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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第七章 双子竜 編
58/217

新人騎士

足が痺れてきてそろそろ辛い。

かれこれ正座を始めて三十分ぐらい経っているだろう。目の前にはレアレとテュルがその後ろにレミナ、エルジュ、ノシュネがじっとこっちを見ている。


「おんしもオトシゴ様とは言え男じゃのう」

「いや・・だから・・・」

「レアレ様!シンさんは悪くないんです!ちゃんと確認しなかったのはこちらなんですから!」

「して?クレフィアと何をしとったんじゃ?すっきりしたとか何とか・・・」

「飼い主様!私めに言ってくだされば良かったのですよ!」


状況が状況だっただけに何を言っても俺の言葉に力は無く言い分けを重ねているだけと思われるだろう。確かに裸は見たよ?それに言い難いこともあるけどさ何もしてないんだよ。


「アタクシが先に入ってしまっていたのが悪いんですわ!それに話をしていただけですの!」

「おんしそれは事実かの?」

「ホントだって何もしてねぇよ」

「ナニもしてないんじゃな?」


この婆、分かってて振ってきてやがる、口元が笑ってんじゃねーかよったく。いい加減にしろと目線を送ったところでノシュネが俺の味方をしてくれたのだった。


「お兄ちゃんは悪い事しない!それ以上はわたしも怒る!!」

「大丈夫ですよノシュネ様、このレアレ年老いてもボケてはおりませぬじゃ」

「ノシュネ~~!」

「お兄ちゃん!」


ノシュネは俺の頭を撫でてくれた。

真似したレミナとエルジュによって頭をぐわんぐわんされて吐きそうになったが、ここで吐く訳にはいかず痺れた足なんてお構い無く立ち上がった。

痺れた足には感覚が無くバランスを崩してテュルへと倒れしまったのが最悪だった。


「シンさん・・ダメですよ!」

「おんし本当は・・・」

「ちげーよ!足痺れてんだよ!いい加減にしろ!」

「主様足がどうした?痛いのか?」

「がああああ触るな!!」

「シンさんダメですってば!」

「シン様・・・」

「飼い主様!私めだって!」

「もう俺帰る!!ヴォルマに帰る!!もうやだ!」


子供のようにゴネた本気だった、余地なんて微塵も無くそう力いっぱい思い叫んだ。体が一瞬にして子供の姿となってしまい、行き成りの浮遊感を体に感じた俺はエルジュに抱っこされた。


「おっおんし・・」

「シンさん!!」

「シン様っ!?」

「主様小さくなった!レミナお姉ちゃんの出番!」

「お兄ちゃんがまた弟になった!」

「飼い主様~可愛いのですよ~」

「もう知らん!勝手にしろ!ぷんだよ」


初めて小さい俺を見たクレフィア達の反応は面白かったと思ったけどおこだよ!幼児化した俺は何も気にせずにエルジュのぐにぃに顔を埋めて無視を決め込む。天岩戸状態に移行した俺は、抱き抱えられたまま昨日の豪華な椅子のある空間へと連れられていった。


「疑っていた訳ではないんじゃがの~目の前でこのような光景を見せられると言葉がでんの」

「エルジュさん!抱っこさせてください!」

「ダメなのですよ!小さい飼い主様は私めが面倒を見る役目なのですよ!」

「レミナはこの時、お姉ちゃんになる!」

「わたしもお姉ちゃん!」

「あっアタクシも抱っこ・・」


取り合いのような状態になりかけた時、ラガノが朝の挨拶と共に部屋へ入って来た。

「うん?シン殿はまだ寝てるのか?だが、あれだけ助けて貰ったのだしな!起きるまで待とう」

「飼い主様ならここにいるのですよ?」

「ん?その子はどこの子だ?見かけないが・・」

「だから、この小さい子が飼い主様なのですよ?」

「ははは!流石にそのような嘘には騙されんよ」


全員の沈黙が答えで、周りの反応を見たラガノの顔も面白い顔になっていた。面白い顔、そう表現するよりも羨ましそうな顔で俺を見ていたことは内緒にしておいてやろう。

「それで・・シン殿昨日の続きなんだが・・・」

エルジュに蝉の如く張り付いた俺は顔だけラガノを見て続けて良いよ?の合図を送った。

「そろそろ機嫌を直すのじゃ!悪かった!」

その言葉を聞いて俺は自ら岩戸を開けて飛び出ると地面に着地する。

「立って話すのもなんじゃな、テュルよ」

「はい!」

テュルは幾つかのクッションにお茶等を用意して、各々が地面に座り昨晩の続きが始まる。俺は子供の姿のまま参加することにして、クッションに座ろうとした所でエルジュに鹵獲されぐにぃクッションを変わりにする事となった。

