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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第六章 神の山 編 
54/217

神と呼ばれる竜

「それじゃあ~一発かましてみるか!」

「主様頑張れ~」

「飼い主様頑張るのですよ~!」


己を中心点に空中を掴むように五指を広げる。

両手合わせて十の指先に龍力を溜め込む、圧縮された龍力は指先から爪の様に生えてくる。それはまるで研ぎ澄まされた獣の爪のように伸び続けて五十cm程の長さで止まった。胸の前で拍手をすると十の蒼爪は上空へ打ちあがる。


「蒼爪烈華!!」


打ちあがった十の爪は等間隔で並び地を突き刺さし穿つ。半径十m程の円状に並んだ爪は、先端から華が咲くように展開しながら地面に飲まれて爆ぜた。


「うおっ!やり過ぎたか!?」


円状に刺さった全ての爪が爆発すると地面が崩落を始める。強化した体でドリドゲスをキャッチ、エルジュはレミナをおんぶし他の四人も同様に崩落に巻き込まれていった。



そもそも何故こんな状況になったか?

エルジュの太ももを後頭部で堪能していたらそのまま眠ってしまい彼女に頬をふにふにされて目が覚めた。相変わらすレミナは俺に張り付いて寝息を立てていたので同様に頬をふにふにしていると「んにゃいやっ!」訳の分からん奇声と共に起きた彼女を立たせて俺は身体を起こす。


「結構寝てたか?」

「残念ながらそんなに寝てはなかったのですよ?」

「何が残念なんだよ・・・」

「飼い主様の寝顔をもっと・・・はぁ・・もっと」

「うん。もう二度としないから安心してくれ」

「ダメなのですよ!!」


馬鹿をやっているとラガノが近づいてきて「先ほどは済まなかった」そう謝罪をして来た。戦争を起こしたのは彼らではなく百年も昔の人間達で彼らに罪は無い、そんな風に思ってしまう。本当に申し訳無さそうに年下の俺に頭を下げる彼を攻めるほど俺は鬼畜じゃない。

「俺もさっきは言い過ぎてしまって・・・」

俺の言葉を遮るように「シンさんは悪くありません。私達も色々と焦りがあって」テュルはそう言うとクレフィアも同様だった。イケメン騎士ことヴィスは相変わらず俺を睨んでいるけどな。


「シン殿、そろそろ動き出さねば・・」

「だな~だけど少しだけ待ってくれ確かめたいことがあるんだ」


俺は立ち上がると眼帯を取り周囲を眺める。

グルリと視線を回して、空を、地面を見る。

「なんと・・眼帯の下にはそのような・・」

「シンさんの目綺麗ですね」

「・・・・汚らわしい」

ぼそっと言ってるつもりだろうけどきっちり聞こえてるんだからねっ!

もう面倒臭いから相手にしないけど・・・勝手に吼えてろってんだ。


そうして見ていく景色の中に一点だけおかしい場所を見つけた。

俺達が立つ地面の中心地に隠されるように澱みのようなモノがあった。

俺はそこまで歩き地面を撫でるように手を付けるとはっきりと分かった事があった。


「あのさ?ノシュネの力ってどんなか分かるか?」

「それは・・・」

「ラガノ構いませんわ。打破する為にシン様が必要とされているんですわ」

「我々も全てを知っている訳では無いがノシュネ様は惑わす力があったとか」

「惑わす力か・・・ノシュネってのは案外臆病な竜なのかもしれんな」

「貴様、言うに事欠いてノシュネ様を冒涜するとは化物風情に何が分かると」

「ヴィスそろそろ黙れよ」


あんなに元気溌剌なテュルのドスの効いた声に俺もビックとしてしまうがもう相手にしたくないのだよ。頭の中になんか変なモノでも詰まってる、そう思う事にしておこう。


「何にせよ少し賭けになるんだけどいいか?」

「それしか方法が無いのなら我々には賭けにはならない!頼むシン殿」

「お願い致しますわシン様」

「んじゃーレミナとエルジュはドリドゲスの近くへ移動、それからクレフィア達も身を守る為に固まっててくれ」

「主様?何する?」

「お姉様は私めが背負うのですよ~」

「まぁ見てろって!」


そして今の崩落に至る。

中心の澱みを囲うように地面ごと抉ったら澱みから圧縮された力が爆発的に放出された。その力は地面を崩落させると霧散して消失する。

俺達は落下しているハズだったが落下時に感じる風や浮遊感を一切感じない。

それどころか崩落して土砂となった地面すら視界に捕らえる事が出来ないのだ。周囲には光も無く音もまた聞こえることがなく、自分が立っているのか?

