真実と解決法
天の光が闇に塗り変わった町。響く音は自分自身の歩く音だけ。光が有ると無いとではこうまでも雰囲気が変わるものなのか。改めて眺める町には悲しみに似た感情を抱かせる。町を出てレミナとドリドゲスの居る場所に戻るとレミナがこちらに気が付いたようで手を振っていた。ドリドゲスは相変わらず町の方向を見ないように尻を向けていた。
「主様!どこ行ってた!うn」言わせないぞっ!!
「うんkとか言うなっ!」脳天に手刀を落とす「あぶっ!」痛かったのか涙目になっている。その場では「分かった!」なんて言うのに暫くしたら何も無かったかのように言うんだから。分かっててやってるのだろう・・・。
「じゃあどこに行ってた!」むうぅううと口を膨らませて睨んでるけど怖さを一切感じない。むしろ見る者によっては可愛いなんて感想が生まれるだろう。
「町とそこから続く山道を通って泉のある場所まで行ってきたんだよ」
俺のその言葉にドリドゲスの耳がピクピク動いて反応を見せた。単純に音に反応をしただけなのか、それとも本当に何かを感じて反応をみせたのか分からない。レミナの腹減ったコールに促され少し移動した所で今日は一夜を過ごす事にした。
「うっぷっ・・・お腹たぷたぷ」
「お前は腹八分目と言葉を知らんのか」
「何っ言ってるっぷっ」
「あ~もういいよ。今日はここで野宿になるからちゃちゃっと寝ろ」
「うぇっぷ」
周囲を警戒してはいるが特に何も感じられない、野宿をしても何か問題が起こる事は無いだろう。レミナと木の根元に寝転がり時間は早いが眠りについた。
夢を見た。
綺麗な泉から溢れる水と美しい樹。
泉の水に降り注ぐ燦々とした光が反射して美しい絵画を眺めているようだ。行き成りそのシーンから町の中心点へと視界が移動した。手を繋いで歩く親子、笑顔で向かい合う男と女、馬に跨った商人、それぞれが幸せそうな全てに満ち足りた人達の顔がそこにはある。
側頭部に衝撃を感じて目が覚める、横に目を向けるとレミナの足があった。ったくどれだけ寝相が悪いんだよ?体を起こしてレミナを抱えて元の位置に戻してやる。早く寝たせいかまだ天には黄金の光が輝いてる。ドリドゲスはどこだ?と目だけを動かして探すが見当たらない。背後を振り返ってみるけどやっぱり居ない。何処へ行った?普通に見ると暗すぎて何も見えないが俺なら問題ない。
一度目を瞑り龍力を集中させてから目を開くとあっさり周囲を確認する事が出来てしまうのだ。そうしてから再び周囲を確認していくがドリドゲスの姿を捉えれない。
その場に立ち上がり眼帯を取り外した。
カメラのズーム機能が搭載されているハイテクなこの目ならば恐らく簡単に見つけれるハズだ。ここまで来た道を見える範囲で確認してみるのだがドリドゲスはいない。そこから左右百八十度に首を回して注意深く繊細に探してみは見たものの姿は確認出来ない。何故いない?まさかっ?咄嗟に後方を振り返りあの町の方角を確認してみると町から伸びる山道辺りにドリドゲスを発見した。あれだけ行きたがらなかったからいるハズが無いと勝手に決めてかかっていた。
「おいレミナ起きろ!」
顔をペチペチしてみるも一向に起きる気配が無い。
それどころか「あぅ~ぐにぃ~しにゃいでぇぃ」なんて寝言を言いやがる。寝言は寝て言え!そう言いたいが寝ているから何もいえねぇ・・・。
仕方なく背中に背負って町に向かい走った。途中で何度かドリドゲスの方向を確認してみるとゆっくりあの泉に向かっているようだが足取りは重いように見受けられる。両脚には強化を施してあるので進むスピードも自ずと上がっていくのを感じていると簡単に町の入り口に到着したのだった。
