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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第六章 神の山 編 
53/217

エアブレイカー

竜と戦ったあの時の話をする。

昨日のことのようにこんな敵だったとか、こんな攻撃されたとか、そんな話をしてるだけで目の前の三人は固まっていた。竜と戦うにはそれこそ国の戦力を余す所無く全て投入しても勝てるかどうからしい。翼竜もいたと話すとさっきより雰囲気が重くなっていて、具体的にどれぐらいの数かと聞かれたから二百ぐらいかな?そのへんの記憶が曖昧だっからそう答えたらまたしても空気が凍っていた。


「いかにオトシゴ様と言えどもう英雄と呼ばれても過言じゃないかと」

「シンさん・・そんなに凄いのにどうして・・?」

「シン様///」

「っち」


おい、舌打ちちゃんと聞こえてるからな!

なんだよ!俺だってあのう●k竜と戦ってる時は必死だったんだからなっ!

もう!血こそちょこっと出た程度だったけどそれなりに痛かったんだから。


「主様凄い!」

「飼い主様は本当に凄いのですよ~」

「ん~でもソルナが入れた攻撃で相当ダメージ受けてたし・・・俺は何もしてないって言っても過言じゃないよ」


「シン殿・・・いいか?本来なら竜の一撃で人間なぞ挽肉になるんだぞ?」

「何度も捌いて攻撃を仕返すなんて誰が聞いても驚きますよ?」

「シン様///」


「でもソルナはあの竜そんなに強くないって言ってたんだけどなぁ・・」

「シン殿、ソルナ様は龍だかららそれは龍目線での強さであってだな」

「ヒトからしたらもう関係ないレベルなんですよ?」

「そんなもんか?」


最早絶句してこの話は終わりを告げた。

なにやら少し話しをしたいと言われて四人は少し離れた所で話を始めていた。それでもヴィスは俺の事を睨むように見ていたけど何がそこまで気に喰わないんだろうか?そりゃ自分が守護するべき姫が目の前でケツ叩かれりゃ怒るかも知れんけど流石にしつこくない?


「主様!」

「お前らはどうなってたんだ?」

「私め共は気が付いたらお空を落下してたのですよ、そうしたらテュルさん達に出会ったのですよ?」


まるで決められた座標を入れ替えたような印象を受けた。でも何故そんな事が起こった?仮に神と呼ばれる者の意思でそうされた場合の目的はなんだろう?山頂の事もそうだけど・・・うーん?


「道中は敵に襲われたりしたか?」

「レミナはエルジュの背中で寝てたから知らん!」

「おい・・・」


「ここに来るまで何もなかったのですよ?」

「何か変わった様子とか異変とか無かったか?」

「飼い主様と急に逸れた以外には何も無かったのですよ?」

「分かった!何にしても怪我も無くて良かったよ」


「でも~エルジュは大変だったのですよ!」

「レミナをずっと背負ってたんだもんな・・」

「違うのですよ!飼い主様に一度も・・・」

「それ以上しゃべんな変態」

「あひゅん///」


向こうも話が纏まったらしくクレフィアを先頭に近づいてくる。

「シン様、お話がありますの」

「どうしたよ?」

「きさっ・・」

ヴィスがまた口を挟もうとした瞬間にクレフィアが手で彼を制して黙らせる。

ラガノは頭に手を当て、テュルは苦笑いだった。


「シン様はこれからどうされますか?」

「どうするって・・会うべきヤツに会いに行く」

「ですが、この場所はどう見てもおかしいですわ」


この場から何をどうしていいか分からないと言うのが共通の答えで目的達成まで協力しようという事となった。俺は初めから何が起こっても目的を達成する気しか無かったからどちらでも良かったんだけど。一応後ろのドリドゲスと遊んでいる二人にも聞いてはみるが答えは「おー」と「はーいなのですよー」としか返事が来なかった。


さてではどうするか?具体的にどう動くか?

