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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第七章 双子竜 編
69/217

この力の前には誰も立ち上がることは出来ない

空の真上に光りが昇り昼頃になったことを教えている。

クレフィアを始め、現状を知る者全てが竜殿地下は祭壇の間に集合していた。

レミナにソルナ達が来ることを伝えると喜んで俺に張り付いて、エルジュも同じく喜んでいた。ノシュネもちゃんとお礼が言えるから嬉しいと笑顔だったし、フォスキアも笑っていた。ノヴィス側だけは緊張した面持ちで空気が張り裂けそうな中で到着を待った。


不意に目に熱が入り眼帯を外してみたら、破壊された祭壇の前に二つの紋が現れてクルクル回転を始める。そろそろ出て来るけどさ、そんなに緊張した顔にならなくてもよくない?なんて軽口を叩いたら全員から刺す様な視線を送られて黙り込む。


クルクル回る紋が光りを増して奥からソルナにルナ、マーレ、レスタ、ターニャにフェルの六人が姿を現す。もう一つの紋からも同様に、ルビネラ、リエラ、タンテ、ティガトの四人が姿を見せていた。


「お~皆久しぶり~元気だったか~?」

再会を喜んだ俺とは裏腹にツカツカ歩いて来たルナにほっぺをぎゅーされた。

「シン! あなたね! 手紙も寄越さないで行き成り来いだなんて! 何やってるか分かってるのかしら?」

「ルナ~いふぁいふぁらふぁふぁふぃふぇ!」

「ルナリア様、シン様泣きそうな顔してますからその辺で……」

「シンちゃんの顔凄いことになってるねぇ~」

「シンは馬鹿だから仕方ないの!」

「シン? 先に手紙を送らないと駄目ですよ」

「そもそも妾を顎で使うことが間違いなのじゃ!」


しこたま頬を引っ張られて涙目になっていたら、ぐにぃに埋まった。

「シン! 元気にしていたか? 俺に会いたいなら何時でも呼んでくれていいからな? ルナとは違って俺は怒らないぞ?」

「リエラ様、シン様が埋まって死にそうなのでそろそろ止めた方がいいかと」

「あっしまでこのような体験をする事になるとは、ルビネラ様は凄いですな」

「ふふ~んもっちょ褒めるといいぞ」


ぐにぃから解放されたけど空気が吸いたくてたまらん、頭がクラクラする。


「ルビネラ!」

「レミナ! 贈った衣類は気に入ったきゃ?」

ルビネラとレミナは二人で手を繋いであれこれ話しこんでいて、ノシュネとフォスキアはソルナと対面を果たしていた。

「ソルナ様……あのその~」

「妹を助けてくれてありがとうございました」

「うむ、元気でなによりじゃ!」


「忘れてたくせに」

「忘れてなどおらんのじゃ!」


「飼い主様! 飼い主様!」

紹介して欲しいとせがまれてルナ達へ紹介。

「私めは飼い主様に助けて頂いたニンフのエルジュなのですよ!」

「ほーもはやニンフとは言えぬような力を持っておるようじゃな」

「ニンフにしては強いでつね」

「シン! なんて呼ばせ方してるのかしら!」

「シン様……」

「シンちゃんそれは駄目だよ」

「馬鹿シンなの」

「ちゃんと名前で呼ばせてあげないと駄目です?」

「ちがっ! これちがう!」


場にカオスが形成される中で、クレフィア達もどうしていいか分からない状況になってしまった。俺にも不利な状況を打破する為にちゃんと状況の整理とかしないといけないと思い大きく声をあげた。


「本日はお日柄も良く~皆々様におかれましては~」

「シンちゃんそれ長くなるの?」

「…………」

「あのね! アタシもそうそう暇じゃないのよ?」

「ルナリア様、シン様も困った上で私共を頼って下さったのですから」


黙り込んだ俺を置き去りに、ヴォルマ、ジョコラ、ノヴィスの面々は挨拶を交わし勝手に状況の説明等始めていた。置き去りの俺は悲しみに打ちひしがれて、ちびっ子へと変貌して悲しさをアピールするも無視された。でもフェルだけは俺の事を無視しないでくれるのだ! うへへへ! ふぇ~る~!


「シン、小さくなっても駄目ですよ?」

「ふぇる~~」

「大きくなっと思ったら小さいままですね」

「んふふ~」


俺だって甘えたい時ぐらいあるんだい!