相変わらず背中のレミナはスースー寝息を立てて寝ているんだけど、普通こんだけ動けば起きるだろうに何故寝てられるのか謎だ。町の中心地から山へ伸びる道へ出た時にはドリドゲスの姿はもう確認出来ず、山道を駆け上がりあの泉の場所まで急ぐ。行きたがらなかった場所に自ら足を運んだからには何かあるのはもう明白でしかない。泉のある空間に足を踏み入れようとしたところでやっとドリドゲスを視認することが出来たのだった。
俺は声を掛けずにドリドゲスの姿を見ていた。
ドリドゲスは泉に少しずつ足を踏み入れて中心にある樹へとゆっくり進んでいく。背中のレミナを木の根元に寝かせてから俺は少しだけ近づきその様子を龍紋のある目を通して見た。明らかにおかしな現象が起きていたのだ。
ドリドゲスの体内に魔力の塊が見える。
一体どうして?体躯こそ普通の馬より大きいが馬であることには変わりないのに。あれだけの魔力量なら流石に気が付くハズなのにどうして今まで何も感じなかったんだ?それに魔力からふわっとした印象を受ける。明らかに不自然な魔力だ。俺にまだ魔力があった頃と比べたら少なく感じるが、それでも俺が知ってる中では相当量であることは分かる。
今まではルナ、リエラに続いてターニャの順だったけど目の前のそれはルナよりも膨大な魔力だった。ただ、それだけの力があるのに何故だか弱々しくて儚い印象を与えてくるのがどうにも不自然に思える。
ドリドゲスの足は完全に水に浸かりそして目の前の樹を懐かしむように見ている。俺が一歩踏み出した時、水がじわっと碧色に輝き初めて光が強く輝く。
眩しさに片目がそれを見るのを拒否したが龍紋のある目はしっかりとそれを捉えていた。水面から光がドリドゲスの足を這い上がって最後には体全体を覆うと、ふわっとしていた魔力が大きな手でぎゅっと締められたかのように密度を上げる。
ドリドゲスの背中に体内の魔力がせり上がって行く。一見するとそれは生命の誕生に似たイメージを彷彿とさせ、母体から生まれくる命の力強さに似た何かを感じる。一体何が起こっている?理解の範疇を超えた光景に目は釘付けになっていた。
ドリドゲスの背中から一本の手が生えている。
本来なら気持ち悪いと感じるであろうその光景に俺は美しさを感じていた。絵画作品を眺めるように見つめているともう一本腕が生えた。
気が付いた時にはドリドゲスの背に陶器のような白い肌、踵まである真っ直ぐ伸びた碧の髪をもった者が座っていた。その者は背から軽やかに飛び降りると水面に降り立ちそして樹に両手を向ける。
輝いていた水が少しずつその光を失い始めると水面上の者の足へ収束して体を駆け上がり手へと凝縮された。凝縮した魔力は固まりとなって空へと打ち上げられると上空で拡散し霧散して消える。
「これで・・・もう・・・」
その言葉と共に水面に立った者がこちらを見た。
綺麗だと思った。整った顔立ちは誰が見ても目を引かれるだろうし、言い寄られようものなら誰しもが心を奪われることだろう。裸の女はドリドゲスの手綱を掴むとこちらに向かい笑顔で近づいて来る。
「お前は一体誰だ・・なんでドリドゲスから・・」
うっ・・・ぐにぃがこんにちはしている!くっそ!邪魔をするな!
「初めましてと言うべきでしょうか?」
なんてセクシーな女なんだ・・・。くっそ負けて溜まるか!!
「ドリドゲスに何をした?」
何してみろ!俺は許さんぞっ!!本当に立派なぐにぃだなぁ~!
