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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第六章 神の山 編 
50/217

結界

神が存在しているらしい山。

レミナとエルジュとは逸れてから直ぐに探しに行く方が得策だったか?自問自答してみるが現状を切り抜けるのが先だと思考を切り替えた。


目の前に迫る三つの氷塊の内、真ん中からドラシャールで叩き切ると二つに割れて左右に飛ぶと飛来していた他の氷塊へと衝突し軌道が反れた。

二つの氷塊は雪柱まで届くと先ほどのコップ同様に突き抜けることなく止まり、今度は氷塊と同じ太さの氷柱が生まれた。


目の前の雪柱から何かが飛び出すと俺の手前十数メートルの位置に着地した。大地に突き立てるように刺さっている四肢、外皮は白の鱗で覆われている。背には大きな翼を二枚持ち尾は槍のように鋭く、その顔には大きく鋭利な嘴が携えられていた。


「グリフォンかよ・・・俺の知識にあるのとは大分見た目が違うけど」

「キュシャアアア!!」


凄い威嚇されてる、目が怖い。

龍法使えば結界を抜けることは出来るだろうけど、ドリドゲスを置いて行く事なんて出来る訳も無く相手の土俵で戦うしかなかった。例え相手の土俵でも龍法一発叩き込めばそれで終いだ。


「ちょ!!!」


不意にグリフォンが口を開くとブレスを飛ばしてきた。ブレスは周囲を凍結させながら直線上の俺とドリドゲスを狙い突き進む。

「俺の後ろにいろよドリドゲス!」

叫ぶより早く俺の後ろにドリドゲスは移動して、まったく天晴れな馬だことで・・。鎌を地面に突き立てて龍の手で右手を支えるように龍法の展開準備を始める。


「冷たい物には熱いのが相場だろ!御炎渦っ!」

掌を中心点にして蒼色の炎が渦を巻き直径三メートルの炎の盾を展開する。炎は回転すると加速し密度を上げ敵のブレスに備える。ブレスが直撃するとあまりの重圧に足が雪面にグッと沈むが気合を入れて踏ん張る。ブレスを受け止めるとジュウと音を発てて御炎渦を中心に霧を発生させながら拡散し続けた。


「ヒ~ン・・・↓」

相手の攻撃を防ぎ続けていると後ろからドリドゲスが元気のない鳴き声が聞こえ咄嗟に周囲を見る。

敵のブレスそのものは俺に効果は無かったのだが発生した霧の行方を見て気が付いた。

雪柱によって張られた結界、その外に出ようとする全てが凍結するのだと。御炎渦で霧散したブレスは霧となり結界の外へ流れ出そうとするが結界面に触れ凍結を開始していたのだ。俺達の後ろにはコップと氷弾で生まれた氷柱だけだったのに、何時に間にか高さ十メートル以上の氷壁が出来上がっている。先ほどよりも顔に冷気を感じるが恐らくこの結界内の気温も下がってきているらしい。


「長引かせるとこっちが圧倒的に不利って事か嫌らしいヤツだな」

「ヒ~ンヒン」

「ドリドゲスはここに居るんだぞ?いいな?」

「ヒン」


俺は右手を支えていた龍の手を離しサッカーボールサイズの蒼煉を展開し御炎渦越しに放った。

蒼煉は地表の雪を溶かしながらグリフォンへ向かって進むと敵の足元で爆ぜる。直撃を狙いたかったが敵の攻撃を止めさせる事を念頭にして放ったので十分。案の定、敵はブレスを止めたが相性というよりかは場所が悪いと感じる。龍法で放つ炎も熱を持ち、熱は辺りを関係無く溶かし溶かされた先から水蒸気中になって流れ氷壁を形成して行く。


「氷の壁で閉じ込めて殺すって訳か?ドリドゲスが耐え切れなくなる前に倒してやるよっ!!」


鈍器鎌を掴み、肉体強化から一気に加速し敵に接近するとグリフォンは一瞬だけ驚いたような雰囲気が見て取れた。俺がここまで加速して肉迫するとは思っていなかったのだろう。

だが、もう遅い俺の間合いだ!!

