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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第八章 小休止 編
73/217

sideターニャ

ここ暫くはヴォルマに篭って日々を過ごしている。

マーレの呪縛からどうにか解放された俺は安穏とした日々の中で鍛錬に勤しみ、ルナの手伝いをしていた。この数週間の間、レミナとエルジュとの時間は少ないけど二人共それなり充実した毎日を送っているらしい。本日の俺はやる事も特に無いのでいつも通り庭で寝ている。眺める空には雲がいくつも流れて平和だなぁ~なんて呟いてしまうほどで、ぶっちゃけ暇を持て余している。


「シン!やっぱりここで寝てたの!」

「あぁ~あの雲は魚だなぁ~」

「魚より馬に見えるの!」

「あっ!あれはどうみてもぐにぃだな~マーレぐらいだな」

「マーレちゃん大きいの・・・違う!シン起きるの!」

「あっ・・・あの小さいのターニャレベルだな~大きくなれるといいな」

「ターニャのはもうちょっと大きいの!それに身長も大きくなってるの!」

「そんな・・・はっ!そうかこれは夢か・・・果たしてこれは俺が見ている夢なのか・・・それとも・・」

「訳の分からないこと言ってないで起きるの!今日はターニャ達の訓練に参加するって前に約束したの!」


手を引かれ無理矢理起こされ後ろから押されて強制的に歩かされる。

そんな約束してたようなしてなかったような?いやいや、してないだろ?

城内を通過して真っ直ぐ進むはずの道をワザと曲がろうとしてやろう。


「そっちじゃないの!そっちはお風呂なの!」

「なんだよターニャ!俺と風呂に入りたいのなら初めから言ってくれたら良いのに!恥ずかしがり屋さんめっ!」

「ちっ違うの!お風呂は今じゃなくていいの!今は真っ直ぐなの!」

「え?今じゃないってことは後で入るってことか!やった~楽しみだな~まっぱ祭りじゃああああい!」

「なっなに言ってるの!!!そんなに大きな声で叫んだら聞こえるの!!」

「えっ!?俺と風呂に入るのは嫌だったのか!!知らずとは言え今まで本当に済まなかった・・・」

「違うの!シンとお風呂入るのは別にいいの!でも今は違うの!」


ターニャは何も気が付いてないらしく会話の全ては訓練所の魔術師達に聞こえていたのだ。さらにまだ気が付いてないようで、「お風呂は後なの!」

そう叫んだ彼女が気が付いた時には皆が可愛い妹を見るような表情で微笑んでいた。

「ターニャちゃん、お風呂は皆で入りましょうか?」

「はっ!?」

「シェルトさんズルイですよ!私達もお供しますよコロンダンテ殿!」

「ベラベラじゃべらないの!!!」

「話の種蒔いて芽吹かせたターニャじゃん」

「シンも黙って向こうに立つの!!」

「シン殿、今日の訓練に参加してくれるのを楽しみに待っていたよ」

「参加するって言っても俺は・・・」

「何、あの竜すら倒してしまわれるのだから臆する事などないよ」


ターニャに背を押されて立ち位置に連れて行かれる中で俺は問うた。

「魔法ドカドカ打たれる壁になれとかいわないよな?仮にそうだったとしたら」

「シンの事は口止めされていたの!でももう皆にバレてるの!だからルナちゃんがもう良いって」

「何それ・・・」

「オトシゴって公開してるの、それに違う国でも活躍してるから意味無いの」

「そうだったのか・・・」


そして予想通りに魔法を打ち込まれる壁となった。

ターニャの合図で横一列に並んだ魔術師達は笑顔でドカドカ魔法を放つ。

聞き馴染みのある魔法の名前、それを連呼する彼女達から真っ直ぐ伸びるそれらを見て俺は思う、あぁ・・・綺麗。

ドカアァアア!!


「えっ!シン!!大丈夫なのっ!!!」

「皆一度止め!!」

ざわめく彼女達には悪いけど全然大丈夫なんだなこれが。

俺を標的に魔法を放っている、当然全員が俺を狙って打つから中心点は俺だ。

そうなれば放たれた魔法同士の距離は最終的に狭まり、中には弾かれて地面を穿つモノ、反れてしまうモノが出て来る訳だ。それでもいくつは直撃コースだったのでしっかり守りはさせて貰ってはいるけどね。


「凄い!朱色だ!」

「龍の力を行使出来るとは聞き及んでいたがこれほどとは・・・」

「なんか私・・・自信無くなるなぁ・・・」


それぞれ感想を漏らし展開した朱色の盾を眺めていた。

ソルナ達との鍛錬をしている際に色々と試して、彼女達の攻撃を防いだり褒められたいくつかは既に正式採用している。名前に関してはルビネラが命名してくれたものの全部ダサくて不採用を叩き付けた。やはりソルナに頼るべきで、彼女のネーミングセンスは俺の心を擽ってくる。