そもそも落ちているのか?それすらも分からない。

レミナ達を最後に確認した辺りに目をやるとそこにはちゃんと存在を感じ取ることが出来る。前回のような引き離されるという事態は避けられているらしいが。


不意に足の裏に地面を踏む感覚が来たけど、初めからそこに居たかのようでもあった。レミナとエルジュが暗がりに迷うことなく進んで俺の元へ辿り着くと。「主様?意味分からん」「不思議なのですよ?」

まったく焦ったりする様子も無く、いたって平然としていて図太い二人だと改めて感じさせられる。


「クレフィア達も大丈夫か!?」

「私達は大丈夫ですわ!!」


彼女の声が少し離れた所から聞こえて皆の無事が確認できた。しかし、次はどうなるんだ?それにこの空間にも澱みを感じる。さっきよりも圧倒的な力があると俺だけが分かっているようで気味が悪いが、ここだろ!拳に力を込めて一点集中で思い切り貫くとそこから光が零れ空間を満たす。


光が収束したその先に竜が居た。

体は龍の姿をとったソルナ達よりも小さくまるで子供の竜、そんな感想を抱く。それでもその体躯は地上にいるどんな生物より大きく白に薄い朱色が特徴的。

小さいと言ってもバスよりでかくて鯨より小さいのかな?


「お前が・・・ノシュネ?」

「グルルルゥ」

「ノシュネ様!アタクシ達は!!」

「ガァアアア!!!」

「「「姫様!」」」


目の前の竜は咆哮と共に火球を放った。

どうみても龍の力を纏ったそれは魔法なんかでは太刀打ち出来るはずもない威力と圧倒的な重圧を持って放たれた。


「レミナ!エルジュ!ドリドゲス連れて下がれ!」

「「分かった!」のですよ~」

「シン様!!!」

「姫!危ない!」


ヴィスが彼女の腕を掴みレミナ達と下がろうとするが、それより速く火球が迫った。

「まったく!話も出来ないのかよっ!蒼煉華っ!」

俺の放った蒼煉華と火球が正面から衝突し熱風が吹き荒れる。

正面とは言ったが正確には蒼煉華は火球の少し下を芯をずらす様に当たる。

完全に拮抗したようにも見えた火球はそのまま直線に進まずそれるように上空へと打ちあがった。俺は蒼煉華に内包された蒼煉を連続爆破させて起動を一気に逸らし、火球の爆発と生まれる爆風を空へ逃がしたのだ。


「火球を・・・弾いた?」

「さっきからシンさんは何故あんな蒼の炎を・・」

「なんだよ・・アイツは・・」

「シン様・・本当に凄いお方なのですね・・」

「主様!!!ふぁいと~!」

「なのですよ~~!」


気軽に言うレミナとエルジュのお陰か冷静に思考出来てしまう。

「エルジュ!ドラシャール投げてくれっ!」

そう言いながらも牽制の蒼煉を三回程放ち竜に向かって走る。

「飼い主様ぁ~!投げるのですよぉ~!!」

ドラシャールをバトンのように受け取ろうとしたけど、どんだけ腕力あんだよ。予想を越えてドラシャールは俺を追い越し矢の如く空を切って進む。

ギリギリ石突近くを握ることに成功はするも、その勢いは衰えず俺ごと飛んだ。


「少しだけ力んでしまったのですよ~」

「エルジュは調度を知らないな」

「お姉様~」


飛びながらドラシャールを展開して薙ぐ、竜は前足を軸に回転し尾を振り抜いた。

「トリッキーなことしやがる!」

「ガァアアアッ!!」


ガキィィィ

ドラシャールと尾が衝突し高音が響く。

鉄の塊と衝突したような重さを受けきることができず、尾にドラシャールを引っ掛けてグルリと回転する。勢いをそのまま使い竜の直上へ飛び上がり幅五メートルの御炎渦を展開させて竜を押し潰しにかかった。地面と御炎渦の間から吹き荒れる熱量と圧力に押され竜は抜け出そうと激しく抵抗を見せる。


