗共が向けた視線の先を。
その気持ちは分からんでも無いから何も言わないけどな・・・。
「シン様!」
「おうクレフィア元気そうだな」
「お陰様で色々な事が全部まとめて進みましたの!なんと感謝していいか・・」
「良いよもう~感謝感謝と毎回言われたら俺も困るからさ」
「ですが・・・・」
「クレフィア?シン様もお困りよ?」
「そうそう、あんまり言い過ぎるのも重荷よ?」
「お二人も元気そうで何よりです」
「あら、敬語なんて止めて下さい」
「そうですよ?シン様はオトシゴ様で私達の恩人で英雄様なのですからね?」
「はぁ・・・」
三人の姫に捕まってからそのまま拉致され夕食を頂くことになってしまう。
やんわり断ってるのにレミナは食べると意気揚々だし、レミナが行くならエルジュも着いて行くなんて言うもんで断りきれない。
ただ、各国の面々がいる以上は俺達だけを誘う訳にも行かずで生徒以外の全員での食事会と相成った。レミナとエルジュが並んで座って、隣に座ろうとしたら何故かフォスキアとノシュネが座っていて二人に挟まれた。
「お前ら何さらっと座ってるんだ」
「お兄ちゃんがあんまり会いに来てくれないから・・・」
「お姉ちゃんとずっと待ってたんだもん、レミナちゃんとエルジュちゃんは来てくれるのに」
「色々やることが山積してたんだよ。朝はソルナ達にボコボコにされてるしな」
「「お兄ちゃん!言い訳しないのっ!!」」
「あうあうあう」
「二人共!主様も頑張ってるから許してやるといい!」
「「う~ん・・分かった」」
「最近エルジュとも遊んでくれないのですよっ!ぶーなのですよぶー!」
「エルジュも!許してやるといい!」
「レミナたーん!うぇっ~!」
椅子から立ちあがり太ももに頬をスリスリして泣き真似で、いかに俺が可哀想かをアピール。レミナたんぺろぺろだよ!ふへへへへへへ!
「主様やめろ!離すといい!!」
「レミナたん!!」
「いい加減にするといい!!」
「やだやだー」
「主様・・・うざい」
「・・・ぐすん」
「飼い主様!私めならいくらでも良いのですよ!」
「今はそんな気分じゃないんだ・・・」
「ズルいのですよ!!」
「シン、座りなさい?それとも床で食べるのかしら?」
本日何度目かの痛い目線を頂き俺は意気消沈のまま席へうな垂れ落ちた。
食事が始まってから驚いた光景を見ることになった。
レミナ、エルジュ、フォスキア、ノシュネが綺麗にご飯を食べているだと・・。そんな馬鹿な。
「お前らお腹壊したのか?それともどこかで頭部にダメージを受けたのか?」
「主様、訳の分からないこというな」
「飼い主様こそ大丈夫なのですよ?」
「「お兄ちゃん大丈夫?」」
「え・・・大丈夫だけど」
「シン様!あのこれは私共がお教えいたしましたの」
「まじか・・・よく矯正出来たなあんな酷い食べっぷり」
この二ヶ月の間にレミナ達はノヴィスで色々勉強していたらしい、主に食事だったらしいけど。エルジュに至っては俺に食事を作る為、マーレ達から料理を教えて貰っていたらしい。ついこの前まで俺がいないとどうにもならなかったのに。
「いつの間にか大きくなって母さん嬉しいわ!」
「主様・・疲れてるか?」
「小さくなるのですよ!ふんふん!!」
「お兄ちゃん・・・お母さん?」
「ノシュネ・・お兄ちゃんは疲れてるからね?そっとしておこうね」
なんか、俺の扱いが雑になってるような気がするんですけど。
あーこれが反抗期ってヤツなんですね、大人になる為に通過儀礼だもんね母さん泣かない!何もかもが綺麗に流されて、相手にしてもらえない寂しさを感じて食べる食事には味を感じ無い。食事が終わるとこれからの事を話し合って、各々国へ戻って行く。
双子に「今日は泊まって行く!?」そうハモられて聞かれるもんだから快諾してノヴィスで一泊となった。久しぶりにレミナと風呂入ろうかなってウキウキしてたのにさ・・・酷いんだ・・・。
「今日も戦争!」
「今日はレミナちゃんに負けない!!」
「わたしはレミナちゃんもお姉ちゃんも倒す!」
「私めは飼い主様と・・・」
「エルジュも来るといい!!」
「じゃあ俺も!」
「主様は一人で入るといい!」
「・・・・」
なんでかなぁ・・ここ最近の間に何があったんだろうか?
俺に服を脱がせろって言ったレミナはどこに消えたの!面倒くさがって見せてたけど俺だって楽しんでたのに!早すぎるわ!独り立ちなんて母さん許さないんだからねっ!もうっ!!振り返ると風呂へと消え行く四人の背中だけが見えてさ、何だろうねこのぼっち感。
「シン様・・そのっ・・アタクシと・・」
「ないわ~」
「そっそうですわよね!!アタクシなんかとは・・・」
エルジュはノリ気だったのにさ!あいつまで普通に行ってんじゃん!
「なんだよ!変態の癖に・・・」
「そんな!アタクシは確かにシン様に///」
「くそが・・」
「それはまだ///」
「変態女め・・・」
「はぅっん」
いいもん一人で入るもん!寂しくなんかないもん!ぷんよ!ぷん!
最後にその場に誰かが残っていたようだけどさ、今の俺にはそれを気にするほどの余裕は無かったんだ。
「シン様に変態なんて烙印を///」
一国の王であり姫の何かを歪めたなんて誰も気がついていなかっただろう。
寝る時も同じ部屋に入れてもらえずで、ぼっちを満喫するハメになり寂しく寒くぐにぃ出来ずに寝た。翌朝はソルナ達と鍛錬する為にこれまたぼっちでヴォルマへ帰ったのだった。
本話もお読み頂きまして有難う御座います。
ブックマークをして下さっている方にも感謝です。
次話はsideレミナとエルジュになります。
少し話しのストックが出来ましたので明日と明後日にも投稿したいと思います。
次話以降も宜しくお願い致します。