「何をしたって言われても別に何も・・・」
「ヒンッ!!」
ドリドゲスが俺の元に戻ると頬を摩れと顔を寄せてくる。どこか今までと少し違うようなそんな雰囲気があるのだが先ずは目の前の女だ。敵かと思う一方でドリドゲスが普通にしているので少しだけ気持ちが緩む。
「なんでドリドゲスから生えた!!」
見たままの光景に対して疑問を投げかえると彼女はニコッと笑い一歩近づいた。
「別に生えてませんよ?」
話しながらもまた一歩近づいてくる。後数歩で相手の間合いに入るようなそんな空気を感じる。少し警戒すると後ろから衝撃を受けて躓き転びそうになる。後ろから俺を押した犯人はドリドゲスだった。
人間は転んだりする時に手が先に出てしまう、これは後天的に人間ならば誰しも身に付ける能力の一つだ。そう手が出てしまう。何が言いたいかというと俺は無意識に手が出てしまったと言い訳がしたいだけなんだ。
「はぅんっ!」
転びそうになった俺は咄嗟に手を出し、そして目の前の女性のぐにぃをぐにぃ出来なかった。そう距離が少し足りずにぐにぃをぱちーんと叩いてそのまま地面に倒れこんだ。
「いきなり乳を叩くなんて苛烈///」
何故にお前は恍惚とした表情で俺を見つめやがりますか・・・。
「お前は一体誰なんだ・・・」
ぐにぃを叩いたことに関しては申し訳ないと思うがそれでも相変わらずこの女が誰かは依然として分からないのだ。ぐにぃを叩かれたにも関わらず彼女は笑顔で俺に手を差し伸べ手を掴み引き上げた。
「エルジュ=レグルメントと申します、宜しくお願い致しますね」
何を宜しくしたらいいのか全然分からない!コイツはそもそも何なんだ?
「困惑なされますか?」
人差し指を唇に当てて上目使いなんて技を使うとは・・・ぐぬぬ。身長は165程度だろうか?それにしてもこのぐにぃは・・・H・・ハイパークラス!それになんて張りをしてやがるんだ!もうこれは暴力的レベルのぐにぃと言っても過言ではないだろう!挟まれたら圧死するかもしれないぜ!俺が何も答えないままでいると首を傾げてこちらを見ている。
「俺のなま・・「飼い主様!!」」
言いかけたところで抱きしめられた。
ぐにぃが!ぐにぃがっ!圧力で変形しておる!何て弾力だ!こっこいつのぐにぃはビーズクッション!いや巨大マシュマロ!思考がぐにぃランドへ旅立とうとする瞬間にエルジュ=レグルメントが放った言葉が脳みそに刺さった。
この女は今なんて言った?聞き間違いか?飼い主様って呼んだか?飼い主?あ?
「飼い主ってなんだぁああああ!」
思わず叫んだら彼女は耳元で「あの子の飼い主様でしょう?それならば私めにとっても飼い主様ですのよ?ふぅ~」耳に息を吹きかけられて思わず女を突き飛ばしてしまった。耳は反則だ駄目だ!ゾクゾクした!何か違う世界を垣間見た!
「あん!こんなに乱暴にされたら赤ちゃんが出来ちゃいますわ!」
何を言っているんだこの変態。ストレートな変態を関わりなんて持ちたくない。
「ドリドゲス!勝手にどこかに行ったら駄目だろ?まったく!帰るぞ!」
ドリドゲスの手綱を握りレミナを回収しようと歩き出す。
「嫌です!置いて行かないで!飼い主様っん!」
叫ぶように言うと今度は腰に絡み付いて来た。なんなんだ!この変態女はっ!
「ヒンッ!」
ドリドゲスは一言嘶いて俺を見つめてくる。
「どうした?」
そう聞くとドリドゲスはエルジュなる変態を見ているのだ。
「ほら!この子もそう申しておりますから!」
ドリドゲスが何を言ったというのだ・・・。
どうしよう・・・。
「だから!お前は誰なんだよ!こんな変態な女の知り合いなんていねぇよ!」
「そんなに罵って下さるなんて!私めのお話を聞いてくださいますのね!?」
「何を訳の分からんことをぬかしてるんだ?」
不意にドリドゲスが「ヒンッ!!」と鳴いて俺の背中をまたも押した。
この変態の話を聞けと?そう言うことなのか?
「あ~もう分かったよ!聞けばいいんだろ!」
「やはり飼い主様ですのね!」
両手を組み合わせて俺を見るんだけどぐにぃがっ!ぐにぃがっ!!ぐにぃしておられる!!
