表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第八章 小休止 編
75/217

sideジョコラ

荒狂う波に揉まれて二日目の朝。

やっと船から下船する事が出来て俺の滅入った気分も既に回復の兆しを見せている。出航した時は波は穏やかで気分も高揚していたのに、急に海は荒れ波は高く雨も土砂降り状態。そんな中でもレスタは平然としていて「ウチ酔ったこと無いから気持ちわからないなぁ~」平然と言われるのだ。

帰りはルビネラに頼んで裏ルートで帰ろうと心に誓う。


俺はジョコラへ行く理由は先日の件、無人島群に貿易拠点を建造する計画の為だった。本当ならルナが行くのが筋なのに、「わざわざ行く必要なんてないわよ」ばっさり切り捨てる。レスタが言うには、俺が口を挟んだんだから最後までやってみようとの事らしい。明らかにルナが面倒くさがったのと俺の方が話が早いだろうとの打算だろうが・・。でも、言い出したのは俺だし言うだけよりもちゃんと経験してみろって親心的なところから来てると思うことにした。


一応、出発日の出来事。

「いいですか?いくら知り合いと言ってもリエラ様は王なのですから失礼はいけませんよ?」

「わかってるよ」

「今回はオトシゴとしてよりも、ヴォルマの人間として行くのですからね?」

「うぃーす」


しっかり釘を刺されて気が引き締まっていたけど船のせいでユルユルに戻ってしまった。そして現在ジョコラな訳で、何で船に乗って来たかと言うとノヴィスへ送る人材の警護も兼ねている。職人が不足していて竜殿の工期が随分遅れているかららしく、クレフィアからの頼みもあって即決された。

職人のおやっさん達は、他国へ行って仕事する機会なんてそうそう無いからと案外乗り気。ここから先の警護はジョコラで担当してくれるらしく、ジョコラからも幾人の職人が合流を果たしていた。おやっさん達に挨拶してみたら、オトシゴなんて関係無く接してくれて有り難い。


あの竜の強襲時におやっさん達も避難していたようで、家から何から全て諦めていたと聞かされた。でも、いざヴォルマに帰れば被害は出ていたものの想像以上に軽微だったようで、それも感謝してくれる。何かあったら家でも何でも建ててやるよ?って言ってくれたからその時が来れば頼もうかな。

その時なんて来ない可能性が濃厚だけど・・・。


そしてジョコラの城へ。

レスタと並び玉座の間へ入ると満面の笑みを浮かべたリエラが手を振っている。

何か良いことでもあったから気分がいいらしい、俺としては圧殺機が稼動しないことを願うばかりだが。


「レスタもシンも良く来てくれたな!海は荒れていたから大変だっただろう?」

「ウチは別に酔わないから平気だったけど、シンちゃんは蛙みたいにゲロゲロしてたねぇ」

「あれで吐かないほうがおかしいんだよ・・」

「シン様、お疲れのようでしたら話し合いは時間をずらせますけど?」


「いや、俺がルナに言い出したことだからちゃんとしないとな」

「シンちゃん偉い!」

「よし決定だ!話し合う必要は無くなったから俺と遊ぼう!」

「リエラ様・・・」

「冗談だってば・・・そんな怖い顔するなよ・・泣くぞ?」

「どうぞ?」


タンテはもしかしたらこの国で一番権力を握っているかもしれない。

目力だけでリエラを操るんだから相当なものだと思う。


「だが、シンが提案した内容は面白いとタンテも認めていただろ?」

「シン様の提案は斬新でした。今までこの案が出なかった事が悔しいですね」

「だよな~両国で相当な費用が浮く事になるからな」

「そんなに変わるの?」

「かなり変わる!船だってタダで動く訳じゃないからな?その費用が時季によっては今までの半分以下になるんだぞ?」

「へぇ~シンちゃん凄いこと思いついたんだ」

「それに両国から常駐させる兵も荷と一緒に運べますからね」

「初期開発にはそれなりの費用を捻出することになるが、先を見据えれば安すぎるぐらいだ」


もしかしたら俺って商才あるんじゃない?あの世界の知識とか生かせば億万長者も夢じゃないかもしれない。何か始めてみるのもありかもしれん。

レミナの件を終えたらやってみようかな?


