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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第六章 神の山 編 
46/217

新たな土地へ

定期的に感じていた心地の良いリズムが止まった。

体に少しの重力を感じると位置が固定されるような感覚に目を覚ました。エルジュの胸に埋もれていた頭を起こし彼女と目が合う。

彼女は相変わらず蕩けた表情を貼り付けている。

ただ船室に着いたことは教えてくれて俺は彼女から体剥がして部屋を見渡す。


「特別船室って言うだけはあって豪華だな」

「主様起きたか!見ろ!ベットがふにふにだ!!」

「豪華なのですよ~」


本当に船の中にある部屋なのか?と疑いたくなるようなレベルの豪華さだ。部屋自体はそれほど広くは無いがドアやベット等には全て美しい模様が彫刻されている。レミナはベットに寝そべり気持ちよさそうだし、エルジュはソファーに座って何か満足そうな顔が浮かべてニコニコだ。ベット上のレミナは泳ぐように足をバタバタさせながら空腹を訴えてくる。俺も若干ながらの空腹感を覚えてきた頃合で夕食はどうしたらいいのかと考えていた。


「何か書いてある紙が置いてあるのですよ~?」

そう言ったエルジュは二つに折られた紙を俺に手渡す。折られた紙を広げるとどうやら手紙のようで、中には丁寧な挨拶から始まり出航時間から着船時間までの予定に夕食等に関する事柄がまとめられていた。特別船室というだけあって夕食は運んできてくれるらしく、船から下船するまで一歩も外に出なくても事足りそうである。


空腹を訴える歌を歌っていたレミナに夕食のことを告げると「主様!それはどのぐらいだ?」と時間を教えても意味は無かった。夕食が運ばれてきた時がその時だ!取り繕った言葉で返答したら何故か納得したようだ。逆に時間をちゃんと把握されていたら空腹歌をあと二時間も聞かされてしまうところだったが・・・。


船が少し揺れ始めるとそれが出航の合図。

この特別船室は船の船尾に位置しており、船尾の一部はガラスが二重にはめ込まれて外の様子を伺える。少しずつ港が遠ざかっていくに連れて船の揺れは安定して水面を滑るように進む。レミナとエルジュは窓に張り付いて外を眺めているお陰で船室は静寂に包まれて過ごしやすい。


ソファーに座り地図を広げて着船以降の計画を脳内で立てていく。雪山登山するから入用な物を買い足す必要も出て来るだろうが船賃が浮いてくれたので安心かな?衣類に関しては必要無いと思うんだけど、あの変態は流石に寒いのだろうか?防寒着ぐらいは買ってやろうか。そう思って二人の方を見るとレミナがしゅっと目の前に立ち両手を天に掲げている。


「主様!ほらっ!ほらっ!!」

ジャンプせずに両手を出来る限るピッ!ピッ!とあげている。俺はじぃーとその姿を黙って見続けているとレミナの隣に膝を付き同様の動きを開始したのだった。

「レミナがすることで主様がすること違う!!」

今まで見た事ないようなレベルで目を見開いている。どうやら少しおこのようだが何故そこまで必死なんだろうか?それにお前は今のところ姉設定なのを忘れていないか?それをレミナに指摘してやると

「そんなん知らん!!」と一蹴されたのだ。


関係無い人物がこの光景を見たら、恐らく何かの儀式でもしているように映ることだろう。二人で黙って両手を天に掲げているとエルジュがコチラを見て「?」を浮かべる。目の前に来ると俺とレミナの声が重なった。


「「剥けぇええええぇええええ!!!」」


はっ!違う違う!俺がそれをしてはいけない!