「皆はこの場所についてどう思う?」

ラガノが全員を見渡してそう問う。

「雪が無いのがおかしいと思うが」

ヴィスが答えるとテュルも頷きクレフィアも同様にして俺を見た。

「場所が異質だとは思うけど、竜ならこれぐらい出来てしまうだろうとも思う」

「なんの答えにもなって無いな・・」

ふんと鼻を鳴らすように小馬鹿にするかの如く返答してくる。残念イケメンの烙印を俺から押されたなんて思ってないんだろうなっ!!


「竜ならこんなことすら可能とそういうことか?」

「あぁ、正直なところ龍やら竜にとって自分の場であるなら割りとぶっ飛んだことを平気でやりやがるからな」

「シンさん!場ってなんですか?」

「俺が知ってる龍の話しになるけど、あいつらは自分の場を持ってる。ソルナならヴォルマの土地を自分の土地と言ってたし。奉られてる龍殿がある場所を中心点にある程度なら離れていても力を行使出来るとか」

「シン様は物知りですわね!」


「多分、ノシュネってヤツがこの状況を生んだと俺は思うんだよ」

「ノシュネ様がそのような事をなさるわけが無いだろう!先ほどから貴様は不敬だぞ!竜であられるノシュネ様を愚弄するとは!この化物がっ!」


でたよ化物。

もう聞きなれてきたよ凹んだりなんてしないもん。

レミナがとたとた走りながらこちらへ来て俺の手を握るとヴィスを睨み、エルジュはドリドゲスと歩いてくる。

「ヴィス・・・あなたいい加減になさい」

「ですが姫様!このようなどこの馬の骨とも分からぬ者の言など信用出来ません!オトシゴだのなんだのと全て虚言かもしれないではありませんか!」

「別に信じてくれなんて一言も言ってないぞ?」

「貴様の化けの皮だろう!この化物がっ!!」


頭固いというか自分の思考を固定して頑なに他の意見は無視、自分の考えと違うモノは間違いでおかしいとか思ってるんだろうな。百人が同じ方向見てても全員の見える景色が違うということを知らんのか?自分を腐らせる最大の要因だと俺は思うんだけどな。


「助けて貰った事には感謝するのですよ?これ以上の飼い主様への暴言はエルジュが許さないよ?」圧倒的な力を纏った切れそうなエルジュことキレジュがドスを効かせた声色でそう言う。

「切れんなっ!」

俺は振り返りキレジュのデコをデコピンしてやる。

「でも飼い主様!この男はさっきからずっと噛み付いてくるのですよ!」

「レミナも怒る!それ以上はダークエネルギーフラッシュハリケーンの餌食!そう知るといい!」

「それやめろって言っただろが」

とレミナにもデコピンを入れると「うにゅっ!」となんとも可愛い声を出して俺を上り始めて背中への引っ付き虫、無視攻撃を開始した。


恐らくヴィスには空気破壊能力エアブレイカーがパッシブスキルとして備わっているんだ・・。空気を読めない人間ってのはどんな環境でも存在していて本人に自覚意識が無いから性質が悪いんだよ。

