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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第一章 出会い編
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別れとこれからと

輪廻を司る龍、ランザール・ヴェルゼベルグ。

漆黒の鱗に覆われた巨躯を持つ龍。

彼はその巨躯を揺らしながら飛び立つ。

眼下に広がる雲海に目をやると、白い光の球が無数に浮き出している。光の球が彼の近くまで集まると頭を天に向けて昇りだす。


光の球と共に行き着いた場所には巨大な樹だけが浮いており、地に根を下ろさずに根は七色に発光している。巨躯を樹に巻きつけると、光の球は樹を目指して動くと樹に吸収されるように霧散した。


蒼の空間に辰一はいる。

時折強く光る眩しさに耐え切れず目を瞑る。

光が収まると「取って喰わないって言ってたじゃねーか!」蒼の空間に叫ぶ。


「辰一まだ生きておるな?」


空間全体からヴェルゼベルグの声が響く。


「生きてるけど! なんだこれ!」

「落ち着け。今から話す」


もう全部ヴェルさんに投げたんだから言ったところで意味は無いか?どうなっちまうんだよ。

おらぁお腹へっあだぁ~よ~。


「今の辰一は腹は減らんし睡眠もいらんからな」

「心を読むなよ!」

「顔に書いておるぞ」

「見てんのかよ!」


あーもういい。

全部任せると言わんばかりにふんぞり返る。

「これからお前の器から魂を取り出す」

「器から多摩市を取り出す? 俺は国土かよ!」


もう破れかぶれである。

ヴェルゼベルグは呆れるように諭すように話す。

「残光となった魂を集めて取り出すにはその器では持たん。故に辰一の魂ごと引っ張り出す。そこから残光を集めて魂から切り離す、辰一には悪いが、その器は捨ててもらう事になるぞ?」

「それ実質、死んでるじゃん」


「器は無くなるが、死ぬわけでは無い。またその器を再現すればよいだけだ。この世界に馴染むように辰一と言う型をバラした上で組み直すだけだ」

「プラモかよ。1/1俺発売しまぁーす」

もう辰一は今までの全てを捨てて殻を破るどころか砕ききった。


ヴェルゼベルグは無視した。

「転生してもらう。この世界の理に魂があるから簡単だが時間はかかる」

「どのぐらいかかるんだ?」最早タメ口で聞いた。


ヴェルゼベルグは少し笑みを含んだ声色で

「ざっと百年ぐらいだな」

「百年ってなんだよ、すげー長いじゃん」

「なに龍にとっての百年なぞあってないようなものだし、その間は休眠状態になるからな寝て起きたら終わってるぐらいに思っておいてくれ」


百年起きてろとか言われたら暇すぎて発狂する自信しかない。

「ヴェルさん、質問いい?」

「どうした?」

「世界に転生するって事は俺には違う両親が出来るって事になるんだよな?」

「うーむ。生みの親では無いが、そうなるな」

「え? 俺生まれないの?」

「まぁ、人から生まれないが生まれるぞ?」

「え? 日本語でおkなんだけど?」


辰一混乱! 辰一混乱! 辰一は訳も分からず蒼の空間でグルグル廻る。

「説明するから全て先に聞かんか!」

「うぇい」

「この世界で転生と言ったが少し誤解がある。今いるこの世界は我の世界であって辰一が転生する世界ではない。この世界はあくまで次を待つ者達が魂の選別をする世界なのだよ」


天国行きと地獄行きを選ぶ場所って事かな?

理が違うって言うぐらいだし、そもそも天国も地獄って概念も無いかもしらん。


「辰一が生まれ落ちる世界はディルカーレ。我が住む世界はルーチェリアと言う、ディルカーレで死んだ魂はこのルーチェリアに運ばれる。名も無き魂達はここで次を待つのだ」


おいしそうな名前だなー。○ルーチェが食べたくなってきたぞ。

「辰一に生みの親がいないと言ったのはそのままの通り。辰一はディルカーレでは人から生まれぬのだ、百年の間は我の中で眠り魂は龍玉に収められる。その後、我が新たに生成した龍玉をディルカーレに流しそこで生まれる事になる。故に生みの親はおらんと言う事になる。分かったか?」


「じゃあヴェルさん俺の父ちゃんになるの?」

「微妙に返事がしにくい。近いけど近くは無いと言うか……めげっふ」

「今、面倒くさいって言いそうになってたよね!」

「言っておらんだろう。だが父ではない、あくまで魂を送り出すだけだ!」

「でも玉から生まれるって肉体ないじゃん!」

「それは龍玉を受け取った者達の力でなんとかなるようになってるんだ」

「ご都合主義ってやつですか!」

「話しても理解出来ねば意味を成さんだろう!心配するな!」


なーんかうまいこと流されてるような気がするんだよな。俺が考えるのは生まれてからでいいかな。

今は全部ヴェル父ちゃんに任せよう。


「生まれて成長してもゴールが今の俺になるし、誰から生まれても同じだわな」

「ん?見た目の事を言っておるなら変えれるぞ?」


「マジンガー!?」

「うっうむ。龍玉が渡る種族にもよるが、ある程度なら操作可能だ。寿命も短い種族や長い種族もおるし、肉体的に優れている者や弱い者などな」


「BUTしかし、姿が変わるのは嬉しいけどこれにも愛着あるしなーでもなー」

「どうする?そのままでもいいか?」

「二度目に人生になるんだしな……この際だしな」

「変えるか?」


「モテそうな感じで!才能とか詰め込んで!魔法も使いたいなーチラッチラッ」

「下卑た顔をするな気持ち悪い。才能に関してはあるようになる可能性大だな」

「なんで?今の俺ニートでミートで才能の欠片すらないよ?」

「我の魂の残光が混ざり取り除く為、百年は我の中におるからな」

「特徴とか能力的なものが遺伝みたいになるの?」

「うむ」


「魔法とかも?」

「魔法に関してはあまり期待はできぬかもしれぬ」

「えええええええええええええええええええあでえぢおがじゃえじゃご」

「なんだ本当に騒々しいな」

「だって……使いたいじゃんか」

「ディルカーレで多くの者が扱う魔法は一通り使えるとは思うが上級者レベル程度かもしれん」

「ムムッ? でも努力次第でなんとかなりそう?」

「人は努力するのが好きだからな。やって見る分にはタダであろうし、やって見るに越したことはないだろう。どちらかと言うと我ら龍が行使する龍法なら万全に扱えるだろうて」


「それ何が違うの?」

「それは生まれてからのお楽しみと言うことでな」

「えーーケチーーー」


それから俺はしばらくヴェルさんとおしゃべりをした。他愛ない事、本来生きた人間がヴェルさんと会って話す事なんて出来ない事、転生したらヴェルさんとは会えなくなる事、色々話した。


ディルカーレの事だけは生まれる前から知ってはつまらないと一点張りだったけど。凄く楽しかった、今までの人生の中でも一番って言えるぐらい楽しい時間。どれぐらい話してたかは分からない。

もっと話をしていたかったけど終わりは来る。


「では辰一、別れになるが強く、懸命に、聡明に楽しく生きろ」

「うん! 色々ありがとうヴェルさん」

「礼を言うなら全て余すところなく我が言う事だ。感謝する」

「おうよ」

「うむ」


「ヴェルさん……」

「どうした?」

「いや、なんでもない。おやすみヴェルさん」

「うむ。しばし眠れ辰一」


蒼の空間から色が落ちていくのを感じながら意識を溶かしていった。

第一章は終了です。

第二章から転生編へと進みます!

今後とも宜しくお願い致します!

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