テュルもクレフィアも何やら羨ましそうな顔をエルジュに向けていたし、ラガノはエルジュのぐにぃが変形するのをチラチラ見ていた。


「さて、おんしらいいかの?昨晩の続きじゃ!」

「圧政で民を苦しめているのに国の中枢の人間共には違和感が無いことが違和感って話だったか?」

「魔術師が来て以降の話になるんじゃがの」

「魔術師が来る前はどんな状況だったんだ?」

「うむ。戦後から国の権力は三つに分散されんじゃが、それがまず一つに統一されたのじゃよ」

「分立から統一して独裁国家へ早代わりってか」

「おんしの知識はしっかりしておるんじゃな。お陰で話しが進めやすいわい。クレフィアも色々学んではおるがまだまだでな」

「レアレ!そんな話をする場ではありませんわ」

「シンさん物知りなんですね」


こんな話の内容なもんだから、レミナは速攻で船旅に出航しノシュネと寄り合うようにしていた。

テュルに何か羽織るモノでもかけてやって欲しいと頼むと彼女はすぐさま動いて二人を寝かせて毛布をかけてくれる。


「続けてもよいかの?」

「独裁国家になって民は苦しみ、それから?」

「結界で操っているかと探らせてみたがその痕跡は一切見つからないのじゃ」

「魔法による結界では無く、龍法によって展開されている可能性はあるか」

「それは十分にあるじゃろうが、もしかするとそれも的はずれかもしれん」

「でも龍法で展開された結界なら見破るなんて出来ないだろ?それこそ俺かノシュネでもないとさ」

「そうなんじゃがのここからが確信になるんじゃ」

「レアレ!アタクシはそんな話聞いて・・」

「あの時伝えていたらおんしはどうした!」

「決まってますわ!国へ赴きます!」

「じゃからいわなんだと何故わからんのじゃ!」

「昨日と同じになるから落ち着け、話を全部聞くまで黙って聞くんだ」


子供の様に唇を噛み、その拳は握られ我慢した彼女は立派だと思う。ラガノも何かに耐えている様子だし、テュルも悲しげな眼差しでクレフィアを見ていた。


「確信ってのは一体なんだ?」

一度、腰を浮かせて座り直すとエルジュはそれに合わせて動いて俺の頭に顎を乗せてぎゅーとし始める。邪魔さえしなければ俺としては気持ちが良いので気にはしないが、顔が蕩けそうになるのを我慢していたとは口が裂けても言えん。


「うむ。恐らく国の中枢にいる者達の多くは既に死んでおる」

その言葉に驚いたクレフィアは言葉を出そうとしたが俺と目が合うと下を向いて我慢してくれた。

「なんで死んでるって分かるんだ?」

「国から逃げ出した騎士の一人がこの近くの森で殺されかけていての、それの言を聞いたのじゃよ」

「もしかしてそれがヴィスとか言わないよな?」

「当たりじゃよ・・・」

「俺はどちらかというと敵側の人間だと思ってるんだけどな・・」

「シン殿からすればそう思うのも仕方がないがあれは敵ではないのだ」

「中身は真っ直ぐじゃがクレフィアと似て先走りばかりなんじゃよ」

「悪いけどあれで騎士って言われても正直信じられんけどな・・・」

「シン殿には本当に何度も気分の悪い思いをさせてしまったからな」

「罰は受けるからそれで許されよ」


腑に落ちはしなかったけど俺がどうの出来る問題でも無いからな。不満では無い、でもすっきりとはせず少しだけ悶々とした感情が湧き出るけど終わった話だと言い聞かせる。また、婆さんが入らん事言って掻き回したけどな。