そう思いながらもフェルとおしゃべりをしていた。


「主様はフェルに弱い」

「お兄ちゃんのお姉ちゃん見たいな人なんだね」

「わたしにとってのお姉ちゃんだね」


話は進みここでは何だからと円卓がある部屋へと招待されて移動する。外の様子を見た皆はそれぞれ酷い有様だなと感想を漏らす。フェルにちゃんとしないと駄目です、と怒られた俺は勿論元の姿でフェルの横を歩いていた。


龍・竜グループは国の話は面倒だからと言い残して竜殿でおしゃべりをするらしく、エルジュもそちらに残った。円卓にヴォルマ、ジョコラがまず座り、二国の正面にノヴィスの面々が座る。俺は皆が見える位置へと移動すると何故かフェルも横に座った。


「ではっ! ごほんっ! 第一回チキチキ! ノヴィス王国を救え! 有能な人材出て来いやぁ! 会議をはじめまーす」

「何言ってるのかしら……」

「シン様?」

「急におかしくなるのは昔からだよねぇ~」

「シン馬鹿なの……馬鹿なの」

「俺はそういうノリ好きだからいいぞ?」

「いささか緊張感に欠けますけどね」

「あっしも重い空気よりかは幾分ましかと」


「シン様? まだ疲労が」

「シン殿は空元気なのか?」

「これでも国を救った英雄殿じゃ」

「あはは! シンさん大丈夫ですか?」

「「……」」


全員から冷たいオーラを放たれた、クレフィアの姉達も苦笑いでさ。少しでも明るくと思ったのにこれだよ。フェルに至っては「ちゃんとやらないと駄目ですよ?」と来たもんだ。


「はぁーノリ悪いんだよな皆。じゃ、はじめまーす。現状はもう皆理解していると思いますがもう一度振り返ります。えー現在のノヴィス王国には多種多様、各方面の人材がいませんので、ヴォルマとジョコラで何とかしてください! 以上」


「あのね! シン!」

「あのっ! ルナリア様、いえ皆様には何と言って良いか分かりませんが。恥ずかしながらノヴィスには帝王学などを始め各方面の者が皆亡くなってしまいまして、このままではもうどうにもないませんの。どうかご助力を……」

「聞けば事が事だけに仕方ないとは思うがな? 俺もルナも王であるが……」


じーっと話を聞いていたらフェルに肘で突かれる。

助け舟出してあげなさいとでも言いたいのは分かるけど、俺の一存で云々出来るような問題でもないじゃない? モジモジしてたらフェルが諭す様に怒る時の顔してるからさ?なんとかしないと俺が怒られちゃうじゃん。


「あーあのさー各国で同盟とか結んでさ? 人材派遣するじゃん? 育成する学校作るじゃん? 特産品とかの輸出と輸入とかも国レベルでするじゃん? その代わり関税とか無しにするじゃん? 皆はっぴーじゃん!」


「あのね、アタシはあなたが言うから来ただけで、こんな話は聞いてないの! それに今この場で決定出来る案件じゃなにわよ!」


「まぁ~ルナの言う通りなんだよ、ジョコラとヴォルマはもう同盟関係でシンが提言している事は既にしていてな?」

「…………」


ぐぅの音も出ねぇよ、新しくそこにもう一国追加するだけなのが難しいもんなのかな? 確かにウィンウィンの関係に現状ではなれないのも事実だけど。ルナとリエラも王だし気持ちは分かってくれてはいると思うけど、国王の二人を動かす為の材料が足りないって事なんだよな。こういう方向に対しての知識は浅はかもいい所だからどうしらいいか分からん。こういう時は開き直って素直な俺がベストなんだよ。


「え? じゃあどうすんの?」

「どうすんのってシン……あなたね」

「っくくく」


リエラは何かツボったらしく笑いを堪えてるらしい。

「クレフィア !ノヴィスは人材だけが必要でいいんだよな?」

「えっぇ、そうですわね教育の出来る人材が居てくれたならとは思いますの」

「でもこのままだと何か無理っぽいよな」

「そっそうですわね……」

「どうする? 俺が必殺技でも使おうか? ルナには効果無いけどリエラなら行ける自信あるけど?」

「え?」

「ほぉ? 俺を懐柔する手立てがあると?」

「何でアタシには効き目無いのよ!」


全員が俺に注目する中、一度外に出で準備を整える。

やってやるんだ! 出来る! 俺なら出来る! もっと熱くなれよ!


扉を頑張って開けて、おぼつかない足取りでリエラを目指す。皆の目が丸くなってる中で俺は必死に歩く。リエラは足を組んで座っていたけど、よじよじよじ登り彼女の頬を両手で挟んで目を合わせた。既に悶絶し始めている彼女に抱きついて準備は万端。 じゃあ行こうか!