横に薙ぐように振るった鎌には感触が無かった。

目の前で雪が立ち上がり視界が白で覆われるとバックステップで距離を取った。眼前に居たグリフォンは姿を消し上空を見上げると悠々と旋回するように飛んでいる。

「俺としては飛んでくれる方が有りがたいんだよ!馬鹿めっ!!」


蒼煉を飛ばすが簡単にヒラリと回避され立て続けに数発打ち込むとそれすらも綺麗に避ける。

「最後の一撃は蒼煉華だ!ギリギリを回避しても巻き込めるぜ!」

爆音が鳴り響き敵が落ちてくるのを待つが一向に落下してこない。爆発で生まれた煙が流れて行くがそれが氷を溶かした際に生まれた水蒸気だと察した。


「アレで駄目なのかう●k竜より強いかもしれん」


霧が綺麗に晴れるとそこには己に氷を纏ったグリフォンが何事も無く飛んでいたのだった。

グリフォンが翼を羽ばたかせると二、三メートルの氷槍が六本形成されて鳴き声と共に射出される。

速度は俺の放った蒼煉よりは劣り回避は簡単に出来たが、着弾した氷槍は一回り太くなり俺が抱きついても手が回らない程で高さ五メートルぐらいの氷柱へと成長した。


「鬱陶しい攻撃ばかりしやがって・・・」

「キャシャアアアアア」


グリフォンが鳴くと形成された氷柱六本全てが砕け氷塊となって飛散する。砕けた氷塊は上から降り注ぎ、横からは拡散するように飛び散る。

「きゃああああ!!」

声が聞こえた方向を見ると縦髪ロールがそこに居て、氷塊は彼女の真上から押しつぶすように落下している。

「なんでお前がいるんだよっ!!」

間に合わないと判断し蒼煉爛花を斜め上へと放出。斜線上の氷塊の全てを溶かす事には成功したが、結果として氷壁の成長を促がしてしまったのだった。


俺は彼女の方向へ全力で走る。

鎌を構えた俺が相当に怖かったのか、はたまた殺されるとでも思ったのか再び叫んだ彼女は頭を抱えてしゃがみ込む。

「てめぇの相手は俺だろうが!ぼけks!!!」

鎌を地面に突き刺してポールダンスをするお姉ちゃんよろしくグルリと横回転して蹴りをかました。

グリフォンは縦髪ロールを狙っていたのだ。

滑空して来たところを腹蹴りによって阻まれ地面を転がると雪柱の中に飲まれた。


「お前はここで何してんだ!!危ないだろう!!」

「ひっ!殺さないで下さいましぃいい!!」

「なんで俺がお前を殺さないといけないんだよ」


目をうるうるさせた彼女の表情は呆けているようだ。助かった安堵の表情とも取れる顔のまま固まっているので顔をパチパチと軽いビンタで叩く。


「おい!戻って来い!!」

「あっ・・・あ・・アタクシ・・・」

「大丈夫か?怪我とかしてないか?」

「はっ・・はい・・大丈夫でっ・・」

「立てるか?」

「いえっ・・あの・腰が抜けて・・っそれに・・」

「時間が無いから勝手にするぞっ!」

「あのっ!お待ちくだ・・・・!」


縦髪ロールをお姫様抱っこで持ち上げると彼女が若干の躊躇を見せた理由が分かった。耳を紅く染め両手で顔を覆い隠しているがまぁ・・・ね?

彼女が腰を抜かして座っていた場所には小さな水溜りが出来ていた。そう言うことだ。


そんな事を一々気にしている場合では無いと疾走しドリドゲスと合流する。まだまだ余裕な雰囲気のドリドゲスは彼女の腰辺りに顔を寄せてヒンヒン鳴きながら匂いを嗅いでいる。

腕の中の彼女は「うっ~///消えてしまいたいですわ」と今にも消えてしまいそうなか細い声でどうにか言葉を出す。

「ドリドゲス!匂ってる場合じゃないぞ?」

追い討ちを掛けるつもりなんて微塵も無かったが彼女の心にはグサリと刺さってしまったようだ。

「もうお嫁にいけませんわ・・・」

「嫁に行く前に死にたく無かったらドリドゲスの上で大人しくしてろよ」

「えっ!ひゃっ!」

彼女をドリドゲスの背に放り投げるとドリドゲスは少し膝を曲げてクッションのようにふわっと彼女を背に乗せた。

「ドリドゲスももう少し我慢してくれ」

「ヒン~」


そう言い残して振り返ると上空でグリフォンがまた氷槍を展開し今にも射出しようと構えたところだった。

「攻めるか?さっきから後手に回ってばっかりで俺も少し腹が立ってきたぞ」

グリフォンが展開した氷槍はさっきの倍の十二本、だが六本の時よりも氷槍自体の長さと太さは半分ぐらいになっている。俺はグリフォンが行動に出る前に動き始めた。鈍器鎌ドラシャールは展開時に俺の龍力を流す事で刃の部分がガチャリとせり上がり鎌の形状となる。ドラシャールに流して留めた龍力をさらに流して行く、それでもまだ全然キャパシティがあり詰め込めるだけ龍力を詰め込むように流し続ける。


そうすると鎌の刃がさらにせり上がり薙刀の形状へと変化を遂げた。さらに龍力をドラシャールの芯に通すように流すとジワァっと蒼色が滲み出てくる。そのまま続けるとドラシャールの全体を綺麗な蒼がゆらゆらと包み込んだ。今度はゆらゆらしている蒼を伸ばして固めるようなイメージに変化させると、蒼はドラシャールの形状に沿うように膜のように変質していく。


「ある程度なら形を変化させることが出来るのか」

「キャシャアアア!!」


グリフォンの咆哮と共に十二の氷槍が射出される。

速度は十分に追える!ならば後は!!