レミナのほっぺをむぎゅっとしてからいつも通りに言う。「剥けとか言っては行けません!!」

言葉にならない言葉を紡いでいるが何を言っているのか全然分からん。両手を離すとと再び儀式に戻る彼女を無視してエルジュに頼む。


「レミナと一緒に風呂に入ってくれ・・・湯は俺が用意するからさ・・・」

「お姉さまと二人・・・?飼い主様は・・?」

「後から入るから気にしないでいい」


その言葉を聞いたレミナが俺の前に立ち儀式を三度始める。あのな~ちゃんと説明をしようとすると面倒くさいことになったのだった。


「おい、なんでエルジュまで真似してるんだよ!」

「「んっ!んっ!」」

「聞けよ・・・」


レミナと違い最高級のぐにぃをもったエルジュが儀式の動きをするとどうなるか理解出来るだろう?あの二つの山が上へ下へとぷるんぷるん動くんだぜ?なんて山だ!しかも天然物!だけど、このままでは埒が明かないので二人にチョップを入れて止めさせる。「あうっ!」「へぁっ!」まったく同じタイミングで頭に手を乗せて何故?の目線を指すようにくれている。


「主様!レミナとお風呂!何時も一緒!」

むぅううの顔で訴えてくるが今はもうエルジュがいるのだから二人で入ってくれればいいのに。

「私めも飼い主様と一緒がいいのですよ!」

むぅううの顔でレミナ同様にしているけど、お前風呂入った事あんのかよ・・・。

「主様はレミナに負けるのが怖いから逃げる!」

そんな見え透いた挑発に乗るほど俺は甘くない。

レミナはさらにじぃーと俺を見つめてモジモジして何故か目がうるうるしている。まずい泣くのか?

一瞬の隙を突いたレミナは奇声を発して俺の服を剥こうと飛び込んでくる。


「脱げぇええええ!!!」

「やめろって!」

「剥くぞおおおお!!」

「分かった!分かったから!!」


何がレミナをここまでさせるのだろうか?観念すると彼女は俺から離れて儀式の続きを再開するのである。俺はもう流れに全てを任せて勢いに乗った。

後悔は無い。もう考えることはしない!

エルジュに向かって腹のそこから

「剥けっぇえええええええええええええ!!」

絶叫して天に両手を掲げるとレミナもそれに乗じて真似をする。


「あのっ!飼い主様・・お姉さまっ・・・」

「「剥けぇええええええいいい!!」」

「でっででも!そんな・・はぁ・・はぁ//」


とても興奮している変態に俺とレミナは服を脱がされる。エルジュは元々全裸だったくせに何故そこで興奮を覚えるんだと脱がされながら聞いてみたら、「わっ分かりません!でっでも何かがっ!」

全ては変態という言葉でまとめられるのだろう。

変態とは変態が故に変態なのだよ。

結局三人で風呂に入ることになった訳だがとても大変だった。


水を体に掛けたりすることはあったらしいエルジュは湯を掛けてやるとそれだけで悶絶したのだ。

さらにレミナがエルジュの体を洗ってやろうと布でゴシゴシするとやたらと艶かしい声を出す。

俺はレミナから背中担当大臣に襲名されてエルジュの背中をゴシゴシしたのだが、首の裏と腰の辺りをゴシったら体がクネクネして面白い。

これはイタズラなんだが、布の端を持ってパチンとするやつをケツにしてみたんだ出来心だったんだ。


エルジュのぐにぃが凄いことはもう言うまでも無いが、この変態はケツまでもが素晴らしかったんだ。だからやってしまった訳で、ケツをパチンされたエルジュは一際大きい声を上げると腰から力が抜けるようにへたりこんだのだ。

レミナとはお風呂大戦を執り行い、いつもの如く俺が勝つに至ったのだがこれ以降、俺はエルジュと風呂には入らないと心に決めたのだった。



風呂から上がる、レミナが儀式を始める、一悶着あっていつも通りに服を着せる。この流れはいつも通りで俺も馴れたものだが、床を這うようにエルジュが進んでくるのを見て一瞬だけ例のお化けを彷彿とさせられビクついた。


「飼い主様~私めにも着せて欲しいのですよ~」

「お前は自分で着ろや・・・」

「レミナが着せてやる」

「人に着せる前に自分で着るようになれよ」


ふんふん言いながら着せ替えエルジュちゃんを堪能しているレミナを横目にソファーに腰掛けようとしているとドアがコンコンと二回ノックされた。

どうやら夕食を運んできてくれたらしくさっさとエルジュの着替えを済まさせて部屋へと給仕を招き入れた。


特別船室の名前に恥じない豪華夕食に舌鼓を打っていると、「本当に今まで食べる行為をして来なかったのが勿体ないのですよ!」嬉しそうにバクバク食べる。負け時とレミナもバクバク食べる。

