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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第七章 双子竜 編
68/217

意見の出ない会議に意味は無く、一番権力のある人間の裁量で決まる

ざわめきが耳に入ってくる。

意識が少しずつ覚醒してるのは分かるけど、まだまどろんでいる感覚。

人々の声と生活音が、そろそろ起きろって言っているみたいで目蓋を開く、寝起き特有の気持ちよさに心と身をまかせて気持ち良い時間を堪能していた。

ふかふかでぽかぽか、自分がベットで寝ていることに気がついて目蓋が落ちそうになることに逆らわなかった。


「いでっ!」

脇腹の痛みに布団の中を確認してみれば右にノシュネ、左にフォスキア、気がつかなかったけど上にレミナ。どういう状況か分からないままだったけど、これを見逃す気なんてさらさらないのは言うまでもなく。やらねばならない使命感だけが俺を動かしてくれた。使命感、いや衝動的な何か、ちがう本能だと思った。


心の中で、どれにしようかな?順番に数えて栄光ある一番に選ばれた選手の名前はフォスキアだった。よし、じゃあ~~んひひ~やりますかな?

布団の中に手を伸ばして彼女のお腹をぐにぐにしてやる。


「んっ~~んぁ~あ~」

続け様に右手でノシュネのお腹もぐにぐにしてみるとフォスキアとまったく同じ反応で双子なんだなぁ~なんてしみじみ思う。数度のぐにぃの後に残るラスボス、レミナの番は両手で脇腹をぐにぃしてやった。ぐにぃしなれたこの感覚は落ち着くのだ。


「んぇ~あぁ~いぃ~ぐにぃいやぁ~」

「これがええのんか!?これがええのんか!」


お楽しみの時間を最高な気分で楽しんでいたのに、覚醒したレミナに両手を掴まれて速攻で狸寝入り。薄目で確認してみると、腹の上でがさごそしたレミナが布団の中から顔を出したとこで目を閉じた。

体に力を入れて顔面にくるであろう衝撃に備えてはいたけど、一向に衝撃が来ないことが怖くて溜まらない。暫く待っていると左右でも動きが起こって、中でごそごそしている内に顔が二つ生えた。見た目こそ人間の子供だけど中身を考えるとまるで例の怪獣を彷彿させてくれる。


「二人共起きたか」

「「レミナちゃんおはよう」」

「主様にぐにぃされて目が覚めた・・・」

「わたしもお腹ぐにぐにされた・・・」

「お姉ちゃん達もされたんだね・・・」


三方向からの衝撃が来ると確信して、いっそ起きてしまった方が良いんじゃないか?でも起きたら起きたで何かされそうと不安で・・。


「気を付けた方がいい、いつもしてくるからな!」

「わたしもう二回目・・・」

「お姉ちゃん何時されたの?」

「いつも二人でお話してた場所に急にお兄ちゃんが来て・・それで近づいたらぐにぐにされた・・・」


このままではぐにぃ被害者の会が設立させてしまう。

この流れは良くない仕方ない・・。


「ヴァアアアアアアアアアア!!」

「ふぇあああ!!」

「へえええあ!!」

「ひゃああっ!!」


この流れで誤魔化さないと流れを掴め俺!

「あ?三人ともいたのか~??」

すっ呆けた状態を維持したまま話をしていく。

体痛くないか?大丈夫?お兄ちゃん嫌な夢見てたの?

三人とも先に心配してくれたのが以外で、被害者の会なんて俺の被害妄想だった。そしてここで気が付いた、最後にフォスキアの背に乗っていた所から記憶が無いことに。


「俺ってずっと寝てたのか?」

「主様、寝てた」

「「二日ぐらい寝てたよ?」」

「え・・あの後どうなった!」

「レミナが知るわけ無い」

「ノシュネとわたしと契約して力をいっぱい使ったから疲れてたんだよ」

「お兄ちゃん!本当にありがとう!」


二人に抱きつかれて悪い気なんてするはずも無いんだが、得た情報は俺ががっつり寝てたって事だけで情報が増えることが無かった。

でも二人を助けることは出来たっていう充足感の方が勝っていて清々しい気持ちだ。体は重かったけどいつもの服にローブを着て龍力を流すとあっと言う間に全快で、この服がいかに凄い品であるか思い知らされる。