「じゃあジョコラとしても賛成って事でいいの?」

「基本的にはそう思ってくれて構わんよ」

「何か問題があるの?」

「まぁ、ジョコラからの物量の方が多いからな。初期投資の話を少し」

「でも、物量が多いならそれだけ儲けれるから同じじゃないか?」

「リエラ様・・・話す順番を間違えてしまわれましたね・・・」

「あははは!!!」


「やらかしたな・・・」

「俺はこういう話は向いて無いんだ!タンテに全部任せるって言っただろ?」

「シン様自ら来られるから俺がやるって言ったのは誰ですか?」

「・・・」

「国を思えばそう言うのも大切だから何にも言わないけどさ?タダもうこの話は通じないからね?」

「あぁ・・・シンまで俺を責めるのか・・・後で沢山・・・」

「タンテ!俺お腹すいた!!ご飯たべたーい!!」

「そうですね。では御一緒に頂きましょうか!レスタさんと三人で!」

「いいねぇ~ウチも手伝うよ!」

「おい!俺を無視すんな!そういうは傷つくんだぞ!!」


リエラの凡ミスにより話すべき内容はスラスラと進み簡単に決着を迎える。

決着なんて呼べるような話し合いでも無かったけど言い出したことをちゃんとまとめれたのは喜ばしい。最後に一つだけ話す内容が残ってはいるけどそれも大した内容でも無いから大丈夫だろう。


「最後に両国から常駐する兵達の扱いだな」

「何か問題が起こった時の為には必要ですからね」

「ヴォルマとジョコラで無人島群に関する事に使う基金作ればいいんじゃない?」

「基金ですか?」

「両国でお金を積み立てておいて、何かあった時はそこからお金を使うんだよ。何も無ければ次の年は前年度のお金を使えば良いしさ」

「なるほどな・・・うんうん、それはありだな」

「払う額はお互い同一にしておけば良さそうですし、知らぬ国と造る訳でも無いですから信用も信頼もありますからね」

「はーシンちゃんは色々考えるんだねぇ」


最後の話も何も無くただの会話と共に終わって、一度解散と相成った。

レスタとタンテは食事の用意をするらしく、リエラは溜まった仕事をタンテからやれと命じられていそいそ部屋へ戻って行った。部屋から消えるまで何度も振り返り俺と遊びたそうにしていたが、その度にタンテに睨まれて進んで消える。


さて、俺はどうするかな~?一応ギルドに顔出してこの前の手紙の件のお礼をしに行くか!ギルドへ入ると以前に受付をしてくれた女性と目が合い駆け寄って来てくれて、宛らVIPのようだぜ!


「お久しぶりです!今日はどうされましたか?」

「あ~べネラさんに挨拶しに・・」

「少しお待ち下さい!!」


視線をやたらと感じる・・・凄く居づらくてなんか嫌だな。

以前は女性ばっかりだったけど今日は野朗が多くて、なんかむさい。

ノヴィスの件とかも絡んでる依頼でもあるのかな?と依頼ボードを眺めながら考えていたら。


「よぉ、坊主?レセネちゃんと偉く仲良さそうだな?」

何をどう聞いたら仲良さそうに見えたんだ?

意味が分からない、しかも既に三人に囲まれてるし。

DQNだ!ギルドキュンと名前を付けてあげよう。


「おいおい、止めてやれよこんなガキ相手に可哀想だろう!あはははは!」

「お前の顔が怖いせいでびびってるじゃねーかよ!!」

「おぅ、悪かったなガキ?別にびびらせるつもりなんて無かったんだよ!」


何を勝手な想像で話し続けているんだこのトリオは・・・。

ゲタゲタ笑う声が煩わしいし、凄く五月蝿いし、距離が近い過ぎる。

俺のパーソナルスペースは一般男性と比べて狭いんだよ!


「ほら、ブルっちまって声も出てないぞ?」

「はっははは!おつかいにでも来たのか?」

「小便臭いガキらしくて可愛いじゃねーか」


俺の頭に手を乗せようとした所で、その手を払い三人の間を抜けようと動く。

それでもここは通行止めだ!げはははは!見たいなこと言われて動きを制止される始末。さらには手を撥ね退けられたギルドキュン三号は怒りを露にしたと思えば。


「あー痛ぇ!」

「おいおい!大丈夫かよ!!」

「行き成り人の手を折るなんてお前何考えてんだよ?」


当たり屋なんて初めて見た!どんだけ大根なんだギルドキュン三号!

俺の方がまだ上手く演じれるぞ・・。これは金払って貰うしか無いだの、お前どうなるか分かってるのかとか、その他諸々と罵倒の雨霰。

そこへ助け舟が波を割って大型船舶を連れて来た。


「あなた達!何をやっているのですか!」

「いや!違うんだよレセネちゃん!」

「このガキが行き成り絡んできてな?」

「そうだ!それに俺なんて頭撫でようとしたら叩かれたんだって」


「坊や久しぶりねん!元気にしてたかしらん?」

「べネラさん、苦しいから離じで・・・」

「ダメよん~、折角会いに来てくれた坊やを離すなんて出来ないわん!それにべネラって呼んでくれないからダメよん?」


「ギルド長がなんでこんなガキ一人の為に出て来るんだ・・・」

「おっおい・・」

「俺に言うなって・・」


「なるほどねぇ~ん?」

「昨日今日、ギルド登録した者が燦の位にいる先輩にする態度では無いです!」

「「「燦っ!!」」」

「それにねぇん?この坊やはオトシゴ様よん?ジョコラとヴォルマを敵に回して生きていけるのかしらねぇん?」

「「「・・・・」」」

「あの竜すら一撃で倒せる坊や相手にどれだけ持つか見ものねぇん!」

「「「いやっ・・あのっ・・」」


べネラが俺から離れた途端にギルドキュン三号は地面に叩きつけられて、痛みのせいか泡吹いて倒れてしまった。追い討ちとばかりにアイアンクローで三号を持ち上げたべネラは続ける。