「朱煉!」

「ダサいのじゃ・・・」

「朱盾!」

「音が悪いのじゃ・・・それにダサいのじゃ」

「朱っぱーん!」

「もう何も言えんのじゃ・・・」

「じゃあもうソルナが決めればいいでしょ!!」

「そーじゃなー御炎渦の発展したモノじゃし~朱御炎渦とか御炎渦・朱とかでいいと思うんじゃが?」

「朱御炎渦派だわ、ソルナは無難にまとめるタイプだよな~」

「その割には気に入っておるじゃろ!」

「無難故に文句は出ないってだけだもん!好きだけどなっ!ルビネラみたいなぶっ飛んだ方向じゃなくて良いけどな!」

「にゃっ・・にゃにみちぇんだよ!」

「別に・・・」


そんな一幕があって以来、ルビネラが命名することは二度と無いだろうとソルナと頷きあった。朱御炎渦の効果は凄いもので龍法と魔法に適正があるだけではなく、ある程度の物理防御も兼ね備えている。実際、御炎渦で竜のノシュネを押さえつけれたから大して驚きは無かったけど。


「ふー別にこれぐらいなら大丈夫だから、もっとバシバシ来ていいよ~」

この一言が余計だった。シェルト達にも火を付けてしまったようで、明らかにおかしいレベルの魔法をぶっ放っているチビエルフが居たことを俺は絶対忘れない。これはこれで耐久の鍛錬になるから、有り難いと割り切ってひたすら無心で受け続け魔法が止んだのは三十分経った頃。一人また一人、地面に座ってへなへなしてガス欠らしい。


ターニャも相当粘っていたけど一番最後には「もう!!イライラするの!!」って叫んで止めた。それもそのはず、俺はターニャに向かって何度か変顔で応戦したから彼女は怒ってしまったらしい。全員が攻撃を止めたのはそれから十分後で、俺もようやく展開を終わらせたのだった。


「お疲れ様でした」

「疲れてないの!!」

「シン殿はあれだけの魔法を受けて何ともないのか?」

「あ~何度か裏技使ってたからそれほどでもないかな」


「シンさんってホント凄いよね~」

「そこそこハンサムだし!」

「初めて見た時はあんなに小さかったのにね~」

「でもね、最近・・何度か小さいシンさん見たんだよね・・・」

「え・・あんた何言っての・・疲れてるの?」

「ほっホントだって!!!」

「そんな・・・でもシンさんって成長速度早くない?」


オトシゴであって龍の力を行使する事は既に周知の事実だったけど、俺が小さくなれるって所は極一部しか認知されていないようだ。なんだか、いけない事して遊べるんじゃないのかなって気持ちがふつふつと沸いて来るんだけど。

いやいや、そんな俺は別に悪い事したい訳じゃないんだから!そりゃ多少の幸せに包まれる可能性はあるけどね?別に俺から求める訳でも無いんだし?

求められたことに答えようとしてるだけだし?良いよね?ね?


「でもさ?ついこの前まで小さかったからさ実年齢的には変化なくない?」

「え!何それ!胸が熱くなってくるんだけど!!」

「あんたはそう言うの好きな変態だもんね」

「ちっちがうわよ!やめてよ!シンさんに聞こえたらどうするのよっ!」


「マーレさん達が小さいシンさん抱っこしてるの何回も見てるけどいいよね~」

「小さい手でぎゅってしててさ!胸の辺りに顔埋めて寝てたの見たよ!」

「私も見た!レスタさんに抱っこされたままでさ!小動物みたいに胸の辺りぎゅーぎゅー押してたよ!」

「レスタさんに聞いたんだけど、小さい時にマーレさんのブラ握って廊下練り歩いてらしいよ!」

「可愛いねー」


もう勘弁して下さい。

それ以上、俺のガラスの心の中をスパイクの付いた靴で走り回らないで下さい。

穴だらけよ、もうお婿さんに行けないよ。もう止めて。

俺は聞いてない振りをして空を眺めた、綺麗な雲だな~食べたら幸せの味がするんだろうなーとか現実逃避してただけなんだがね。


「おしゃべりしないの!シェルト!」

「訓練は以上だ、皆も立て続けに魔法を行使し続けたから休息が必要だろう!」

「じゃあ今日は終わりなの!」

「礼!」

「有難う御座いました!!」

「あーしたー」


俺は好き放題ブチ込まれただけで百害あって一利無し状態だったんだけど。

ご褒美とか無いんですか?そうですか、ならいいです・・・よ・・フェルに甘えにいくもんね!小さくなって後ろから飛びついておんぶでもして貰おう!