「ふふっ飼い主様も殿方ですのね!私めの乳が気になるのですのね!」
うふんあはんみたいにくねくねしてる、あぁそうかこれは残念美人なんだ。
「もう行っていいか?」
「冗談ですのよ!お話致しますのね・・えーとどこからお話致しましょうか?」
「えっ・・・」
「どこからに致しましょう?」
「いや・・・しょっぱなから余す所無く全部だろ」
「そうですのね~・・・えーとっ」
「・・・・」
「うーんと・・・」
「・・・・」
「そうですのねぇ~」
「早く言えやぁああああ!!」
「あひゃん!ひょっぺふぇふぉふぃっふぁらふぁいでふふぁふぁふぃ!」
ほっぺを解放してやると両手で頬を撫でながら顔は恍惚としていて本当に対処に困る。
「元々この樹に憑いておりましたニンフです」
「あ?妊婦?」
「かっ飼い主様は私めを孕ませたいと!?そういうことですのね?」
「あっ・・いや勘弁して、俺が全部悪いです!話を続けて下さい!」
「私めはいつでも準備出来ておりますので!いつでも仰ってくださいね!」
「続けろや・・・」
頭痛が痛くなりそうだ・・・頭痛がな・・・。
エルジュと言ったニンフはドリドゲスを見つけて話を続ける。
「私めはこの樹に五百年程憑いておりました。私めの魔力はゆっくりと溶けこの泉に流れたのです」
「癒しの水か・・・」
「この泉の水には傷を癒す力が生まれ、そしてそれが多くの命を絶つ事に・・」
「何があった?」
「初めは町の者達に少量だけ分け与えたりする事があったのですよ。町に住まう者達はこの樹と泉を愛し敬ってくれました。ですが、ある時から癒しの水の力を求め外から多くの者達が訪れるようになったのですよ。それ自体は悪い話ではありませんでしたがね」
「外から来る奴らのお陰で町が潤ったんだろ?温泉にでも入りに来た観光客みたいだな」
「町は確かに潤い人々は喜び私めも嬉しかったですね。ただ、町の人々は徐々に変化して癒しの力を持った水を高値で訪れた人達に売り始めたのですよ」
「分からん話でも無いがな」そう言うと少し顔に影が落ちたのだった。
「私めは町の皆が喜んでいる事が嬉しかったのですよ。でもそれが長く続くとかつての町の表情は失われてしまったのですけどね」
「完全に金に溺れたか・・・」
痛々しい笑顔を見るのはやはり心苦しい、たとえ相手が変態でもな。
「私めは間違っていたのではないかと自問致しました。そして町の者達から距離を取る事を選んだのですよ」
「距離を取るって言っても町から目と鼻の先じゃないか」
「ニンフである私めには人々を惑わす力もあるのですよ。山に入る者達を惑わし泉から遠ざけたのですよ」
俺は背後の町から続く山道に目をやった。
「惑わすって言っても道自体はここまでほぼ直線上だしここから見えてるのに惑わせるのか?」
「元々は綺麗な山だったのですよ・・・私めが人々を惑わしていると分かると木々を切り倒しそして道を作ったのですよ」
「中に入れないなら外から山を穿つ方が早いか」
「私めはそれがどうしても許せずに怒りました。そして山は土砂崩れを起こして数名の人々の命を奪いました・・」
痛みに耐えるような表情、この顔は知っている。後悔している時の顔だ。全て自分が悪いとそう思っている顔だ。だから俺は言った。
「それは違う」
そう言ったらエルジュはハッした顔を向けて止まった。
「そもそもこの山の土はかなりぬかるんでいて緩い。そんな土地の木々を大量に抜いたりしようもんなら土砂崩れなんて簡単に起きるだろ?言い方が悪いがそれは自業自得。町の人間達が己の欲に負けた結果が招いた事故でお前が悪い事なんて何にもねぇよ」
「飼い主様・・」
「お前が気にする様な事じゃないと俺は思うけどな、人間ってのは常に自然と共存してんだよ」
俺が促すように見ると彼女は頷き俺の目を真っ直ぐ見据えた。
「道が作られて暫く経ったある日、盗賊達に町は襲われ蹂躙され全ては殺しつくされ泉と樹だけが残ったのですよ。盗賊達はこの泉の水に目を付けるとさらに木々をなぎ倒しました」
「違う世界でも身勝手なヤツらってのはいるもんだな」
「私めはもうここに居たくありませんでした。そんな思いを抱く様になった時にその子の母親がこの泉に水を飲みに来たのですよ。そして私めは樹を捨て母体内の子に憑きました」
「そんな事出来るのかすげーな」
「そして飼い主様に出会うまでこの子の体を拠り所に生きながらえて参りましたがそれももう終わりです」
「急に終わりってなんだよ?」
「私めは先ほどあの樹の命を絶ちました。樹に憑くニンフにとって元居た樹の生命が失われるとそのニンフもまた死に至ります」
「おいおい!行き成りすぎるだろ!お前が死ぬ事なんてないだろ?ドリドゲスの中に戻ればいいんじゃないのか?」
「その子の中にはもう戻れません。最後を看取ってくれるのが飼い主様で良かったのですよ」
「どうにもならないのか?」
「どうにもなりません」
悔いがある。いや、生きる事が出来るなら生きたいと願う気持ちがあることは明白。樹から生まれる前のドリドゲスに憑いたと言うことはあるいは・・だが魔力を元に生きている命に対して龍力でなんとかなるのだろうか?仮に上手く行ってもそれを貯蔵出来るだけのモノが必要になるが・・・。
レミナが拾ってきたアレなら行けるか?