「ガッギガアァ!!」

「話を聞いてくれって!!」


その声を無視し尚も抵抗を見せた竜は背から生える四枚の翼をバタつかせる。翼が急激に朱色を纏うと朱色の炎が翼を這うように広がり、それは御炎渦に絡みつくように伸びた。御炎渦の回転を止めるように絡みついたそれはまるで植物の根を連想させどんどん成長してるようにも見え、御炎渦そのものが小さくなってきている。


「俺の御炎渦を喰ってるのか?!」

「ギシャアアア!!」

「まったくあのう●k竜がいかに弱かったか分かるぜ・・でもっこれでっ!!」


竜の右前足が少し浮いたところを俺は見逃さず、その隙間に差し込むようにぐにぃを展開させる。再び足を踏み込んだ竜のバランスが失われて滑るように体躯が倒れた。急ぎ顔の前へ移動して「話を聞いて欲しい」それだけを伝えると竜は龍紋の入った目を見て動きを止めた。竜が立ち上がると足を折りその場に座した。


「まったく・・・色々と大変だなこりゃ・・」

「そっそれはこっちの台詞です・・・」

「お前がノシュネで間違いないか?」

「グルゥウウ」


ノシュネは俺の背後を見てじっとしていたので手でこっちこいと促がすとレミナとエルジュにドリドゲスは躊躇なく進んで来た。クレフィア以下三名はたじろいて動けずにいるようだったから名前を呼ぶと恐る恐る近づいてきた。


「主様の勝ち?」

「飼い主様凄いのですよ~」

「ヒンヒン!」


特に驚いた風でも無いうちの面子はいつも通りの反応で竜を見ている。

「あのっ・・・シン様・・」

「どうした?」

「疑っていた訳では無いのだがシン殿は本当に」

「シンさん凄いですっ!」

「お前は一体・・・なんなんだ・・」

四人の反応が何故かルナ達と似ていて笑ってしまった。


「わたしをころしに・・きっ・・きたの?」

「話を飛躍させなでくれよそんな事しないって」

「ほっ・・ほんとうに・・?」

「あぁ、本当だ。だから話を聞いてもらいたい」

「わかった・・」


俺がクレフィアを見ると彼女は口を開いて「アタクシ達は何もしておりませんから、シン様達の御用を優先して下さいませ」ラガノもテュルの頷いていたがヴィスだけは未だに俺を睨んでいて本当に勘弁して欲しい。


「俺はお前に会う為にヴォルマから来たんだ」

「ヴォルマ・・・ソルナ様がいるところ?ルビネラさんのところ?」

「何だ?二人共知ってるのか?」

「ソルナ様がつよいから・・それにソルナ様にたすけてもらったから」

「会った事あるってこと?」

「一度だけ、そのときたすけてもらった」

「知ってたんじゃねーか!今度文句言ってやる!知らん風に言った癖に・・・」

「なまえ・・・」

「ん?」

「あなたのなまえ、おしえて」

「俺はランザヴェール=シンって名前で、こっちの小さいのがレミナと横のがエルジュで愛馬のドリドゲスだ」


俺が紹介していくとレミナは手を上げて

「レミナちゃんだ!」「エルジュちゃんなのですよ!」「ヒンヒン!」

ドリドゲスちゃんだ!とか言ってるんだろうか。

そうして紹介した先にノシュネから矢継ぎ早に質問がくる。


「シンはなんででつかえるの?」

「ん?俺はオトシゴだから魔法は使えないけど龍法は使えるんだよ。ソルナとルビネラに叩き込んで貰ったんだよ」

「そのお目、ソルナ様とルビネラさんのでももう一つは?」

「ん~話すと長いから端折るけど半分俺の紋って言っても良いと思う」

「オトシゴなのに紋があるの?」

「まぁな」

「そっか・・目も手もきれいだね」

「おぉ~褒められた記憶は中々無いから嬉しいぞ!ありがとう」


そんな会話の中、レミナをじっと見てたので本題に入った。まぁハズレだと心では理解していたが一応聞くことにして。「レミナはタツノコなんだよ」の事実は聞いたクレフィア達はもう何も聞こえていないかのように固まったままだった。