この前した時は言葉こそ怒ってたけど嬉しそうだったし!今行くぜ!フェル!


「シン殿?良ければ皆で湯浴みに行くが?」

「いやいやいや・・・アウトでしょ・・・」

「ん?だがシン殿は小さくなれるのだろう?ならば問題あるまいよ」

「いや・・まぁ・・そうだけど・・駄目でしょ・・皆いるんだし・・」


各自解散して行く中、後方で耳の良いエルフは聞き逃さなかったらしく一気に詰め寄られた。やっぱり小さくなれるんですね!と胸熱展開に心を躍らせていたエルフの子だった。その目は狂喜のそれに近いものを感じ、一瞬気おされて数歩後ろへ下がるも既に方位さてていて逃げ場が無い!


ターニャを見るも彼女は「皆でお風呂行くの」なんてこと平然とぬかしやがった。シンさん小さくなってくださいよ!のコールが響く。どれぐらい小さくなればいいかとを聞いたら、歓喜が巻き起こった。選べるんですか!とか色々と想像していらっしゃって楽しそうで何よりです。一番破壊力があるのは三歳児だと答えは出ているのだから迷うことなく三歳児へ。


「きゃ~!!」とか「ほら!ホントだったでしょ!」とか「服も縮むんだ」とか「私が先に抱っこする!」を発端に俺の争奪戦が幕を開ける。

機動力が無いのがネックだけど隙間が有れば脱出は可能!はいはいを駆使して混乱から抜け出した先にターニャがいた。彼女の顔は喜びに満ちていたが、不意の浮遊感の後にぐにぃを感じた。そうこれが幸せ。


「シン殿は本当に小さくなるのだな」

シェルトの一人勝ちとなった訳で俺は彼女に抱っこされたまま風呂場へと運ばれた。破壊力は凄まじいんだ、でも機動力が落ちるこれは仕方ない!

でも何故か思考が若干幼稚化するのは何度しても駄目だ。

それに筋量の問題なのか口も上手く回らないのも問題、この状態を維持してかつそれらを満たせるようになるには五歳児以上からでないと駄目らしい。


「シェルトさん!私も抱っこしたいです!」

「一番を勝ち取ったのだから湯船までは譲れない!」

全員からのえーを貰ってもなおシェルトは俺を抱っこしていた。

「おねしゃん!けんかはめーだよ?」

「きゃ~!!!可愛い!!」

「シンさんって小さくなると頭の方もそれに合わさるんですか?」

「多分そーなの!だから小さいシンは可愛いの!まったくなの!!」

「たーにゃおこってる?」

「怒ってないの~シン可愛いの!」


脱衣所に運ばれてシェルトがもたもたしている内にターニャが服を脱がせてくれる。彼女は既にすっぽんぽんだったけど・・・まぁ多少は成長しているようで何よりだよ。大丈夫さ、まだ大きくなるから諦めるにはまだ早い。


「シン、手をあげるの」

「あい!」

「シンちゃん~足上げてくだちゃいねぇ~」

「あい!」

「じゃあ行くの!」

「おー!」


俺は風呂場に突撃して湯船にダイブ!出来ずに抱きしめられて生ぐにぃを背中に感じた。あーこれはD級だな!俺は既に盲牌ならぬ盲πが出来る域に足を突っ込んでしまったらしい。

「シンちゃんを洗う権利を賭けて!勝負よ!」

「ちょっと!オルテ!あんたはもう抱っこしてるんだから無しよ!」

「そうよ!」


俺は戦利品になってしまったのだが「おねしゃんたちけんかめー」の一声に終息するのだ。我ながら恐ろしい力を持ってしまったようで、俺を抱っこするオルテのぐにぃに押し潰されそうで幸せだ。「じゃっじゃあ!シンちゃんが決めて!」そう言われてようやく地面に下ろされるも困った事になった。


ターニャとシェルト以外の全員がセクシーポーズを取り俺を誘惑してくるんだもん。あぁ!お嬢さんさんいけませんよ!そんなポーズしたらぐにぃが!ぐにぃしてしまっているではありませんか!あぁ!ダメ!それは刺激が強いです!ダメ!お尻を自分の手で撫でて誘惑するのも禁止です!やばい、決められない。

視線を動かした先でターニャがじぃーとこちらを見ている。

俺も訓練前にあんな事を言った手前、違う人を選ぶのは酷ってもんだ。

ターニャも可愛いのだから・・。


「ターニャがいい」

その声でターニャが一瞬で背後に回る。

抱っこされたまま所定の位置へと拉致された。

だが、俺を洗うターニャを見て皆の表情は可愛いと可愛いが掛け合わさって相乗効果を生んでいると言わんばかり。ターニャの機嫌も良いらしく、優しく洗って貰えたのだ。


そしていざ湯船へばーん!