俺は立ち上がるとレミナの方向へ歩く。エルジュは俺がこの場から立ち去ると思ったのだろう俺に笑顔で頭を下げた。レミナが持っていたピトラを持ち出し龍力を込めてみるといとも簡単に砕け散ってしまった。レミナに怒られるかもしれない後で謝ろう多分許してくれるよね?
「飼い主様は一体何をしているのですか?」
「お前は別に死にたくないんだろ?」
「そっそれは・・・」
「それだったら違う何か憑けばいいだけの話なんじゃないのか?」
「確かにそれはそうですが・・・私めの魔力を内包出来るだけの器が無ければ不可能なのですよ」
「ドリドゲスには憑いてたじゃんか?」
「その子の母親は昔からこの泉の水を飲んでいたので言わば私めの魔力を常に体内に持っていたのですよ」
「魔力を内包出来るなら何でも憑けるのか?」
「樹とその子の母親にしか憑いた事がないのではっきりした事は分からないのですよ・・」
「じゃあ、まぁやるだけやってみるか!」
「え・・?」
「まかせとけって!」
ピトラじゃ魔力を内包しきれないならば、ルビネラが強化してくれたこのギルドのブレスレットならどうだ?既に俺の龍力を一度込めているし砕けることも無かったんだ。大丈夫、上手く行くさ。
「このブレスレットを見てどう思う?」
「すっ凄い綺麗・・・でも魔力じゃない力で満ちてますよ?」
「俺の龍力が既に込めてあるんだよ」
「でも飼い主様・・私めには魔力はありますけど」
「そこで俺の目を使ってみる訳だ」
「でも一体どうやって?」
「やった事無いからどうなるか分からんけど、もしかしたらヴェルさん印の龍紋なら契約出来るかもしれない」
「あのっ、どういう意味ですか?」
「うーんと龍にはそれぞれ龍紋があるんだ。俺の目には既に三つの龍紋があるんだけどその一つ目の事をずっと考えてたんだ」
「一つ目?」
「ソルナとルビネラの龍紋はそれぞれ彼女達のモノだけど、この一つ目の龍紋はヴェルさんのモノでもあり俺のモノでもあると思うんだよな」
「私めには龍のことは良くわからないのですよ」
「まぁーソルナにしろルビネラにしても俺の事を人間の形した龍みたいな言い回しをしてたから、それなら俺個人が誰かと契約する事も可能になるということなんだよ」
「契約ですか?」
「そうだ。このブレスレットを寄り処にして俺と契約すれば多分お前は助かると思う」
ある意味賭けだと思った。自分で言った事は恐らく間違いないハズで俺自身も誰かと契約出来ても不思議じゃない。ただ俺の契約がどういった形で伝播、反映するかは分からないがブレスレットを経由するから間接的な契約になるんじゃないか?と結構気軽に考えていた。
本話もお読みいただき有難う御座います。
ブックマークも有難う御座います。
新たなキャラが出てきました。
枠としては「残念美人」「変態・変質者」みたいな感じになります。
正直、このキャラはもっと早い段階で出す予定だったのですがドリドゲス編として出す事となりました。
次話以降もどうぞ宜しくお願いします!