でも、空腹には勝てないんだよ。腹減って堪らん。

チビで行けば直ぐ満たされるだろうと皆に合わせた姿に合わせてみた。

体調もばっちりでお腹もぐーぐーなっていてご飯を求めて皆で外へ。


「主様ペコリストか?」

「あぁ・・・ペコリスト過ぎてペコペコリスターになってしまったようだ」

「それは危険な状態かもしれん!!」

「お兄ちゃん大丈夫?」

「お兄ちゃん!わたしが食べ物の所連れて行ってあげる!」


ノシュネに右手を引かれ、フォスキアに左手を引かれ、レミナに背を押されて廊下を歩くと本当に良い香りがしてくる。扉の向こうから流れ出てくる匂いに耐え切れず扉をばーーんして入った。


シン様!シン殿!とか色んな方向から名前を呼ばれたけどね、来るんですよアレがね。飼い主様~の声が聞こえた時には足は地面から離れて圧倒的破壊力のぐにぃに包まれていたんですよ。抱っこされたまま椅子に座ったエルジュは俺を見てニコニコ笑顔でぎゅーしてぐにぃに埋もれて幸せです。


「飼い主様、ご飯食べるのですよ!」

「あにょね・・はしゃまったままだと食べれないからね、話も聞いときたいし」


ぐにぃを後頭部に据えてようやく皆の顔を見たら知らない顔もあって、クレフィアを見てどうなったかを聞いた。


「シン様のお陰でノシュネ様もフォスキア様も無事ですわ。それに国も・・」

「姫様・・」

「大丈夫ですわ!アタクシがちゃんと話をしますわ。国賊であったレーゼンの計画の全てはもう破綻しましたの。町の住人達の家々に指輪と似た効果のある物があって、アティー達を中心に全て回収しおりますわ」

「王とかお前の姉ちゃんとかは?」


見た事の無い顔の女性二人が立ち上がり、俺へ頭を下げから自己紹介してくれる。グローザとエルデと名乗った二人は縦髪ロールじゃなかったけど、二人共肩で揃えた金色の髪が綺麗だった。

ぐにぃもデカイし・・F級と・・・D級か素晴らしいものだよ。


「こんなに小さき英雄がいたとは・・」

「本当ですね、かわいらしい英雄様です」


アタクシ!ですわ!ですの!とか使わないことに驚いたことは言わないけどね。

「シン様、王も中枢に関わる者達もすべて死んでおりましたわ。それに母も・・ですが!こうして元の姿の国に戻れたことが何より嬉しいですわ」

「でもさ、そんな状態だと国を運営するのって難しいんじゃ」

「アタクシにはその教養もありませんし、お姉様達もずっと投獄生活のような物でしたし・・・」

「クレフィア・・弱音は駄目よ?ここまでして下さったのだからね?」

「そうよ?頑張らないとね?」

「じゃが、我らが英雄殿が指摘した通りじゃろ?このままではままならぬ・・」

「レアレ様!今そのような事を!」

「ラガノは黙っておれ!頑張るだのなんだのは当たり前であろうて!」

「このままだとこの国は瓦解してしまいますわ!でも諦めてはいけませんわ!」


話は続き各々意見を出すも答えとなる答えなんて出る訳も無い、時間だけが過ぎてしまう。俺は蚊帳の外で聞くしか出来ない事だと思って口を出すなんて野暮はせず、エルジュにぎゅっとされたままだった。レミナは椅子で寝てるし、双子竜も話を聞いてはいるけど言葉を出すことなんて出来る訳も無い。

沈黙が続いている内に、レアレがとうとう俺に話しを振ってきた。


「意見は出るもこの有様じゃ。英雄殿に頼ってばかりじゃが名案はあるかの?」

「え・・・」

「こう言うてはなんじゃがこの国はこのままではのう?」

「国のことまで俺に振られてもな・・・・」

「レアレ様!これ以上シン殿に頼るのは」

「ではラガノ、おんしに名案があるかの?」

「それは・・・」

「何でも良いんじゃよ・・どんな意見でも欲しい状態なのは見て分かって貰えたと思うがの?それにおんしは英雄じゃ」


全員が期待の目で見ていて緊張するので、ワンクッション。エルジュのぐにぃへ体重をかけて考える。国を運営する能力を持った人間がいないし、もろもろ考えるとそれらが出来る人間がいたら解決できる訳なんだよな・・・考えながら言葉を出す。