派手に水飛沫が立ち皆のきゃーが聞こえて堪りません。

広い湯船のお陰で全員が浸かっていても十分にスペースがある!泳ぐしかない!

ぱしゃぱしゃ泳ぐだけで黄色い声が飛んで来るんだもの。

以前の俺がしたら速攻でタイーホされて人生終わっただろうことを思うとやり切れない。端からスタートして端にまで泳いだ先、最後に手を付いてお終い。

のハズだったんだけどね。自由形だから最後は上からタッチする訳でね?

俺はタッチしたんだけどパチンって音が響いてね?


「や~ん!シンちゃんのえっち!」

体を抱きかかえられ完全にホールドされてしまったようで、俺は彼女のぐにぃをぱちーんしてしまったらしい。こんなにぎゅーとされると半端ない訳で、他数名からも私もと順番に抱っこされて行き最後はシェルトに回った。


「あんなにぎゅってされると流石に辛いだろうに・・お前達は・・・」

「くるしかった・・・」

「まったく、ゆっくり入れんのか・・」


シェルトはゆったりと俺を抱きかかえてくれて、頭はぐにぃとぐにぃの間に収められた。

「シェルトさんが一番いやらしいですよ!」

「そうですよ!胸で子供の頭を挟むなんて!」

「えろいです!たまりません!もう胸がはち切れそうです!」


最後のは聞かなかったことにしておこうと思う、それが一番安全だと思うんだよ。触らぬ神に祟り無しって言うぐらいだからね。

放置しとくのが一番いいんだ・・・。


「シン殿を見ろ!さっきまでと違ってゆったりしているだろう?お前達よりも気に入ってくれたようだが?」

「う~~」

「ぬぬぬ」

「いいなぁ~」


だが俺は逃げる!鼻をつまんでいざ潜航開始であります!

潜望鏡までちゃんと沈んだことを感じ取り壁を蹴って進む、目を開けると楽園。

龍の目は水の中でも機能するんですよ!勿論ズーム機能もな。ぶははははは!


「痛いの!」

行き着いた先はターニャの鳩尾でしたとさ。

「シン!お風呂で暴れないの!じっとしてるの!!」

「だってひろいよ?」

「広くてもダメなの!」

「ごめんなしゃい・・」

「怒ってないの~大丈夫なの!」


そのまま風呂から上がるまではターニャに抱っこされたままで、風呂上りに体を拭いてくれたのはぐにぃを叩いてしまった彼女だった。ただね?体が小さいと結構な速さで睡魔がこちらへ忍び寄る訳で抱っこされたまま、いやぐにぃに包まれて眠りに落ちたのさ。次に目を覚ました時は既に夕方、ターニャのベットで寝てましたとさ。


「ターニャ!夕食の手伝いの時間ですよ!」

「マーレおはよう!」

「シン様、ここで寝ておられましたか」

「きょうはターニャのくんれんのおてつだいしてたからね」

「そうでしたか、お疲れ様でした。今日はもう少しだけターニャを眠らせておいてあげましょうか」

「そうだね!」

「夕食の準備が出来たらまた来ますね?」

「あい!」


マーレが去った後、元の姿に戻ると直ぐに腹がぐーぐーなってしまった。

寝ているターニャの頬を引っ張ったりして一頻り遊んでから脇腹をぐにぐにしてやる。

「あ~それぎゅ~い~う~~あ~はっ!」

「おはよう」

「おはようなの・・シン・・・大きくなってるの・・・」

「小さい俺以外はまるで認められて無いのかよ・・」

「小さいシンは素直なの!」

「今も素直だっての!!」

「小さいシンは胸見ても喜ばないの!」

「そっ・・そっそんなのあっ当たり前だろい!」


ドンドン、ノックの音にターニャが焦る。

「今日はお手伝いだったの!!マーレちゃんに怒られるの!!!」

「今日はいいって言ってたぜ~」

「シン様、ターニャ、夕食の時間ですよ」

「ほ~い」

「マーレちゃんごめんなさいなの!!」

「今日は特別ですよ?」


そう言って貰ったターニャの表情は安堵し三人で部屋を出た。

こんな日も悪くない、ぐにぃに囲まれる天国のことでは勿論無い!

ゆったり過ごす日ってのは、心穏やかになれて活力がまた充填されているのが分かるのだ。

本話もお読み頂きまして有難う御座います。

ブックマークにも感謝です。


ターニャの話を真面目に書こうとしたのに、どうしてこうなったか分かりません。でも次話はこうはいきません。次はsideフェルになります。

次話以降も宜しくお願い致します。

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