「あまり気は良くないと言った顔じゃな」

「まぁな・・罵られたて気分が良くなるような変態じゃないからな」


エルジュに向けて放った言葉でもないのに、俺を抱く変態は息を呑んで何かに耐えている。一層強く抱かれてぐにぃが凄い事になってるってのだけは感触が教えてくれていた。


「話しを戻すがの?ヴィスは三年前から城の中に常駐する騎士として働いておったんじゃよ」

「そこで違和感を感じて調べでもしたのか?」

「玉座の間以外で王を始め宰相達やらを見た事がなかったそうじゃ」

「あの騎士だけがって話しじゃないんだよな?」

「他にも数名の騎士が同じことを疑問に思って騎士団長に相談したそうじゃよ、じゃが騎士団長から反逆の意思ありと判断され牢へ送られたとな」

「無茶苦茶だな・・」

「恐らくは騎士団長もじゃな・・・」

「でも死んでるって決め付けるにはまだ早いんじゃないのか?」

「何か思うところがあるんじゃな?」

「死んでるならしゃべってたのは誰だって話になるだろ」

「魔術師が何かしておるとしか予測できんのじゃ」

「ここで国の中身を予想しても答えは出ないよなぁ。でさ?あんたらは何をどうしたいんだ?」

「仮に魔術師が暗躍しておるのなら阻止し、元の形へと戻す必要があるじゃろ」

「それを手伝えって事でいいのか?」

「そうじゃ・・察しが良くて助かるわい」


ここでクレフィアがようやく口を開く。

「シン様に頼りすぎるのは、それに手伝うという事は国へ赴くということですわ!危険ですわ!」

「俺なら別にいいよ、ノシュネの姉ちゃんにも聞きたい事あるし」

それにと言いかけて言葉を留めた。どっちにしても行かねば分からんし手伝うならどっち道だ。

「ですがっ・・」

「クレフィアいいか?俺は俺の目的の為に行くんだよ、だからお前達は俺を利用したらいいんだって」

「ほっほほ、ではこちらはおんしを利用させて貰う事にしようかの」

「レアレ!」

「クレフィアお前の目的はなんだ?」

「レアレが言った通りですわ。ノシュネ様のお力を借りてシン様にもお力添えを頂きたいですわ・・」

「そういやノシュネがいるんだから姉ちゃんと話し出来るんじゃないのか?」

「そうじゃったなテュルよノシュネ様に起きて頂くんじゃ」


テュルがノシュネに近づいて肩を揺らすも全然起きず「んみ~」竜らしかぬ声を漏らしテュルは俺に助けを求める。ため息一つで立ち上がり、後ろのエルジュからもはぁーとため息を貰いノシュネを起こしにかかった。


「お~いノシュネ起きろ!」に「ん~にゃ~ぅ~」で答えたので今度はほっぺをぐにぐにして見る。

「ふぇ~ふゅふぁ~」

一向に起きる兆しを見せないノシュネにデコピンをかましてやった。

「しっシンさん!ノシュネ様にそんな事しちゃダメですって!」

「オトシゴだからセーフってことで頼むよ」

「えっ!えっと・・でも・・あれぇ?」

「シン殿・・それは流石に・・・」

「おんしには適わんのう」


しかし、デコピンでも起きる様子は無くもう一度デコピンをプレゼントした。龍の手の方で・・・。

「へぁっ!いたい!!」

「ノシュネ起きろ!」

「お兄ちゃん!?」

「ほれ、聞きたい事あるから起きろ」


女の子座りで目を擦るノシュネは非常に愛らしく守ってあげたい女子ランキング暫定一位に認定。クレフィアがノシュネに向かい膝を着いて彼女にお願いするようにゆっくり言葉を送る。


「ノシュネ様、フォスキア様とお話は出来るのでしょうか?」

「お姉ちゃんとは最近全然話してないの・・・」

「最近話しはしたんだな?」

「えっと・・沢山雪が降ったのが十回だから・・」


十回、それだけで殆ど答えが出たようなものだった。魔術師が何かしらの術を用いてフォスキアの力に対応したとしか思えない。


「ここまでどんぴしゃだとほぼ黒だな」

「フォスキア様の身も危険やも知れぬぞ」

「お姉ちゃん・・・」

「なんとかするからそんな顔すんな大丈夫だ」

「お兄ちゃん!お姉ちゃん助けてくれるの?」

「当たり前だ、まかせとけって」


レアレ達が俺を見てどうするんだ?と言いたそうな顔をしていた。

「ここからは何をどうすかを話し合わんとな」

「おんしどうするつもりなんじゃ?」

「シン殿、自分達は元のノヴィス王国の姿にもどしたいのだ」

「そうですわね、根源を断ち切りあるべき姿に戻さねばなりませんわ」

「ならノヴィス王国に行くのは決定してるがどうやって侵入するかだわな」


馬鹿正直に正面から突っ込んでも失敗して終わるだろう。出来る限り事の中心へ近づき、証拠となる物を見つけてからじゃないと対処も出来ない。少し重い空気を振り払うようにラガノが俺を見て口を開く。