「姫様!我々だけでもどうにか出来ます!このような者達の力など」

「いい加減にしろ!!」ラガノがヴィスに大声で怒りをぶつける。


テュルは申し訳無さそうに腰を九十度曲げて俺に頭を下げてるし、勘弁して欲しい、話しが進まんぞ。

「あのさ~俺達もここまで来て変に時間を喰いたくないんだ。ごちゃごちゃしてるうちにまた夜が来る・・それまでには目的地まで行きたいんだ」

「シン様!申し訳ありません」

「姫様!おやめください!その様な!!」

「ヴィスのせいでクレフィア様が頭を下げているのでしょう?」

「いいえ、あなた達の上に立つ者として御すことが出来ないアタクシの力不足ですわ故にアタクシが謝る必要がありますの」

「シン殿本当にすまない。龍の力を持つシン殿の力が今は喉から手が出るほど欲しいんだ。だから協力をお願い致したい!」

「そこまで言わなくても目的地同じなんだから?」

「シン様の御心に感謝致しますわ」

「姫様?自分はシン殿の考えを聞いたうえで行動するべきかと」

「それに賛成です!」

「そうですわね。シン様について行けば安心出来るとアタクシも思いますの」


そこまで信頼されても重いだけなんだが、エルジュは後ろでうんうん頷いてるし、レミナはがっちり俺をホールドしてるし。

「シン殿、ここからはシン殿におんぶに抱っこで悪いが我々には失敗が許されないのだよ・・だから」

「あ~分かったから。さっきまでと同じ様にしていてくれ調子が狂うからさ?」

「感謝する!おいヴィス!お前もだ!」

「分かりましたよ・・・」


何がそこまで気に喰わないんだか・・・。

目的の為なら藁をも掴む気持ちでいる三人とは違いこいつは何か違うんだよな。俺が想像していた騎士ってのはもっと主君に忠誠的で義を重んじるようなヤツだと思ってたが違うんだろうか?


「シン殿、さっきの話に戻してもいいか?」

「ノシュネってヤツがこれを仕掛けたと俺は考えているって所からでいいな?」

「ノシュネ様が何故その様な事をなさるのでしょうか?」

「確認したいことがあるんだが答えて欲しい」

「シン様に嘘偽りは申しませんわ」

「じゃあ聞くがなんでお前らノシュネに会いに行く必要があるんだ?それにお前達の国にとってノシュネの存在はどういったものなんだ?後、町で聞いた話だがある国の者ならばこの山を惑わされること無く登れると聞いたが?」


現在、俺が思うことの全てを聞いた。

そこから糸口が見える可能性があると感じたからだ。ヴォルマではソルナは偉大な存在として奉られている。ノシュネは奉られていないのか?

それが聞きたいのだ。もし奉られているなら山の頂上に居る事自体がおかしい。


「シン様・・全てにはお答え出来かねます。王家の問題を多分に含みますのでどうかご容赦を・・・」

「答えられる範囲でいいから教えてくれ」

「ノシュネ様はネヴィスで奉られていた竜ですわ」

「奉られていた?」

「ここからは自分が説明させて貰う。元々ネヴィス王国では双子の竜を奉っていたのだ。二つの王家が存在してそれぞれが別々に竜を奉っていた」

「双子の竜に二つの王家か・・・」

「そうだ、だがある問題が起こり二つの王家は袂を分かち戦争へと発展したのだ。そして我々の王家は戦争に負け二つあった竜殿の一つを破壊した」

「人間の勝手に巻き込まれた挙句、奉られていた竜殿を破壊され嫌気が差したって感じか?人間側の勝手だよな」

「貴様っ!!」

「ヴィス黙りなさい!命令です!」

「シン殿の言った通りで間違いは無いがこれ以上は話せない。ノシュネ様に戻ってきて貰いのだ」

「それってどれぐらい前の話なんだ?」

「およそ百年前だ・・・」


なんだか凄いのに巻き込まれてる気しかしないさっさと終わらせたい。双子竜か女かな?ぐにぃは大きいかな?美人かなぁ~?しか感想は出なかったけど今言ったら引かれるだろうな。

単純にノシュネは戻りたくないし、関わりを持ちたくないからヒトを遠ざけてるって考えると合点が行くけど俺たちがここまで来れているのは何故か?

会って話すしかないか・・・。


「分かった。もう聞かないよ取り合えずノシュネに会いに行こう」

「シン殿、感謝する」

「シンさん!有難う御座います!」

「シン様///」

「だが!この状況をお前にどうにか出来るのか!出来ないだろう!化物がっ!」


こいつ今さっき黙れと命令されたのに普通にしゃべってるけど本当に騎士なんだろうか?何?

喧嘩した方がいいの?凄くイライラするけど我慢だよ我慢!クールが大事だクールがな!