「ノシュネとフォスキア達を奉る竜殿の建て替えって必要だよな~」

「うむ。じゃが建て替えたところでの?」

「・・・」

「なんじゃったらおんしが新たな国王にでもなればいいんじゃよ!」

「はぁああああ???」


その言葉を発していたのは俺一人で、何故か満場一致でそれでもいいんじゃない?的な雰囲気が流れている。これは駄目だろ、目的だってあるし国王とか無理、絶対無理。俺が国王になった場合を考えたクレフィアと上の姉二人はなんか頬染めてるし。


「しょれは無理ぢゃろ!」

「噛んどるぞ?」

「無理!そんなん押し付けられても困る!」

「じゃろうな・・・でものぉ」

「はい、決めました!俺が決めした!」

「名案でも浮かんだかの?」

「まず竜殿の建て替えは必要なのでやれ!次、騎士団は団長不在なのでラガノがやれ!んで、城と町の補修作業は騎士団が率先して全員でやれ!」


立て続けに話すと今度はラガノが声を上げた。

「待ってくれ!自分はもう引退した身なのだ!」

「ならもう一度やればいい!そもそもこの国の兵は弱いって嘆いただろ?

なら強くすればいいだろ!」

「だが・・」

「あなたなら、騎士団も納得するでしょ?」


援護射撃をくれたのはクリュテだった。

新たな的になったとは知らずにラガノが団長やれとはやし立てている。

「じゃあ副団長はクリュテさんで決定って事で」

「え!ちょっ!ちょっと待って!私は!」

「聞きませーん!決定です、皆もそれでいいな?」


当事者の二人以外に反対する者は誰もいなかったので決定された。

もうごり押しで決定してやろうと決めた、独裁政権みたいで気が引けるけどこうでもせんと進まない。


「んで、最大の問題は国の中身だが一つ案がある」

「ほう~何を企んでおるんじゃろうかのう?」

「シン様が国王に・・・?」

「それは絶対に無い、国の上に立つような人間じゃないからな俺は!」

「飼い主様言い切ったのですよ!」

「ではどうされるのですか・・・?」

「人間を育成するには時間が伴いますね!でも今からだと間に合いません!ではどうしますか?」


散々考えて出ないならもう俺にやれる事は一つだけだった。

「えーこれから掛け合ってみるけど、ヴォルマとジョコラから能力があって信頼出来る人間を派遣してもらいまーす」

「なんじゃて!」

「それって・・」

「そして政治とかを学べる学校でも作ればいいんじゃね?」


俺の答えはそれしか出てこなくて、先を見据えたならこれがベストだとも思う。後はそれをどう受け取るかで、他国のしかも知らない人物を招き入れて教えを請うことに対してのプライドを捨てれるかどうか。仮に受け入れてもルナにリエラの答えがノーならどうしようもないんだけど、その時はソルナに騙されてこんな状況になったとか駄々こねてみようかな。