「シン殿、自分に考があるんだが良いか?」

「今は可能性があるならどんなぶっ飛んだ話でもいい、聞かせてくれ」

「シン殿と自分だけでノヴィスへ行く・・」


クレフィアが身を乗り出し言葉を口にしようとした所で俺は手で制して、そのまま話をしてくれと促がした。

「自分はこれでも元騎士団長、新人の騎士を連れ国へ行くことなぞ造作も無いと思うのだが?」

「ほっほ。それなら問題は最小限で行動できるの」

「この竜殿の新人騎士なら顔は知られてないから怪しまれずに動けるか・・・その線で行こう」

「国へ入るのは自分とシン殿だけだが、少し離れた森に数人の騎士と魔術師を連れて行くがレアレ様宜しいか?」

「うむ、魔術師はエルフで構成された部隊の少数精鋭にするんじゃぞ?」



「飼い主様!私めも行きたいのですよ!」

「レミナも!レミナも!」

「わたしも・・」

「当てにはさせて貰うが森で待機だぞ?それ以外は認めんからな」

「分かったのですよ!でも何かあったら私めは飼い主様を優先するのですよ?」

「それでよい、元々無茶を承知で頼んで居るのじゃからの」

「ノシュネもレミナ達と待機だがいいな?」

「うん・・でも・・」

「何かあった時は頼らせてもらうから、力を温存しておいて欲しいんだよ」

「分かった・・」


元からクレフィア達はノシュネの力を借りるつもりで動いていた、だから何か考えがあるハズと思い切り出す。

「で?ノシュネの力をどう借りるのか具体的に聞いておきたいんだが?」

「もう叶わぬ、ヴィスが持っていった封冠具は捨ててしもうたんじゃろ?」

「アタクシが捨てましたわ!それだけは出来ませんわよ!」

「ふっふ・・」

「おんし?どうかしたのか?」

「いやな?封冠具ってヤツをお前らが使ってたらと思うとな」

「使うておったらどうじゃというじゃ?」

「多分お前らを殺しこそしないが、それなりの事態は起こってたと思ってもらっていい」

「オトシゴ様は人間を助ける者だと伝承で聞き及んでおったが敵対するとな?」

「悪いけどさ?困った人間全員を助けるなんて出来る訳無いだろ?勝手に期待するだけして結果が違ったら怒るってか?」

「いんや、それでよい!おんしは信用出来るの」


レアレはこれ以上笑えないってぐらいの声で高らかに笑うと、佇まいを正し真っ直ぐ俺を見据えて頭を下げた。

「我らが国の事、本来なら無関係なおんしに頼むなぞ失礼極まりないことじゃ。じゃが、オトシゴ様どうかお力添えを」

レアレのピシッとした言葉と空気にクレフィアを始めテュル、ラガノも同様に頭を下げるのだった。

「だから・・そんな事しなくていいから。兎に角、動くならさっさとやろうぜ」

「かたじけないの感謝する。ラガノよ」

「しばし待ってくれ!騎士団と魔術師を選抜し準備させ次第出発しよう」

「ノヴィスの情報も出来れば収集したい所だな。密偵とかっていないのか?」

「それなら問題無い。シン殿達も準備だけはしておいてくれ」

「了解した」


そう言うとラガノは準備の為に部屋を後に、テュルも準備があるとかで一緒に部屋から出て行く。

エルジュにレミナを起こさせ、俺は元の大きさへと瞬時に戻り厩舎へと移動する。外へ出ると冷たい空気が一気に肺へ入り気分も引き締まった。

国なんて大きなものに自ら喧嘩を売るような真似を行うとは思いもしなかった。空を見上げると雲が流れ切れ間から青空が顔を出した。


本話もお読みいただきまして有難う御座います。

ブックマークをして下さる方にも感謝を。


明日も更新出来ると思いますので、次話も宜しくお願い致します。

なんと昨日の更新で総合PVが10万を突破しておりました。

これも皆様のお陰です、有難う御座います!

龍軌伝まだまだ続くと思いますので、今後とも宜しくお願いします。

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