「レミナはタツノコ?」

「レミナはタツノコ!」

「レミナは何でタツノコ?」

「レミナは分からない!」

「ヴォルマを襲撃した竜を掻っ捌いたら中か玉が出てきてな?」

「シンがちからをながした?」

「そうだ」

「リュウの場所を探している?」

「ノシュネでは無いか・・・」

「わたしじゃない、ごめんね・・・」

「いいんだ!何か分かるような事ってないか?」

「わたしには分からない・・でもお姉ちゃんなら」

「確か双子って聞いたけど?」

「うん・・でももうずっと会ってないの」


百年前に起こった戦争のせいかだろう、ノシュネの姉の竜なら何か知ってるんだろうか?可能性はあるが、あちらさんの動き次第ってとこか。


「お前はお姉ちゃんに会いたいか?」

「・・・会いたいけど・・・でもね」

「喧嘩したのか?」

「そうじゃない!!」

「会えるなら会いたいよな双子の姉妹だもんな」

「うん・・でも・・」


そんな会話を聞いて口を挟んだ者がいた。

「我々と共に国にお戻りくださいノシュネ様!」

「ヴィス!!」

クレフィアが名前を叫ぶとノシュネは後ろを見た、俺には少し脅えているようにも見えたが・・。

「あなた・・だれ・・」

「ノヴィス王国 竜殿騎士ヴィスと申します。ノシュネ様!どうかお戻り下さい!我々にはあたなの力が必要なのです!」

「いい加減にしなさい!あたなという人間は!!」

「それで国に戻してまた戦争でもすんのか?」

「部外者の貴様は黙っていろ!」

「ひっ・・・」


ノシュネは完全に脅えて体を丸めて縮こまっている。大きい体をしているからと言っても幼い竜なのだろう、百年前に何があったかは知らないけど嫌な思い出でもあることぐらい察しはつく。勝手に巻き込まれてまたそこへ戻るって感じだもんな・・・嫌に決まってる。

「もう隠すような事は無いんじゃないのか?」

「シン様・・・」

「シン殿は信用に値する御仁、話されても大丈夫だと自分は判断します」

「シンさんなら大丈夫だと思います」

「正気か!こんな輩に話すなど!我々には竜の力が必要だ!利用してでも!」


ここに来てレミナもエルジュも明らかな嫌悪感を抱いたようで・・まぁ俺も竜が絡むとイラつきを抑えれないもんで。

「ノシュネを騙してでも連れて行くって魂胆か?」

「貴様が口を挟むような話ではない!ノシュネ様!さぁ我々と共に!」

「いや・・・」

「あたなが来れば我々は!」

「お前そろそろいい加減にしとけよ?」


切れている訳では無いけど俺の体からは龍力が溢れ出ていたらしい。レミナとエルジュにノシュネ以外は体が震えていた、ソルナ達に貰ったような力じゃないヴェルさんから貰った俺の力の源流それを感じたのだろう。

「竜はお前らの道具か?何が奉るだ。利用したいってのが本音だろ?」

「きさっ・・」

「ノシュネは嫌がってんだろうが?それでも無理矢理連れて行くってか?」

「これがあればそんな事容易く出来る!」


ヴィスが手にしていたのは首輪の形をしたアクセサリーだった。

「これがあればノシュネ様も来ずにはいられない」

「クレフィア達はそれ知ってたのか?」

「シン様・・・」

「ヴィス話をかき混ぜるな!聞いて欲しいのだ」


彼らが俺を見た時の顔は忘れないと思う、だって俺はドラシャールを構え蒼煉を展開していたから。


本話もお読み頂きまして有難う御座います。

ブックマークをして下さっている方にも感謝を。


次話で雪山登山が終わりまして、その後は新章に入ります。

次章は竜に絡んだ話を中心に展開して行きます。


次話以降も宜しくお願い致します。

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