「で?どうする?」

「アタクシもお姉様達も王なんて・・」

「自分が女だから出来ないっては通らない、ルナもリエラも立派に王として勤めてるしな」

「ですが・・・」

「クレフィアにグローザ様とエルデ様の中で決めてもらわんとのう」

「自分は外から人を入れるのには抵抗がありますが、シン殿が間に入ってくれる訳ですから信じられます」


それぞれ意見が出て、俺が間に入る事でなんかとか収まる。新たな王に関しては未だ決め切れていないがそれも時間の問題だろう。

エルジュの膝から飛び降りて元の姿へ戻ると、それを見た事の無かった者達はいつもの反応をしてくれていた。さて、じゃあ一先ず・・・。



「う~む・・・これは手詰まりなのじゃ・・」

「ソルナ様はいちゅもその手で詰まりますにぇ」

「じゃが、これならどうじゃ!?コーンでスイスイじゃっ!」

「ガドバアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

「「にゃっ!!!」」


「主よ!いい加減にするのじゃ!」

「ぶっ飛ばすぞゲロ屑!」

「うっせええ!人騙しといて何言ってんだ!!断崖&蒼パン!!」

「だんがっ・・」

「あっお・・・」


「分かってて雪山に行かせたんだろ!」

「ん?何がじゃ?」

「!!!」


「何がって・・・ソルナがルビネラに言ったんだろレミナの手がかりの話!」

「妾は雪山の方にも竜がいるから話しだけでもと思って言っただけじゃが?」

「ノシュネの話を初めからしとけよ・・・断崖」

「なっ!そんな言い方ないじゃろ!!!」

「しょしょうだじょゲロ!!」

「それにソルナがノシュネ助けたのに放置とか何してんのさ・・・」

「おぉ!ノシュネか!あのちびっ子は元気にしてたかの?」


嫌な予感しか溢れてこないのは恐らくそれが的中してるかだと確信を持って言える。

「ノシュネを助けたの何時か覚えてるか」

「うー?主が流れ落ちる前じゃったから~十年ちょっと前ぐらいなのじゃ!」

「・・・その断崖を抉り取ってやろうか」

「何を怒っておるんのじゃ!」

「ゲロはさっきから何怒ってりゅんだ!」

「ソルナがノシュネ助けたの百年前だぞこら」

「そんなに時間経っておらんじゃろ?昨日の事のようにあのちびっ子を思い出せるのじゃし!」


怒り心頭を過ぎて俺は逆に冷静になっていた。

龍で偉いソルナが全部悪いと散々言い負かし、庇うルビネラにも非難轟々で文句を垂れ尽くした。

最終的に非を認めたものの、文句をぶーぶー垂れた俺に「どうすれば許してくれるんじゃ」のセリフを吐いて俺の勝ちが決まった。


「でどうすればいいのじゃ!?」

「ソルナ様!別にそんにゃこと聞かなくてもいいでしゅよ!」

「ルビネラは蒼パン。ルビネラは蒼パン。蒼色のパンなの?食べるの?食品を下着にしてるの?」

「もう分かったきゃらそれ以上言うなよ・・・」


「別の土地にでもソルナとルビネラは来れるんだよな?」

「まぁ・・行けぬこともないんじゃけど?」

「他の人間を連れてくることも出来るのか?」

「出来ぬことも無いのじゃ」

「ソルナは凄いな~!断崖だけど髪もキラキラだし、美人だし、強いし、カッコいいな~」

「ふふ~ん!じゃろう?褒めてもいいのじゃ!!」

「ならとっとルナ達連れてノヴィスまで来い!

フォスキア竜殿ならあるかな!」

「うーメンドクサイのじゃー」


「行き成り何言ってるんだゲロ丸!」

「ちゃんと噛めよ蒼パン!」

「うっ・・・」

「それにルビネラはリエラ達連れて来いよ!!」

「面倒くさいから嫌よ」

「普通のテンションで言うなよ・・・」


二人はあーだこーだ言って話が進まず俺のイライラも限界寸前まできたが、ここで起こってしまっては駄目なのだ。


「ひっぐ・・・うぇ・・ルビネラが言ったから来たのに・・・ソルナが忘れてたから俺が大変な目に合ったのに・・うぇ」

「なんで泣くんじゃ・・・」

「ソルナ様!騙されてはいけまじぇん!嘘にゃきですよ!」

「うぇえええあああああああああああああ!」

「マジで泣いておるのじゃ・・」

「え・・」

「ぶえええぇえええあああああああああ」

「わっ・・分かったから泣くのを止めるのじゃ」

「いっ行くから!大丈夫だから!行くから!!」


勝った、ちょろいすぎて涙出るわ。

昼までに来てね?可愛らしく言い残して一方的にシャットアウト、我ながら見事だと褒めてやりたいぜ。その場にいる全員に昼までに色々来るから準備だけはしておこうか、言い残して朝食の催促をしたのだった。

本話もお読み頂きましてありがとう御座います。

ブックマークにも感謝致します。


次話で双子竜編は終了です。

もう七十話近くになりますが、なんだかんだで会話パート書いてる時が楽しいです。八章では会話多目になるかもしれませんが、より楽しんでいただけるよう頑張りますので宜しくお願い致します。

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