これだけ美味しそうに食べてくれたら料理を作った人間も喜ぶだろうが、なにせ食べ方のマナーのマの字すら知らない二人だ。口の周りはベタベタ、お皿からOBした食材の欠片達、汚い、汚すぎてイライラするレベルだ。


結局の所、一からマナーを叩き込む羽目となるのだが今後のことを考えると出来る時にしておかないと恥をかく。心を鬼にして間違える度に二人の皿から俺が食べること数度目にレミナが、

「主様だけズルイいいいいいいい!!!」

絶叫後に一気に料理を平らげたレミナ。

それを真似したエルジュ。どうしたもんか時間を掛けてゆっくりでも教え込む覚悟だけが俺の中に残ったのだった。


毎度のことながら腹をぷっくり膨らませたレミナはベットに寝転がり「うっぷ」と限界近くまで詰め込んだ腹を撫でている。エルジュは満足したらしく暇潰しに地図を眺めている俺の横に座り地図を覗き込む。


「お船から下りたら次はどうするのですよ?」

「ジュネーヴェって街に着くらしい、そこで必要になりそうな物を買ってから山を登ることになるな」

「必要な物??」

「あぁ、雪山登山になるんだよ。服はこのままで大丈夫だけどエルジュは寒いの大丈夫なのか?」

「寒さには強いのですよ!大好きなのですよ!」

「年がら年中全裸で過ごしてたんだもんな」

「今だって服が無くてもいいぐらいなのですよ?」

「色々と面倒になるから服は着てろ」

「ん?」


首を傾げて俺を見つめる彼女はやはり美人でこの変態性を知らない野朗ならコロっと骨抜きにされることだろう。服にしてもそもそも必要ないと言い張るし全裸でかっ歩しても羞恥心など無いのだろう。

少しは外から見られた自分というのを認識して欲しいものだよ。俺がじぃーとエルジュを見ながら物思いに耽っているとモジモジして息も荒くなってくる始末。変態の相手をしたくないから移動しようとしたら最高のぐにぃに迎え入れられるのだ。


「ちょ・・離せって」

完全に頭がぐにぃの間に挟まっている上に抱きしめられていて気持ち良い。

「嫌なのですよ!飼い主様はこれから座るときは私めに座って欲しいのですよっ!」

「あのな?小さい姿になるのは今だけなんだぞ?」

「小さい飼い主様でも大きい飼い主様でもどちらの時でも大丈夫なのですよ!」


一層強くぎゅーされぐにぃが俺を攻め込む。

正直、エルジュと二人旅だったら俺の理性は当の昔に飛んでいることだろう。抵抗する気が起こらずこのまま挟まれていたい、俺は体の力を抜いてその身をエルジュに預けた。それを感じ取ったエルジュは俺の頭の上に顎を置き満足したらしい。


意識を手放そうとしたその時、俺は腹に衝撃を受けるがエルジュの体によって衝撃は若干ながら緩和された。衝撃を放った犯人それはレミナだった。

「主様!レミナも!!」

「なんで突っ込んでくるんだよ。痛いだろ」

「好奇心が理性に勝った結果!」

「そうかい・・・」


エルジュ、エルジュに座る俺、俺に座るレミナと重なるように座ってぼけーと時間を潰した。

これからのことを改めて話し街に着いたその日の内に山へ向かう運びとなった。果たしてレミナの魂の母体となるリュウがいるのだろうか?一抹の不安はあったが思案しても答えが出る事は無い。


仮にビンゴだとしたらレミナとは別れることになるの事だけは確定していて、そんな事を考えてはいないレミナの頭を撫でるといつも通りのニコニコ笑顔を俺にくれるのだった。

本話もお読み頂き有難う御座います。

ブックマークをして下さっている方にも感謝致します。


本話から新章に入ります。

新たにキャラが登場するかと思いますので、楽しみにして頂けたら幸いです。

季節も変わり肌寒くなってまいりましたので皆様もお気をつけ下さい。

では、次話以降も宜しくお願い致します。

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