「おねしゃん! たしゅけてほしいれす!」

「あぁああああ可愛い!」


五歳児の俺だとぎゅーされて終わりなのだ、それはもう嫌という程に体験しているのだ。ならばどうするか? 簡単な事だ!もっと小さくなって母性本能に訴えるだけだ! 今の俺は三歳児だ!


「シンちゃん可愛いでちゅね~」

リエラの母性を完全に引き出せたと確信した。

「リエラおねしゃん、たすけてくれないれすか?」

「えっあっあのだね……だな」

「だめれすか~」


悲しみに打ちひしがれた三歳児の表情の破壊力に少しダメージを受けてもらおう。リエラから離れて地面に落下、体の自由はあまり効かなかったので顔面をモロに強打したけど。


「あっシン! あぁ~……」

大切な何かを失ったような顔で俺を見ていたけど、今はもう相手にせず無視して歩き出す。一応ルナにもやってみておくべきだと思い、ヨチヨチ歩く俺はマーレと目が合う。懐かしむような表情で俺を見つめていたから、手を振ってあげたら喜んでた。机の下を潜ってレスタの足に手を付いてヨチヨチ歩く俺を蕩けそうな顔で見てたけど今はスルー。ターニャが手を伸ばしてたから、指を握ってやるとこちらも落ちた。フェルには思いっきり笑顔を送ると彼女もはにゃ~としてた。


さて、ラスボスへ挑戦しようとルナを目指す。

ツンデレのルナは視界から俺を上手く外してなんとか回避しようと計らっている。ルナの手前でワザと転んで「あうっいちゃい」とか行って反応を推し量ると体がビクビクして確信。リエラ同様に足からよじよじ登って膝の上に到着だ、さてやりますか!


「リュナ!」

名前を呼ぶもこちらに顔を向けてはくれない。

久しぶりだしいいかな~? 俺も我慢できない。

膝の上に立ち上がるもバランスを崩してぐにぃにダイブ、ワザとじゃないと見せなくてはならないのだ。


「ん~おいしょ……」

ぐにぃに手を付いたままでルナの顔を覗き込むもぷいっと顔を背けられた。

「りゅな?」

「そんな事しても駄目よ!」

「りゅなは……ぼくのこときらいだったのか」

「うっ」


逃さんぞ? わしはやるぅ決めたらやる男なんじゃい! おねぇはん?


「うぇ……」

「へ?」

「りゅながきらいって……うぇあああああびえええええええ!」

「ちょっちょっと! シン! あたなズルイわよ!」

「うええええぇえあああありゅなきらいいいい」

「うっぐっ」


「流石にそれはシン様が……」

「可哀想だよね~」

「シン! こっち来るの!」

「シン? 泣いては駄目ですよ?」

「ルナ……お前えげつないな」

「何でアタシが悪いみたいなことになるのよ!」


「りゅな」

「シン! あなたね! 幾らなんでもそれは……」

「りゅなしゅきいいいぃいいいいい」

「ああぁもう可愛いわね!」


勝った! ルナは俺をぎゅーと抱きしめて、もう泣かないのよ~?

なんてあやし始めているんだから。げははは!もっとぎゅーしてぇ~なぁ~!

ええねんで~ちっちゃい俺やで~? ルナに抱きつく力をぐっと強めたら、彼女もぎゅっとする力が強くなったのだった。


机の上をハイハイしてフェルの方へ戻る最中、マーレに抱きついて、レスタに抱きついて、ターニャを無視したけど捕まり、フェルまで辿り着く。


すると、フェルは昔してくれたように膝に乗せてきゅっとしてくれるのだ。懐かしい、気持ちよくて元気でる。全員がフェルを羨ましそうな目で見ていたけど俺はもうフェルに夢中、既に三侍女達もフェルの横に座って抱っこの順番待ちのようになっていたし。代わりにフェルが話を進めてくれるらしい。


「ルナリア様もリエラ様もシンに負けたということですが?」

「でもね? 実際の所はヴォルマに戻って話さないと駄目なのよ」

「シンが頼ってくれていることを考えると、俺としては断れないんだよな」


「あら? なにかあったのかしら?」

「なっなにもないぞ?」

「ジョコラでみずのはいったろうやにいれられて、レミナもつれていかれたの」


「リエラ! あんた何してくれてる訳よ!」

「リエラ様!」

「リエラちゃんひっどーいねぇー」

「監禁なの!」

「何故そのような酷いことを……」


ここでタンテとティガトが立ち上がり

「訳を話させて下さいませ!」

「あっしらが悪いんでリエラ様に落ち度は……」

同時に口に出す。

切れるカードを一枚切ったらこの有様だ!