十二の氷槍は俺を着弾点に飛来してくる、薙刀へと変化したドラシャールを構えて全てが間合いに入ったところで思いっきり薙ぐ。

ゴシャァアン!!轟音と共に全ての氷槍は破壊され霧へと変化するが俺は振った勢いそのままにぐるりと回転しドラシャールを投擲した。


ゴォオオと音を発ててグリフォンを目指して飛ぶドラシャールに俺は石突目掛けて蒼煉を放つ。

放たれた蒼煉は石突に当たると爆発しさらなる加速を生み突き進んだ。グリフォンは自身を分厚い氷で覆うと、目の前に氷の壁を四枚展開させて迎え撃ってやるとばかりに構えを取っている。

ドラシャールが氷壁へ直撃すると氷が砕ける音が響き一枚、二枚と破壊していく。四枚展開された氷壁は容易く破壊されグリフォンの胸へ直撃するが体を覆った氷はかなり固い。


「器用なヤツだな・・」

「キシャアアア!!!」

「でもこれで終いだ!!!」


駄目押しに蒼煉爛花を両手で放出しドラシャールの石突へ衝突させると、少しずつ氷を砕きグリフォンの体へ刺さっていく。氷が熱で溶かされる音が継続的に鳴りグリフォンの体からは水蒸気が立ち続ける。体を完全に貫いたドラシャールが地面に落下し突き刺さると、グリフォンは急に力が抜けたかのように落下した。


「う●k竜より頑丈だった・・」

「ヒンヒン!」

「ドリドゲス大丈夫か?寒くないか?」

「ヒ~~ン」


ドリドゲスの目線の先には雪柱があり、それらは四本全てが同じタイミングで崩れて結界の破壊に成功したことを教えてくれた。俺がドラシャールを回収する為にグリフォンの横を通り抜けようとしたタイミングで最後の一撃とばかりにブレスを放った。

だが既に展開を開始していた蒼煉華を顔面向けて放ちトドメを刺すと焼ける音と共に残骸も残らずに消失したのだった。


「性質も悪けりゃ往生際も悪いグリフォンだった」

ドリドゲスが縦髪ロールを乗せたまま俺の元へパカパカ歩いて近づいてくる。

「あ~怪我はしてないんだよな?」

「はいっ・・」

「そりゃ良かった、それで?」

「えっ?あのっ・・」

「何で来たんだよ?分かっただろ危険だって」

「アタクシは仲間と逸れてしまいましたの」

「神様とやらに会いに来たってか?」

「仰るとおりですわ」

「仲間が途中で行き成り消えたんだが何か分かるか?」

「あなたもですの!?」


そう言った彼女は言葉を選びながらも自分の目的を話す。「頂上に居られるノシュネ様に会わなくてはならないのですわ」ここに来て神様と呼ばれる存在の名前を知ることとなった。


「そのノシュネってのはリュウなのか?」

「何故それを!」


俺の事を敵視こそしてはないが完全に怪しまれているという感じだ。

「悪いが話すと長いから省かせてもらうが、俺も山頂のそいつに用があってここに居るわけだ」

「あなたは敵なのですかっ!?」

「敵だったらあのタイミングでお前を助けるかよ」

「ですが・・それも罠と・・」

「ヒィィィイイイン!!!」

「キャッアア!!」


ドリドゲスが若干怒っているようにも見えるが、ドウドウと頬を撫でることで一先ず落ち着かせた。

「疑われても仕方ないかもしれんがどうしても会いたいんだよ」

「何故ですの・・?」

「聞きたい事というか確かめたいことがある」

「あなたのその手と関係があるんですの?」

「遠くも無く近くも無いってところだ」

「答えてはくれないんですの?」

「それを言ったらお前もそうだろ?」

「うっ・・・」

「俺には目的がある。お前にも目的があるってことでいいだろ?」

「そっそうですわね」

「俺達はこのまま頂上目指して行くが?」

「あのっアタクシも連れて行ってくださいませ!」

「分かったよ」


こうして俺とドリドゲスに縦髪ロールが一時的に加わる事となり行動を共にすることになった。

レミナとエルジュの心配する気持ちが増したが今は先を進んで事を成そうと思った。

本話もお読みいただきまして、有難う御座います。

ブックマークをして下さっている方々も有難う御座います。


明日も更新できると思いますので続けてお読み下ると有りがたいです。

次話も宜しくお願いします。

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