「貴様は姫様の命令を無視するのかっ!」

「こいつらを当てにしてもノシュネ様の所へ行ける保障なんてない!」

「ヴィス・・あなたはアタクシの騎士失格ですわ」

「そろそろ黙らないとテュルも切れるよ?」

「ホントお前らは自分勝手だな・・呆れ果てる」

「化物風情に言われる必要などないわっ!」

「飼い主様?もう私め達だけで行くのですよ~面倒なのですよ!」


「まぁそう言うなよエルジュ。ただ、一つだけ言わせて貰うぞ?お前らの国のことなんて俺には関係ないんだ。ノシュネの力を借りたいのかは知らんけどな?お前らの戦争に巻き込まれたノシュネの気持ちを考えろよ!竜だからって何の気持ちも無いとでも思ってんのか?竜にだって意思もあるし気持ちだってあるんだよ!なのにここに来ても喧嘩だの何だのってそれ見せられたノシュネの気持ちはどこに持っていきゃいいんだよ馬鹿共がっ!」


少しソルナとルビネラに重ねて考えてしまって怒ってしまった。もし彼女達がこんな目に合ってたら俺は多分・・・国相手にでも喧嘩売るかもしれん。

俺に怒られた四人はもう話す事を止めて辛そうな顔だけがその場に残った。


「飼い主様、一先ず一度休憩にするのですよ~イライラしていると考えがバラバラになるのですよ?」

「お前・・・良いこというな・・」

「だから・・・はぁ・はぁ・私めで怒りの発散を」

「もう喋りかけないで下さい!お願いします」

「にゅ~ん!」

「どんな声出してんだよ・・」

「そちらも頭を一度冷やすよいいのですよ~休憩なのですよ~」

「あぁ・・・分かった」


その返答を聞いてから俺は四人から離れた所で地面に寝転んだ。エルジュが無言で膝枕をしてくれて気持ちが良い、勿論レミナは背部から這うように俺の前に張り付き寝ているんだがな。


「飼い主様?怒ってるのですよ~」

「流石にイライラしてしまった」

「私めには怒ったら駄目と言ったのですよ?」

「悪かったよ!でもエルジュが怒ると相手ぶっ飛ばすだろ?」

「今なら果てまで飛ばす自信あるのですよ!」

「飛ばすなよ・・・」

「ん~んぁああああ」


レミナが俺の上でぐるっと回って仰向きになって変な絵面になっていることだろう。ノリでレミナの腕をぐにぃとしてみると「あうぇええあああぎゅに~や」などともがいているのが楽しくて笑顔になってしまう。

「飼い主様~私めもぐにぃ~されたいのですよ~」

「なんで・・・?」

「お姉様ばっかりズルイのですよ!」

「そんな大したもんでもないだろうに」

「して欲しいのですよおお」


さっきはエルジュのお陰でクールダウン出来たしご褒美にぐにぃしてやろうと思ったが、流石にぐにぃをぐにぃする訳にも行かないから場所を選ぶ。

ん~?どこをぐにぃしたらいいだろう?よし!

両手をエルジュの腰に回して腰の肉をぐにぐにしてやった。

「きゃいぬしちゃまっ!こちょびょいのでしゅよ」

「ほれほれここがええんやろ?」

「にゃひゃ~」


エルジュが前かがみになったせいでぐにぃが顔面をぐにぃして久しぶりにぐにぃを堪能してしまった。それからはずっとエルジュの膝枕でぼけーとしていた。


「あのお姫様はさっきからずっと飼い主様のこと見てるのですよ~」

「え?どこから見てた?」

「初めからなのですよ~?」

「俺も変態の烙印を押されたか・・・」

「私めと同じなのですよ!!御揃いなのですよ!」

「一緒にすんなよ変態」

「はぁ・・・はぁ・・・」


一生そうしていたら良いよ。そう思いながら少し目蓋を閉じた。

本話もお読み頂きまして有難う御座います。

ブックマークも有難う御座います。


本章も後数話程度で終わりますので、次話以降も宜しくお願い致します。

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