「生きるか死ぬか選べ」

「ちゅ・・ちゅ・・ちゅいましぇんでした!」

「ギルド登録は抹消しますか?」

「そっそれだけは勘弁して下さい!!」

「ん~坊やが決めていいわよん?」

「別にどうでもいいからさ、俺はべネラさんにお礼しに来ただけですし」

「あらん~優しいのねぇん!でも~こんな事がリエラ様の耳に入れば~確実に死ぬわねん!」

「言わなきゃいいだけじゃないですか」

「どうしたものかしらん?坊やが今でも堅苦しく話すし・・べネラって呼んでくれないしぃ!」

「いや・・・関係ねぇだろ・・それ・・」

「これからもそうやって話してくれるなら許してあげてもいいわよん!」

「なんで俺が脅されてんだよ・・・ギルド長が率先して何してんだよ・・・」


べネラを宥めてようやく三号を下ろした時から、彼らの俺に向ける目が変化していた。俺は男になんて興味ねぇんだよ!くそが!ぐにぃ持ってこい!盛ってもダメだからなっ!


「「「シンさん!この度は本当に申し訳御座いませんでした!」」」

「もういいから、でも自分より弱そうなだからってそんな態度は二度とすんな」

「「「はいっ!」」」

「じゃあもう行っていいよ」

「「「有難う御座いました!!!」」」


猛スピードでギルドを離脱したギルドキュン達は瞬く間に消えた。

まったく、勘弁して欲しい何で絡まれなきゃならんのだ・・・面倒くさい。


「んふっ!坊やは私と奥の部屋でゆっくりするのよん~」

不意に後ろから抱かれてそのまま押されるように、流されるようにどんぶらと大型船舶は帰港する。その間に俺はぐにぃを堪能しました、とても気持ちが良くて蕩けそうです。歩くたびにぐにぃぐにぃと主張して来るので大変です!


「それでぇ?あの子とちゃんと会えたのかしらん?」

「それが何か忙しいみたいで会う事は出来なかった」

「言い訳ねぇ~ん!あの子は真面目で人見知りだからねん」

「でも良い船室を宛がってくれたから楽だったよ」

「それぐらい当然よん坊やはオトシゴちゃんなんだからねん」

「何にせよ色々助かったからお礼言いに来たんだ」

「健気で良い子ねん!」

「そうよん!」

「あらん?真似しちゃ嫌よん」

「いやん!嫌よん!」

「あら?喧嘩売ってるのねん?買うわよん?」

「いやよん!そんなの売り飛ばすわん!」

「良い度胸ねん!」


オトシゴって生まれを気にする人、しない人。

気にし過ぎる人もいるけどこの人は後者で、しかもまったく気にしないタイプ。

現に俺は真横から腕で首を絞められているから。


「やめでぇ!!」

「ちゃんと謝らない悪い子はこうよん?」

「ずいまでんべしだ」

「反省してるのかしらん?」

「猛省してまちゅっ」

「なっ!何してるんですか!!」


お茶を持ってきたレセネにより解放されて、息をする喜びを噛み締める。

どうして補佐的ポジションにいる人の方が最終的に強いのだろうか?

タンテ然りレセネといい。ジョコラの補佐を担当する人材は皆強そうだ。


「折角坊やと宜しくしようとしてたのにね~ん」

「いくら何でもリエラ様に消されますよ?」

「それは困るわねん!!生きていたいものん」

「なら、もう少し自重して下さい!!」

「怒らないでよんっ!レセネは怒ると怖いわん」

「怒らせたのあんただろ・・・」


その後は、レセネが居てくれたお陰で絞めれる事も無ければねちねち攻撃されることも無く済んだ。有り難い存在だ、このポジションにいる女性達にはもっと活躍して貰いたいもんだよ。ギルドで時間を潰し過ぎたようでタンテが迎えに来て、俺は城へと帰る。


その際、「また来てくれないと~ぷんよん!」クネクネしながらそんな事言ったら勘違いされるから止めろ。タンテも若干ながら訝しい目でべネラの事を見ていたし、レセネはこれでもかってくら頭下げていた。

食事も頂いて翌日にリエラの「今日も泊まって行け!門を閉めよう!」の一連の流れを喰らい、タンテの鋭い目で言葉を失うリエラを見てからヴォルマへ帰った。

本話もお読みいただきまして有難う御座います。

ブックマークにも感謝です。


次はsideノヴィスを投稿します。

投稿は明日出来ると思いますので宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