ジョコラからは確実に助けの手が伸びるだろう。ははは! タンテが事のあらましを全て話したところでヴォルマサイドも納得していたが、ルナの目が光る。


「アタシ達のシンがお世話になった上に、助勢して誰も傷つく事無く全て解決したのね!」

「そっそうだ」

「シン? 頑張ったわね! 偉いわよ?」

「シン様、御立派です!」

「シンちゃん偉いねぇ~」

「褒めてあげるの!」

「良く出来ましたね?」


クレフィア達にはしていなかった話だけに、自分達以外にも大勢の人を助けていた事に感激された。ここでマーレがフェルに「私も抱っこしても良いですか?」と掛け合い俺はパスされた。最高級のぐにぃに包まれながらマーレに抱きつくとぎゅーーとしてくれるのだった。耳元で「頑張りましたね、偉いです」褒められてさらに熱いぎゅーに俺はもうクラクラでした。


「クレフィアさん、だったわね?」

「はいっ!」

「ヴォルマとしても協力する事は吝かでは無いの、でもヴォルマで一度話しをさせて貰えるかしら?」

「不躾な事を致したのはこちら側ですし!」

「良い返事が出来るように努力するから期待してて頂戴ね?」

「有難う御座います!」


「それで? ジョコラはどうするのかしら?」

「俺はヴォルマとノヴィスの三国間の同盟には賛成してもいい、人材の事も含めてな? ただ……」

「ただ?」

「シンがさっき言った、学校とやらに興味がある」

「シン? 学校って何なの?」


「え? 学校ないの?」

全員が学校の単語をスルーしてたから知ってるもんだと思ってた。一度、体を元のサイズに戻すとマーレの上から立ち上がる。悲しそうな声とレスタとターニャから「抱っこしてないの」の抗議を受ける事になったが説明だけはしておきたいのだ。


「学校ってのは、同年代の奴らを何人も集めて一つのグループに分けて行くんだ、それで何年間かそこで色々と勉学に励むんだよ。同年代だから気兼ねなく話せるし、切磋琢磨出来る訳だ。そこに各方面の分野に詳しい人間から教えを請うんだよ。後、大切な事なんだけど学校に居る間は地位とか名誉とか関係無く皆が平等なんだ」


俺が学校の話をしたら全員が関心して聞いていた。

「学校ね~面白そうじゃない」

「俺は地位と名誉に関係なく平等ってのが気に入ったぞ?」

「アタクシも学校には興味がありますわ!」

「平等だからこそ、チャンスは全員にある訳でさ? 成績が優秀なら各国へ送って実地でさらに鍛えるんだ。例えば、ヴォルマに半年、ジョコラに半年、最後はノヴィスに戻るとか色々出来るな」


「シンちゃん? ある程度の区切りは付けたほうがいいんじゃないのかなぁ?」

「平等は良いですが帝王学など学ぶ必要のある者と無い者もいますし」

「なら、そういうヤツを集めたグループを作ればいいんだよ? 色々軋轢生まれるけどそれはそいつらの問題だ」

「他国からも色々来るかもしれないわよね?」

「そうなると少し面倒だな」

「なら前提を作ればいい、学校に在籍する期間において地位と名誉は無いものとする。それを許可出来る人間だけが来いってね」

「なるほどのおんしは面白いことを思いつくの?」

「一年目は人数絞ったらいいし、大変なら試験とか実地でテストして判断するのもいいだろうし」


「それに関してもまず人材を送れる状況まで持って行ってからになるわね」

「そうなるな、ジョコラから取りあえず俺が信頼出来るヤツらを数人見繕うことにするよ」

「リエラ様、本当に有難う御座います!」

「タンテ? お前の妹辺りとかどうだ?」

「リンデですか?あの子は器用ですから難なくこなせるとは思います」

「一度ジョコラに戻ってからだな」


「ソルナとルビネラには頼んでおくよ、ただ派遣する人間に関しては陸路からちゃんと着てもらうけどな?」

「当然ね」

「了解した」


「それじゃあ一度戻るわね」

「俺達も戻るぞタンテ、ティガト」


こうしてなんとか軌道に乗せることが出来たけど、前途多難だ。

本話もお読み頂きましてありがとうございます。

ブックマークにも感謝です。


本話を持ちまして、「双子竜編」は終わります。

次話から新章になりますが、次章は各キャラクター個々のストーリー展開になります。ジョコラやノヴィスに関してはまとめて一話ずつを予定しております。

次話以降も宜しくお願い致します。

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